21pRC-13 物理チャレンジ・オリンピックの五年間と

日本物理学会 2010年 年会 (岡山大学 3月21日) 21pRC-13
物理チャレンジ・オリンピックの
五年間と将来展望
物理チャレンジ・オリンピック日本委員会
Prehistory
2001-2002 物理オリンピック検討WG(物理学会内)
「物理系三学会が連携して、IPhO参加の可能性について議論す
べきである。」
2002-2003 物理オリンピック準備会⇒検討会(三学会共同)
・全国物理コンテストについてのアンケート調査
1077校に発送して、141校から回答。 コンテスト参加希望7割。
国際的舞台への派遣への期待。IPhOの認知度は低い。
・2003年12月答申「世界物理年行事として、国内物理コンテスト実
施を提案」
2004 4月 物理チャレンジ2005 組織委員会発足(三学会共同)
・日本学術会議物研連でも検討。
・ 岡山県庁が協力。
2004 7月 第35回IPhO(韓国2004)にオブザーバ参加
大学関係者3名、高校関係者2名,JSTより1名からなる日本代表団
(オブザーバーのみ、選手なし)を派遣(JSTが支援開始)
IPhOは若者のネットワークを築く
• IPhOは国旗を背
負って戦う「戦士」
のイメージとは全く
逆で、高校生が国
際舞台や国際交流
を体験する場。
• 次の日本社会のた
めの「種まき」!
• これまで(35年間
も!)、日本の高校
生にこのような機会
を提供して来なかっ
た学協会の責めは
大きい!
IPhOは教育の国際標準を知る機会
• IPhOは、役員(引率者)にとって、自国の
教育の在り方を国際的な視野で見直す機
会となる。「井の中の蛙」からの脱却!
•延々と続く
問題検討会,
成績検討会、
交流プログラ
ム
IPhO参加を決定、
物理チャレンジ2005の準備開始
• 帰国後、2006年シンガポールIPhOへの派遣を
視野に入れることを三学会に提案、了承を得た。
• 「物理チャレンジ2005」には、派遣選手の選抜
だけでなく、IPhO精神に沿って高校生の交流を
要素としていれる。(高三生も参加させる)
• 理論・実験ともIPhOに倣って、5時間とする。
日本初の全国物理コンテスト 物理チャレンジ2005
岡山県 閑谷学校
日本初! 100人一斉の実験試験
試験時間:5時間
IPhO 2006 シンガポール大会 開会式直前
2006年7月9日
87カ国から398名物理好き高校生が集まる
物理チャレンジから国際物理オリンピックへ
岡山 2005, 2006, 2008, 2010
筑波 2007, 2009
国際物理オリンピック 参加国数
参加国数 (選手を派遣した国)
日本が参加
80
1973, 1978, 1980年は開催されず
60
40
20
0
北原: これまで(35年間も!)、日本の高校生に
このような機会を提供して来なかった学協会の
責めは大きい!
西暦年
日本選手団のIPhOでの成果
IPhO2006
会長賞
(初参加国の中のトップ)
IPhOでは、どのような能力が問われるか?
• 課題解決に向けた戦略性と方法(作法)を確か
なものとしてもっている。
(覚えているかどうかではない。見たことも無い問題設定に出会ったときどうするか。)
• 最後まで、考えの筋道をまとめて、書き記す。
(Writing Paperも採点対象)
• 課題を理解して、実験装置の配置、測定手段、
精度の評価を自ら考える。
(マニュアルに従って実験すればよい、では歯が立たない。)
・ 役員は、大学や高校の教員などから構成され、すべてボランティア
・ 関連学協会から推薦された役員と個人として参加している役員
・ 全国の多くの方々からご協力: 第1チャレンジ(理論試験;全国約80箇所)
第2チャレンジ(開催県の県庁、見学先など)
オリンピック選手の実験指導
物理チャレンジ・オリンピック日本委員会
組織の課題
• 組織の強化
・ 2004年以降「手探り」で自転車操業
・ 日本科学技術振興財団の人的、物的支援が不可欠だった
・ 2007年にやっと「規約」作成。
・ 持続可能な運営のために、組織、財務の安定化の必要性
・ 現在、NPO化を進めている。
• 財務の強化
・ 「事業仕分け」の影響:国の支援が2500万円から
2010年度は2000万円に減額。
・ 企業からの寄付金の可能性はさらに悪化。
・ 事業のスリム化(第二チャレンジ参加者:100名→70名)
• 学会との協力関係の強化
学会からの人的資源の組織的支援の強化。
物理チャレンジ・オリンピックの教育的価値
• 第一チャレンジの実験課題レポート
教育現場での実験指導のガイドラインとなってきている。
• チャレンジ・オリンピック参加生徒(OP)
大学進学後もネットワークを保ち、相互に協力、切磋琢
磨している。また、本事業の強力な協力者となっている。
(
23pRC6 「第1回数物セミナーの実施報告」)
• チャレンジの課題
作成には、物理学界の英知が投入されており、学習指
導要領とは異なる物理への挑戦に高校生をいざなう。
IPhO2020 主催の可能性
• 2009年12月に、2011年主催国のベルギーが開催不可
能を通告。日本に開催可能性の打診。しかし、日本は断
念。最終的にタイが2011年主催を表明。
• 2020年主催予定のタイが2011年主催となったので、
2020年日本開催の可能性が濃くなった。
学会、大学、高校、有志の組織的協力をお願いしたい。