チャイルド・ライフと グリーフケア 浜松医科大学附属病院・磐田市立総合病院 チャイルド・ライフ・スペシャリスト 山田 絵莉子 チャイルド・ライフ・プログラム とは? 北米で実践されている、医療環境における子ど もと家族を支援する活動である。その活動 (サービス)をチャイルド・ライフ・プログラ ムとよばれており、チャイルド・ライフ・スペ シャリスト(CLS)という専門資格を得た者によ り実践されている。 チャイルド・ライフが目指す 二つの目的 ① 入院中において、また退院後に子どもが問 題なく成長し、発達していくのを援助する。 ② 医療経験に伴うストレスや不安に子どもと 家族がうまく立ち向かえるように援助する。 CLS とグリーフケア • • • • ターミナル期にいる子どものケア 子どもを亡くす親のケア 兄弟を亡くす子どものケア 親を亡くす子どものケア 子どもの発達段階と「死」への理解 ~乳児~ 理解度 「死」というものがわからない 親の感情を読み取れる 家の中がいつもの違うことは感じ取れる(親が不在なこと) 子どもの様子 ぐずりぎみになる 甘えたがるようになる 身体的症状がでる 生活パターンに変化がでる 大人ができること できるだけ誰かがそばにいるようにしてあげる 通常通りの生活リズムになるように配慮する 親自身が自分の心のケアをする 子どもの発達段階と「死」への理解 ~幼児から5歳~ 理解度 生きているものと生きていないものの区別がつきにくい 「死」は一時的なもので、また生き返ると思っている 自分のせいだと思ってしまう 子どもの様子 あまり気にしていない様にみえる 退行的行動が見られる 「死」に関することを繰り返し話す 甘えたがる 大人ができること 何が起こるか、起こっているかをちゃんと説明してあげる 「死」という言葉をつかって説明する 安心できる情報を伝えてあげる 子どもの発達段階と「死」への理解 ~学童期~ 理解度 「死」について理解し始める 身体の変化に敏感 「死」に対する不安がでてくる 自分の生活への影響も考える 子どもの様子 身体的訴え 「死」を否定する 学力低下または向上 集中力がなくなる 罪悪感 引きこもり気味になる 大人ができること 上記のようなリアクションがあることを理解する その子を大事にしていることをちゃんと伝えてあげる 感情を表出する機会を作る 「お別れ」を言う機会を作る 子どもの発達段階と「死」への理解 ~思春期~ 理解度 「死」について哲学的・生理学的な考え方もできる 「自分も死ぬ日がくる」と認識しながら、自分には起こりえないと考える 子どもの様子 大人ぶる 退行的行動 怒りを表す 危険行動 大人の行動に敏感になる 大人ができること 家族や友達とのコミュニケーションを大事にする 家族内の役割変化について明確にする しっかり親の愛情を伝える 家族を亡くす子どもたちへ • • • • 情報が必要 「含まれる」ことが必要 思いや感情を表出できることが必要 安心できる場所が必要 病気や「死」の説明 • 信頼している人から、信頼している人のもとで 説明を受ける • 発達段階に応じた説明をする • 子どもの話を聞く • 子ども達のせいではないことをしっかり伝えて あげる • できれば「死」という言葉を使う CLSの役割 • 子どもの発達を理解したうえで「死」についての 説明を行う(手伝う) • 子どもを「含ませる」関わりをする • 感情の表出を促す • 安心できる居場所を作ってあげる • サポートグループを作ったり、メモリアルサービス を行う グリーフケアのガイドライン • • • • • • • • SHOW: 子どものことを想っていることを見せる TALK: 子どもの目線で話す GIVE: 理由を説明してあげる LISTEN: 子どもからの質問や想いを聞く HELP: 「さよなら」を伝える手伝いをする INVOLVE: 葬儀などに参加させてあげる TELL: 今後のことを伝える PROVIDE: 感情を表出できる機会を作ってあげる
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