第11週: フィードフォワード制御 1/15 制御とは フィードフォワード制御 逆システム 振動制御と周波数解析、 逆位相法、ハイブリッド制御法 Matlab によるシミュレーション紹介 TUT, System & Control laboratory 2/15 今週の授業の目的 今週の大きな目的 制御工学の概要について改めて学ぶ.また,伝達関数, ボード線図などをもとに,フィードフォワード制御,フィード バック制御を学習する.さらに,振動制御やMatlabによるシ ミュレーション例を学ぶ.今週の授業内容はこれまで学習し た内容を用いた実際の適用例である. 制御について学ぶ フィードフォワード制御を学ぶ フィードバック制御を学ぶ 振動制御と周波数解析の関係を学ぶ Matlabによるシミュレーションの例を知る TUT, System & Control laboratory 3/13 制御とは 制御とは,「御して制すると書くことから,ある目的に適合するよ うに,対象とするものに所要の操作を加えること」と定義されてい る.これを自動的に行うのが自動制御である. 自動制御は自動化によって省力化・無人化を目指すものである. 一連の自動制御装置の中には,頭脳的な働きをする部分があっ て,そこで計算・判断・指令など制御に必要な処理を行う.この部 分をコントローラと呼ぶ.主にコンピュータが担当する.さらに手足 に相当する装置(アクチュエータ;制御機器)や,目や鼻などの五 感に相当する装置(測定器;センサ)が付随し,これによって制御 対象に所要の操作を行う.制御対象,コントローラ,アクチュエー タ,センサの各要素は,物と情報の流れをつなぐように一つのシ ステムを構成し,制御目的を実現するように各要素や,サブシス テムが統合されている. TUT, System & Control laboratory 4/15 フィードフォワード制御(1) 概念は2回目講義資料で説明. r C(=P-1) P コントローラ プラント y 1 Ts K 1 P のとき,コントローラは, C P K 1 Ts このとき,y=rである. もし,プラントの値を正しく求めることができず,コントローラがプラ ントの逆数でなかったら? TUT, System & Control laboratory 5/15 フィードフォワード制御(2) r 1 TC s KC K 1 Ts コントローラ プラント y プラントの測定誤差や丸め誤差でプラントの真値とコントローラは 下記だったとする. プラントの真値 K=1 コントローラ KC=1 TC=1 T=1.05 y 1 s r 1 1.05s TUT, System & Control laboratory 6/15 フィードフォワード制御(3) y 1 s r 1 1.05s 位相[deg] ゲイン[dB] 1 0 y r 0.5 -0.5 -3 10 0 10 -2 10 -1 10 0 10 1 10 2 10 3 0 0 1.02 1.01 1 2 3 4 5 6 4 5 6 y r 拡大図 1 -1 0.99 -2 -3 10 10-2 10-1 100 101 角周波数[rad/s] 102 y=rでないことから,常にゲイン0db でなく,位相も0degではない. 103 0.98 0 1 2 3 時間 目標値にすぐに,完全に達してい ない. TUT, System & Control laboratory 7/15 フィードバック制御(1) そこでフィードバックコントローラとしてPIDコントローラを用いる. r 1 KP KI KD s s K 1 Ts コントローラ プラント K K D s 2 K P s K I y s(1 Ts) K K D s 2 K P s K I r 1 s(1 Ts) K K D s 2 K P s K I s1 Ts K K D s 2 K P s K I K K D s 2 K P s K I K K D T / K s 2 K P 1/ K s K I y 8/15 フィードバック制御(2) y K K D s 2 K P s K I r K K D T / K s 2 K P 1/ K s K I プラントの真値 K=1 KP=300 コントローラ KI=150 T=1.05 位相[deg] ゲイン[dB] KD=300 0 1 y r 0.5 -0.05 -3 10 0 10-2 10-1 100 101 102 103 0 0 1.02 1 1.01 -0.1 2 3 4 5 6 4 5 6 y r 拡大図 1 -0.2 -3 10 10-2 10-1 100 101 角周波数[rad/s] 102 103 0.99 0.98 0 フィードフォワードのボード線図に比べる と,ゲインは0db,位相も0degに近い. 1 2 3 時間 フィードフォワードに比べ,素早 く目標値に達している. PID制御の紹介 指令値 r + KP e - KI s1 d + + - + + 15/15 Km 1 Tms+1 s y KD s 荷物の位置 荷物の位置 指令値 r とびだす可能性 指令値 r A B ひっかかり t 偏差 e t 偏差 e A 一定値を保持 K I e(t )d t 0 パワー不足 t 制御入力を増加 de(t ) KD dt B AもBも同一値 t 正の値:制御入力を増加 t 負の値:制御入力を抑制 t (a)偏差と積分値との関係 (b)偏差と微分値との関係 PID補償器における積分と微分の効果 TUT, System & Control laboratory フィードフォワード制御とフィードバック制御のまとめ 9/15 フィードフォワード制御 プラントのモデルがわかっているならば,センサレスで応答のよ い制御が可能である. 制御則に含まれない外乱や,プラントの誤差に対応できない. フィードバック制御 プラントの誤差や外乱に対応可能である. センサを必要とする. コントローラの値を大きくすれば応答性はよくなるが,一般的に プラントへの指令の制約などを有するために,理想的な応答を 得ることはできない. TUT, System & Control laboratory 10/15 振動制御と周波数解析(1) 搬送による搬送物(例えば液体など)の振動は問題となる.これは搬送入力の加 速度によって対象物に慣性力が働き,その力によって振動が発生する.これを題 材にして,プラントのボード線図,入力の周波数解析,入力による振動制御につい て講義する. G(s) Kn s 2 2n s n 2 2 プラントのボード線図 ゲイン[dB] プラント:2次遅れ系 n=600 rad/s =0.05 位相[deg] K=1 20 0 振動を発生させる -20 周波数帯域 -40 102 101 100 0 103 104 103 102 101 角周波数[rad/s] 104 -90 -180 0 10 プラントのボード線図から,ゲインが0dB以上で 振動を発生させる周波数帯域が確認できる. TUT, System & Control laboratory 11/15 振動制御と周波数解析(2) 入力波形を左下に示す.矩形波と三角波を用いて振動への影響を比較する.また, 入力波形の制約として,最大加速度を10m/s2,矩形波と三角波の入力の2階積分 (位置)が等しくなるようにしている.このため,矩形波の入力波形のほうが早く入 力の終了時間に達している. 入力波形の周波数解析 10 パワースペクトル 入力(加速度)[m/s2] 入力波形 矩形波 三角波 0 矩形波 三角波 3 2 振動を発生させる 周波数帯域 1 -10 0 0.05 時間[s] 0.1 0 0 1000 2000 角周波数[rad/s] 3000 入力波形の周波数解析をしたものを右上に示す.矩形波のほうが高周波数まで パワースペクトルを有していることが明らかである.また,矩形波のほうが振動を 発生させる周波数帯域にて大きいパワースペクトルを有している. TUT, System & Control laboratory 12/15 振動制御と周波数解析(3) 位置[m] 10 矩形波 三角波 0 -10 0.01 矩形波 三角波 0.005 0 0.01222 矩形波 三角波 0.0122 0.01218 0.1 0.15 0.2 0.25 時間[s] 拡大 矩形波入力終了時間 三角波入力終了時間 0.01 矩形波 三角波 0.005 0 0 拡大位置[m] 目標位置[m] 入力加速度 2 [m/s ] 先の入力を用いたシミュレーションを示す.振動検証のため,入力の2階積分を目 標位置,プラント出力の2階積分を位置として図示する.また,位置は拡大したも のも示す. 0.1 時間[s] 0.2 入力の終了時間が短いのは矩形波入力であるが,目標位置に早く収束している のは三角波入力である.振動制御の手法はさまざま挙げられるが,入力波形の工 夫でも振動は抑制できる. TUT, System & Control laboratory スペクトルの概念 u(t ) A0 An sinnt n1 An :スペクトル n:角振動数 ハイブリッド整形法 振動系を含む駆動システムを対象に周波数特性,時間特性の 定量的な設計仕様をハイブリッドに制御系設計に取り込み設計 (Ⅱ) (Ⅰ) (Ⅱ) (Ⅰ) (Ⅱ) コントローラ プラント ω1 ω2 ω 3 ω4 ハイブリッド整形法 (Ⅰ):周波数仕様 (Ⅱ):時間仕様 ノッチフィルタ s 2 2n s n 2 G(s) 2 s n s n 0 0 -10 -20 -10 -30 n=10 -40 0 10 n=10 =0.01 =0.1 =0.05 =0.1 101 -20 102 100 n=30 n=50 101 102 TUT, System & Control laboratory コントローラ設計 コントローラの伝達関数 K P ( s 2 n s n ) K( s ) ( Tl s 1 )( s 2 n s n 2 ) 2 2 振動 GS(s) 目標入力 R(s) 制御入力 + ‐ 振動プロセス Y1(s) 位置 K(s) E(s) U(S) コントローラ GM(s) モータシステム プラント : G(s) Y2(s) 最適化問題の定式化 制御仕様を保証するペナルティ関数 Re[ rcl ] 0 安定性 ・閉ループ ・コントローラ Re[ rK ] 0 KP 0 Kl 0 周波数応答 ・ローパスフィルタ ・ノッチフィルタ K ( s ) 0[dB] l 314[rad/s] K ( l ) -20[dB] s 12.3[rad/s] オーバーシュート量 maxOS 0.001[m] 入力電圧 max u 5[V] 評価関数 min J Ts J P K (s) Ts : 搬送時間 J P : ペナルティ項 計算手法:シンプレックス法 数回の試行によるJが最小となるKP,Tlの初期シンプレックス 液体搬送振動制御コントローラの解析 TS = 2.82[s] max u = 3.0084[V] max Os = 8.94×10-4 [m] コントローラのボード線図 タンク搬送の制御 シミュレーション結果 液体搬送制御実験結果 P制御 KP = 36 S ) (Same setting time T 提案ハイブリッド整形法 高速で運ぶタンク内の液体の揺れを抑えるには? ① 通常の搬送, ②振動制御した搬送,③振動制御した超高速搬送 振動のダイナミクスと周波数特性 Acceleration G(s) Vibration 1 s2 Desired Position G N G(s) Gi (s) i 1 i 1 Real Position + 伝達関数 (モード N): N + 1st mode 2nd mode Nth mode ki 2 ni s 2 2inis ni2 1 2 N 3.1 Preshaping制御(入力整形法) (1)振動モデル (2)Preshaping 制御の方法 ・多重モード制御 ・ロバスト制御 ・時変システム制御 (3)正確な位置決めと、振動制御の両立 (4)実装化の手順 14/15 Matlabによるシミュレーション紹介(2) モータを用いた搬送システムのPID制御を用いた位置決めのシミュ レーションを示す. 指令値 r + KP e - KI s1 d + + - + + Km 1 Tms+1 s y KD s 搬送開始 位置 搬送物 搬送終了 位置 搬送開始 位置 搬送物 搬送終了 位置 液体搬送実験 ① 固有振動数より遅い周期で振動させる u1 A1 sin 1t A1 1, 1 2 1.5 9.42[rad/s] ② 固有振動数より早い周期で振動させる u 2 A2 sin 2t A2 1, 2 2 8 50.27[rad/s] ③ 固有振動数と同じ周期で振動させる u 3 A3 sin 3t A3 1, 3 2 2 13.07[rad/s] T1 f1[Hz] T2 f2[Hz] T f[Hz] 液面振動数と同じ周期で動かすことで,共振現象を引き起こし, 液面振動が励起する 液体搬送実験 ④液面制振制御 液体・振子(赤色):固有振動数2.35[Hz] T3=0.21[s] 液体・振子(青色):固有振動数1.93[Hz] T2=0.26[s] 1 1 K3 K3 1 K3 (3) 1周目:台形波(制御しない場合) 0 1 1 K2 T3 K2 1 K2 2周目:赤色だけを制振する(3) 3周目:青色だけを制振する(2) time T2 0 1 D23 (2) time D23 (1 K 2)(1 K3 ) K3 D23 4周目:赤色・青色両方を制振する(2,3) 0 T3 K2 D23 K 2 K3 D23 T2 T2 T3 (2,3) time 2つの異なる対象の場合 高周波数の正弦波入力で容器を振動させた例 低周波数の正弦波入力で容器を振動させた例 共振周波数の正弦波入力で容器を振動させた例 補足資料(実験結果) 30/25 T T1 f[Hz] 固有周波数 f1[Hz] 速度周波数 f1< f <f2 T 共振する f[Hz] T2 f2[Hz] • 状態空間モデル (1) 振動モデル FFT計測 1st mode G 2nd mode 1 … … Nth mode 2 N • 伝達関数モデル N G(s) Gi (s) i 1 kini2 2 2 s 2 s i 1 i ni ni N frequency X AX Bu Y CX x1 A1 0 0 x1 B1 x B x 0 A 0 2 2 2 2 u x 0 0 A N xN BN N x1 x y C1 C2 CN 2 xN 1 0 0 Ai 2 ; Bi 2 ; ni 2ini kini Ci 1 0 ; x0i xi x1i (2)Preshape 制御 Single Mode: Input N=1 k1n21 G(s) 2 s 21n1s n21 Input 1 K1 time K1 e T1 1 112 n1 1 12 time Vibration Output Vibration Output time 0 T1 time Preshaping入力の原理と公式 kn2 G(s) 2 s 2n n2 Input A1 Aj A2 … t1 tj t2 time M f1 Aj e (t M t j ) M (t M t j ) sin(t jn 1 2 ) 0 j 1 f 2 Aj e j 1 cos(t jn 1 2 ) 0 M=2 1 1 Ki 0 Ki e Ki 1 Ki Ti Ti time i 1i2 ni 1 i2 A c c e le ra tio n Preshaping原理の連続入力への拡張 G s T T 2 n 1 2 K T T Tb T im e ( b ) F i r s t i n p u t ( b) 第1入 力 A c c e le ra tio n Tb T im e (c ) S e c o n d in p u t ( c) 第2入 力 Tb T im e (d) (b)と(c)の合成 A c c e le ra tio n T s 2 2n s n A c c e le ra tio n A c c e le ra tio n 1 2 n K exp 1 2 Tb T im e (a) 制振を考慮していない 目標距離搬送のための入力 k n (d)/(1+K) Tb T im e (e) 目標距離にするための修正 ロバスト性の向上化 M Changing of mass, arm’s range f1 Aj e (t M t j ) M (t M t j ) j 1 f 2 Aj e j 1 Changing nature frequency, damping ratio sin(t jn 1 2 ) 0 cos(t jn 1 2 ) 0 M f1 (t t ) Aj t j e M j sin(t jn 1 2 ) 0 n j 1 M f 2 (t t ) Aj t j e M j cos(t jn 1 2 ) 0 n j 1 M=3 2K 1 2K K 2 1 1 2K K 2 0 K e K2 1 2K K 2 T 2T T time 1 2 n 1 2 D23 (1 K2 )(1 K3 ) D123 (1 K1 )(1 K2 )(1 K3 ) Multiple Mode 1 1 K3 1 1 K1 K3 1 K3 0 1 1 K2 T3 time K2 1 K2 1 D23 K3 D23 0 T3 1 D23 time 0 K3 D23 T3 T2 T2 T3 K3 D123 (2,3 ) time 0 T3 time K2 D23 K 2 K3 D23 T2 K2 D123 (2,3 ) T2 T3 1 D123 K2 D23 K 2 K3 D23 (1) T1 0 (2) T2 0 K1 1 K1 (3) time K1 D123 K 2 K3 D123 T2 T2 T3 T1 (1,2,3) K1K3 D123 T1 T3 K1K2 D123 K1K2 K3 D123 time T1 T2 T1 T2 T3 制御系設計のための簡易モデル: 振子モデルの導出 振子モデルの運動方程式 L ml 2 cl 2 mgl mlu L hs 2 hs q h l m 伝達関数 c u H s ( s) kn2 G(s) 2 U (s) s 2n s n2 L k , 2g c l , 2m g g n l 液面振動固有周波数 R hs hs g n 1 tanh(1 ) R R g;重力加速度 R;円筒容器の半径 hs;液面高さ e1;第1種ベッセル関数の1次導関数の 最小正根 シミュレーション条件 amax 5 m / s 2 vmax 1 m / s 2 x 1m kini2 Gi (s) 2 a(s) s 2ini ni2 ( s) First Mode f1 6 Hz k1 0.6 1 0.04 K1 1 T1 0.083 Second Mode f 2 8 Hz k2 0.3 2 0.04 K2 1 T2 0.062 Third Mode f3 10 Hz k3 0.1 3 0.04 K3 1 T3 0.050 1 5 0 0 0.5 1 1.5 2 0.5 0 0 0.5 1 1.5 0 -5 0 0.5 1 1.5 2 0 0.5 1 1.5 2 0 0.5 1 1.5 2 0 0.5 1 1.5 2 0.5 0 1 po si ti o n po s i ti o n time 5 2 1 0.5 0 0 0.5 1 1.5 0.5 0 2 1 1 an gl e an g l e T3 1 ve l o c i ty ve l o c i ty 1 0 -1 K3 1 K3 0 time ac c e l e rati o n ac c e l e rati o n 0 -5 1 1 K3 Single Mode 0 0.5 1 1.5 2 0 -1 課 題 1 振動完全抑制のためのタンク回 転を用いたアクティブ制振制御 The arm length is long (previous report) Without preshaping With preshaping レーザセンサ 溶湯搬送・注湯ラインの 最適化・制御 hc(t) 実ライン 建設工事タワークレーン用 『荷振れ防止装置』 実用化事例 荷振れセンサを必要としない制振コントローラにより、旋回起動時・停止時 の旋回スピードを自動制御して吊荷の残留振動を抑制 操作ボックス 指令値の変化に対応 制振コントローラ インバータ モータ 共 振 周 波 数 巻上 ロープ長 動作中のロープ長 変化に対応 旋回クレーン 搬送荷物の揺れを測定する センサが不要 建設工事タワークレーン用荷振れ防止搬送 ← 振動制御なし 振動制御あり → 共振(共鳴)教育 揺れない原理を教育に応用→揺れる教育 創 造 的 社 会 教 育 実 り あ る 産 学 官 連 携 簡単な制御法 1/15 制御とは フィードフォワード制御 フィードバック制御 振動制御と周波数解析 Matlab によるシミュレーション紹介 TUT, System & Control laboratory 2/15 今週の授業の目的 今週の大きな目的 制御工学の概要について改めて学ぶ.また,伝達関数, ボード線図などをもとに,フィードフォワード制御,フィード バック制御を学習する.さらに,振動制御やMatlabによるシ ミュレーション例を学ぶ.今週の授業内容はこれまで学習し た内容を用いた実際の適用例である. 制御について学ぶ フィードフォワード制御を学ぶ フィードバック制御を学ぶ 振動制御と周波数解析の関係を学ぶ Matlabによるシミュレーションの例を知る TUT, System & Control laboratory 3/13 制御とは 制御とは,「御して制すると書くことから,ある目的に適合するよ うに,対象とするものに所要の操作を加えること」と定義されてい る.これを自動的に行うのが自動制御である. 自動制御は自動化によって省力化・無人化を目指すものである. 一連の自動制御装置の中には,頭脳的な働きをする部分があっ て,そこで計算・判断・指令など制御に必要な処理を行う.この部 分をコントローラと呼ぶ.主にコンピュータが担当する.さらに手足 に相当する装置(アクチュエータ;制御機器)や,目や鼻などの五 感に相当する装置(測定器;センサ)が付随し,これによって制御 対象に所要の操作を行う.制御対象,コントローラ,アクチュエー タ,センサの各要素は,物と情報の流れをつなぐように一つのシ ステムを構成し,制御目的を実現するように各要素や,サブシス テムが統合されている. TUT, System & Control laboratory 4/15 フィードフォワード制御(1) 概念は2回目講義資料で説明. r C(=P-1) P コントローラ プラント y 1 Ts K 1 P のとき,コントローラは, C P K 1 Ts このとき,y=rである. もし,プラントの値を正しく求めることができず,コントローラがプラ ントの逆数でなかったら? TUT, System & Control laboratory 5/15 フィードフォワード制御(2) r 1 TC s KC K 1 Ts コントローラ プラント y プラントの測定誤差や丸め誤差でプラントの真値とコントローラは 下記だったとする. プラントの真値 K=1 コントローラ KC=1 TC=1 T=1.05 y 1 s r 1 1.05s TUT, System & Control laboratory 6/15 フィードフォワード制御(3) y 1 s r 1 1.05s 位相[deg] ゲイン[dB] 1 0 y r 0.5 -0.5 -3 10 0 10 -2 10 -1 10 0 10 1 10 2 10 3 0 0 1.02 1.01 1 2 3 4 5 6 4 5 6 y r 拡大図 1 -1 0.99 -2 -3 10 10-2 10-1 100 101 角周波数[rad/s] 102 y=rでないことから,常にゲイン0db でなく,位相も0degではない. 103 0.98 0 1 2 3 時間 目標値にすぐに,完全に達してい ない. TUT, System & Control laboratory 7/15 フィードバック制御(1) そこでフィードバックコントローラとしてPIDコントローラを用いる. r 1 KP KI KD s s K 1 Ts コントローラ プラント K K D s 2 K P s K I y s(1 Ts) K K D s 2 K P s K I r 1 s(1 Ts) K K D s 2 K P s K I s1 Ts K K D s 2 K P s K I K K D s 2 K P s K I K K D T / K s 2 K P 1/ K s K I y 8/15 フィードバック制御(2) y K K D s 2 K P s K I r K K D T / K s 2 K P 1/ K s K I プラントの真値 K=1 KP=300 コントローラ KI=150 T=1.05 位相[deg] ゲイン[dB] KD=300 0 1 y r 0.5 -0.05 -3 10 0 10-2 10-1 100 101 102 103 0 0 1.02 1 1.01 -0.1 2 3 4 5 6 4 5 6 y r 拡大図 1 -0.2 -3 10 10-2 10-1 100 101 角周波数[rad/s] 102 103 0.99 0.98 0 フィードフォワードのボード線図に比べる と,ゲインは0db,位相も0degに近い. 1 2 3 時間 フィードフォワードに比べ,素早 く目標値に達している. PID制御の紹介 指令値 r + KP e - KI s1 d + + - + + 15/15 Km 1 Tms+1 s y KD s 荷物の位置 荷物の位置 指令値 r とびだす可能性 指令値 r A B ひっかかり t 偏差 e t 偏差 e A 一定値を保持 K I e(t )d t 0 パワー不足 t 制御入力を増加 de(t ) KD dt B AもBも同一値 t 正の値:制御入力を増加 t 負の値:制御入力を抑制 t (a)偏差と積分値との関係 (b)偏差と微分値との関係 PID補償器における積分と微分の効果 TUT, System & Control laboratory フィードフォワード制御とフィードバック制御のまとめ 9/15 フィードフォワード制御 プラントのモデルがわかっているならば,センサレスで応答のよ い制御が可能である. 制御則に含まれない外乱や,プラントの誤差に対応できない. フィードバック制御 プラントの誤差や外乱に対応可能である. センサを必要とする. コントローラの値を大きくすれば応答性はよくなるが,一般的に プラントへの指令の制約などを有するために,理想的な応答を 得ることはできない. TUT, System & Control laboratory 10/15 振動制御と周波数解析(1) 搬送による搬送物(例えば液体など)の振動は問題となる.これは搬送入力の加 速度によって対象物に慣性力が働き,その力によって振動が発生する.これを題 材にして,プラントのボード線図,入力の周波数解析,入力による振動制御につい て講義する. G(s) Kn s 2 2n s n 2 2 プラントのボード線図 ゲイン[dB] プラント:2次遅れ系 n=600 rad/s =0.05 位相[deg] K=1 20 0 振動を発生させる -20 周波数帯域 -40 102 101 100 0 103 104 103 102 101 角周波数[rad/s] 104 -90 -180 0 10 プラントのボード線図から,ゲインが0dB以上で 振動を発生させる周波数帯域が確認できる. TUT, System & Control laboratory 11/15 振動制御と周波数解析(2) 入力波形を左下に示す.矩形波と三角波を用いて振動への影響を比較する.また, 入力波形の制約として,最大加速度を10m/s2,矩形波と三角波の入力の2階積分 (位置)が等しくなるようにしている.このため,矩形波の入力波形のほうが早く入 力の終了時間に達している. 入力波形の周波数解析 10 パワースペクトル 入力(加速度)[m/s2] 入力波形 矩形波 三角波 0 矩形波 三角波 3 2 振動を発生させる 周波数帯域 1 -10 0 0.05 時間[s] 0.1 0 0 1000 2000 角周波数[rad/s] 3000 入力波形の周波数解析をしたものを右上に示す.矩形波のほうが高周波数まで パワースペクトルを有していることが明らかである.また,矩形波のほうが振動を 発生させる周波数帯域にて大きいパワースペクトルを有している. TUT, System & Control laboratory 12/15 振動制御と周波数解析(3) 位置[m] 10 矩形波 三角波 0 -10 0.01 矩形波 三角波 0.005 0 0.01222 矩形波 三角波 0.0122 0.01218 0.1 0.15 0.2 0.25 時間[s] 拡大 矩形波入力終了時間 三角波入力終了時間 0.01 矩形波 三角波 0.005 0 0 拡大位置[m] 目標位置[m] 入力加速度 2 [m/s ] 先の入力を用いたシミュレーションを示す.振動検証のため,入力の2階積分を目 標位置,プラント出力の2階積分を位置として図示する.また,位置は拡大したも のも示す. 0.1 時間[s] 0.2 入力の終了時間が短いのは矩形波入力であるが,目標位置に早く収束している のは三角波入力である.振動制御の手法はさまざま挙げられるが,入力波形の工 夫でも振動は抑制できる. TUT, System & Control laboratory スペクトルの概念 u(t ) A0 An sinnt n1 An :スペクトル n:角振動数 ハイブリッド整形法 振動系を含む駆動システムを対象に周波数特性,時間特性の 定量的な設計仕様をハイブリッドに制御系設計に取り込み設計 (Ⅱ) (Ⅰ) (Ⅱ) (Ⅰ) (Ⅱ) コントローラ プラント ω1 ω2 ω 3 ω4 ハイブリッド整形法 (Ⅰ):周波数仕様 (Ⅱ):時間仕様 ノッチフィルタ s 2 2n s n 2 G(s) 2 s n s n 0 0 -10 -20 -10 -30 n=10 -40 0 10 n=10 =0.01 =0.1 =0.05 =0.1 101 -20 102 100 n=30 n=50 101 102 TUT, System & Control laboratory コントローラ設計 コントローラの伝達関数 K P ( s 2 n s n ) K( s ) ( Tl s 1 )( s 2 n s n 2 ) 2 2 振動 GS(s) 目標入力 R(s) 制御入力 + ‐ 振動プロセス Y1(s) 位置 K(s) E(s) U(S) コントローラ GM(s) モータシステム プラント : G(s) Y2(s) 最適化問題の定式化 制御仕様を保証するペナルティ関数 Re[ rcl ] 0 安定性 ・閉ループ ・コントローラ Re[ rK ] 0 KP 0 Kl 0 周波数応答 ・ローパスフィルタ ・ノッチフィルタ K ( s ) 0[dB] l 314[rad/s] K ( l ) -20[dB] s 12.3[rad/s] オーバーシュート量 maxOS 0.001[m] 入力電圧 max u 5[V] 評価関数 min J Ts J P K (s) Ts : 搬送時間 J P : ペナルティ項 計算手法:シンプレックス法 数回の試行によるJが最小となるKP,Tlの初期シンプレックス 液体搬送振動制御コントローラの解析 TS = 2.82[s] max u = 3.0084[V] max Os = 8.94×10-4 [m] コントローラのボード線図 タンク搬送の制御 シミュレーション結果 液体搬送制御実験結果 P制御 KP = 36 S ) (Same setting time T 提案ハイブリッド整形法 高速で運ぶタンク内の液体の揺れを抑えるには? ① 通常の搬送, ②振動制御した搬送,③振動制御した超高速搬送 振動のダイナミクスと周波数特性 Acceleration G(s) Vibration 1 s2 Desired Position G N G(s) Gi (s) i 1 i 1 Real Position + 伝達関数 (モード N): N + 1st mode 2nd mode Nth mode ki 2 ni s 2 2inis ni2 1 2 N 3.1 Preshaping制御(入力整形法) (1)振動モデル (2)Preshaping 制御の方法 ・多重モード制御 ・ロバスト制御 ・時変システム制御 (3)正確な位置決めと、振動制御の両立 (4)実装化の手順 14/15 Matlabによるシミュレーション紹介(2) モータを用いた搬送システムのPID制御を用いた位置決めのシミュ レーションを示す. 指令値 r + KP e - KI s1 d + + - + + Km 1 Tms+1 s y KD s 搬送開始 位置 搬送物 搬送終了 位置 搬送開始 位置 搬送物 搬送終了 位置 液体搬送実験 ① 固有振動数より遅い周期で振動させる u1 A1 sin 1t A1 1, 1 2 1.5 9.42[rad/s] ② 固有振動数より早い周期で振動させる u 2 A2 sin 2t A2 1, 2 2 8 50.27[rad/s] ③ 固有振動数と同じ周期で振動させる u 3 A3 sin 3t A3 1, 3 2 2 13.07[rad/s] T1 f1[Hz] T2 f2[Hz] T f[Hz] 液面振動数と同じ周期で動かすことで,共振現象を引き起こし, 液面振動が励起する 液体搬送実験 ④液面制振制御 液体・振子(赤色):固有振動数2.35[Hz] T3=0.21[s] 液体・振子(青色):固有振動数1.93[Hz] T2=0.26[s] 1 1 K3 K3 1 K3 (3) 1周目:台形波(制御しない場合) 0 1 1 K2 T3 K2 1 K2 2周目:赤色だけを制振する(3) 3周目:青色だけを制振する(2) time T2 0 1 D23 (2) time D23 (1 K 2)(1 K3 ) K3 D23 4周目:赤色・青色両方を制振する(2,3) 0 T3 K2 D23 K 2 K3 D23 T2 T2 T3 (2,3) time 2つの異なる対象の場合 高周波数の正弦波入力で容器を振動させた例 低周波数の正弦波入力で容器を振動させた例 共振周波数の正弦波入力で容器を振動させた例 補足資料(実験結果) 79/25 T T1 f[Hz] 固有周波数 f1[Hz] 速度周波数 f1< f <f2 T 共振する f[Hz] T2 f2[Hz] • 状態空間モデル (1) 振動モデル FFT計測 1st mode G 2nd mode 1 … … Nth mode 2 N • 伝達関数モデル N G(s) Gi (s) i 1 kini2 2 2 s 2 s i 1 i ni ni N frequency X AX Bu Y CX x1 A1 0 0 x1 B1 x B x 0 A 0 2 2 2 2 u x 0 0 A N xN BN N x1 x y C1 C2 CN 2 xN 1 0 0 Ai 2 ; Bi 2 ; ni 2ini kini Ci 1 0 ; x0i xi x1i (2)Preshape 制御 Single Mode: Input N=1 k1n21 G(s) 2 s 21n1s n21 Input 1 K1 time K1 e T1 1 112 n1 1 12 time Vibration Output Vibration Output time 0 T1 time Preshaping入力の原理と公式 kn2 G(s) 2 s 2n n2 Input A1 Aj A2 … t1 tj t2 time M f1 Aj e (t M t j ) M (t M t j ) sin(t jn 1 2 ) 0 j 1 f 2 Aj e j 1 cos(t jn 1 2 ) 0 M=2 1 1 Ki 0 Ki e Ki 1 Ki Ti Ti time i 1i2 ni 1 i2 A c c e le ra tio n Preshaping原理の連続入力への拡張 G s T T 2 n 1 2 K T T Tb T im e ( b ) F i r s t i n p u t ( b) 第1入 力 A c c e le ra tio n Tb T im e (c ) S e c o n d in p u t ( c) 第2入 力 Tb T im e (d) (b)と(c)の合成 A c c e le ra tio n T s 2 2n s n A c c e le ra tio n A c c e le ra tio n 1 2 n K exp 1 2 Tb T im e (a) 制振を考慮していない 目標距離搬送のための入力 k n (d)/(1+K) Tb T im e (e) 目標距離にするための修正 ロバスト性の向上化 M Changing of mass, arm’s range f1 Aj e (t M t j ) M (t M t j ) j 1 f 2 Aj e j 1 Changing nature frequency, damping ratio sin(t jn 1 2 ) 0 cos(t jn 1 2 ) 0 M f1 (t t ) Aj t j e M j sin(t jn 1 2 ) 0 n j 1 M f 2 (t t ) Aj t j e M j cos(t jn 1 2 ) 0 n j 1 M=3 2K 1 2K K 2 1 1 2K K 2 0 K e K2 1 2K K 2 T 2T T time 1 2 n 1 2 D23 (1 K2 )(1 K3 ) D123 (1 K1 )(1 K2 )(1 K3 ) Multiple Mode 1 1 K3 1 1 K1 K3 1 K3 0 1 1 K2 T3 time K2 1 K2 1 D23 K3 D23 0 T3 1 D23 time 0 K3 D23 T3 T2 T2 T3 K3 D123 (2,3 ) time 0 T3 time K2 D23 K 2 K3 D23 T2 K2 D123 (2,3 ) T2 T3 1 D123 K2 D23 K 2 K3 D23 (1) T1 0 (2) T2 0 K1 1 K1 (3) time K1 D123 K 2 K3 D123 T2 T2 T3 T1 (1,2,3) K1K3 D123 T1 T3 K1K2 D123 K1K2 K3 D123 time T1 T2 T1 T2 T3 制御系設計のための簡易モデル: 振子モデルの導出 振子モデルの運動方程式 L ml 2 cl 2 mgl mlu L hs 2 hs q h l m 伝達関数 c u H s ( s) kn2 G(s) 2 U (s) s 2n s n2 L k , 2g c l , 2m g g n l 液面振動固有周波数 R hs hs g n 1 tanh(1 ) R R g;重力加速度 R;円筒容器の半径 hs;液面高さ e1;第1種ベッセル関数の1次導関数の 最小正根 シミュレーション条件 amax 5 m / s 2 vmax 1 m / s 2 x 1m kini2 Gi (s) 2 a(s) s 2ini ni2 ( s) First Mode f1 6 Hz k1 0.6 1 0.04 K1 1 T1 0.083 Second Mode f 2 8 Hz k2 0.3 2 0.04 K2 1 T2 0.062 Third Mode f3 10 Hz k3 0.1 3 0.04 K3 1 T3 0.050 1 5 0 0 0.5 1 1.5 2 0.5 0 0 0.5 1 1.5 0 -5 0 0.5 1 1.5 2 0 0.5 1 1.5 2 0 0.5 1 1.5 2 0 0.5 1 1.5 2 0.5 0 1 po si ti o n po s i ti o n time 5 2 1 0.5 0 0 0.5 1 1.5 0.5 0 2 1 1 an gl e an g l e T3 1 ve l o c i ty ve l o c i ty 1 0 -1 K3 1 K3 0 time ac c e l e rati o n ac c e l e rati o n 0 -5 1 1 K3 Single Mode 0 0.5 1 1.5 2 0 -1 課 題 1 振動完全抑制のためのタンク回 転を用いたアクティブ制振制御 The arm length is long (previous report) Without preshaping With preshaping レーザセンサ 溶湯搬送・注湯ラインの 最適化・制御 hc(t) 実ライン 建設工事タワークレーン用 『荷振れ防止装置』 実用化事例 荷振れセンサを必要としない制振コントローラにより、旋回起動時・停止時 の旋回スピードを自動制御して吊荷の残留振動を抑制 操作ボックス 指令値の変化に対応 制振コントローラ インバータ モータ 共 振 周 波 数 巻上 ロープ長 動作中のロープ長 変化に対応 旋回クレーン 搬送荷物の揺れを測定する センサが不要 建設工事タワークレーン用荷振れ防止搬送 ← 振動制御なし 振動制御あり → 共振(共鳴)教育 揺れない原理を教育に応用→揺れる教育 創 造 的 社 会 教 育 実 り あ る 産 学 官 連 携
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