品質に関する 「要望と提案」の内容について

品質に関する
「要望と提案」の内容について
1.意見交換会で建コン協は何を要望したか
2.地方整備局からは何を要求されたか
3.出席した自治体の代表の意見は
4.わたし達はどう行動すべきか
品質・環境委員会
平成16年度品質セミ
ナー
要望と提案
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★
エラーの実態
近畿地方整備局の設計点検業務(クロスチェック)の概要
9割強の業務に、何らかの指摘事項。
 指摘事項は、1業務あたり16件。横這い傾向。
 重大なエラーは、減少傾向。 (全体の2割弱)

– 設計計算と設計図面の不整合
– 構造及び安定計算書無し
– 設計基準に不整合

軽微なミスは増加傾向。 (全体の4割強)
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要望と提案
2
★
協会のスタンス
エラーの問題は、意見交換会で指摘されてきた
が、平成11年度に近畿地方整備局のクロス
チェック結果が公表されたことから、定量的な議
論が加わった。
 協会は、平成12年から「品質セミナー」を開始し
た。今年で5年目。既に5年も経った。
 エラー防止は経営問題。
 エラーが減らない会社は、淘汰されることも、
やむを得ない。

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要望と提案
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Ⅱ-4.品質の向上とエラー防止
<わたし達自身が行っていること>
会員は、自らの成果の品質向上に努力
 協会も、品質向上についての課題を強く認識し、
方針提示とその浸透を図る

– ISO9001等のマネジメントシステムの活用
– 技術士やRCCM等、総合監理力と豊富な経験を備え
た技術者の育成
– 技術士やRCCM等の上級技術者による照査

協会はエラー防止と品質向上の定期的なセミ
ナーなどを開催し、会員は参加して勉強
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Ⅲ-4.品質の向上とエラー防止
<地方整備局や自治体にお願いすること>

業務を実施する上で、発注者と建設コンサルタン
トの双方が密に連絡を取り合うことで、成果品の
品質の向上が図られます。
A.業務プロセスの改善
B.照査実施の時間と費用の改善
C.関係者それぞれの責任と権限の確認

設計思想を工事に正しく反映させることも、工事
の品質向上につながります。
D.設計者の施工への関与

その他
– 業務遂行体制や成果の評価に積極的な取組み
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A.業務プロセスの改善

エラーを含んだままの成果を納品してしま
う原因は、大きく2つあります。
– コンサルタントの技術力・管理力の不足
(各社の問題。協会はセミナー等で支援する)
– 業務遂行プロセス上の課題
(発注者とコンサルタントの双務の問題)
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A.業務プロセスの改善

後者の原因は、コンサルタントだけでは解
決が困難。発注者においても対応をお願
いします。
– 発注者は業務計画書の工程を重視し、タイム
リーな条件提示や方針決定をお願いします。
– 一式計上をなくし、業務範囲(成果の内容)や
その他指示事項の文書による具体的な明示
をお願いします。
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B.照査実施の時間と費用の改善

工期の適切な設定と納期の年度末集中の
緩和をお願いします。
– 発注の平準化はかなり進んだ
– 納期は全業務の半数が3月
– 工期不足で生産がやっと。照査不足に

経験豊富な技術者の投入を可能とするよ
う歩掛りの改善をお願いします。
– 照査要領を全部チェックする時間が不足
– 一目で気づく上級者に照査をさせたいが費用
不足
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C.関係者それぞれの
責任と権限の確認
エラーの発生には様々な原因があり、前工程の
作業や与条件のエラーの見逃しや誤解が原因に
なる場合もあります。
 その防止のために、発注者・設計者・施工者、そ
れぞれの責任と権限の範囲・内容の明示を要望
します。

– 与条件として渡された土質調査・測量のエラーに気づ
かずに行った設計のエラーは?
– 与条件として渡された設計図書のエラーに気づかず
に施工した構造物のエラーは?
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D.設計者の施工への関与
設計者は、発注者および地元関係者等の意図を
ベースに、設計図書を作成し提出します。
 しかし提出した後は、その設計意図がどのように
実現されるのかについて、ほとんど関与すること
はできません。
 発注者および地元関係者等に対する設計者とし
ての責任を果たすためには、施工段階において
設計者が設計説明や設計変更にかかわる審査
等で工事に関わるシステムが必要です。
 この業務は契約にもとづいて実施されるように要
望します。

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地方整備局から何を要求された
か?
出席した自治体の代表の意見
は?




業務プロセスの改善
設計者の施工への関与(三者協議)
エラー一般
発注者独自の対応
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★
A.業務プロセスの改善
十分な工期設定や設計条件の明示など、発注者
としてすべきことを徹底したい。
 発注者からの指示待ちの姿勢ではなく、連絡を
密に行う積極的な対応をお願いしたい。

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D.設計者の施工への関与
★
( 三者協議)
設計者の施工への関与については、「連絡会
議」、「工事連携会議」を設置して検討している。
 設計照査の改善として、「設計図書の照査ガイド
ライン」を策定し、施工者からの要請がある場合、
工事監理連絡会を開催して、三者が集まり問題
点や責任等について議論している。
 第三者を入れた照査、発注者・設計者・施工者
による「三者合同会議」、「技術検討会」、「連絡
会」を試行している。

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★
エラー全般
業務成果にミスが多く、大きなミスの割合は減少
しているが、抜本的解決にはなっていない。建設
コンサルタントの一層の対応をお願いしたい。
 構造上重大な不備がある場合は、賠償を請求す
ることや、別途見直すための発注を考えている。
 現場に合わない設計が見受けられ、施工時に不
具合が生じている。照査の徹底をお願いしたい。
 施工者から、設計の不備に対応させられている
との指摘があり、その内容や程度、原因の把握
をしたいと考えている。

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★
発注者独自の対応
第三者による照査を行っており、瑕疵の程度に
よりペナルティーを科すことを検討している。
 他部署による成果品の「技術審査制度」を行って
おり、職員の技術力の研鑚に役立っている。
 照査要領に3段階の照査を定め、成果のミスを
なくすようにしており、詳細設計だけではなく、予
備・概略設計まで拡大している。
 成果品を受け取った後、別の建設コンサルタント
による照査を考えている。

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要望と提案
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では、
わたし達はどう行動すべきか
エラー防止に欠かせない2つの技術
 エラーを減らそう!
 密なコミュニケーションを!
 図面に申し送り事項を!

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エラー防止に欠かせない2つの技術

★
固有技術(専門技術)
– 物を生産するための技術。
– 物理現象・基準・材料・施工などの知識と駆使する能
力。目標とする概念を形成し、まとめ、表現する技術。

管理技術
– 仕事をうまくやる(目標達成の)ための技術
– 段取り、打合せ・調整、進捗管理、育成、PDCA・・・。

野球・サッカーなどチームスポーツの場合
– 個々の選手に求められるのは主に固有技術
– 監督に求められるのは主に管理技術。

2つの技術は車の両輪。両方がバランスよく保
有・発揮されないと、いい仕事を継続できない。
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エラーを減らそう!
(エラーが減らないと、いろいろやりにくい)

人はエラーをする生き物。それを前提に対
策を講じること。
– 人は思い込んだら何回見ても気づかない。
– 知らないことは何回チェックしても解らない。
– 第三者や上位者の目が必要。

エラーの多い成果は、間違いだらけの答
案と同じ、落第点。満点ねらいでなく、要所
を押さえて、まずは全ての業務で合格点を
取る。
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密なコミュニケーションを!

「エラーはインターフェイスで起きる」のが常識。
人と人、作業と作業、異なる工種の間。
[人 発注側担当者
]
A
[作業] 設計計算
[工種] 上部構造

管理技術者
担当技術者
B
C
図面作成
下部構造
数量計算
土工部
管理技術者と設計担当者は密な連絡を。
– よく分からないまま行えば、違うことをする
– 実態を把握してないと、的確な指示を出せない
– 口頭ではすぐに忘れる。文書化すること
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★
プロセス別エラー発生箇所
件
50
45
40
35
30
25
20
15
10
5
0
Eその他
Dアウトプット
C管理手法
B経営資源
Aインプット
出さない
作らない
入れない
数量計算
要望と提案
施工計画
設計図
設計計算
設計条件
基本事項の決定
現地踏査 ・ 資料収集
設計計画
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密なコミュニケーションを!

条件変更や間違えで修正作業が生じると、
エラーが起きる危険が増え、照査をする時
間と費用が無くなる。悪循環!
忙しい!
上司への確認不足、
作業のチェック不足
エラー
発生!
悪循環!
時間が無くなる、
原価が増える
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余計な作業
が増える
要望と提案
変更・修正が
必要になる
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密なコミュニケーションを!

管理技術者が受けた業務(プロジェクト)は、
発注側担当者のプロジェクトでもあり、
監督官のプロジェクトでもある。
監督官がPMをするプロジェクト
発注側担当者がPM
をするプロジェクト
管理技術者がPM
をするプロジェクト
担当技術者
が・・・
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密なコミュニケーションを!

管理技術者と発注側担当者は密な連絡を。
– 業務の段取り、実工程、重要ポイント
– 今後の作業の難易や量や問題の有無
– 監督官や関係機関の承認時期
– 条件や意志決定の遅れが、後工程に及ぼす
影響の大きさ(ポイントは互いに押さえる)
– 照査の行き届き具合
– その他・・・
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要望と提案
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図面に申し送り事項を!
(設計意図や前提条件の確実な伝達)

設計図面は、様々な検討と工夫の成果
– 限られた土質調査や測量結果を基に、
– コスト縮減や環境配慮を工夫し、
– 確かな施工法で構築できる構造物を具体化。
– 発注者や地元関係者等の意図も反映。
施工時の課題や注意事項を明記しないと、
施工者は解らない。
 エラーと与条件や仮定条件に依存する不
具合は全く別物。区別して対処する。

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