8.増幅器の結合方式 コンデンサ結合方式 トランス結合方式 共振回路結合方式 直流結合方式 増幅器と増幅器を接続する理由 大きな増幅度を得たい場合 1段で20倍の増幅度を持つものを2段接続す ることで、400倍の増幅度を得る 2 周波数特性 用途に応じた結合方式を選択する。 人間の音声は、十数Hzから数十kHzの周波数成分 を持つ。 周波数特性 横軸 : 周波数 縦軸 : 伝達度 伝 達 度 音声の周波数特性 1 10 100 1k 10k 100k 周波数 3 ラジオやテレビ放送を受信する場合 音声より高く、狭い範囲の周波数成分だけ効 率よく伝える結合方式が必要 例 朝日放送 1008kHz ラジオ放送の周波数特性 伝 達 度 1 10 100 1k 10k 100k 1000k 周波数 4 温度検出の信号の場合 温度は一般に急激に変化しないので、非常 に緩やかな変化になる。 数Hz程度の低い周波数特性 伝 達 度 温度検出信号の周波数特性 1 10 100 1k 10k 100k 周波数 5 4つの結合方式(1) 図a コンデンサを用いて結合 図b トランスを用いて結合 図c 共振回路を用いて結合 図d 抵抗などの素子を用いて結合 増幅器 増幅器 増幅器 図b 図a 増幅器 増幅器 図c 増幅器 増幅器 増幅器 図d 6 4つの結合方式(2) 数十Hz以上の信号を伝達 → 音声 増幅器 増幅器 増幅器 図b 図a 共振周波数近辺の 周波数成分だけを伝達 → 放送 増幅器 増幅器 図c 増幅器 直流成分も伝達 → 温度検出信号 増幅器 増幅器 直流結合方式という。 7 直流結合方式と他の結合方式との違い バイアス電圧の加え方が違う。 VO は電圧が低下し、直流成分 VBB が 次段のバイアス電圧になる。 VB Vcc R2 Vo R1 R2 Vcc R1 V0 R2 VB 8 直流結合方式と他の結合方式との違い(2) 他の方式は、直流成分を結合回路でカットされてしまうため バイアス電圧を別途与える必要がある。 増幅器 増幅器 増幅器 増幅器 増幅器 増幅器 9 コンデンサ結合方式による増幅器 前段の交流信号をコンデンサを通して入力 増幅した後、出力もコンデンサを通して交流信号だけに戻し て出力 Vcc RA RL C C 入 力 出 力 RB RE 10 コンデンサ結合による増幅器の2段接続 Vcc RA Vcc RL RA RL C C RB RE 入 力 出 力 RB RE 11 入力電圧 VB は? VB の電圧を抵抗 RA と RB で分圧した直流分(バイアス電圧 VBB )と コンデンサを通って入力された前段の交流分 v s と合成したものになる。 Vcc VBB RB VCC RA RB RA RB 結合 コンデンサ という。 VB コンデンサ結合増幅器 または RC結合増幅器 という。 12 トランス結合方式による増幅器 トランス T1 を用いて交流 信号電圧を入力し、増幅 した後、出力側もトランス T2 を用いて交流信号電 圧を取りだす。 入力電圧は、コンデンサ 結合の場合と同様に、トラ ンス T1 を通じて入力され た交流信号電圧 v s と、電 源電圧 Vccを RA と RB で 分圧した電圧 VBB との和に なる。 VBB RB VCC RA RB Vcc T2 RA T1 vs RB トランス結合増幅器という。 13 バイパスコンデンサ Vcc トランス T1 の2次側に 伝えられた信号 v s が 減衰せずにトランス結合 増幅器に入力させるため。 T2 RA T1 RB C RE 14 共振回路結合方式による増幅器 LC共振回路 トランスに並列にコンデンサ を接続 Vcc 共振回路の共振周波数に 近い信号が2次側に伝わる。 f0 T2 1 2 LC 同調増幅回路という。 RA C RB C T1 15 共振周波数 1 f0 2 LC L 100H , C 100pFとすると f 0 1.6MHzの周波数成分を中心と した 交流信号を次段に伝達する。 伝 達 度 0 1.6M 周波数 16 抵抗 RA と RB の求め方 VBB RB VCC RA RB コンデンサ結合方式を例に説明。 VCC から RA を通じて電流が流れるため、バイアス電圧がその電圧降下分だけ低下。 トランジスタの hFE のバラつきにより、この電圧降下もばらつくので、 バイアス電圧が決められない。 I E 1mAの時、 Vcc I B はhFE により、以下のように 異なる。 RA hFE 100 の時 IB RB VBB 1 hFE 1 I E 9.9 A hFE 200 の時 IB 1 hFE 1 I E 5A 17 対策 I A を10倍程度以上大きくし、 I B を無視できるようにする。 つまり、 RA , RB の合成抵抗値を小さくする。 例えば、 I B が最大 20A 流れる回路で、 バイアス電圧 VBB が2Vに設定したい場合 Vcc RA IB I A 200A RA RB 12V 60k 200A RB R VCC 2V B 12V RA RB 60k したがって VBB IA RB VBB RB 10k, RA 50k 18 の中に適することはを入れ,文章を完成しなさい。 1.つぎの文章の 結合方式には,図a~図dのように,さまざまな方式があります。 図aの結合方式を(ア) 方式,図bを(イ) 方式,図cを (ウ) 方式,図dを(エ) 方式といっています。 ここで,図aや図bは一般に音声信号などの十数〔Hz〕~数百〔kHz〕の信号を結合す るために利用され,図cは(オ) い周波数領域の,ある狭い範囲の周波数成 分だけを結合するときに利用され,図dは温度の検出信号などのように,直流ともい えるほどの(カ) い周波数を結合するときに利用されます。 図a 図c 図b 図d 19 2.図の回路について,つぎの問いに答えなさい。 (1)図中の RA , RB は何のために使用している抵抗ですか。 (2)図の回路のバイアス電圧 VBB は何Vになりますか。 (3)図の回路の I E , I C , I B の値はいくらになりますか。 RA RL 10.3k 10k Vcc 12V hFE 100 入 力 RB 1.7 k VBB RE 出 力 1k 20 3.図の回路について,つぎの問いに答えなさい。 (1)回路図中のコンデンサCは何と呼ばれているコンデンサですか。 (2)この結合方式が一番効率よく伝える信号の中心周波数fは,どのよ うな式で示されますか。 Vcc T2 RA T1 RB C RE 21
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