早稲田大学 商学部 谷本寛治ゼミナール

早稲田大学 商学部
谷本寛治ゼミナール
1
発表の流れ
❶.谷本ゼミの紹介
❷.問題提起
❸.業界考察
I.
II.
III.
IV.
電気機器メーカー業界
金融業界
建設業界
商社業界
❹.総括
2
谷本ゼミについて
• CSR(企業の社会的責任)がメインテーマ
• 企業が財務的にも非財務的にも優れた経営活動を
行っていくにはどうすればよいか、様々な切り口か
ら研究
• 例)経営戦略・組織論・コーポレート・ガバナンス・
ソーシャルビジネスやBOPビジネス
• 企業セクター以外にもNPOセクターの事業経営な
ど、経営について幅広く扱う
3
CSRとは・・・
• CSR(Corporate Social Responsibility)
企業の社会的責任
企業活動のプロセスに社会的公正性や倫理性、環境
や人権への配慮を組み込み、ステイクホルダーに対し
てアカウンタビリティを果たしていくこと
(谷本寛治 『CSR 企業と社会を考える』より
4
ステイクホルダーとは・・・
株主
地域
社会
取引先
従業員
企業
NGO
NPO
顧客
利害関係者
企業の経営活動にお
いて、相互に影響を
与え合う存在。
政府
環境
5
CSR経営とは・・
• ステイクホルダーのニーズに
基づき、持続可能な社会の実
現と同時に企業価値向上に
つながるような経営
6
CSR経営が求められるようになった経緯
企業の不祥事
環境問題への関心の高まり
社会のグローバル化 など
企業評価基準の変化
=企業に求められる役割や
責任が変化
企業は利益の追求のみに徹するのではなく、
社会に対して責任を負わなければならないという
認識の高まり
7
日本企業に求められるCSR経営
• CSRを企業の経営に組み込むこと
• ステイクホルダーの要請を経営に反映
すること
• 長期的視点で取り組むこと
• 国や地域ごとに企業に求められる責任
や役割が異なるので、それに応えること
8
日本でCSRが注目されるようになって約10年ー
企業を取り巻く社会・環境は絶え間なく変化してきた。
企業とステイクホルダーの関係や
求められる責任も大きく変化してきたはずー
そこで!
問題提起
9
問題提起
日本企業のCSR経営は
社会の動きや世界のCSR動向を受けて
どのように変わってきたのか。
そして、業界ごとにどのような特徴があるのか。
10
5つのリサーチクエスチョン
❶.財務分析
❷.10年の変遷
❸.環境経営
❹.本業に組み込んだCSR
❺.ステイクホルダーとの関わり
11
対象業界
電気機器業界
★リコー
キヤノン
富士ゼロックス
建設業界
★大成建設
清水建設
鹿島建設
金融業界
★損保ジャパン
東京海上日動
三井住友海上
商社業界
★三井物産
三菱商事
丸紅
12
なぜこの4業界なのか
• 市場が国内中心の業界と、比較的グローバル化して
いる業界を比較するため
• B to C(電気機器メーカー・損害保険), B to B(商社・
建設)による違いを比較するため
市場
グローバル化
国内中心
B to C
電気機器メーカー
金融(損害保険)
B to B
商社
建設
取引形態
13
電気機器メーカー
14
電気機器メーカーの業界特徴
CSR=経営に密接に関係
環境問題への関心が高い
商品に対する顧客のニーズに反
応し事業モデルの変革
バリューチェーンへCSR展開
15
財務分析
経常利益・当期純利益
経常利益(百万円)
120000
自己資本比率
当期純利益(百万円)
80
80000
70
70000
60
60000
50
50000
40
40000
30
30000
20
20000
10
10000
0
利益性
100000
80000
60000
40000
20000
0
-20000
0
自己資本
比率
(%)
安全性
2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011
2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011
株価
株 価
ROA・ROE
12
10
7
収益性
6
5
8
4
6
3
4
2
2
1
0
0
2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011
ROE(%)
ROA(%)
16
経済状況変化・業績悪化に関らずCSRには
一貫した取り組みを行っている。
なぜなら!
 企業を評価する上で財務だけでなく、非財務の要素も重
要視されるようになってきたから。
 CSRは長期的視点をもって行うものとの認識があるから。
 顧客のニーズに応え、長年信頼され続けることが
企業にとってはプラスになるから。
17
10年の変遷
2002
2006
2008
2009
• 国連グローバルコンパクト(人権、労働基準、環境、腐敗防止の各
分野で核となる10原則を提唱)リコーは、日本で2番目に署名
• パートナー企業へのCSR展開
• 企業と生物多様性イニシアチブ(JBIB)発起人企業の一員として参加
• CSR調達を本格的に開始
18
10年変遷-まとめ-
グローバル化
→全世界に広がったステイクホルダーの
声に注意を向ける必要性
企業の社会的責任を認識し、社会的な
流れに迅速に、率先して参加している。
19
Ⅰ.環境経営
• 環境経営報告書発行(1999~)
• 省資源をめざした環境技術開発
・資源循環の拡大と資源の有効利用
・生産活動に伴い発生する排出物の削減
リコーグループ環境目標
資源問題
京都議定書
各国の環境
法規制など
省資源
省エネ
汚染予防
20
Ⅱ.本業に組み込んだCSR
「ひとにやさしい商品」
カラーユニバーサルデザイン
リコーサイエンスキャラバン
途上国での教育支援プログラム
途上国でのBOPプロジェクト
21
ステイクホルダーとの関係
顧客
人と情報の中で、役に立つ新
しい価値を生み出し、提供し
続ける
社会貢献積立金
制度、三位一体
株主
さまざまな人材が活躍す
る企業作り
リコー
従業
員
バリュー
チェーン
社会的責任の
推進
22
同業他社との比較
キヤノン
富士ゼロックス
・「つかう・つくる・いかす」す
べての製品サイクルにおい
て
・生物多様性への取り組み
・紙の使用量削減、環境
に配慮した紙
・廃棄ゼロへの取り組み
(リユース・リサイクル)
本業に組み込ん
だCSR
・環境配慮型商品
・CSR調達
・バリューチェーンを通じ
たCSR展開
・省エネ製品
・エコソリューション
ステイクホルダー
との関係
・報告書の開示項目はステ
イクホルダーの関心が高い
項目
・ステイクホルダー別実績
と評価
・ステイクホルダーごとの
コミュニケーション
環境経営
23
まとめ
財務分析 CSRが長期的視点で行われているので、経済
状況の良し悪しに左右されない。
10年の変 自社の活動領域もグローバルに広がり、国際
規格などにもいち早く反応している。
遷
環境経営 環境負荷を低減するための技術開発、資源
の有効利用、生産活動に伴う排出物の削減
本業に組み 顧客のニーズに対応した商品作り
込んだCSR
例)環境配慮型商品・ユニバーサルデザイン
ステイクホル
バリューチェーンへのCSR展開
ダーとの関係
24
金融業界
25
損保業界の特徴
• 不況が続く中でも、CSRの取り組みには
積極的
• 環境マネジメントが先進的
金融業界のCSRをリード
• CSR性の強い商品やサービスの開発によ
する
り、本業を通じた取り組みを展開
損害保険ジャパンを中心
• 国際的な動きよりも国内の動きに敏感
に見ていく
• 海外進出を睨んで海外の顧客をステイク
ホルダーとして強く意識
26
利益額
財務分析
株価
収益性
安全性
金融危機の
影響
27
10年の変遷
社会の動き
損保ジャパン
2005年
「京都議定書」発効
2005年
カーボン・ディスクロジャー・
プロジェクトへの参画
「環境」、「生物多様性」を特に意識し
た取り組みが増える。
2006年
2005年
「お客様の声白書」発行
保険金不払い及び不正
「PDCAサイクルに基づく
顧客の意見を反映する動きが顕著
営業で金融庁から処分
実行計画の策定」開始
に。CSR計画策定プランもPDCAサイ
クルを導入しより本格的に。
2009年
2009年
生物多様性条約
第10回締約国会議
(COP10)開催
→「名古屋議定書」採択
SAVE JAPANプロジェクト
開始
生物多様性コンサルティ
ング開始
28
Ⅰ.環境経営
環境経営の軸
・本社→ISO14001認証
・支店→E-ことプロジェクト
紙使用量の削減
紙使用量の削減
・自動車保険にWeb約款
・紙使用量の「見える化」を推進
CO2総量の削減
生物多様性保全
・グリーン購入の推進
・バリューチェーンのco2排出の
調査・報告を支援
・社有車の低公害車両への入
れ替
・エコ安全ドライブの実施
・「SAVE JAPAN プロジェクト」実
施
・「生物多様性民間参画パート
ナーシップ」に参画
・全国の自治体と森林整備活動
29
Ⅱ.本業に組み込んだCSR
本業を通じた社会貢献=社会的事業
エコファンド
マイクロ
インシュア
ランス
SRIファンド
CSRコンサ
ルティング
デリバティ
ブ保険
天候イン
デックス保
険
30
Ⅲ.ステイクホルダーとの関わり
SRIファンドによる投資
環境マネジメント
システム導入
CO₂削減
紙使用量削減
生物多様性保護
投融
資先
企業
社員
顧客
損保
ジャパン
代理
店
環境
損保ジャパンちきゅ
うくらぶ
NPOとの連携
ワークライフバランス諸制
度の整備
ダイバーシティの推進
「お客さまの声
白書」
心身両面の
ヘルスケア
地域
社会
企業行動憲章」に基づい
たアンケート実施
CSRレポート提出を要請
31
同業他社との比較
東京海上日動 三井住友海上
・ISO14001や独自規格など、
環境
マネジメント 環境マネジメントシステム導入
・国内全拠点でISO14001導入
・熱帯雨林再生プロジェクト
・「企業が語るいきものがたり」を定
期開催
・CO2 削減中長期計画
・本社の緑化
本業を通じた
・天候保険
CSRの取り組み ・マイクロファイナンスに投資
するファンドの設立
・マイクロインシュアランス
・環境コンサルティング
・天候デリバティブ
・エコマーク認定保険「GK クルマの
保険」
・GreenPowerサポーター
・マイクロインシュアランス
・タカフル事業への出資
・カーボン・ニュートラル
・Green Giftプロジェクト
・マングローブ植林
SHとの関係
・顧客の声を募り、それに基づ
いた改善を実施・情報公開
・近年は東南アジアを強く意識
・積極的なSHダイアログ
・ヨーロッパでも事業展開
・苦情対応マネジメントシステムの国
際規格「ISO10002」への適合
・ワーク・ライフ・バランスの取り組み
・世界の現地法人を通じて社会貢献
・代理店の品質向上の取り組み
32
しかし積極的な
CSR推進
まとめ
財務分析
金融危機以降苦しい経営
業界動向
少子高齢化などにより国内市場が縮小中
保険料不払い
➔海外での展開へ。焦点はインドや東南アジア
事件への反省
金融機関
❶.二酸化炭素削減
環境経営
ならではのCSR
次の事業展開の焦点と
❷.紙の使用量削減
なる東南アジアのステ
❸.生物多様性の保護
イクホルダーと良好な
本業に組み込 ❶.保険商品を通じたCSR
関係を築く意図
❷.リスクコンサルティングを通じたCSR
んだCSR
❸.SRIファンドの運営
ステイクホル
ダーとの関係
環境関連条約に敏感な反応
とりわけインドや東南アジアのSHを意識
33
建設業界
34
建設業界特徴
• 現場が常に屋外で場所が一定しない:
環境に直接影響を与える
→環境ビジネスへの対応
• 談合事件
→コンプライアンス徹底(法令遵守)への動
き
35
談合問題とは?
• 「企業間で価格や生産数量、販売地域
などを協定すること」
• 日本法「私的独占の禁止及び構成取引の確
保に関する法律」では、これを不当な取引制
限として禁止しており、法令違反に当たる。
36
財務分析
経常利益&当期純利益
(
百
万
円
)
60,000
50,000
40,000
30,000
20,000
10,000
0
-10,000
-20,000
-30,000
経常利益(百万円)
15
ROA&ROE
10
(
%
)
5
0
-5
-10
2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011
41,45751,53443,55355,35555,62639,903-11,0527,73924,04330,242
当期純利益(百万円) 14,99910,35319,09828,36226,22224,446-24,4021,22210,883 1,181
-15
2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011
ROA(%) 0.79 0.58 1.05 1.54 1.32 0.87 -1.72 0.59 0.77 0.25
ROE(%) 8.5
BPS&自己資本比率
5.5
8.3
9.4
7.1
6.7 -10.1 7.8
3.8
0.4
株価
25
20
(
%
)
15
10
5
0
自己資本比率(%)
1
9.2
2
3
4
5
6
7
11.5 14.2 18.7 19.6 19.5 15.3
8
19
9
10
20.7 19.5
37
財務分析(まとめ)
• 2007年談合事件+2008年度リーマン・
ショック
不適切なコーポレート・ガバナンス(企業
統治)にも一因があるという認識
CSRへの積極的な取り組みが企
業リスクの最小化に繋がる
38
10年の変遷
社
会
の
動
き
• 建設業界で
の談合問題
が浮き彫りに
2000年代
再度の談合
• 防衛施設庁談合事件に
より営業停止命令
• 名古屋市営地下鉄延長
工事での談合事件
2006~2007年
大
成
建
設
• CSR委員会設置
• 脱談合宣言
2005年
• コンプライアンス
委員会が発足
• グループ経営理念
制定
2006~2007年
• 社会の評価↓
その後もリーマ
ンショック、東
日本大震災と
続き、苦しい状
況
• しかしコンプラ
イアンス改善
に力を入れた
結果、大きな談
合事件はなくな
る
2008年~現在
39
10年の変遷まとめ
CSR活動、特にコンプライアンスに関する動きのきっ
かけは、談合問題
⇒社会からの動きが企業を大きく動かす
CSR推進、コンプライア
株価下落 ンス徹底
談合
40
Ⅰ.環境経営
○施工、運用やリニューアル、解体段階で環境に配慮
した取り組み
• 地球温暖化への対応
• 資源の有効利用
• 環境貢献活動
• 環境技術研究・開発と提案力の向上
○環境関連外部評価、第三者保証報告書
41
Ⅱ.本業に組み込んだCSR
目標とするCSR
活動
建設業の社
会的責任の
遂行
活動内容
・ゼロ・エネルギー・ビルへの挑戦
ZEB、スマートコミュニティー、エネル
ギー
・災害に強い社会づくり
高付加価値化
に向けた事業
構造の確立
ビジネスコミュニティーマネジメント
42
Ⅲ.ステイクホルダーとの関係
特徴的な3つの
ステイクホルダー
法令等の遵
守←談合問
題の影響
政治・
行政
環境
地球温暖化への対
応・低エネルギービ
ルの開発
地域社会との良
好な関係構築・
文化や慣習の
尊重
大成建設
グループ
地域社
会・国
際社会
43
同業他社との比較
清水建設 鹿島建設
環境経営
・環境保全
・環境ビジネス
・環境リスク管理
・環境社会貢献
・環境保全活動
・環境配慮設計
・環境マネジメントシステム監査
(内部監査)
本業に組
み込んだ
CSR
・非常時の事業持続機能(BC
P)を踏まえた平常時のエコ対
策
・低カーボンのビル建設
・FPI事業
・非常時の事業持続機能(BC
P)策定:安全、安心の提供
→地域社会との共生
・ZEB(ゼロ・エネルギービルディ
ング)実現
ステイクホ
ルダーと
の関係
「社会とのコミュニケーション」
・国内外で活動
・ステイクホルダーミーティング
・シミズ・オープンアカデミー
・環境ビジネスコンテスト
・情報発信ツール多数
・ステイクホルダーダイアログ、
アンケート実施
→改善点公開
44
まとめ
財務分析
談合・金融危機・東日本大震災で財務的には落ち
込むものの、CSR活動は取り組んでいる
市場が国内中心
10年の変遷
談合の影響によりCSRを強化、
現在は大きな談合事件はなくなる
→ 「高い技術力」や「工期遵守」の強みを生
①二酸化炭素削減
かして海外進出するべき
環境経営 ②新エネルギー開発
⇒資機材や労働力を現地で調達する必要が
③資源リサイクル活動
ある ①ゼロ・カーボンビル
海外のステイクホルダーとの関わりを重視
②スマートシティの開発―ZEB(ゼロ・エネルギー・ビ
本業に組み
込んだCSR
ル)への取り組み
し、継続的なネットワークの形成・維持が生
③BCP策定
産地で求められる。
①主要なステイクホルダーは国内
ステイクホル ②地域社会との関わりを重視
ダーとの関係 ③政治・行政も重要度が高い←法令遵守
45
商社業界
46
商社業界の特徴
グローバルに展開
➔現地の環境問題・労働問題を重要な課題として取り組んで
いる
あらゆる業種に関連
➔経営の多角化により各セクターごとにCSR課題が異なり、
多岐にわたる
多様なビジネスパートナー
➔業界の性質上、様々なステイクホルダーと関わりがある。
47
財務分析
株価
経常利益・当期純利益
500,000
400,000
300,000
200,000
100,000
0
2004
2005
2006
2007
2008
2009
2010
2011
2012
自己資本比率
ROE・ROA
自己資本比率
20
18
16
14
12
10
8
6
4
2
0
35
金融危機の影響を受ける
30
25
20
15
10
5
0
2004
2005
2006
2007
2008
2009
2010
2011
2012
2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012
自己資本比率 16.64 16.4 21.99 22.97 23.53 21.74 23.87 27.22 29.82
48
財務分析まとめ
リーマンショック(2008)の影響をうけている。
収益の低下からCSR活動を縮小する動きはみられない
社会の持続可能性⇔会社の持続可能性
「良い仕事」という経営理念
短期的な視点ではなく長期的な視点でCSR活動を行っている
49
10年の変遷
2002
• 国後島ディーゼル発電設備工事を巡る入札業務妨害事件
2004
• CSR推進委員会の設立
• DPF偽装問題発覚
• 国連グローバルコンパクト支持宣言
2006
• CSR推進部の設置
2008
• 「国連ミレニアム開発目標」の達成に向けた宣言書に署名
2010
• CSR推進部を経営企画部に統合
2011
• 東日本大震災被災地への支援
50
10年の変遷-まとめー
不祥事発
覚
社会から
の批判
CSR活動
強化
日本におけるCSR活動の強化
51
Ⅰ.環境経営
ISO14001
GHG(温室効果ガ
ス)
生物多様性
環境物流の取り組み
・環境リスクの所
在を的確に把握
し、PDCAサイク
ルによる継続的
な改善活動を行
う
・温室効果ガス排
出量の削減に向け
取り組み
・植林事業
・輸送にかかわるエネ
ルギー使用の改善およ
び環境物流に関する取
り組み
・環境法令調査
・、エネルギー使用
量を原単位で年平
均1%以上低減す
ることを目標
・第三者による
客観性・透明性
を確保した環境
実査
・生物多様性の定量
評価
・国内GHGの経年
の定量把握
52
Ⅱ本業に組み込んだCSR
幅広い事業活動を活かしたCSRへの取り組み
・希少な水資源を現地で活かしていく
・エネルギー資源の多様化を実現
・次世代の交通インフラサービス
・鉄鉱石の安定供給と金属リサイクル
・持続可能な森林資源づくり
53
Ⅲ.ステイクホルダーとの関わり
従業員
環境
取引先
• 人材開発
プログラム
• 女性・障
害者の雇
用推進
• CO2削減
• 「サプライ
チェーン
CSR取組
方針」を策
定
• オフィスに
おける環
境負荷低
減
54
同業他社との比較
三菱商事
丸紅
・「環境・CSR委員会」を設
置
・サプライチェーンにおける
CSRマネジメントの強化
・低炭素社会実行計画(ポスト京
都議定書目標)
・「環境 計画・点検シート」を用い
て、それぞれの部門特有の環境リ
スク管理
本業に組み込んだ取 ・CO2排出権ビジネス
り組み
・太陽光発電事業において
バリューチェーン全体にお
けるビジネスの構築
・南アフリカで鉱山排水処理プラン
トを供給
・フィリピン辺境地電化への貢献
・カンボジア地雷行動センター
(CMAC)向け地雷除去機納入プロ
ジェクト
ステイクホルダーと
の関係
・多様なレポートの発行
環境経営
社外有識者の方々を加え
た「環境・CSRアドバイザ
リーコミッティー」を設置
55
まとめ
財務分析
2008年のリーマンショック以降、財政状況
は悪化。
→CSR活動に影響はあまりない
10年の変遷
長期的な視点からのCSR活動
日本社会のCSR動向に敏感
環境経営
取引先の環境問題、特にCO₂削減が課題
本業に組み込ん 資源・環境関連に関するCSR活動が多く見
受けられる
だCSR
ステイクホルダー 多様なステイクホルダーをもつ
特にサプライチェーンマネジメントに力を入
との関係
れている
56
総括
財務分析まとめ
財務分析
電気機器
メーカー
CSRが利益につながるという認識から、CSRは経済状況の良し悪し
に左右されない。CSR経営は長期的視点で行われているため、短
期的な業績の変化に影響をうけない。
持続可能な社会があるからこそ、会社が存続していけるという考
不況でもCSRは積極的に行う
え、また、CSR経営は長期的視点で行うべきものという考えから財
商社
務状況に影響されない。
→CSRは長期的視点で行うもの
金融危機以降苦しい経営が続いているが、不払い問題からの反
企業価値向上、社会からの期待に応えるた
省と、社会からの要望に応えるためにCSRは積極的に推進してい
金融
る。
めに経営に不可欠な要素
談合問題からの反省で、CSRは経営そのものに関わるという認識
つまり、CSRはコストではない
という認識
建設
のため、業績に関わらず積極的に取り組んでいる。
58
10年の変遷まとめ
10年の変遷
電子機器
メーカー
自社の活動領域がグローバルに広がり、国際規格などにもいち早
く反応。
会社・業界の問題(不祥事)からCSRを強化
長期的な視点からのCSR活動
日本社会のCSR動向に敏感
グローバル化に伴い社会の目が厳しくなり、企業に
商社
求められる責任の範囲が大きくなり、それに対応す
保険金不払いへの反省からCSR強化
べくCSRを強化
少子高齢化などにより国内市場が縮小中
金融
➔海外での展開へ。焦点はインドと東南アジア
事業とCSRは表裏一体であるという認識が強まった
建設
談合問題への反省からCSRを強化
コンプライアンス経営が建設業界に不可欠なものに
現在は大きな談合事件はなくなる
59
環境経営まとめ
環境マネジメント
電気機器
メーカー
➊環境負荷を低減するための技術開発
➋資源の有効利用
❸生産活動にともなう排出物の削減
全ての製品サイクルにおける環境負荷低減
業界によって取り組み方に違いが見られる
→本業と環境の関係を考えた上での環境経営
➊温室効果ガス排出削減プロジェクト
➋資源リサイクル事業
商社
を行っているから
➌植林事業
特にCO2削減はどの業界においても重点課題
➊二酸化炭素削減
金融
❷.紙の使用量削減(web約款)
❸.生物多様性の保護
建設
❶二酸化炭素削減
❷新エネルギー開発
➌資源リサイクル活動
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本業に組み込まれたCSRまとめ
本業に組み込まれたCSR
電気機器
メーカー
➊環境配慮型商品
➋ユニバーサルデザイン
❶資源・環境関連に関するCSR活動
❷再生可能エネルギー関連事業
❸資源リサイクル事業
自社の持つ技術や資源、本業を活かし、社会
商社
にとっても会社にとってもプラスとなる取り組み
金融
❶.保険商品を通じたCSR
❷.リスクコンサルティングを通じたCSR
❸.SRIファンドの運営
建設
❶ゼロ・カーボンビル
❷スマートシティの開発
❸BCP策定
61
ステイクホルダーとの関係まとめ
ステイクホルダーとの関係
電気機器 ステイクホルダーは世界中に存在
バリューチェーンへのCSR展開
メーカー 顧客・環境を特に重視
業界ごとに重視するステイクホルダーが違う
事業領域が広いため、ステイクホルダーは世界中に存在し、
多様
→事業内容が異なる
商社
CSR調達を実施
業界を取り巻く市場の状況が異なる
国外より国内のステイクホルダーの動きに敏感
金融
建設
東南アジアのステイクホルダーを強く意識
主要なステイクホルダーは国内
地域社会との関わりを重視
政治・行政も重要度が高い←法令遵守
62
全体結論
• 財務が厳しくても積極的に行うのは、CSRが経営の
付属物ではなく、経営そのものに関わるものである
から、また、長期的視点で行うものであるから。
• 10年間で、会社や業界内の不祥事、またグローバ
ル化によってCSRは取り組みが強化されてきた
• 環境保全はどこも共通の目標であるが、取り組み
方は業界によって異なる。本業に組み込むかたち
で行っている。
• 本業に組み込み、社会にも企業にも新しい価値を
提供するような取り組み
• 業界によって重視するステイクホルダーが異なる
63
提言 -良いCSR経営とは-
• 本業に組み込まれている
• CSR経営が企業と社会の双方に新しい価
値を提供すること
• グローバルな社会のニーズに迅速に反応
• 持続可能な社会や市場を意識した商品や
サービス
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参考文献
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リコーHPwww.ricoh.co.jp/
富士ゼロックスHPwww.fujixerox.co.jp/
キャノンHPhttp://canon.jp/
三井物産HP www.mitsui.com/jp/ja/
丸紅HP www.marubeni.co.jp/
三菱商事HP www.mitsubishicorp.com/jp/ja/
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参考文献❷
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•
損保ジャパンHP www.sompo-japan.co.jp/
東京海上HP www.tokiomarinehd.com/
MS&AD ホールディングスwww.ms-ad-hd.com/大成建設 www.taisei.co.jp
清水建設 www.shimz.co.jp/
鹿島建設 www.kajima.co.jp
YAHOOファイナンス finance.yahoo.co.jp/
日本経済新聞―株価HP
www.nikkei.com/markets/company/index.aspx?scod
e=9984
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参考文献❸
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ロバート・G.エクレス マイケル・Pクルス『ワンレポート 統合報告が開く持続可能な企業と
社会』 東洋経済新報社 2012
チャールズ・Jホンブラン『コーポレート・レピュテーション』 東洋経済新報社 2005
海外事業活動関連協議会『グローバル経営時代のCSR報告』日本経団連出版
山本 時男『CSR報告書の読み方・作り方』 中央経済者 2009
長谷川 恵一・清水 孝・伊藤 嘉博『バランスト・スコアカードの理論と導入』 ダイヤモンド
社 2001
水尾 順一『CSRで経営力を高める』 東洋経済新報社 2005
吉田 憲一郎『商社』 日本経済新聞出版社 2006
倍 和博『CSR会計を導入する』 日本規格協会
小泉 定祐『有価証券報告書の見方・読み方』 清文社 2008
谷本 寛治『CSR 企業と社会を考える』 NTT出版 2006
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ご清聴
ありがとうございました!
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