反転理論(reversal theory) (動機づけ理論)

反転理論(reversal theory)
(動機づけ理論)
• M.J. Apter 1989 Reversal theory;
Motivation,Emotion and Personality.
Routledge
• Apter の訳本としては
• M.J. アプター『デンジャラス・エッジ −「危
険」の心理学 』講談社(1995)がある
• 反転理論の出発点は人々が自分の動機
を経験するいろんな在り方の分析であっ
た。
• この分析は動機づけ、感情、パーソナリ
ティの統合理論へと発展していった。これ
らの分野の基本仮定に挑戦した
• 1970年代中頃 K.C.P.SmithとM.J.Apterが
基本的考え提起した。
• Apterが体系的理論に発展させた。
• 発展しつつある話題:スポーツとゲーム、
宗教経験、教育、創造性
• 理論的係わり:自我と同一性、学習理論、
進化論的生物学
• 《今世紀前半の動機理論》(反転理論からの批
判)
• 常に、生体は1つもしくは複数の動機変数をでき
るだけ低くしようとする。動因低減説(Hull)、比較
行動学(Lorenzなど)
• しかし,興奮つまり動因を下げようとするよりも上
げようとすることがあるという事実に気がついた。
代表的研究:単調な環境(感覚遮断実験のような
環境)はリラックスよりも退屈を生じさせる。
• →好奇動因、探索動因を仮定する。(最初の反
応)
• →最適覚醒(最適水準)の考え。(図)
(Hebb,1955)(こちらのほうがよい)(次へ)
• 低いというよりも中間の覚醒水準が好まれる。
• 低も高も極端な水準はさけられる。
• あるときは覚醒を増大し、あるときは覚醒を減少
させる。
• BUT 性的興奮のように不快と同程度の覚醒が
おこり、快である現象がある。
• 生活には興奮度が高い活動例がたくさんある。
• スリラー映画、登山などの危険な活動、ローラー
コースター、ギャンブル
• 快で高覚醒状態(休暇に外国にいく、スリ
ラーの緊張場面を読む、均衡しているとき
に重要なゲームをする、絶頂に達しそうに
なる)
• 快で低覚醒状態(眠りにはいる直前、風呂
に入る、きつい仕事の後リラックスする、お
いしい食事をした直後)
• などにより最適覚醒の考えは疑問。註
• 註)最適水準(adaptation level)の考えは,Helson,H. のもの
のほうが有名で,普通はこちらに言及している。この場合
は,最適覚醒ではなく,最適刺激量である。最適刺激量は
覚醒のようにいくら多くてもいいということにはならない。
• Apterの覚醒から攻めることの利点は,モードの移行をう
まく処理できる点である。確かに最適刺激では説明できな
い,最適水準が移動することを処理できている。その点を
利用しながらも,実際の応用では最適刺激量を考える方
が実践的であろう。刺激量は外部と内部を連結する考え
に対して,覚醒と快だと内部同士の結びつけになっている。
• Helson,H.(1959) Adaptation level theory. in S.Koch(eds.)
Psychology: a study of a science.(Vol.1) McGraw-Hill.
《反転理論》
• いくつかの動機変数には、異なる環境と異なる
時間において、生体が逆戻りするような1つ以上
の好みの水準がある。
• 特に、当該のそれぞれの次元の端または端の方
向に2つの好みの水準があって、一方が他方に
置き変わるとき、その度ごとに、生体の意図の方
向に劇的な切り替えがある。
• →2極安定の原則
• →図
•
• 動機づけとメタ動機づけを区別する
• →統制と調整の区別 多くの動機づけ理論は調整のみの
理論である。
• つまり、他の理論では
• 生体が何を望むかを同じにしておいて(統制場面)、それ
を得るのにどの程度うまくやるか(調整)がいろんな環境
下で変化する。
• 生体が、ある基本点において、何を望むかも変化し、メタ
動機モードの間で反転が起こると劇的にそれは変わる。
• 望んでいるものを得た瞬間に、全く別の両立不可能なも
のを欲していることが分かることがある。ディスコにいった
とたんに、静寂。田舎にいったとたんに刺激。
• 幸福のままいる、楽しい喜びのままでいることは、予測
不可能な風の中でコースを維持しているようなものであ
る。
手段と目的の経験
• 目的指向のとき(telic mode) と活動指向の
とき(paratelic mode)がある。
• 目的指向…目的が手段を正当化する。未
来指向 目標達成の快は未来にある,覚醒
回避モード
• 活動指向…手段が目的を正当化する。現
在指向、今ここでの快,覚醒探究モード
義務のないとき
•
《反転理論から見た感情》
• 感情の相互関係に焦点を当てる。
• 快楽トーン次元に2つの対立次元がある。反転
の結果、快楽トーン次元は覚醒次元を逆転する。
その結果、快は不快になり、不快は快になる。
• 快楽と快適の区別と対応
• 快楽=覚醒探求モードの興奮
• 快適=覚醒回避モードの弛緩
•
•
反転理論をサポートする研究
• 吉田倫幸 (1994). 感性・快適性と心理生理指標 日本音
響学会誌, 50, 489-493.
吉田倫幸 (2002). 脳波リズムに基づく快適度評価手法
食品・食品添加物研究誌(FFIジャーナル), No.202, 26-30.
– 快・不快,鎮静・興奮の2軸とよい気分(リラックス),い
らいら,わくわく,たいくつの4つの感情
脳波ではかるので,実行中に測ることができる。コーヒーを飲
むと飲んだあと30秒くらい快が顕著に高まっている。オレンジ
ジュースの場合飲んだあとにそれほど高まらない。ビールの場
合,飲んで2,30秒後から快が15秒ほど顕著に高くなる。ということ
がわかる。
フロー理論
• 感情に関して反転理論と似ている図式をつくって
いる。
• M.チクセントミハイ著 (今村浩明訳)『フロー体験
喜びの現象学』 -- 世界思想社 , 1996
• インターネットの消費者心理 “フロー体験”の解
明に向けて(米国の研究紹介)【前編】
http://www.jmrlsi.co.jp/menu/btrend/2003/journal
_1.html