技 術 資 料 - ハードロック工法協会

HR:ハードロック工法
衝撃掘削鋼管推進工法
技 術 資 料
2005年度版
ハードロック工法協会
技 術 資 料
目 次
1.工法の概要
−−−−−−−−−
1
(1)ハードロック工法の特徴
−−−−−−−−−
1
(2)先導体の形状
−−−−−−−−−
2
(3)推進機
−−−−−−−−−
3
2.適用範囲
−−−−−−−−−
4
(1)適用地盤
−−−−−−−−−
4
3.標準作業手順
−−−−−−−−−
5
4.補助工法
−−−−−−−−−
8
(1)補助工法が必要な地盤
−−−−−−−−−
8
(2)地盤改良断面
−−−−−−−−−
8
−−−−−−−−−
9
(1)鋼管種類
−−−−−−−−−
9
(2)標準鋼管厚
−−−−−−−−−
9
(3)管加工
−−−−−−−−−
9
(4)鋼管の仕様
−−−−−−−−−
9
−−−−−−−−−
10
(1)本管挿入工
−−−−−−−−−
10
(2)スペーサーバンド
−−−−−−−−−
11
7.中詰め注入工
−−−−−−−−−
12
8.滑材注入工
−−−−−−−−−
13
9.坑口工
−−−−−−−−−
14
10.立 坑
−−−−−−−−−
15
(1)円形発進立坑
−−−−−−−−−
15
(2)小判形発進立坑
−−−−−−−−−
16
(3)斜め発進の場合の限界角度
−−−−−−−−−
17
(4)到達立坑
−−−−−−−−−
18
11.施工プラント配置
−−−−−−−−−
19
12.標準工程
−−−−−−−−−
20
13.計算による許容推進延長の検討
−−
21
5.推進管
6.本管挿入工
(1)考え方
−−−−−−−−−
21
(2)推進管に作用する鉛直等分布荷重の算定
−−−−−−−−−
21
(3)許容推進延長の算定
−−−−−−−−−
22
許容推進延長の検討例
−−−−−−−−−
23
1.工法の概要
(1)ハードロック工法の特徴
ハードロック工法は、次のように分類される。
管渠の利用方法:鋼製さや管方式
掘削方式 :水平ボーリング方式一重ケーシング式
(ダウンザホールハンマーによる衝撃掘削式)
図−1 ハードロック工法施工概要図
本工法の主な特徴には、次のようなものがある。
1)岩盤、玉石・転石混り砂礫の推進が可能である。また、硬い岩盤ほど威力を発揮する。
2)推進管径より大きな径の転石が存在しても問題なく推進できる。
3)大小2本のダウンザホールハンマーによる打撃破砕を行うことで細かい方向制御が可能
となり、玉石・転石混り砂礫でも非常に精度よく推進することが可能である。また、地層
の変化による推進精度への影響が少ない。
4)推進時に先導体を地山へ押しつける必要がないため小さな推進力で推進可能であり、反
力壁が不要である。
5)比較的小さな立坑から発進できる(標準で円形立坑の場合φ3000∼、小判形立坑の
場合2500×4541∼)。また、既設人孔(1号人孔)への到達が可能。
6)長距離推進が可能(先導体の交換により岩盤で最大150m)。
7)推進鋼管をパイロット管とした拡大方式により、岩盤でφ800以上のヒューム管、ダ
クタイル管の推進が可能。
-1-
(2)先導体の形状
補助ハンマー
主ハンマー
岩盤用
礫、玉石用
図−2 先導体ハンマーヘッド
エアホース
管径+20㎜
補助ハンマー
主ハンマー
φ400:L=1,550mm,φ500∼φ600:L=1,600mm∼1,700mm,φ700∼φ800:L=1,650mm∼1,800mm
図−3 先導体 側面図
-2-
(3)推進機
① スライドベース
② 油圧シリンダー
③ 油圧モーター
④ 操作レバー
⑤ 回転軸
⑥ 管振れ止め
図−4 ハードロック工法推進機
表−1 推進機仕様
400型
600型
800型
400
㎜
500 ∼ 600
㎜
機械幅:a
1,280
㎜
1,530
㎜
2,100
㎜
機械長:b
1,500
㎜
2,550
㎜
2,600
㎜
機械高:c
1,700
㎜
1,700
㎜
2,200
㎜
600
㎜
650
㎜
800
㎜
推進力
98.0
kN
219.8
kN
343.5
kN
引抜力
49.0
kN
110.0
kN
171.7
kN
最大回転力
42.9 kN ・ m
96.7 kN ・ m
190.7 kN ・ m
定格回転力
35.8 kN ・ m
80.5 kN ・ m
158.9 kN ・ m
適用管径
機械芯高:h
回転数
モーター出力
機械重量
700 ∼ 800
㎜
0 ∼ 4.3
rpm
0 ∼ 3.8
rpm
0 ∼ 3 .6
rpm
30.0
kw
37.0
kw
75.0
kw
3,500
kg
4,500
kg
11,000
kg
-3-
2.適用範囲
(1)適用地盤
表−2 適用地盤と推進距離
1 スパ ンの最大推進距離
先導体推進
耐用距離
適用範囲
土質分類
さや管径
φ 500 以上
玉石、転石
混り砂礫
積算資料に
おける呼名
φ400
Ⅰ
玉石・転石径 0.6・D以下
80.0 m
60.0 m
40.0 m
A土質
Ⅱ
玉石・転石径 0.6 ・ D ∼ 0.8 ・ D
70.0 m
60.0 m
40.0 m
B土質
Ⅲ
玉石・転石径 0.8・D以上
60.0 m
60.0 m
40.0 m
C土質
軟 岩 Ⅰ
圧縮強度 40
N/mm 以下
2
180.0 m
150.0 m
60.0 m
D土質
軟 岩 Ⅱ
圧縮強度 80 N/mm 以下
2
150.0 m
150.0 m
60.0 m
E土質
中 硬 岩 Ⅰ
圧縮強度 120 N/mm 以下
2
120.0 m
150.0 m
60.0 m
F土質
中 硬 岩 Ⅱ
圧縮強度 150 N/mm 以下
2
100.0 m
150.0 m
60.0 m
G土質
硬 岩 Ⅰ
圧縮強度 180
N/mm 以下
2
85.0 m
150.0 m
60.0 m
H土質
硬 岩 Ⅱ
圧縮強度 210
N/mm 以下
2
70.0 m
150.0 m
60.0 m
I土質
硬 岩 Ⅲ
圧縮強度 210
N/mm 以上
2
50.0 m
150.0 m
60.0 m
J土質
※1.Dは推進管の径を表す。
※2.玉石、転石混り砂礫層において、表−2に示す最大推進距離を越える推進延長を計算する場
合には地盤構成等によっては最大推進距離が10.0m程度長くなりますのでハードロック工法協会
までお問い合わせ下さい。
-4-
3.標準作業手順
図−5 標準作業手順
(1)推進機設置・推進管据付 (2)初 期 掘 進 工 (3)先 導 体 取 付 工
・特殊メタル取付・取外工を含む
・岩盤推進時のみ実施
(4)推 進 作 業 (5)ズ リ 出 し (6)推 進 管 据 付 (7)先導体到達・鏡切り (8)先 導 体 撤 去 (9)ズ リ 出 し 清 掃 (10)推 進 機 撤 去
(11)本 管 挿 入 (12)中 詰 め 注 入
(13)後 片 付 け -5-
玉石・転石混り砂礫層
では滑材注入を行う
所定推進延長
まで繰り返す
(1)立坑内にHR型推進機をトラッククレ−ンにて吊り降ろし、既に埋設されているアン
カ−に回転力、推進力に依る変動の起こらぬように確実に、固定する。
(2)推進機に鋼管を据え付け、先端に特殊メタル取り付けパイロット孔を1.5m以上削孔
する。これは初期発進時にHR工法用先導体の振れを無くし、方向精度を保つためであり、
岩盤推進の場合には必ず行わなければならない。(岩盤推進時のみ必要)
(3)先導体を推進機に据付、最初の推進管を接続する。この時特に注意する事は、接続精度
はもちろんだが、ホ−スの接続は絶対外れないように確実に締め付け、ア−ク溶接で仮付け
する。
(4)∼(6)推進時には岩質、岩強度に合わせてエア圧力を調整する。また、岩質によって
はエアと清水を混合し掘進する。管内のズリは測量及び推進の妨げにならないようであれ
ば、常に排出する必要はないが、たまりすぎると方向修正機能の働きが不十分になるため注
意しなければならない。
-6-
(7)∼(8)鏡切り及び先導体撤去時はガス切断によりおこなうが、エアホ−ス、シ−ル
等痛めないように注意しなければならない。
(9)∼(10)エアホ−ス撤去後管内の最終ズリ出し、清掃を行い推進機を撤去する。
(11)本管にスペ−サ−バンドを取り付け、さや管内に挿入する。
(12)さや管を接続し管口を閉塞する。注入口は発進側、エア抜き口は、到達側に各2カ所
ずつ取り付ける。エア抜き口よりモルタルが吹き出すまで注入を行い充填完了確認。
(13)機械、資材等の搬出後、坑内の清掃・場内の清掃を行い引き上げる。
-7-
4.補助工法
(1)補助工法が必要な地盤
次のような場合には、補助工法として地盤改良が必要となる場合がある。
1)滞水砂層及び滞水砂礫層(礫径75mm以下)
土砂取込み口から地下水と共に砂が流入し、周辺地盤を緩めるおそれがある。
2)次に示すような各地盤と岩盤が接する場合
図−6 補助工法が必要な地盤構成の例
※
砂、砂礫、 N 値10未満の粘性土
管布設位置
※
砂、砂礫、 N 値10未満の粘性土
地盤改良
地盤改良
管布設位置
岩 盤
岩 盤
玉石・転石混り砂礫層
玉石・転石混り砂礫層
(※.礫径75㎜以下の層)
(2)地盤改良断面
地盤改良を行う場合の改良断面例を次に示す。
地盤改良部には強度が必要です。従って、改良工法としては、CCP、JSG、CJG等を選択
して下さい。
1 000
図−7 地盤改良断面例
1 000
D
D
1 000
D
-8-
1 000
5.推進管
(1)鋼管種類
一般構造用炭素鋼管(JISG3444 STK−400)
(2)標準鋼管厚
t= 9.5 ㎜
(3)管加工
鋼管を使用管長に切断し、片開先加工(ベベルカット)を行い推進管とする。鋼管の加工は
推進精度を確保するため工場での旋盤加工を標準とする。
30゜
t
3∼4㎜
図−8 ベベル加工図
(4)鋼管の仕様
表−3 鋼管の仕様
推進管呼径 (㎜)
管 厚
管外径
単位重量
(㎜)
(㎜)
( kg/ m)
400
9.5
406.4
93.0
500
9.5
508.0
117.0
600
9.5
609.6
141.0
700
9.5
711.2
165.0
800
9.5
812.8
188.0
-9-
6.本管挿入工
(1)本管挿入工
推進完了後推進管(鋼管)をさや管とし、各種本管を布設する。本管を所定の勾配に布設する為
に固定バンド(スペ−サ−バンド)を2.0m間隔に取り付ける。
1)下水道布設本管用塩化ビニル管には下水道用硬質塩化ビニル管( JSWSK-1)片受直 管接着タイプ(VU - ST ) を使用する。ゴム輪受口片受直管は使用しない。
2)その他の本管は設計による。
3)布設本管1本の長さは、(発進立坑長 − 1.0m程度)とする。
布設本管
さや管(鋼管)
中詰め材
スペーサー
2.0m
図−9 本管挿入概要図
表−4 本管用硬質塩化ビニル管寸法
呼び径
外 径
厚 さ
近似内径 ( 参考 )
1m当り質量
(㎜)
D(㎜)
t(㎜)
d(㎜)
( kg)
150
165
5.1
154
16.0
200
216
6.5
202
27.0
250
267
7.8
250
40.4
300
318
9.2
298
57.0
350
370
10.5
348
75.8
400
420
11.8
395
97.3
450
470
13.2
442
122.7
500
520
14.6
489
151.3
600
630
17.8
592
228.1
t
d
t
-10-
D
(2)スペーサーバンド
本管を布設するために固定バンドを使用する。さや管内に本管を挿入するとき図に示す鋼製のバ
ンドを取り付け、計画勾配に合わせるように脚部を調整する。取り付け間隔は2mに1個とする。
図−10 スペーサーバンド(ノーマルタイプ)
表−5 スペーサーバンド寸法
呼び径
φ150 φ200 φ250 φ300 φ350 φ400 φ450 φ500 φ600
寸 法
外径D(㎜) 165.2
幅 B(㎜)
50
216.3
267
318
370
420
470
520
630
50
50
50
100
100
100
100
100
-11-
7.中詰め注入工
次の手順で中詰め注入を行う。
1)注入口の取付 本管の両端をさや管に固定し、注入口及び空気抜き口を取り付ける。
2)注入機械設置 立坑上部にグラウトポンプ、ミキサー、タンクを設置する。
3)注入材料 配合表のとおり。
4)注 入 工 さや管と本管の空隙部に中詰め注入材を注入する。注入材料をミキサーでよ
く混合し、グラウトポンプで低圧注入する。
図−11 注入工設備図
表−6 中詰め注入材標準配合表
3
(1m 当り)
種 目
形状・寸法
単位
セメント
普・ポ
kg
500
kg
100
ベントナイト
水
@
-12-
数 量
800
8.滑材注入工
推進管の外周面の摩擦抵抗を低減し、推進距離を向上させるために滑材の注入を行う。
(1)玉石・転石混り砂礫の推進においては、推進開始から終了まで滑材の注入が必要であ
る。
(2)岩盤においては、推進管の径によって表−7の距離を超える場合には推進開始から終了
まで滑材注入が必要である。
表−7 岩盤で滑材が必要となる限界距離
φ 400
鋼 管
φ 500
60m以上 100m以上
φ 600
φ 700
φ 800
90m以上
80m以上 70m以上
(3)玉石・転石混り砂礫における注入量は、浸透量も考慮し管外径+80㎜とし、岩盤にお
いては管外径+40㎜とする。
(4)注入材料
滑材の配合は表−8による。
表−8 滑材の配合
3
(1リットルm 当り)
種 目
形状・寸法
単位
ベントナイト
250メッシュ
kg
125
CMC
kg
4
マッドオイル
㍑
ハイゲル
kg
水
3
m
数 量
40
2
0.9
注 通常の滑材が散逸するような透水係数の大きな地盤および滞水が多い地盤では、推
進管に過大な土圧作用が加わり所定の推進距離の施工が困難となる事や、施工精度に
支障をきたす恐れがあります。上記の様な地盤条件においては、瞬結性の滑材を注入
する事により先導体後方の地盤を硬化させる事で施工を可能にします。
-13-
9.坑口工
玉石・転石混り砂礫及び岩盤においても滑材注入を必要する場合には滑材の流出を防ぎ、又
土砂の立坑内への流入を防止するために推進開始前に坑口を取り付ける。
図−12 坑口止水器標準図
表−9 坑口止水器寸法表
推進管呼径
φ 400
φ 500
φ 600
φ 700
φ 800
φ 800
鋼 管
鋼 管
鋼 管
鋼 管
鋼 管
ヒューム管 ヒューム管 ヒューム管 ヒューム管 ヒューム管
推進管外径 A
406.4
508.0
609.6
711.2
812.8
960
1 080
1 200
1 310
1 430
押え板内径 B
510
610
710
810
920
1 030
1 150
1 270
1 380
1 500
坑口胴径 C
550
650
770
870
980
1 100
1 220
1 340
1 450
1 570
押えゴム内径
310
410
510
610
710
840
960
1 060
1 170
1 290
坑口総外径 D
610
710
830
930
1 040
1 220
1 340
1 460
1 570
1 690
坑口胴長 L
250
250
300
300
300
400
400
400
400
400
項 目
推進管種類
-14-
φ 900
φ 1000
φ 1100
φ 1200
10.立 坑
(1)円形発進立坑
図−13 円形発進立坑
支持架台
2000∼2500
推進管
L1
D
L2
支持架台
芯高h
t
L2
L1
基礎コンクリート
表−10 円形立坑の適用条件
使用機種
400型
600型
800型
立坑径D
㎜
φ 3000
φ 3500
φ 4000
使用管長
m
1.0
1.0
1.0
支持架台鋼材
−
H-250 × 250
H-250 × 250
H-300 × 300
支持架台 L1
㎜
700
1 000
1 000
支持架台 L2
㎜
1 000
1 800
1 800
基礎コンクリート t
㎜
250
250
300
芯 高 h
㎜
650
700
850
備 考
※1 400型でφ2500、600型でφ3000、800型で
φ3500の立坑を用いる場合には、日進量は標準日進
量×0.9とする。
-15-
(2)小判形発進立坑
図−14 小判形発進立坑
支持架台
2000∼2500
推進管
L1
D
L2
L
支持架台
芯高h
t
L1
基礎コンクリート
L2
表−11 小判形立坑の適用条件
使用機種
400型
600型
800型
立坑幅 D
㎜
2 500
2 500
3 000
立坑長 L
㎜
4 541
4 855
5 041
使用管長
m
2.0
2.0
2.0
支持架台鋼材
−
H-250 × 250
H-250 × 250
H-300 × 300
支持架台 L1
㎜
700
1 000
1 000
支持架台 L2
㎜
1 000
1 800
1 800
基礎コンクリート t
㎜
250
250
300
芯 高 h
㎜
650
700
850
備 考
-16-
(3)斜め発進の場合の限界角度
小判形立坑で斜め発進を行う場合の限界発進角度(参考値)は、各推進機のタイプ別
に以下のとおりである。
図−15 斜め発進参考図
2500
① 400型
25゜
4541
2500
② 600型
15゜
4855
15゜
5041
-17-
3000
③ 800型
11.施工プラント配置
標準的な施工プラント配置を次に示す。
図−16 施工プラント配置図
コンプレッサー
大ハンマー用
道具置場
油圧ユニット
発 電 機
立 坑
防音シートまたは防音パネル
3.6m×9.0m、h=3.6m
水 槽
滑材
置場
滑材プラント
6.0
コンプレッサー 小ハンマー用
10.0
※.防音シート(パネル)は、騒音対策が必要な場合に設置する。
図−17 防音パネル施工概要図
表−13防音パネルの性能(参考)
音響透過損失 (dB)
18以上
23以上
h=3.6m
周波数( Hz)
500
1 000
.
3
9. 0
m
※.防音仕様につきましては
別途積算が必要です。
-19-
m
6
12.標準工程
以下の条件での標準的な施工工程を示す。
推進距離:50m(1スパン)
さや管径:500㎜
本 管 径:250㎜
日 数
工 程 表(標準的な例)
種 目
※.1目盛1日
搬 入
機材搬入1日
推進設備工
初期掘進工
(岩盤の場合のみ)
先導体据付工
推進設備3日
1.5m÷日進量
0.5 日
48.5m÷日進量
推 進 工
先導体撤去工
0.5 日+ 50m ÷ 15m/ 日=4日
最終ずり出し、清掃
推進機械坑外撤去
1日+ 0.5 日= 1.5 日
最終管内測量
スペーサー加工
0.6日+ 2.7 日=3.3日
本管挿入工
中詰め注入設備工
3
3
0.5 日+ 6.6m ÷5m / 日=2日
中詰め注入工
機材搬出工
1.5 日+ 1.5 日=3日
後片付け、清掃
注1.既設人孔における先導体撤去工日数は1.0日となる。
注2.同じ立坑における反転推進の推進設備、推進機の坑外撤去は上記工程表と同じ日数とな る。
注3.立坑間の機材移動工日数は0.5日となる。
注4.1発進立坑より2スパン推進の時は、中詰め注入設備工、機材搬出工、後片付け清掃工 は各1回とする。
-20-
13.計算による許容推進延長の検討
(1)考え方
ハードロック工法は硬質地盤を対象とした推進工法であり、掘進時に20㎜程度のオーバーカッ
トを行うため、地山の自立及び滑材により推進抵抗は非常に小さいものとなっている。従って、軸
方向の必要推進力が小さいために反力壁は必要としない。
また工法の特徴として、鋼管を回転させることにより先端に取り付けた掘進機のエアハンマーで
推進方向を制御しながら打撃破砕・推進するようになっている。この場合、打撃破砕の抵抗は無視
できるほど小さい。
ただし、砂礫地盤の場合などでは、緩み土圧による鋼管の締め付け力が推進機の鋼管回転力を上
回る場合がある。従って、ハードロック工法における許容推進延長は通常の推進のように、管軸方
向の推進力で決まるのではなく推進機の回転力に対する地山の締め付け力の大きさで決定される。
つまり推進機の回転力を下回る地山の締め付け力が働く範囲が、許容推進延長となる。
(2)推進管に作用する鉛直等分布荷重の算定
鉛直土圧と活荷重による鉛直等分布荷重は次式で求める。
q=w+p
記 号
q:管に作用する全鉛直等分布荷重( kN/ ㎡)
w:土による鉛直等分布荷重 ( kN/ ㎡)
p:活荷重による鉛直等分布荷重 ( kN/ ㎡)
1)土による鉛直等分布荷重
テルツァギーの緩み土圧を用いる。
w =
γ−
2・C
Be
・Ce
図−18 テルツァーギの土荷重
-21-
Ce=
B
2・K・μ
Be= Bt・
−2・K・μ・H/Be
1−e
1+sin(45°−φ/2)
cos(45°−φ/2)
記号 w :土による鉛直等分布荷重( kN/ ㎡)
γ :土の湿潤重量( kN/
A
)
c :土の粘着力( kN/ ㎡)
Be:土の緩み幅(m)
Bt:トンネル直径(m)(= Bc+0.04)
Bc:管外径(m)
Ce:テルツァギーの土荷重係数(m)
K :側方土圧係数(1 . 0)
μ :土の摩擦係数(tanφ)
φ :土の内部摩擦角(度)(φ= 15+ 15 ・ N °≦45°、N:N値)
H :土被り(m)
2)活荷重
活荷重は、図−19に示すように地中に分布するものとする。
P
P
P
θ
H
C
a
図−19 輪荷重の分布
-22-
2P(1+i)×β
p=
C(a+2H・tanθ)
ここに、
p :活荷重
H :土被り
P :後輪荷重(=100 kN)
a :タイヤの接地長(=0.2m)
C :車輌の占有幅 (=2.75m)
θ :荷重の分布角(一般に45°)
i :衝撃係数(表−14)
β :低減係数(表−15)
表−14 衝撃係数
H(m)
H≦1.5
1.5<H<6.5
H≧6.5
i
0.5
0.65−0.1H
0
表−15 断面力(断面を考慮した)低減係数
土被りH≦1mかつ
左記以外の場合
内径B≧4mの場合
β
1.0
0.9
活荷重の計算には「道路橋示方書・同解説」(日本道路協会発行)に定められたT−25の後輪
荷重を用いることを標準とする。しかし、大型車の乗り入れが無いことが確実な場合には、別途検
討するものとする。
-23-
P
q
(3)許容推進延長の算定
鋼管に作用する鉛直力:P
F
摩擦力:F
D
摩擦係数:μ
回転
滑材による摩擦の低減係数:α
とすると、 F
P= q・D F= α・μ・P
P
= α・μ・q・D
α・μの大きさは、通常 α・μ=0.15 とする。 回転抵抗力Moは、
Mo= F・D
許容推進延長Lは、推進機の回転力Maに対し、次式で表される。
Mo・L = Ma
従って、鋼管の回転抵抗によって決まる推進延長Lは、次式で表すことができる。
L = Ma/Mo
-24-
q
許容推進延長の検討例
1.設計条件
(1)地 盤
地盤の種類 :玉石混じり砂礫
N値 :50以上
単位体積重量:γ= 21 kN/
A
内部摩擦角 :φ= 40 °
粘着力 :C= 0 kN/ ㎡
(2)推進管
鋼管呼び径 :Do= 500 ㎜
鋼管外径 :D = 508 ㎜
(3)平均土被り
H= 6.0 m
(4)推進延長
L= 50 m
(5)推進機
使用機種 :600型
許容回転力 :Ma= 96.7 kN ・ m
-25-
2.推進管に作用する鉛直等分布荷重の算定
鉛直土圧と活荷重による鉛直等分布荷重は次式で求める。
q = w + p
記 号
q:管に作用する全鉛直等分布荷重( kN/ ㎡)
w:土による鉛直等分布荷重 ( kN/ ㎡)
p:活荷重による鉛直等分布荷重 ( kN/ ㎡)
(1)土による鉛直等分布荷重
テルツァギーの緩み土圧を用いる。
2・C
w =
γ−
Ce=
B
2・K・μ
Be= Bt・
・Ce
Be
1−e
−2・K・μ・H/Be
1+sin(45°−φ/2)
cos(45°−φ/2)
記号 w :土による鉛直等分布荷重( kN/ ㎡)
γ :土の湿潤重量( kN/
A
)
c :土の粘着力( kN/ ㎡)
Be:土の緩み幅(m)
Bt:トンネル直径(m)
Bc:管外径(m)
Ce:テルツァギーの土荷重係数(m)
K :側方土圧係数(1 . 0)
μ :土の摩擦係数(tanφ)
φ :土の内部摩擦角(度)
H :土被り(m)
-26-
地盤の
内部摩擦角
φ=
粘着力
c=
単位体積重量
γ=
40 °
0 kN/ ㎡
21 kN/
Bc=
土被り
H=
6.00 m
トンネル径
Bt=
0.508 +
=
0.548 m
Be=
Ce=
A
0.84
( tan φ)
0.04
0.829 m
Be/( 2 ・ K ・μ)× (1-exp(-2 ・ K ・μ・ H/Be))
0.494
=
土による鉛直等分布荷重 w =
土の摩擦係数 μ=
Bt・( 1+sin(45 ° - φ /2) / cos(45 ° - φ /2))
=
テルツァギ ーの土荷重係数
1
0.508 m
鋼管の外径
土の緩み幅
側圧係数 K=
(γ -2C/Be) ・ Ce
=
10.4 kN/ ㎡
活荷重による等分布荷重 p =
5.6 kN/ ㎡
16.0 kN/ ㎡
全等分布荷重 q= w+p=
鉛直力:P
鋼管に作用する
摩擦力:F
摩擦係数:μ
P
q
P= q・D =
=
16.0 ×
8.1
0.508
kN/m
F
D
滑材を使用する事により、摩擦係数μを
α・μ=
回転
0.15
に低減できるとすると、
F
F= P・α・μ
=
8.1 × 0.15
=
1.22
P
kN/m
回転抵抗力Moは、
Mo= F・D
=
1.22 ×
=
0.620 kN ・ m/m
許容推進延長
0.508
@
は、推進機の回転力Maに対し、次式で表される。
Mo・L = Ma
∴
L= Ma/Mo
=
49.000 / 0.620
=
79.093 m ≧
50.000 m
-27-
−ok−
q