起業家の地域に対する意識 ~地方に立地するベンチャー企業のメリット~ 2006年6月15日 NEDOフェロー(受入機関:株式会社デュナミス) 石井力重 問題意識 • 日々さまざまな起業家支援者や起業検討者に接す る中で、「本格的にベンチャーをするなら、チャンス の多い東京圏へ行かないと。東北地方ではビジネ ス環境が乏しい」といった声が時折聞かれる。 • しかし、ベンチャービジネスを行うにあたり地方に立 地することは本当にデメリットなのだろうか。 • 東北のベンチャー経営者の方々の意識に見られる 「地方立地であることのメリット・デメリット」から共通 点を抽出し、今後の研究のための材料としたい。 研究の方法 • 発表者が東北大学の社会人学生在籍時に 行った各種の起業家インタビュー(対象:東北 6県+新潟)結果を用い、インタビュー結果に 見られる特徴を元にグルーピングした。 • 類型ごとのメリット・デメリットを整理し、それ が東北地方ならではのものか、他の地方部 でも共通することなのかを考察した。 インタビュー内容 • 「創業に影響を与えたものは何か?」これを 産学官の具体的な要因を挙げてたずねた。 • 産:一次、二次、三次産業、+自由回答 • 学:大学、高専、+自由回答 • 官:経産、文科省系プロジェクト、+自由回答 • 支:共研セ、TLO、インキュベータ、公設試、 +自由回答 インタビューの対象 • 対象地域:東北+新潟 • 選定指針:ベンチャー企業(※)+大学発ベンチャー – ※東北圏の経済団体の支援するベンチャー • • • • • • 青森:2社・・・IT、部品 岩手:2社・・・機械装置、部品 宮城:5社・・・ナノテク2、IT2、新素材 山形:2社・・・機械装置、新素材 福島:2社・・・機械装置、IT 新潟:2社・・・機械装置、ナノテク インタビュー結果 • 創業にプラスの影響があったと回答した企業 数(※大学発である・無しは大学の影響で差があるが、それ以外はおおむね同じ。) グラフ インタビューで設定した項目よりも 自由回答に起業家の視点がみられた。 結果から、起業家の意識を整理 • 特徴1 – 地域産業の有無は創業と成長に影響なし – 顧客企業は他地域であるが、デメリットではない • 特徴2 – 人材の流動性が低く人材を育てやすい – 人件費・土地建物費が安い • 特徴3 – 住みたくなる地域文化や豊かな生活環境がある – 地域の人間的なつながりから多くのものを得ている ここは今は適当に思いつきで作った。 整理しておくこと! 地方立地のメリット(候補) 東北地方だけのものか、他の 地方部でもあるものか 特徴1 産業の存在 他地域では影響なし、もしくは、 一 プラスの影響が想定される。 般 特徴2 東北地域では他地域に比べて 東 低い人材流動性 その傾向が強いと想定される 北 特徴3 他の地方部と同等と想定され 豊かな生活環境 る。 一 般 本分析のまとめ • 地方に立地するベンチャーのメリットとして起 業家が体感・享受するものは – 生活の質、地域文化、地域の人的つながり – 人材投資リスクの低さ – 低コストな経営体質 • であり、顧客企業が遠いことで想定されるデ メリットは、ビジネスモデル面の工夫やグロー バルな市場をターゲットにすることで、想定さ れるデメリットを無害化することが可能である。 今後の展開 • 本発表は、2005年度の研究活動を通じて得 られた資料をもとに分析を行い、そのデータ の中から、特徴を抽出した。 • 今後は、体系的な仮説構築と先行研究との 関係性の整理を行い • 他の地方部、都市部の研究者と協力し調査・ 研究を展開してゆく。 九州・四国・中国地方の皆様へ 一緒に、研究をしませんか?
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