サンテクノ技術セミナー

サンテクノ技術セミナー
高周波技術入門
講座テキスト
その5
平成18年9月1日
5.送受信装置

送信機の構成①-AM,高電力変調方式
周波数
逓倍器
緩 衝
増幅器
発振器
A
B
信号波
G
励 振
増幅器
C
変 調
増幅器
終段電力
増幅器
D
F
変調器
E
A
B
C
D
E
F
G
包絡線
特徴…①低電力変調に比べて変調電力
が大きくなる。②最終段の終段電力増
幅器はC級で動作するため効率がよい。
③主として、中波、短波のラジオ局に使
用されている。
緩衝増幅器…緩衝とは、衝
撃を和らげること。実際には、
この後段(周波数逓倍器)の
影響を発振器が受けないよ
うにする。
周波数逓倍器…逓倍とは、2
倍、3倍というように周波数を
一定の整数倍する。
励振増幅器…搬送波の振幅
を、変調の実用になる大きさ
まで増幅する。
変調増幅器…雑音を小さくす
るため、信号波を増幅して変
調器に印加。
5.送受信装置

送信機の構成②-FM,直接周波数変調方式
音 声
増幅器
A
L C
発振器
可変リア ク
タンス回 路
周波数
弁別器
周波数
混合器
中間周波
A
電 力
増幅器
AFC
回路
B
増幅器
周波数
逓倍器
水 晶
発振器
B
特徴…①周波数偏移を大きくとることが
出来る。②自励発振器を用いるので、AF
C回路などの、中心周波数を安定させる
回路が必要である。③間接FMに比べ、
スプリアス発射が少ない。
可変リアクタンス回路、LC発
振器…可変リアクタンスに電
圧変化を与えることにより、L
C発振器の発振している周
波数が変化し、FM変調をか
けることができる。
周波数混合器…LC発振器
の周波数と水晶発振器の周
波数を混合し、中間周波数
に変換。
周波数弁別器…周波数弁別
器とは、周波数の変化を振
幅の変化に変換する 。
5.送受信装置

受信機の構成①-AM,スーパヘテロダイン
RF AMP:高周波増幅器
RF
AMP
1st
MIX
1st
L O 第1
周波数変換部
2nd
MIX
2nd
L O 第2
周波数変換部
IF
AMP
DET
AF
AMP
BFO
MIX:周波数混合器
LO:局部発振器
IF AMP:中間周波増幅器
DET:検波器
BFO:ビート周波数発振器
特徴…①近接周波数選択度がよい。②
任意の周波数帯域幅に対応できる。③
感度が良い。④受信機の出力の安定性
がよい。⑤影像周波数(イメージ周波
数)妨害をうける。
AF AMP:低周波増幅器
5.送受信装置

受信機の構成②-FM
高周波
増幅器
周波数
混合器
局 部
発振器
中間周波
増幅器
周波数変換部
振 幅
制限器
周波数
弁別器
ディエン
ファシス
低周波
増幅器
ス ケ
ル チ
振幅制限器…F3Eでは非変調波の振幅は常に一定のはずだが、電波の伝搬状態などによって振
幅が変動することがあるので、振幅制限器で、一定以上の振幅を制限(頭打ち)。
周波数弁別器…周波数の変化を振幅の変化に変換。
ディエンファシス…信号波をそのままFM変調すると、信号の高音部分になるほど、雑音が大きく
なってしまうので、F3E送信機では、高音部分をあらかじめ強める回路(プリエンファシス回路と呼ば
れる)を通しているため、受信時に元の信号波のように平坦な特性に戻す必要がある。これを行う回
路を「ディエンファシス回路」と呼ぶ。
低周波増幅器…F3Eの場合には、スケルチからの出力により、低周波増幅器の動作を停止させ、
無音状態にする。
スケルチ…受信信号がなくなると振幅制限器の制限作用がなくなって雑音が発生するが、この雑音
を増幅し、低周波増幅器の出力を無音状態に制御する回路を「スケルチ回路」と呼ぶ。FM受信機
では「スケルチレベル」の調整ができるように可変抵抗がついている。
5.送受信装置

送信機の特性

スプリアス発射:高調波発射、低調波発射な
ど不要な周波数の発射をいう。
高調波発射…送信周波数の整数倍をもつ成分
で、非直線回路による
 低調波発射…送信周波数の
整数分の一をもつ成分で、
周波数逓倍器の入力側の
周波数によるもの

5.送受信装置

送信機の特性


占有周波数帯幅:必要最小限である必要があり、
これを越えると、他の隣接する局の通信に妨害を
与えたり、自局の発射電波がひずんだりする。
周波数安定度:無線局が発射する電波の周波数
は、その正確な、割り当てられた周波数から変動
しないのが望ましい。
5.送受信装置

受信機の特性/妨害波


感度:どれだけ微弱な電波までを受信することがで
きるかの能力
相互変調:受信機の通過帯域外にある強力な2つ
以上の妨害波が到来したとき、それらの整数倍の
和または差の周波数により、混信妨害を生じる現
象。妨害波それぞれの周波数を、f1、f2とすると、f1
±2f2及び2f1±f2による妨害が起きやすい。
5.送受信装置

受信機の特性/妨害波


混変調:受信機の通過帯域外にある、強力な妨害
波が到来したとき、受信中の信号が変調妨害を受
ける現象で、妨害を与える周波数は1つ。
影像周波数妨害:影像周波数(局部発振器の周波
数±中間周波数)が到来すると、受信機の周波数
変換部で妨害となる。妨害となる影像周波数fuは、
局部発振周波数をfl、中間周波数をfiとすると、fu=
fl±fi となる。
5.送受信装置

変調方式

アナログ変調



AM(振幅変調)
FM(周波数変調)
PM(位相変調)

デジタル変調

ASK(振幅偏移変調)
QAM

FSK(周波数偏移変調)
MSK、GMSK

PSK(位相偏移変調)
BPSK、QPSK、8相PSK
5.送受信装置

ASK( 振幅偏移変調)

シンプルな変調方法、レベル変動によって波
形がひずむと復調が困難
イメージ図
波形
5.送受信装置

FSK( 周波数偏移変調)

波形の縦軸(振幅)方向には情報を持たない
ので、伝送路での信号劣化やノイズに強い。
周波数の占有幅はASKの二つ分。
イメージ図
波形
5.送受信装置

PSK( 位相偏移変調)

波形の縦軸(振幅)方向には情報を持たない
ので、伝送路での信号劣化やノイズに強い。
周波数の占有幅はASKと同じ。
イメージ図
波形
5.送受信装置

QPSK(Quadrature PSK)

一度に2ビットの情報を
伝送 (4つの状態が存在)

8相PSK

一度に3ビットの情報を
伝送 (8つの状態が存在)
5.送受信装置

16QAM(16 Quadrature AM)

2つの直交した搬送波を使い、振幅を4つの
値にして、一度に 4ビットの情報を伝送
5.送受信装置

伝送路符号
デジタルデータの伝送に使用される符号で、
主にNRZ、RZ、Biφ等がある。
 RZ(Return to Zero)方式
単流RZ方式の場合、0を電位0で、1を電位Eで表す。この
方式は、ビットとビットの間に必ず電位0挿入されるので、
タイミングがとりやすい。
5.送受信装置

伝送路符号

NRZ(Non Return to Zero)方式
0を電位0で、1を電位Eで表す。ただし、ビット転送ごとに電
位を0に戻さない。RZ方式に比べパルス幅が広くなり、高
調波成分が少なくなるため、伝送帯域幅が少なくすむ。 左

NRZI(Non Return to Zero Inversion)方式
0のとき電位を反転し、1のとき変化させないことで、0と1を
表す。受信側でデータからクロックを抽出する通信などに
用いられる。(図の例は複流方式の場合を示す。) 右
5.送受信装置

伝送路符号

CMI符号(Code Mark Inversion code)方式
もとの信号の1ビットを2ビット符号に変換してから伝送。0は
10で、1は11と00で交互に表われる。無信号状態がないた
め、同期がとりやすい。 左

Biφ-L(Bi Phaze Level)方式
CMI符号と同じくもとの信号の1ビットを2ビット符号に変換し
て伝送。0は01で、1は10で表します。CMI符号同様に無信
号状態がなくなる。マンチェスタ符号とも呼ばれる。 右
5.送受信装置

多重通信
いくつもの情報を同時に送受信する方式
 周波数多重(FDMA)
ひとつの電波の中で利用する周波数を細かく分けて使用。
アナログ信号を扱うのには便利。
5.送受信装置

時分割多重(TDMA)
ひとつの電波を各利用者に次々に切り換えて使用。切り換
える時間を速くすれば利用者は気が付かない。

符号分割多重(CDMA)
音声をデジタル化し、その段階で各利用者の信号を一つに
まとめ、個別の符号を付ける。皆同じひとつの電波を使い、
受信した電波の中から自分の符号と一致している部分だけ
を取出す。
5.送受信装置

電波
の
型式
5.送受信装置
新型式
方 式 の 詳 細 、主 な 用 途 例
新型式
方 式 の 詳 細 、主 な 用 途 例
A1A
モールス符号電信
F1D
(FSK,副搬送波FSK,主搬送波SSB)データ通信(FMパケッ
ト通信等)
A2A
AM,DSB,トーン信号を使用しての
モールス符号電信
G1D
(PSK,副搬送波PSK,主搬送波SSB)データ通信(PMパケッ
ト通信等)
A2B
AM,DSB,トーン信号(副搬送波)を使
用するモールス符号以外の電信
F2A
FM ,副搬送波を使用してのモールス符号電信
A2D
AM,DSB,トーン信号(副搬送波FSK
またはPSK)を使用するデータ通信
F2D
FM ,副搬送波(FSKまたはPSK)を使用するデータ通信
A3E
DSB電話(抑圧搬送波DSBを含む)
F1E
デジタル電話(FSKでの送信)
R3E
SSB電話(低減搬送波)
G1E
デジタル電話(PSKでの送信)
H3E
SSB電話(全搬送波)
F3E
アナログ電話
J3E
SSB電話(抑圧搬送波)
F3C
(副搬送波FM,主搬送波はSSBまたはFM)FMファクシミリ
A3C
AMファクシミリ
F3F
FMのATV(映像のみ)、SSTV(副搬送波FM,主搬送波は
SSBまたはFM)
A3F
AM,DSBのATV(映像のみ)
F3C
(副搬送波AM・PM-VSB,主搬送波FM) ミニファックス
F8W
FMのATV(副搬送波で音声を同時送出)
F7D
FM多重データ通信
G7D
PM多重データ通信
D7D
多重データ通信(多値QAM等)
主な電波型式一覧
(アマチュア無線局)
5.送受信装置

トランシーバーの定格例








送信出力 144/430MHz帯5~50W
変調方式 FMリアクタンス変調、SSB平衡変調
スプリアス発射強度 -60dB以下(144/430MHz帯)
キャリア抑圧比 40dB以上 不要側波帯抑圧比 40dB以上
受信方式 144MHz帯 SSB/CWシングルスーパーヘテロダイン
144MHz帯 FMダブルスーパーヘテロダイン
受信感度 SSB/CW:-19dBμ以下/FM:-15dBμ以下
選択度 SSB/CW:2.3kHz (-6dB)以上/4.2kHz(-60dB)以下
FM:15kHz(-6dB)以上/30kHz(-60dB)以下
低周波出力 2.0W以上(8Ω、10%歪時)
5.送受信装置

その他

図表は、上級アマチュア無線講座基礎編、
株式会社ラインアイ、測定玉手箱 T&M
site 、総務省東海総合通信局等の各ペー
ジから引用