開発途上国における女子教育支援のモデルの構築 −日本

開発途上国における女子教育支援
のモデルの構築
-日本における女子教育経験の
応用可能性-
2007年2月6日
「国際教育協力イニシアティブ」国内報告会
お茶の水女子大学
三浦 徹
女子教育支援に必要な学際環境
国際学
女性・ジェンダー学
地域研究
教育学
日本社会における女子教育支援政策
1.子守学校
家庭内の女子の労働力確保(子守等)
と学校教育の双方を満たす
初等教育の発展へ
2.職業訓練教育
女性の職業人養成へ
(洋裁・和裁学校、語学学校等)
女性の経済的自立へ
3.女子の高等教育の発展
教師養成型、研究者養成型、
良妻賢母養成型
子守学校と学校教育(1900年当時の子守学校)
日本社会における女子教育への期待
1.国政への参加
2.家庭教育への貢献
3.女性の社会進出
国家への貢献
現在:教育を受けた女性に対する期待
家庭内 →文化、経済、社会、科学技術など
諸方面でグローバルな活躍が期待
されている
世界における女子教育の現状
世界における
子どもの未就
学者
全体数(人)
1億1,500万
うち女子(人) 6,200万
西部・中央
アフリカ
東部・南部
アフリカ
南
アジア
中東・
北アフリカ
2,400万
2,100万
4,280万 1,030万
1,300万
1,090万
2,350万 580万
2005年UNGEIデータより

途上国における女子の就学を阻む要因
・経済的要因:学費(男子優先)、階層社会、家事労働
・社会文化的要因:早期結婚、宗教的問題、教員の不足、
紛争などによる学校の荒廃
U5MR最低値国の識字率・就学率の状況
U5
MR
成人識字率(%)
男性
女性
初等就学率
(%)(net)
男性
中等就学率
(%)(net)
女性
男性
女性
シエラレオネ
282
47
24
169*
122*
14*
14*
アンゴラ
260
83
54
69*
59*
19*
15*
アフガニスタン
257
43
13
127*
43*
25*
5*
ニジェール
256
43
15
52
37
9
6
リベリア
235
-
-
74
58
22
12
イエメン
102
―
―
87
63
46
21
73
―
―
92
95
45
51
アメリカ
7
―
―
94
90
89
91
日本
4
―
―
100
100
99
100
バングラディシュ
2007ユニセフ子供白書より
*は、net dataが無かった為、gross rateで記載
女子教育の必要性について
乳幼児の死亡率の低下
 職業、生活の選択が広がる
→家族、社会の状況による抑圧、搾取からの脱出
 コミュニティ、地域、国レベルでの意思決定(decision
making)が可能

‐母親の事例 教育を受けなかった母親の子どもは、教育を受けた
母親の子どもの半数しか学校に通っていない
 学校に通っていない子どもの75%は母親が教育を受
けていない
女子教育の効果
教育を受けた少女
経済的自立
意思の確立
結婚年齢が高くなる
産む子どもの数が
減る
自分、家族が早く医療
を受けるようになる
自分、家族の生存の
可能性が高まる
出生率が低下する
学習/教育が改善
自分や家族のケア
や栄養がよくなる
UNGEIについて

経緯:2000年ダカールで行われたWorld Education
Forumにおいて当時の国連総長 Kofi Anan氏
よって結成された。

目的:1. 女子を学校に送るために、関係諸機関と
様々な施策を立て、進めること
2. 女子教育の促進と周知
3. 全ての子どもたちが学校に通えるように政策
的配慮を行い、社会の活性化の促進


活動形態:UNICEFが主要機関となって、UNGEI
の事務局を担当している
構成メンバー(組織:Global Advisory Committee)
国際機関 6団体(UNICEF, UNESCO,
UNDP, UNFPA, ILO, WB )
援助機関 6団体(USAID, CIDA, Norad
DFID, Sida, DANIDA)
国際NGO 6団体
(World Vision, AED,
CAMFED, CAMPE, GCE,
The Commonwealth Secretariat)
開発途上国における女子教育支援に
ついて(調査)
 先進国による女子教育支援政策について
・UNGEIネットワークのプロジェクトの比較分析
 紛争地における女子教育の現状に関する
インタビュー調査
・アフガニスタン女性教員研修など
 途上国における女子教育支援プロジェクトの
現場調査
アフガニスタンの教育について

新憲法と教育関連規定
・2002年 教育高等委員会設置
・2003年 第2回会合
・2004年 教育関連規定制定

教育カリキュラム
・義務教育 9年(6-3制)
・高等教育まで無償
・教育言語は2言語
少数民族の文化と言語の尊
重
・小学校(1-3:共学・別クラス)
・中学・高校(別クラス)
教育の状況
・学校数 約7,000校

(小・中・高を含む)
・生徒数
2,905,940人
(2002年)(女子: 885,312人
男子:2,020,628人)
(2005年)約
5,000,000人
・教師数
73,073人
(2002年)(女性: 20,566人
男性: 52,507人)
アフガニスタンの女子教育について
 女性教員研修より
1.学校の状況:
2.女子の就学状況
Kabul市内:
Kabul市内:
・女性教員が多い
・PC等も援助機関によって配給
されている
・学校の建物も修復されている
地方:(ヘラート、マザリシャリフ等)
・生徒数に比較して教員数の不足
・建物が破壊されたまま
・教材、教科書の不足
・援助機関の援助が届かない
・多くの女子生徒が学校に通う
・保護者の教育への理解も大きい
地方(ヘラート、マザリシャリフ等):
・保護者の教育に対する理解不
足のため、女子が学校に来ない
・治安悪化のため、学校までの道
中を心配して女子を学校に行か
せない

女子の就学を阻む要因
・地理的要因: 学校までの距離
通学路の治安
・社会的要因: 女性教員の不足、
保護者の女子教育への理解、関心
の不足、早期結婚
・経済的要因: 教育に必要な教材、文具を揃える
ことができない

女子の教育を促進する方策
・教育の重要性を保護者に周知
・学校の魅力化(電気の整備、PCの設置、建物の整備、教材の配布、
生徒への食糧等の配給)
1年生の女子児童全員
アフガニスタン女子教育支援の可能性
 研修員に対するインタビュー調査、現地調査など
から
・地理的側面:スクールマッピング、分校の設立
・社会的側面:女性教員の養成、治安の整備
学校教育への理解促進
・経済的側面:学校給食、貧困家庭への支援、
子どもの生活に見合った学校制度
・心理的側面:教育を機会として子どもの可能性
を広げる(希望、志、平和)
・ジェンダーの側面:法律の整備
 学校の魅力化
~学ぶことの楽しさと意味への理解~
学校
PC)
心 (情 図 理 家 保 衛
の
報 工 科 庭 健 生
ケ
教
教 科 ・
教
体
ア
育
育 教 育 育
育
家 庭
地域(コミュニティ)
今後の課題
 日本の女子教育
・明治期から現代までの日本社会の変遷を背景とした
女子教育(初等教育から高等教育まで)の発展
の総括
・女子教育の発展から途上国への女子教育支援に
関する応用可能性を考察する
 UNGEI
・加入している各機関とのネットワークの構築
 女子教育支援
・途上国における女子教育支援の日本のモデルの提言
・<双方向的>教育支援=学びあい、助け合う