第1章 日本の学校制度の概要 • (1)「学校」とは • ・一般的には、そこで学ぶものに対して系統的な教育を 行う場所、施設 • ・日本で「学校」という用語が一般的に使われるように なったのは、明治以降で、それ以前の教育施設は、藩 校、寺子屋、塾、学問所などと呼ばれていた。 • ・英語ではschool(古代ギリシャ語のschole:スコレー (暇)、ラテン語でshola:スコラ(学術)、に由来) 2015/9/28 第1章 日本の学校制度の概要 1 第1章 日本の学校制度の概要 • (2)現代日本における学校 • ①教育基本法 – (学校教育) 第六条 法律に定める学校は、公の性質を有するものであって、国、 地方公共団体及び法律に定める法人のみが、これを設置す ることができる。 2 前項の学校においては、教育の目的が達成されるよう、 教育を受ける者の心身の発達に応じて、体系的な教育が組 織的に行われなければならない。この場合において、教育 を受ける者が、学校生活を営む上で必要な規律を重んずる とともに、自ら進んで学習に取り組む意欲を高めることを重 視して行われなければならない。 2015/9/28 第1章 日本の学校制度の概要 2 第1章 日本の学校制度の概要 • ②学校教育法 – 第1条 この法律で、学校とは、幼稚園、小学校、中学 校、高等学校、中等教育学校、特別支援学校、大学及 び高等専門学校とする。 – 第2条 学校は、国(国立大学法人及び独立行政法人 国立高等専門学校機構を含む。以下同じ。)地方公共 団体(公立大学法人を含む。次項において同じ。)およ び私立学校法第3条に規定する学校法人(以下学校法 人と称する。)のみが、これを設置することができる。 高専:64校(1961年改正) 中等教育学校:27校(1998年改正) 特別支援学校:旧盲学校、聾学校、養護学校を一本化 (2007年) 2015/9/28 第1章 日本の学校制度の概要 3 第1章 日本の学校制度の概要 • ③1条校に準ずる「学校」 • 1)専修学校 – 第1条に掲げるもの以外の教育施設で、職業若しくは実 際生活に必要な能力を育成し、又は教養の向上を図るこ とを目的として次の各号に該当する組織的な教育を行う もの(当該教育を行うにつき他の法律に特別の規定があ るもの及び我が国に居住する外国人を専ら対象とするも のを除く。)は、専修学校とする – 1.修業年限が1年以上であること。 – 2.授業時数が文部科学大臣の定める授業時数以上であ ること。 – 3.教育を受ける者が常時40人以上であること。 – (学校教育法第124条) 2015/9/28 第1章 日本の学校制度の概要 4 第1章 日本の学校制度の概要 • 1-2)専修学校の課程と呼称(学校教育法125条) • ・高等課程(高等専修学校) – 中学校若しくはこれに準ずる学校を卒業した者若しくは中 等教育学校の前期課程を修了した者又は文部科学大臣 の定めるところによりこれと同等以上の学力があると認め られた者に対して、中学校における教育の基礎の上に、 心身の発達に応じて前条の教育を行う – 高等課程を置く専修学校は、高等専修学校 と称すること ができる • ・専門課程(専門学校) – 高等学校若しくはこれに準ずる学校若しくは中等教育学 校を卒業した者又は文部科学大臣の定めるところにより これに準ずる学力があると認められた者に対して、高等 学校における教育の基礎の上に、前条の教育を行う – 専門課程を置く専修学校は、専門学校と称することがで きる 2015/9/28 第1章 日本の学校制度の概要 5 第1章 日本の学校制度の概要 • 2)各種学校(学校教育法134条) – 第134条 第1条に掲げるもの以外のもので、学校教育に 類する教育を行うもの(当該教育を行うにつき他の法律に 特別な規定のあるもの及び第124条に規定する専修学校 の教育を行うものを除く。)は、各種学校とする。 • ④学校教育法以外の法律に規定されている教育施設の例 – 職業訓練施設=防衛大学校、航空大学校、気象大学校、 自治大学校、職業訓練大学校など – 児童福祉施設=保育所、児童厚生施設、児童養護施設 など – 社会教育施設=公民館、図書館、博物館など – 矯正教育施設=少年院、少年鑑別所など 2015/9/28 第1章 日本の学校制度の概要 6 2015/9/28 第1章 日本の学校制度の概要 7 第1章 日本の学校制度の概要 • (4)「学校」の成立過程 • ①奈良時代(大化の改新による律令国家の成立) • ②なぜこの時代に「学校」組織が成立したのか – 行政府と行政機構が整備 – 地方の行政単位としての国、郡、里が整備 • ③この時代に登場した「学校」 – 1.大学寮:中央の官僚養成機関 – 2.国学:地方の官僚養成機関、郡司の子弟を対象 – とする教育機関 2015/9/28 第1章 日本の学校制度の概要 8 第1章 日本の学校制度の概要 • ④その後、僧侶のための学校、武士の子弟のための学校(藩校)、民衆 のための教育機関(寺子屋)、私塾(吉田松陰の松下村塾)など – 主な藩校 • 日新館(会津藩)、興譲館(米沢藩)、弘道館(水戸藩)、明倫館 (長州藩)、弘道館(佐賀藩)、時習館(熊本)、造士館(薩摩藩)な ど – 明治以降、一部は、高等中学(旧制高校)等の改組を経て大学へ、ま た、一部は、尋常中学を経て戦後の新制高校等へ • 金沢藩・明倫堂(1792年)→現金沢大学 • 松本藩・崇教館(1793年)→重要文化財旧開智学校、一部現長野 県松本深志高等学校 • 吉田藩(三河国)・時習館(1752年)→名称を借り受けて愛知県立 時習館高等学校 • 尾張藩・明倫堂(1783年)→現愛知県立明和高等学校 • 田原藩・成章館(1810年)→愛知県立成章高等学校 • 長州藩・明倫館:萩(1719年)→現明倫小学校・山口県立萩高等 学校 2015/9/28 第1章 日本の学校制度の概要 9 第1章 日本の学校制度の概要 • ⑤江戸末期:西洋の進んだ科学技術の摂取をめざした幕府 直轄の施設 – 蕃所調室設置(1856、安政3、後に洋書調室、開成所、東 京帝国大学の母体となる) – 長崎海軍伝習所、軍艦訓練所、西洋医学所など • ・その他、各藩における洋学教育機関 • ・これらの教育施設の特徴は何か – 特定の身分、階層の人たちを対象 – 特別の目的を持った施設 2015/9/28 第1章 日本の学校制度の概要 10 第1章 日本の学校制度の概要 • (5)すべての国民を対象とする全国的な学校制度(公教育制度)の成立 • ①学制( 1872(明治5)年7月) • ・「被仰(おおせい)出書(だされしょ)」(「学制序文」「学事奨励に関する被 仰(おおせい)出書(だされしょ)」) • その趣旨 • 1.人間が才能、技能を発達させ、幸福な生活を送ることができるのは、学 問以外には求められない、 • 2.そのためには全人民が学校に通うことが必要、 • 3.これからの学問は「実学」を中心とする、 • 4.就学に身分、性の区分はない、 • 5.学問は国や汎のためにあるのではなく、個々人のためにある、 • 6.したがってその費用は各人が負担する 2015/9/28 第1章 日本の学校制度の概要 11 第1章 日本の学校制度の概要 • ②学制の概要 – 1.全国を8の大学区(翌年7)に分け8大学校、1大学区を 32中学区にわけ256中学校、1中学区を210小学区にわ け53760小学校を置くことを定めた。(フランスの学制にな らった) – 2.小学校:8年制(下等小学校4年、上等小学校4年) – 3.東京、愛知、大阪、広島、長崎、新潟、青森(当初は 石川も)に本部 2015/9/28 第1章 日本の学校制度の概要 12
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