中国の医療保障制度 4年2組 230809 郭玲 目的 • 中国経済が急速に拡大するもとで、世界経済は中国経済の動向に左右 され、今や中国経済を抜きにしては語れないほどまでになってきている。 しかし、中国経済が高度成長を続け、中国の人々は、マイカーとか、マイ ホームとか、モバイル・テレコとか、いわゆる「3M」と呼ばれる消費ブーム を謳歌している一方で、他方では中国の農村の人々とは、そうしたブー ムとは縁遠い社会生活を送っており、このように今日の中国の社会は多 面的な面がある。特に社会保障の問題でいえば、都市の人々と農村の 人々との格差は徐徐に拡大しており、とりわけ医療保障関係にそのこと をみることができる。 はじめに • 国有企業改革のうち、医療保障システムの確立は、都市住民にとって自 らの健康と命の問題である。それだけ、この問題はすべての人々と利害 関係を持っていることもあって、かなり複雑で困難な状況を生んでいる。 従来の伝統的な医療モデルが、市場経済システムに対応させれば、必 ず個人負担が発生し、所得収入に応じた医療サービスが生まれ、それは 低所得者層や経済の遅れた地域の人々を置き去りにすることになるので ある。しかし、市場経済を前提とすれば、誰かが医療コストを負担せねば ならないのであり、個人負担は必要であることも事実である。 • 中国の医療保険制度は大きく3つに分けられる。それは公費医療制度、労保医療制度(いわゆる、労働 医療保険)、そして農村における合作医療保険制度である。前二者は都市住民に対しての制度である。 • 公費医療の費用負担 A 政府の費用負担 1 診療、入院での薬・検査・治療・手術・ベッド代など 2 計画出産における医薬代 3 医療機関が認めた国産・輸入医療器具に対する費用 4 器官における移植の費用 5 公傷による医薬代 6 重病に合って救済すべき高価な医薬代 B 個人の費用負担 1 2 3 4 5 6 売薬などは自費による 初診料、往診料、入院の際の食費や暖房・クーラー代など 予防接種などの費用 美容整形などの費用 指定病院以外における治療費 交通事故などに関する治療費 伝統的なモデルの問題点 • 両者の医療保険制度は社会主義の優越性を強調したこともあって、個人 の費用負担を基本的に無料化にしていたことにあった。それが人々のリ スク意識を弱め、コスト意識を希薄化させ、国民の約30%(つまり、都市 住民)の人々の無料型医療保障を実施していたのである。そのことが伝 統的なモデルの矛盾を発生させ、医療の浪費を高める大きな要因になっ ていたが、逆に企業の負担が増大するということにもつながったのである 。 中国の医療制度改革は、三つの時期に区分できる。 • 第1の時期をみると、1980年代初頭から1987年までが第一期で、この期 間は企業および政府が公費医療に対して独自に改革を進めていた。 • 第2の時期をみると、1988年から1997年の期間で、この時期は前半と後 半に分けられる。 • 第3の時期をみると、1998年3月の朱鎔基政権が誕生して、これまでの改 革における経験を教訓に、施政方針の五大改革の一つとして社会保障 改革が提起され、医療保障制度に関する改革チームが組織され、11月 に国務院から「都市労働者の基本的な医療制度を確立する決定につい て」が公布され、新たな制度の基本的な枠組をしめした。 農村における医療保証制度の現状 • 農村の医療保障制度が買いたい状況にある中で、単なる所得格差とか というような比較でなく、農村部で基本的に医療保障制度の解体が最大 の原因と見るならば、当面、農村部における医療保障制度の確立が早 急に取り組まれるべきである。ただ、現在の中国における各地域の経済 状況はかなりばらつきがあり、そのことを考慮に入れた医療保障制度を 構築すべきであることも当然である。 • 農村合作医療の歴史の経緯 中国における農村合作医療の制度は、一般的に改革開放以前(1978年)と以後で基本的大きい率変化している。 それは改革開放以前が基本的に人民公社のもとでの集団経済を前提に、そして改革開放以後は集団経済の弱 体化、つまり人民公社の解体と前提にしている。 • 改革開放政策導入後から2002年までに、各地の農村で、合作医療がさまざまなタイプ実行されており、 内 容 1、村が自ら管理運営する 村が合作医療所を作り、村の委員会が管理し、その経費は集団と村民によって共同で負担した。実施の対象は 村の住民に限定し、村が合作医療の範囲と基準を定め、これが中国における農村合作医療の主な形態になった。 2、村がベースとなり、郷が管理運営する 村の委員会が合作医療所を作り、その経費は集団と村民によって共同で負担し、合作医療の範囲と基準は、郷 と村との協議によって定め、経費は郷の衛生院あるいは郷の合作医療管理委員会によって統一的に管理し、村 を単位に精算し、超過した経費は村によって負担した。 3、郷・村が連携して管理運営する 郷と村が共同で合作医療所と作り、その経費は集団と村民の出資以外、郷政府もある程度の補助金を出した。 経費は郷によって統一的に管理されたが、郷と村に分けて精算し、留保と請求の割合は、郷と村の協議によって 定め、合作医療の範囲と基準は郷によって定め。 4、郷がベースとなり、自ら管理運営する 郷が合作医療所を作り、合作医療の経費は郷、村と村民の三者によって負担し、郷によって統一的に管理した 経費は統一的に精算し、合作医療の範囲と基準は郷によって定め。 農村合作医療の実施過程における当面の問題点 • 第1点、テスト・ケースに指定された地区での報告が虚偽であり、中央・地 方の資金を騙し取っている問題がある。 • 第2点、合作医療ファンドの管理システムが整っていない問題がある。 • 第3点、農民自らの自主的な参加がなされていないという問題がある。 • 第4点、農民が合作医療に加入しているにもかかわらず、あまりにも利益 が少なすぎるという問題がある。 • 第5点、農民の医療補助に対する請求手続きが農民にとってかなり煩雑 であるという問題である。 おわりに • 今日の医療保険制度は市場経済にいかに対応すべきか、ということから 改革をはじめた。そして、その中でも個人口座は重要な改革の柱であり、 改革の意図として、人々の医療費に対する自覚を促すものであった。し かし、まだそれは成果をあげているとはいえない状況である。医療保険 制度の改革は一歩であり、過渡的なものであり、市場経済にあわせて今 後も変わるものである。
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