生活クラブはどのように研究されてきたか? ―1980

第2回「<社会運動としての協同組合>再考」プロジェクト研究会
生活クラブはどのように研究されて
きたか?
―1980-90年代早稲田グループの調査を中心に―
角 一典(北海道教育大学)
西城戸 誠(法政大学)
2007.9.15
1
課題の整理
• 我々に課された課題
「『新しい社会運動』の日本における代表的運動として注目を集
めた生活クラブ運動は、研究者たちによってどのように研究され
たのか? 今回は、90年代までの生活クラブ研究がどのような視
点からどのような分析を加えていたのかを再検証する」
→ 1)簡単な生活クラブ研究史の整理
2)早稲田グループによる調査研究の検討
3)生活クラブ研究の「再検討」
何を創出したか(何が新しかったのか)?
限界はなんだったか(何を超えられなかったか)?
今後に向けて
2007.9.15
2
生活クラブ研究の概括
• 生活クラブ研究のいくつかの流れ
1)地方政治・地方自治からのアプローチ
ex.横山(1990)・篠原編(1985)
2)ジェンダーからのアプローチ
ex.矢澤編(1993)・国広(2001)
3)農業経済学からのアプローチ
→産直運動とのかかわりで近年増加
4)ニューポリティクスからのアプローチ
ex.森(1996)・藤井(1996)・賀来/丸山編(2001)
5)早稲田グループによる調査
⇒包括性と深みの点で突出・「生活クラブそのもの」
が研究対象となっている点も特徴。
2007.9.15
3
早稲田グループのまとめた報告書一覧
著者・編者
書名
佐藤慶幸編(早稲田大学第
『生活クラブ生協の組合員の
一文学部社会学専修社会学
活動と意識に関する調査』
演習ⅡA)
佐藤慶幸編(早稲田大学第
『生活クラブ生協の活動的組
一文学部社会学専修社会学
合員の事例的調査』
演習ⅡA)
那須尋編(早稲田大学第一
『生活クラブ生協に関する調
文学部社会学専修 社会学
査と考察』
演習ⅡA)
ネットワーキング研究会
『生活クラブを支える人々-
編・早稲田大学文学部社会
専従職員の意識と実態-』
学研究室
那須尋編(早稲田大学第一
『生活者ネットワークに関す
文学部社会学専修 社会学
る調査と考察』
演習ⅡA)
佐藤慶幸編(早稲田大学第 『新しい地域社会づくりのこ
一文学部社会学専修社会学 ころみ コミュニティクラブ
演習ⅡE)
生協組合員の意識と実態』
佐藤慶幸他(早稲田大学第
『新しい働き方-女性たちの
一文学部社会学研究室ネッ
ワーカーズ・コレクティブ』
トワーキング研究会)
佐藤慶幸編(早稲田大学大 『福祉社会を担う女性たち-
地文学部社会学専修 社会 福祉クラブ生協のワーカー
学演習ⅡE)
ズ・コレクティブ』
2007.9.15
調査の概要
生活クラブ生協東京組合員を対象に、多段無作為抽出
により749サンプルを抽出、郵送留置きによる。585か
ら回答(回収率78.1%)。
生活クラブ生協(東京?)の現役員・委員および役職
経験者67名。郵送留置きによるアンケート調査とイン
タビュー。
元組合員(多段抽出により305サンプルを抽出、留置
き。191を回収、回収率62.6%)、ワーカーズ・コレ
クティブのメンバー(東京の12団体・156名への全数
調査。114名が回答、回収率73.1%)、代理人2名への
聞き取り調査。
生活クラブ生協専従職員(連合・東京・神奈川・埼
玉・千葉・長野)726名に対する全数調査。243名が回
答(回収率33.5%)。
代理人のいる18地域ネットに対する全数調査(サンプ
ル数696)。ネット事務局による配布及び郵送。385名
から回答(回収率55.3%)。代理人のいる21全地域
ネット事務局への聞き取り調査。
コミュニティクラブ生協組合員を対象に、多段抽出に
より734サンプルを抽出、郵送留置き。547名から回答
(回収率74.5%)。
コミュニティクラブ生協関連のワーカーズ・コレク
ティブ「にんじん」「虹」「ぽっぷこーん」のメン
バー271名に対する全数調査。221名が回答(回収率
81.5%)
福祉クラブ生協関連のワーカーズ・コレクティブ「ひ
まわり」と「いずみ」のメンバー235名に対する全数
調査。128名から回答(回収率54.4%)。
発行年
1985.4
1986.4
1991.3
1991.1
1993.7
1994.3
1995.3
1996.2
4
早稲田グループによる調査の「変遷」
• 第1期
組合員調査(1984)・役員調査(1985)
⇒『女性たちの生活ネットワーク
生活クラブに集う人びと』(1988)
・第2期
ワーカーズ・代理人・元組合員・専従職員調査(1989・1991)
⇒『女性たちの生活者運動
生活クラブを支える人びと』(1995)
・第3期
ワーカーズ調査(1993~1995)
(コミュニティクラブ生協調査(1993))
⇒『女性と協同組合の社会学
生活クラブからのメッセージ』(1996)?
2007.9.15
5
第1期の特徴①
・生活クラブに対する位置づけの「確立」
⇒資本主義社会の「ひずみ」に対して、批判的な位置に
立 って変革を試みる「アソシエーション」
→「この生活クラブ生協の研究は、わたくしに
とっては理論を検証する場を提供してくれ
ているのである」(佐藤,1991:26)
⇒ボランタリーアソシエーションとしての生活
クラブが、市場と官僚制のミックスに侵食さ
れる「生活世界」を「再構築」するものとし
て位置づけられる
→このような位置づけは、早稲田グループの調査におい
ては、一貫した立場?(佐藤だけか?)
2007.9.15
6
第1期の特徴②
・生活クラブは少数の活動層によって基本的に支
えられているということの発見
「組合員のなかには種々のタイプの組合員」がおり、「上部
構造としての社会活動や運動に積極的にかかわる組合員は2割
くらいであるが、彼女達が『生活クラブ生協』の中核メンバー
として〈おおぜいの私達の〉生活クラブ生協の存続・発展を支
えている」 (佐藤編,1986:まえがき) 。
・活動層は、高所得・高学歴であることの発見
→一般組合員調査でも、相対的高所得・高学歴が確認
され、役員調査において、役職経験者が、さらに高所
得・高学歴であることが明らかとなる。
→活動層は生クラにおける活動が初めての社会参
加である場合が多く、過去の運動経験は少ない。
2007.9.15
7
『女性たちの生活ネットワーク
生活クラブに集う人びと』
(1988)
1.
2.
3.
4.
5.
6.
7.
8.
生活者の論理と生活クラブ生協
―アソシエーション論の立場― (佐藤慶幸)
生活クラブ生協の事業組織 (丸山義夫)
生活クラブ生協運動の軌跡 ―その初期の諸位相― (那須壽)
消費における「主体性・能動性」の発見史
―生活クラブ生協の初期運動史の考察― (成富正信)
台所から世界が見える
―組合員の意識と生活の変容過程を中心に― (山嵜哲哉)
組合員の意識構造 ―意識からみた組合員のタイプ― (和田修一)
おおぜいの私の組織論
―生活クラブ生協における支部委員層の再生産を中心に―(大屋幸恵)
「受」働から「能」働への実験
―ワーカーズコレクティヴの可能性― (天野正子)
2007.9.15
8
第1期の「集約点」①
・ボランタリーアソシエーションとしての生活クラブ
→主婦の自発性・主体性を喚起する仕組みとしての・現
代版コミュニティとしての班別予約共同購入の重要性
→班を中心とした「対話的行為」が、「生き方を変え
る」契機を作り出す
→「目的合理的行為」(=産業の論理)に代わる
「対話的行為」(=生活者の論理)
→市場と官僚制(企業と国家)によって進んでいく
「制度化」と「私事化」に対して、国家と個人の媒介
項として班が機能する。
→市場と官僚制によって進行する「生活世界の
植民地化」に「対抗」する
2007.9.15
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第1期の集約点②
・「主体性」に対する評価
→「受動的消費者」から脱却し、「よりよき社会の形成」に
向けて自らの生活を組み替えていく能動性を獲得
→「オルタナティブ」の契機
・「おおぜいの私」の再生産構造
→活動層の再生産は、生活クラブの活動を通して主婦
が「変化」することと関連
「生活クラブの活動を通じて、その考え方に共鳴する人びとが、さらに
は実際にさまざまな社会運動を担う人々が生まれていると考えられ
る」(佐藤編,1988:227)
「役職者一人ひとりの意識変容という視点からみれば、委員の時期に拡
大・石けんキャラバン・消費材開発といった個々の活動を通じて生活
クラブの運動や理念を主体化できるか否か、そしてまた、そうした活
動をともに支えてくれる仲間に出会うことができるか否かが、意識変
容にとって決定的な要因になっていると考えられるのである」(佐藤
編,1988:290-91)
2007.9.15
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第1期の集約点③
・生活クラブの問題点への視座
→基本的に生活クラブを評価する一方で、生活クラブの
抱える内在的問題も暗に指摘
1)大量加入大量脱退
→班別予約共同購入のわずらわしさ
2)必ずしも共有されていない理念
→代理人運動に対する組合員の批判の根強さ
→班別予約共同購入や拡大などに対する不満
「支部委員経験者の31.8%が『嫌いな活動』として、『拡大活動』ととも
に『代理人活動』を挙げている」(佐藤編,1988:252)
3)生活クラブの「特権性」
→「生活クラブって、結局は、金持ちの暇つぶしね」
(佐藤編,1988:214)
4)組合員の「二極化」・活動層の固定化
2007.9.15
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「新しい社会運動」としての生活クラブの評価
・1990年前後から、「新しい社会運動」としての言及
がはじまる(ex.社会運動研究会,1990;佐藤,1991)。
→「現代産業文明に対抗してより強く人間のあり方を根
源的に問う」こと(佐藤,1991:110)
「生活クラブ生協は、ワン・テーマ主義の小運動ではなくて、日々の生活
に必要な消費材の共同購入を媒介としながら、他者と出会い話し合
いをし、そして連帯することで現代産業社会が人間の生存に対して
生み出している危機的位相に異議申し立てをすると同時に、対案提
示実行型の社会運動を行っている運動体である」 (佐藤,1991:11)
→「女性によって担われている典型的な『新しい』社会
運動」(佐藤,1991:111)
「この社会運動の特質は、・・・日常生活のレベルで日常生活のあり方を
生活資源を媒介としながら他者とさまざまな仕方でコミュニケーショ
ンするなかで、さまざまな問題にぶつかり、その問題に対処する過程
で自己呈示や自己表出をするのであるが、このこと自体が、社会運
動であるという点にある」 (佐藤,1991:111)。
2007.9.15
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第2期の特徴①
・調査対象の中心は生活クラブから「スピンアウト」
した活動である
→第1期の結果をベースとして、生活クラブをめぐるさ
まざまな諸活動(代理人運動・ワーカーズコレクティ
ブ)を比較しながら評価
・元組合員と専従職員を調査の対象にした
→生活クラブが「大量加入大量脱退」という性格を持っ
た生協であったことへの着目
→専従職員を「支える人々」として位置づける
・スピンアウトした諸活動の担い手が高所得・高学
歴層であったことの発見
→第1期における活動層と同じく、代理人運動やワー
カー
ズコレクティブの担い手も、高所得・高学歴層が
中心
的な担い手となっている
2007.9.15
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第2期の特徴②
・研究グループの「役割分業」
→専従職員調査は、佐藤を中心としたネットワーキン
グ研究会、代理人運動(+ワーカーズ・元組合員)に
ついては那須を中心とした研究グループが調査
・若手研究者の積極的関与
→院生レベルの研究者が多数参加することによって調
査の幅が広がる
2007.9.15
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『女性たちの生活者運動
生活クラブを支える人びと』
(1995)
第一部 女性たちの生活者運動
1.
2.
「生活者」概念の系譜と展望 ―生活者運動の形成に向けて― (天野正子)
「私と生活クラブ」 ―シンポジウムの記録―
(佐藤慶幸・加藤佳子・山中悦子・前田陽子・坪井照子・西貞子・中村容子)
3. 主婦概念を超える女性たち (佐藤慶幸)
4. 「主婦」から「全日制市民」そして「生活者」としての「女性」へ
―「女性で政治を変える」から「女性が政治を変える」への転換― (渡辺登)
第二部 生活クラブを支える人びと ―専従職員の意識と行動―
5. 生協運動の発展と専従職員労働
―生活クラブ生協神奈川を事例として― (伊藤美登里)
6. 社会運動と雇用労働の間で ―生活クラブ生協専従職員の労働意識― (若狭清
紀)
7. 世代別労働観 ―組合員に対する役割観と組織に対する意識― (大屋幸恵)
8. 女性職員からみた専従労働と生協運動
―フェミニズムの視点からみた専従労働と生協運動― (今井千恵)
第三部 生活クラブを離れていった人びと
9. 離脱者問題に寄せて ―生活クラブを離れていった人びと― (那須壽)
10. 「離脱者」からみた生活クラブ生協の組織と労働
―若手職員の中途退職プロセスをめぐって― (横田尚俊) 15
2007.9.15
第2期の「集約点」①
・「生活者」および「ジェンダー」の強調
→「産業の論理」に対抗する「生活者」という位置づけ
の確立
→生活クラブを「相対化」し、「主婦の運動」という
特徴を批判的に捉え返す視座
「主婦たちの『生活者』になるための実践が、生活者と性別(ジェンダー)
を無矛盾的に結びつける形で進められてきたことも確かである。生
活者になるための実践が、なぜ、女性だけの、主婦だけのものなの
かを開き直って徹底的に対象化する作業がされてこなかったことも、
また事実なのだ」(佐藤/天野/那須編,1995:59)
→生活クラブの諸活動に潜む「性別役割分業」の陥穽
→代理人運動における「政治上の性別役割分業」
→「男性専従中心の」組織運営
→職員労働における「性別格差」
2007.9.15
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第2期の「集約点」②
・生活クラブの中に存在する「亀裂」
→ジェンダーにもとづく「亀裂」
→世代・組合員歴にもとづく「亀裂」
→専従職員調査において、古参職員と新卒採用
職員との間の意識格差が表面化
→ネット会員・ワーカーズ調査でも、組合員歴との
間に明らかな関連が見出される
→階層による「亀裂」
→ネット会員・ワーカーズ調査において、参加者の
階層の高さが明らかとなる
2007.9.15
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第2期の「集約点」③
・離脱者へのまなざし
→元組合員調査では、調査対象の半数は(条件付を
含めて)再加入の意志あり
→ライフスタイルの変化(子供の独立・本人の就
業など)によってリタイア
→デポーと個人班の取り組みは、ライフスタイル
の多様化に適応したものとみなすことができる
→代理人運動等への疑問から離脱する組合員も
→職員の離脱者は職場への不満
→給与・労働内容などに対する不満
→運動体としての生活クラブへの「幻滅」
2007.9.15
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第3期の特徴
・ワーカーズコレクティブ調査への「特化」
→ボランタリーアソシエーションの「理想型」がどのよう
な形であるかということに対する「答え」?
⇔「100万円の壁」を「乗り越えられない」ワーカー
ズ労働
・コミュニティクラブ生協への着目
→生活クラブの新たな試みであるコミュニティクラブ生
協に対する評価
⇔佐藤(1996)における扱いは非常に小さい
(代理人運動についても同様)
⇒むしろ、ワーカーズ労働の供給源として注目
2007.9.15
19
『女性と協同組合の社会学
生活クラブからのメッセージ』
(1996)
1.
2.
3.
4.
5.
6.
序論 ―現代産業社会とコミュニティの再生― (書き下ろし)
生活の協同的自己組織化 (初出1992)
生活協同組合運動と職員労働 (初出1992)
女性たちのワーカーズ・コレクティブ (初出1995)
生活協同組合とフェミニズム (初出1993)
女性の社会参加 ―中間考察―
生活クラブ生協からのメッセージを読む (初出1994)
7. 環境問題と生活協同組合運動 (初出1995)
8. 新しい社会運動としての組合員活動と職員組織
―新しいライフ・スタイルの創造とジェンダーの視点―(初出1995)
9. 現代産業社会と対話的コミュニケーション行為 (初出1993)
10. 生活世界と社会運動 ―ハーバーマスからメルッチへ― (初出1995)
11. Women and the Consumers’ Cooperative Movement (初出1996)
2007.9.15
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「新しい社会運動」としての生活クラブの新しさ
(佐藤,1996:181-84)
1)「自己実現」「自己アイデンティティ」の確立を目指す
2)国内外の諸問題を「情報」「メッセージ」として伝達する様
式として機能する
3)自分たちの求める未来社会を先取りする、新しいライフ
スタイルの実践である
4)家族生活(私的生活)と社会運動(公的生活)が相互浸
透的・相互補完的関係にある
5)政治的決定によっては解決できない根本的ディレンマが
あることを明らかにする
6)政治体の周縁領域で運動が活性化する
7)グローバル・エコロジカルな視座を有している
8)多様な個人と集団が民主的にそれぞれの要求を調停す
るために出会い、相互作用過程で自己実現を求めて課
題を遂行する
2007.9.15
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生活クラブが創り出したもの①
・主婦の社会参加・政治参加の実現
→「家庭(または私的領域)に埋没しがちな」主婦の活動
の場を提供
⇒新しい政治の仕組み(代理人運動)や労働のあり方
(ワーカーズコレクティブ)の創造
・産直などによる協同組合間協同の実現
→生産者との提携により「運動領域の拡大」を実現
→生産者と消費者の交流の仕組み(生産者見学会・まつ
りなど)により、組合員と生産者が直接触れ合える空間
を形成
2007.9.15
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生活クラブが創り出したもの②
・地域における社会運動の基盤形成
→単発的・自然発生的な住民運動ではない、恒常的な
組織基盤に立脚した新たな地域民主主義の可能性
→「抵抗型」の社会運動から「代案(オルタナティブ)提
示実行型」の社会運動への転換
→未来への構想力・想像力を基盤とした運動の形成
(ex.自分はどのように老後を過ごしたいのか?)
2007.9.15
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早稲田グループ調査が「明らかに」する
生活クラブの「限界」?or「課題」?①
・「家父長制」的システムに「立脚した」女性の運動
→意識の変容は生活クラブに直接関わる主婦に限定
→家族(特に夫)の意識・行動に大きな影響を与える
ことができていない
・主婦の無償労働により支えられるシステム
→班別予約共同購入は、職員労働の限界を主婦の無
償 労働へと置き換えたものという評価
⇒アンペイドワークの「拡張」?
・組合員の階層性の高さ
→比較的高額所得者の専業主婦が多い組合員
⇒「特権的な」存在としての生活クラブ
2007.9.15
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早稲田グループ調査が「明らかに」する
生活クラブの「限界」?or「課題」?②
・職員労働の「過重性」
→長時間労働とそれに見合わないと認識される低賃金
→「運動性」の側面から不満が緩和されてきた
⇔ある意味では、日本的雇用の一種ともいえる?
・「代理人」の迷走
→「誰を代理するのか?」
→ローテーション制に対する意見の錯綜
→ローテーションへの不満からネットを脱退する代
理人も出現
→神奈川ネットは代理人の呼称を「放棄」
2007.9.15
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早稲田グループ調査の「積み残し」
・生活クラブ本体へのまなざしの「不十分さ」
→生活クラブ本体の調査は1985年以降行っておらず、
1990年代以降の変化(特に世代交代や戸配導入)
の影響についての分析を欠いている
→世代交代については、代理人やワーカーズに
ついても分析が必要(調査の「その後」)
・地方に拡大した生活クラブへの評価
→東日本各地に拡大した生活クラブがどのような状態
にあるのか?(共通性と異質性)
→生活クラブをめぐる新たな展開
ex.市民風車・市民ファンドetc.
2007.9.15
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