Title

双極性(感情)障害の薬物療法
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双極性障害の治療動向
• 欧米ではもっとも注目される心の病気に
• 双極性障害の診断の範囲も広がる傾向
– アメリカでは推定患者数も急激に増えている
– うつ病と診断されているケースが多い
• 新たな治療薬の開発も盛んである
– 小児や思春期に対する試験も行われている
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双極性障害は
• うつ病から始まる方が多いので注意が必要
– 躁よりもうつ病のエピソード方が数も多く、長く続く
– 再発予防を行っても、うつ病相の再発が躁よりも多い
• 慢性の病気で、長期の治療が必要
– 予防しないと再発しやすい
– 適切に治療しないと、再発の間隔が短くなる
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気分の変動と気分障害
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双極性障害の薬物治療の現状
1. 気分の高揚が目立たず、うつ病として抗うつ薬だけが
出されているー単極性のうつ病との誤診が多い
–
不安定化(なかなか安定した状態にならない)
•
–
気分安定薬の併用が欠かせない
中には再発の多い急速交代型(ラピッドサイクリング)に移
行
•
急速交代型では抗うつ薬の中止も必要になる
2. 双極性障害の診断治療を受けているが、なかなか安
定しない
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診断治療を受けているのに不調
• 躁を抑えることに主眼が置かれ、軽いうつが続いている
– QOLの低下
– 自殺のリスク
• 通院服薬はしているが再発してしまう
– 薬を医師から指示された通り、きちんと服用していない
– きちんと服用しているのに再発してしまう
• 1種類の薬でコントロールできれば理想的ではあるが、現実には2-
3種類の併用が必要な場合が多い
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なぜ双極性のうつが注目されるのか
• 長期に気分の変化を記録してみると
– うつの週が人生のかなりを占め、気分の高揚した
週は少ない
• 病気による人生への悪影響
– 対人関係のトラブル、職業上の困難
• 自殺
– 一生の間でみると約 15% にも
– うつのときだけでなく、躁とうつの混じった混合状態
が危険
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双極性障害患者は
平均して人生の1/3 を
うつ症状で過ごす
気分の状態
気分高揚:躁・軽躁 急速交代
ごく軽いうつ
慢性軽うつ
うつ
正常気分
Euthymia
Depression
Dysthymia
Subsyndromal
Elevated
Cycling
-NIMH の研究データ 、2002
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双極性感情障害の治療法
いわゆる気分安定(化)薬
リチウム
バルプロ酸
抗けいれん薬(気分安定薬
候補)
ラモトリジン
第二、第三世代の抗精
神病薬
クロザピン
オランザピン
カルバマゼピン
ギャバペンチン
リスペリドン
クエチアピン
心理面からの治療法
薬以外の身体的治療
認知行動療法(CBT)
電気けいれん療法(ECT)
その他の心理社会的
光線療法
治療アプローチ
磁気刺激(TMS)
ジプラシドン
アリピプラゾール
迷走神経刺激(VNS) (?)
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治療のゴールは、一回の躁やうつの波を
抑えることよりも、長期の安定化である
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双極性障害治療の2つのステージ
1. 第一段階:躁やうつの急性期治療
1.
2.
3.
4.
5.
6.
重い躁(妄想や攻撃性、暴力を伴う)
機嫌の良い多幸的な躁
軽い躁
躁うつが混じった混合状態、
うつ
急速交代型
2. 第二段階:躁とうつのエピソードの再発防止
1. むしろこちらが重要
1.
2.
完全に再発がなくなることが理想
再発までの間隔が長くなり、症状が軽くなる
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急性期の治療
ー状態により選択する薬が異なるー
重い躁(妄想や激しい興奮、攻撃性、暴力を伴う)
機嫌の良い多幸的な躁
軽い躁
躁とうつが混じった混合状態(見かけ上はいらいら
の強いうつ)
5. 急速交代型ラピッドサイクリング
1.
2.
3.
4.
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状態別の薬の選択(1)
重い躁(妄想や激しい興奮、攻撃性を伴う)
• 新しいタイプの抗精神病薬(オランザピン、リス
ペリドン、クエチアピン)かバルプロ酸、その併用
– さらに鎮静させる必要があるときは、ロラゼパム、ク
ロナゼパムなどの効果の強い抗不安薬を短期間併
用する
クロナゼパムの錠剤
– 古いタイプの抗精神病薬は過度の鎮静、パーキンソ
ン症状、うつ転などの副作用が出易い
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状態別の薬の選択(2)
• 機嫌の良い多幸的な躁, 軽い躁
– リチウムを単独で
• 躁とうつが混じった混合状態(見かけ上はいらいら
の強いうつ)
– バルプロ酸を
• 急速交代型ラピッドサイクリング
– 抗うつ薬を徐々に減らして中止し、バルプロ酸に
– 効果不十分であれば2-3種類の気分安定作用のある
薬の併用に
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状態別の治療(3)
うつ病エピソード
• まずは主剤の気分安定薬を十分に用いる
• ラピッドサイクリングの可能性がないかチェックする
• 一ヶ月以上慢性的にうつ状態が持続する場合は抗うつ薬の服
用を考慮する
– かならず気分安定薬と併用する
– 抗うつ薬だけの服用は波が多くなるので避ける(特に古いタイプの三環系
抗うつ薬は躁にスィッチする危険が高いので避ける)
– リスクの低いSSRI, SRNI, ブプロピオン(わが国では試験中)を用いる
• 症状によっては非定型(新世代)の抗精神病薬も考慮する
– 古いタイプの抗精神病薬では逆にうつに転じるリスクも
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双極性感情障害の治療法
いわゆる気分安定(化)薬
リチウム
バルプロ酸
抗けいれん薬(気分安定薬
候補)
ラモトリジン
第二、第三世代の抗精
神病薬
クロザピン
オランザピン
カルバマゼピン
ギャバペンチン
リスペリドン
クエチアピン
心理面からの治療法
薬以外の身体的治療
認知行動療法(CBT)
電気けいれん療法(ECT)
その他の心理社会的
光線療法
治療アプローチ
磁気刺激(TMS)
ジプラシドン
アリピプラゾール
迷走神経刺激(VNS) (?)
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第二段階:
躁とうつのエピソードの再発防止
気分の波の安定化
• むしろこちらが重要
• ムードスタビライザー(気分安定薬)の服用だけで
なく、心理社会的な面からの注意も欠かせない
• 現時点では本当の意味でムードスタビライザーと
呼べる薬物は存在していない
– リチウムが現時点ではもっとも、それに近い薬剤
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双極性障害治療の基本薬
ムードスタビライザー
• 双極性障害治療の基本となる薬
– 躁うつ治療・再発予防薬のこと
– その定義はあいまいである
– 本当の意味でムードスタビライザーといえる薬はない
• 抗躁薬と呼ぶべき薬も、マーケティング上そう呼ぶ傾向がある
• 現時点では
• かなりそういえるのはリチウム(微量の金属元素)
• 次がバルプロ酸(元来はてんかんの治療薬)
• その次がカルバマゼピン(同じくてんかんの治療薬)
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理想のムードスタビライザー
躁に効く
副作用が少ない
うつに効く
安全性が高い
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4種のムードスタビライザー候補
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リチウムといえば
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リチウム元素とは
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