がん患者を家族に持つ子ども達のケア 聖隷三方原病院 ホスピス科 天野功二 「がんの社会学」に関する合同研究班(班長:山口建) がんと向き合った7885人の声 ■ 子どもに対する気がかり(51件) ■ 子ども達がかわいそうと思いながら 不安で子ども達に八つ当たりした。 ■ 子どもへの告知(16件) ■ 子どもに不安を与えないように病気について説明する こと。 ■ 娘と父親にがんであることを気づかせないようにする ことが一番だった。 がんターミナル期の親を看取る 思春期の子どものニーズ 対象:死別時の年令 11〜19才 男子3名、女子9名 ■ 親を苦しませないでほしい。 ■ 親の状況の本当のことが知りたい。 ■ 不安な自分をわかってほしい。置き去りにしないで。 ■ 親の病気のことにはふれられたくない。 ■ 普通になんでもなく過ごしたい。 ■ 親の役に立ちたい。頼りにされたい。 ■ ごめんねと謝りたい。(大人に)甘えたい。 ■ 家族が一つになりたい。 (新潟青陵大学 柳原清子) 家族と話さなくなった中学生の女児 ■ 兄(肝細胞がん)が終末期のため、自宅で訪問看護を受け ながら最後の時を過ごした ■ 母親は兄の介護に専念(夜も兄にずっと付き添っていた) ■もともととても仲の良い兄弟 ■兄の病気が「がん」であることだけ伝えられていた ■ 家に帰ってきても、自分の部屋に閉じこもり家族とは話さ なくなった。食事も全くとらなくなった 子どもを対象としたグリーフ・ケア の現状 欧 家庭 米 日 本 子どもに「死」を伝えるこ 子どもに「死」を伝えること と、グリーフ・ケアに積極 に消極的 的 Dougy Center(北米) 地域 Dougy Centerに相当する施設 の絶対的な不足 周囲の認知不足 病院 病院毎のプログラム 極めて限られた施設における 充実したサポートスタッフ 試み ダギーセンター (The Dougy Center for Grieving Children & Families) ■ 家族または友だちを病気、事故、自殺、殺人等で亡くした子ど も達のpeerサポートグループを支える非営利団体 ■ 各地にセンターがあり、死別を経験した子どもとその家族には すぐに情報提供される ■ サポートスタッフ:教員、看護師、カウンセラー、各種セラピ スト、チャイルド・ライフ・スペシャリスト お伝えしたいこと 子ども達は決して親の付属物ではなく、独立した心を持った 一人の人です。大人が悲しむように、子ども達も同じ悲しみ を感じています。 子ども達は大人が考えているよりも多くを察していて、自分 なりの判断をしています。時には大人の想像もつかないこと を考えていることすらあります。 子ども達は大人の助けを必要としています。信頼できる大人 との対話こそが子ども達を救うのであって、沈黙は決して子 ども達を守ることにはなりません。 チャイルド・ライフ・スペシャリスト とは? 国際資格(アメリカ・カナダ・香港・・・) アメリカでは、小児科における遊びのプログラム (チャイルド・ライフ・プログラム)として1950年代 から発展 現在北米においては小児専門病院・総合病院小児科・ ホスピスなど400の病院で活動をしている 日本の現状 1997年に日本で最初のCLSが活動を開始 2008年9月時点で日本では21人のCLSが活動している
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