新株予約権

新株予約権
新株予約権の意義
• 約定の価格で株式を取得する権利
①株価が1000円以上の場合
行使価格1000円
行使期間H24.12.1~6か月
新株予約権
株式
• 予約権は行使しなくてもよい
②株価が1000円以下の場合
行使価格1000円
行使期間H24.12.1~6か月
新株予約権
新株予約権の正体
• 新株予約権=新株を一定の価格で買う権利=
コールオプション
• オプション・・・何かを購入する(売却する)権利
購入する権利=コールオプション
売却する権利=プットオプション
※それぞれにつき売りポジション(オプション料を収受
し権利を与える)と買いポジション(オプション料を
払って権利を取得する)がある
• 会社=新株予約権者の関係は単なる債権債務
関係であり、株主とは地位が異なる
*下記は二項モデル。他の算
定方法もある
オプション価格の算定
1300
+64.8
1200
60%
40% 1100
+43.2
1100
60% 1100
60%
40% 1000
40% 900
1000
+60
60% 1100
60% 1000
-28.8 40%
40% 900
900
-19.2
60% 900
40%
800
40% 700
時間
60%
300X0.6X0.6X0.6
100X0.6X0.6X0.4
100X0.6X0.4X0.6
-100X0.6X0.4X0.4
100X0.4X0.6X0.6
-100X0.4X0.6X0.4
-100X0.4X0.4X0.6
-300X0.4X0.4X0.4
オプション取引の損益曲線
10
8
6
4
2
損
益
行使価格と市場価格の差額
0
-2
-10
0
10
-4
-6
コール買
コール売
-8
プット買
-10
プット売
新株予約権発行手続のフロー
238~241
募
集
新
株
予
約
権
発
行
の
決
定
242Ⅰ
募
集
事
項
通
知
払
込
・
給
申 付
込
み
所定の払込期日or
行使期間開始前日(246)
割当日
無償発行可
割
当
て
243
242Ⅱ
発
行
915Ⅰ
205
2w以内
総数引受契約
245
割当日の前2w
募集事項の通知・公告
(既存株主向け)
240Ⅱ
(公開会社)
登
記
払
込 権
・
給 利
付 行
使
期
間
初
日
(参考)新株発行手続のフロー
199~201
203Ⅰ
募
集
株
式
発
行
の
決
定
募
集
事
項
通
知
払込期日・
払込期間初日
の前日まで
申
込
み
203Ⅱ
205
割
当
て 引
204
受
け
207,208
209
払
込
・
給
付
発
行
総数引受契約
206
払込期日・払込期間初日の前2w
募集事項の通知・公告
(既存株主向け)
201Ⅲ
(公開会社)
915Ⅰ
2w以内
登
記
新株予約権発行の決定権限
非公開会社
株主割当
第三者割当
公開会社
株主割当
第三者割当
有利発行
原則
株主総会
(241Ⅲ④)
株主総会
(238Ⅱ)
取締役会
(241Ⅲ③)
取締役会
(240Ⅰ)
株主総会
(240Ⅰ)
総会決議よ
る委任
不可
取締役(会)
に委任可
(239Ⅰ)
N/A
N/A
取締役会に
委任可
(239Ⅰ)
定款による
権限委譲
取締役(会)
(241Ⅲ①②)
不可
その他
株主総会への
権限委譲は許される
既存株主へ
の通知公告
(240Ⅱ以下)
基本的には新株発行と同じ決定構造
〔理由〕 新株発行規制の潜脱防止
不可
(参考)新株発行の決定権限
非公開会社
株主割当
第三者割当
公開会社
株主割当
第三者割当
有利発行
原則
株主総会
(202Ⅲ④)
株主総会
(199Ⅱ)
取締役会
(202Ⅲ③)
取締役会
(201Ⅰ)
株主総会
(201Ⅰ)
総会決議よ
る委任
不可
取締役(会)
に委任可
(200Ⅰ)
N/A
N/A
取締役会に
委任可
(200Ⅰ)
定款による
権限委譲
取締役(会)
(202Ⅲ①②)
不可
その他
株主総会への
権限委譲は許される
既存株主へ
の通知公告
(201Ⅲ以下)
不可
新株予約権の有利発行
1. 「有利発行」の意味
 新株予約権の価格(=オプション価格)が時価より
も著しく有利であること
 行使価格と時価の差額は問題にならないし、[(株
式の時価-行使価格)-新株予約権価格]も問題
にならない(金融理論的に算出されたオプション価
格との差額だけが問題)
2. 有利発行の例外
 取締役に対するストックオプションは、低額・無償で
も有利発行規制に服さず、報酬規制にのみ服する
新株予約権の譲渡
I. 譲渡方法
・・・4種類ある(社債とパラレル)
効力等
種類 記名式証券
の発行
無記名式証券
の発行
効力要件①
効力要件②
対 対会社
抗
要 対第三者
件
証券不発行振替
制度不採用
振替制度採用
意思表示の合致
証券の交付(255Ⅰ)
―
新株予約権原簿に記載(257Ⅰ~Ⅲ)
証券所持
(257Ⅱ)
証券所持
新株予約権原簿
(257Ⅲ,民86Ⅲ) に記載(257Ⅰ)
口座簿の記載
(振替174)
不要(振替190)
※口座簿の記載で
決まる
※新株予約権に譲渡制限を付することは可能。定款の記載等は不要であり、発
行時に決定機関が定めればよい(会236Ⅰ⑥,238Ⅰ①)。ただし振替制度の
採用は交付株式が振替株式の場合に限られ、かつ譲渡制限付新株予約権
は振替の対象にできない(振替163括弧)
※※ 会社による自己新株予約権取得は自由(会276参照)。取得条項付新株
予約権も発行可(会236Ⅰ⑦、273)
II. 新株予約権原簿
・・・株主名簿とほぼ同様の意味
記名式証券発行
(会249③イ~ニ)
無記名式証券発行
(会249①)
新株予約権原簿の
記載事項
証券不発行振替制度
不採用(会249③イ~ハ)
振替制度採用
(振替184Ⅱ)
予約権の内容と数
証券番号
予約権者の住所氏名
取得日
振替の適用が
ある旨
予約権者の住所氏名
取得日
 新株予約権原簿の閲覧謄写請求(会252Ⅱ~Ⅳ)
・・・株主名簿閲覧謄写請求と同様(新株予約権者
は「債権者」扱い)
新株予約権の行使
I. 行使手続
i.
行使期間内に、①行使にかかる新株予約権の内容と数、
②行使日を明らかにし、③証券発行時は証券を会社に
提出(振替の場合は抹消申請して)行使(会280ⅠⅡ,振
替188)
ii.
行使日に払込取扱い金融機関に予約権で定められた
権利行使価格を全額払込み・給付(281ⅠⅡ)。現物出
資の場合には給付後遅滞なく検査役の調査(またはそ
れに代わる専門家の証明)が必要(会284)
II. 株式の発行
i.
ii.
新株予約権者は行使日に株式を取得(会282)
登記は月毎に月末から2週間以内(会915Ⅲ①)
新株予約権発行の瑕疵
I. 差止(会247)
1. 差止事由
・・・基本的に新株発行と同じ
2. 差止対象
・・・募集新株予約権発行のほかに、新株予約権無償割当に
ついても差止規定が類推適用される(東京高決H19.7.9
ブルドックソース事件控訴審)
II. 新株予約権発行無効(828Ⅰ④)
1. 無効事由
・・・基本的に新株発行と同じ
III. 違法な新株予約権と新株の発行差止・無効
(会210,828Ⅰ②③)
1. 新株予約権発行に差止事由があった(が差止め
がなされなかった)場合の新株発行
 差別的行使条件付新株予約権無償割当てが著しく不公
正(会247Ⅰ②)であった場合、予約権行使による新株発
行を差し止めることができる(東京高決H20.4.3ピコイ事
件)
※無償割当ては取締役会決議で行え、通知・公告不要のため予約権
段階での差止の機会がない。なお、このようなケースでは新株発行
は当然無効(828条の訴えを待たずに遡及的に無効)とする説もある
2. 行使条件違反の予約権行使

行使条件に違反して新株が交付された場合には新株発
行無効の訴えによって発行を無効にできる(最判
H24.4.24) ・・・こちらも予約権段階での差止め困難