高分子とは - ようこそ

構造材料の全般的性質
三大材料
分類
例
由来
有機材料
(高分子材料)
プラスチック,繊維
ゴム
天然/人工
金属材料
鉄鋼,アルミニウム
銅,合金
人工(精製)
無機材料
ガラス,陶磁器
セラミックス
人工
cf.
複合材料:混合物
ハイブリッド材料:あるサイズ(たとえば0.1μm以下)
で混合されている材料
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三大材料の物性比較
力学特性
熱伝導性
電気伝導性
有機材料
(高分子材料)
柔軟
小さい
小さい
金属材料
(硬い)〜強靱〜(柔
軟)
大きい
大きい
無機材料
硬い
大きい
小さい
三大材料の化学構造
構成元素の特徴と結合の性質
有機材料
(高分子材料)
電気的に陰性の元素間の結合で構成されている
金属材料
電気的に陽性の原子間の結合力が材料としての構造を形成
無機材料
電気的に陽性の元素と陰性の元素との結合で構成され,
それらの結合が構造を形成
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三大材料の構造モデル
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高分子とは
高分子:polymer
ギリシャ語のpolus (many, large)とmerus (parts)に由来
ある繰り返し単位が共有結合により鎖状に連なった
巨大な分子
重合度100以上、分子量1万以上
重合度が数10以下・・・オリゴマー(oligomer)
cf. Macromolecules 単に「巨大分子」を意味する
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高分子の分類1
1.産出の種別による分類・・・天然高分子・改質天然高分子・
合成高分子。
主に、合成高分子について扱う
2.構造による分類
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高分子の分類2
3.モノマー組成と連なり方による分類
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汎用合成高分子
ポリエチレンの構造
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立体規則性
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1)アタクチックポリプロピレン
無定型ポリマー(結晶性がない)
用途:油回収剤など
2)アイソタクチックポリプロピレン
高結晶性高分子量のポリプロピレン
耐熱性・力学特性に優れる
加工性もよい
用途:フィルム,繊維,パイプ,食器,容器など
3)シンジオタクチックポリプロピレン
低融点,低密度,高い透明性
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分子量と分子量分布1
合成高分子・・・一般にさまざまな分子量の高分子鎖の混合物
高分子の分子量は固有の値で示されるのではなく
合成された高分子ごとに求められる平均の分子量で表される
おもな高分子の分子量測定法
測定法
型
膜浸透圧法
絶対法
M
n
104~106
光散乱
絶対法
M
w
104~107
沈降平衡
絶対法
w,
M
蒸気圧浸透圧 絶対法
M
n
<105
末端基定量法 絶対法
M
n
<104
M
v
102~5X107
M
w,
粘度
相対法
GPC
相対法
平均の種類 分子量範囲
M
M
n,
104~107
z
M
z
102~5X106
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分子量と分子量分布2
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GPC (Gel Permeation Chromatography)
液体クロマトグラフィーの一種
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特
徴
あらかじめ分子量のわかった高分子を標準試料
として用いる相対法
数平均分子量、重量平均分子量、Z平均分子量が
一度の測定で算出できる
溶出曲線自体が分子量分布を表す
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例題
分子量1.00 X 104、2.00 X 104、4.00 X 104 の3つの単分散高分子がある。
(1)同モル数の3つの高分子を混合したときの数平均分子量と重量平均分子量および分子量分布指数を
有効数字3桁で求めなさい。
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高分子の融解
高分子化合物・・・結晶部分と非晶部分から形成
加熱すると非晶部分がマクロブラウン運動
結晶部分が非晶状態にかわる
この温度=高分子の融点 (Tm)
平衡融点 Tm 0:高分子鎖が伸びきった状態で結晶化した
完全結晶の融点
高い融点を有する高分子
DHu:融解エンタルピー
水素結合などを形成する高分子は大きい
DSu:融解エントロピー
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剛直性のある芳香族環が連なった高分子は小さい
ガラス転移温度
低分子量化合物の変形や流動・・・分子全体
高分子化合物・・・高分子鎖のある長さが単位
セグメント(segment)
セグメントの回転による熱運動・・・ミクロブラウン運動
液体状態にある高分子→冷却していくと過冷却状態を
経て凍結状態に至る
ガラス状態
ガラス状態に転移する温度=ガラス転移温度 (Tg)
ミクロブラウン運動が凍結された状態
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高分子材料の成型:ガラス転移温度の影響
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ガラス転移温度に影響する因子
1.置換基の大きさ
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2.分子量
ポリスチレンのガラス転移温度の分子量依存性
分子量の増大とともに高くなり,その後一定となる
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3.分子間相互作用
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高分子材料の機械的性質
応力−歪み曲線(S-S曲線,stress-strain curve)
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応力−歪み曲線の型
柔らかい:Young率が小さい
硬い:Young率が大きい
強い:破断するときの応力が大きい
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粘弾性
高分子:結晶部分と非晶部分からなる
弾性
粘性
高分子に外力を与えると弾性と粘性が
同時に現れる
粘弾性
高分子に一定の外力を加える クリープ
歪みは次第に増大
外力を取り除くと
歪みは徐々に低下
(クリープ回復)
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マクスウェル模型とフォークト模型
高分子の粘弾性挙動を示すための力学的モデル
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クリープとクリープ回復
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四要素模型
実際の高分子のクリープ,クリープ回復については
マクスウェル模型,フォークト模型のみでは
説明できないことが多く四要素模型といわれる
モデルを用いて説明すると比較的よく説明できる
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