2014 36 三 古 田一晴 鈴木 創 名古屋で新刊、古書の違いはあれ、書店業務に就きながら多方面で活躍する2人が先ごろ“ 業界本 ”を著し、いずれも好評だ。 一人は千種区、ちくさ正文館本店店長、古田一晴さん(61)。本は『名古屋とちくさ正文館 出版人に聞く⑪』 (論創社) 。 一人は千種区本山の古書店「シマウマ書房」店主、鈴木創さん(40) 。本は愛知・岐阜・三重の古書店を取材してまとめ、作家らのエッセイも 挟んだ『なごや古本屋案内』(風媒社)。ITや少子社会の影響で厳しい業界だが2人に本屋・本への思いを聞いた。 聞き手・構成 鬼頭直基 ふるた・かずはる 1952年名古屋市生まれ。 1974年2月ちくさ正文館書店本店にアルバイト入社。 1978年愛大卒。同年9月正式入社。 すずき・はじめ 1973年東京都生まれ。 フリーライター、古書店員を経て2006年、千種区本山 でシマウマ書房を開業。 ﹁ブックマーク﹂実行委員。 対談 ──2冊とも好評なようです。 古田 大なり小なりそういう面はあるが、それだけで 代。でも一方で、単館として地方などで個性的な本屋 古田 出て半年ですが、意外と売れてます。店のベス はいけない。例えば増刷1万部と聞き、20冊欲しい を始める人もわずかだけどいる。 トテンにも入っているし。こっちがビックリするくら のに 200 冊頼む。各店がそうすると、出版社側はど 古田 そういう増え方もいい。30年ほど前だけど、 い。お客さんは怖いと言うかありがたい。知らない人 れが本当か分からなくなり、腹の探りあいになる。 ヴィレッジヴァンガードの菊池さんはその手法で共感 も声をかけてくれたりで客層は幅広い。 うちは 20冊ほしいとき約 30 冊頼む。まあ結果と違 した。 鈴木 この数年、カルチャー系の雑誌でも本屋の特集 わない数字で、そうすると出版社側との信頼・コミュ ──古書店はどうですか。 がよく組まれていて、若い人でも読んでみようかなと ニケーションが取れる。 鈴木 店主の高齢化や不況など、この地方で町に実店 思ってもらえる時期なのかもしれない。 一方、ハードルの高い出版社は実績のない本屋の現 舗を構える古本屋は減っている。ただ、必ずしも廃業 古田 これまで僕は硬いところばかりに基本的なこと 場など相手にしない。で、僕はどうしたかと言うと、 しているとは限らなくて、店を持たない代わりに、イ を書いてきた。 直談判した。 「この本が好きだから、責任持って売り ンターネット販売に専念して、うちよりもよっぽど稼 鈴 木 最 近 の 雑 誌 で の 本 屋 の 取 り 上 げ 方 は す ご く ますから」と。そういう積み重ねで実績を作る。そう いでいる古本屋さんは沢山いる。今の時代、家賃を キャッチーで表面的。僕も新聞などに本屋の 現状と いう経験から、やり方も変えながら、予測もつけるよ 払って、古本で店舗を維持していくのはかなり厳しい 将来 みたいな文章を書く時は、もっと根本的なこと うにする。 です。 や、厳しい現実にどう抗っていくかということでしか 鈴木 この本、という時の一番の条件は何ですか。 古田 ブックオフでも従来の中古本を売っていく路線 書けない。古田さんは今度の本をどういう風に読んで 古田 手付かずのもの、これから伸びる面白いものを は頭打ちで、今度は逆に新刊を扱うようになってきた もらいたいと思ってます? どれだけキープできるかですね。 くらいだから。 古田 この本ではシネコンに対する単館の映画館の例 ──書店員としての目利きですね。 鈴木 だけど、古本屋には受け皿の役割もある。今は えで話しましたが、やはり若い書店関係者は買いに来 鈴木 ただ、本の作られ方も今は余裕がないから、と 団塊世代より上の、何十年と本を買ってきた人たち てますね。僕が言うのは「みんな違うことをやって欲 にかく商品、本のかたちを作ることが優先されて、昔 が、一斉に蔵書を処分している時期。買取に呼ばれる しい」ということ。今は皆同じ方向を向く。やり方は のように人も時間も予算もじっくりかけてない。書き ことが多いですが、在庫過多の本、今ではあまり人気 100、200 どころか全部違っていい。 手も企画もまだ生煮えなのに、宣伝で売ればいいとい のない専門分野の本など、引き受けて困ってしまうも 本屋は委託制なので(売れ)残れば(取り次ぎ店 う感じで。 のもあり、倉庫のやりくりだけでも大変です。 に)返せばいい、と新刊、ベストセラー、漫画依存。 古田 IT 時代で出版社はシークレットデータも持っ 古田さんの本では、フェアの話も重要でした。ただ 売れ筋だけで独自仕入れが弱い。典型が昔 300 万と ていて各店の実際はつかんでいると思う。だからこち お薦めの本を一冊、一冊、アイテムとして並べるので か 400万部売れた「トットちゃん」。空前の売れ行き らもリスクはリスク、データはデータとして相手とや はなく、極端に言えば、なんでこういう本が存在する だったのでさらに 100万部刷ったら、残った。それ りあう。 のか、というところまで掘り下げて、本の向こう側に までの儲けをマルマル食っちゃった。 鈴木 古田さんの本は、 単館 書店としてやってこ 広がる世界を提示するようなことを古田さんはやって 鈴木 新刊書店はよそに取られる前に注文を、と奪い られた本屋の仕事のデータでない部分を伝えていると きた。買取で大学の先生などのお宅にうかがって、大 合うことが先に来るから、どれだけ棚に並べたかで満 思います。シネコン同様、大手書店は合併したり、親 量の本のかたまりと向き合っている時にも、過去から 足して、結果は疎かにされがちなのかも。 会社の意向に左右されたりと単独での経営は難しい時 現在に至る、知の蓄積としての本のボリュームに、い 対談古田一晴×鈴木 創 つも圧倒される思いがする。 ──2人とも店でフェアや著者のトークイベントなど ただ、いずれにしても古本屋にまわってくるのは、 を催しています。 10 年前、20年前に新刊書店が読者に届けてきた本。 鈴木 出来合いのものをやるなら簡単だし、ただイベ だからまずは新刊を売ってもらわないと古書の世界は ントをやるのが良い本屋とは思わない。僕は自分の店 成立しない。良い本を売っていてくれないと困る。 を始めてから古田さんとお付き合いするようになった ──どうします? ので、最初からプレイヤーとして接していただいてい 古田 客層を変えないといけない。昔は仕事している る。お客さん受けも大事かもしれないけど、今度これ 間が勉強しているようなもので、来店する先生方がい ろいろ教えてくれた。今は探している本がないと、そ のまま帰ってアマゾンで注文したりする。コミュニ ケーションがない。ただ、本の販売の IT、ネット利 用は、新刊よりも古書店のほうが 10年は早かったん じゃないかな。 出版人に聞く⑪ 名古屋とちくさ正文館 古田一晴 著 論創社 四六判 200頁 1600円+税 なごや古本屋案内 愛知・岐阜・三重 鈴木 創 著 風媒社 A5判 123頁 1500円+税 鈴木 古本には、昔から目録販売の文化があったし、 やります、とチラシを持って行った時に、古田さんに 「ああ、良いんじゃない」と思ってもらえるものでな いと恥ずかしいというのは、いつも思ってます。 古田 イベントという土俵に上がって負けたらだめ。 だけど、上がらないのは認めない。こういうシーンは 現在形しかない。 ──厳しい状況は続きます。 古書組合が「日本の古本屋」のサイトを立ち上げたの 年間約7万点が出版されており、いい本、売れる本 鈴木 新刊は流通、販売など役割分担が決まっている も早かった。ただ、アマゾン、ヤフオクの時代になる をアンテナを敏感にして見つける労力を惜しまずやっ のに対し、古本は頭から尻尾まで自分でやる。だから と、1円出品だとか、家電などと変わらないモノの売 てほしい。 スタッフの育成も含め、仕事の切り分けが難しい。常 り方になって、目録の頃からの流れは切れてしまった 鈴木 紙の本との一番の違いは、ソフトとハードの商 に時間が足りないし、限られたスペース、資金で、考 気がする。 売が分離すること。キンドルだって、パソコンと同 えることだらけ。でも、答えよりも問いが一杯あると ──電子書籍の時代に入っています。 様、頻繁にバージョンアップして買い替えを喚起して いうことは可能性でもあると思ってやってます。 古田 音楽で言えばCDが売れなくなってもライブは いかないと食べていけない。要約機能とか、いろいろ 古田 新刊書店もそうだ。厳しい時代で全国の売り上 残るように、本はなくならないと思う。図書館は 20 余計な機能が付くなかで、便利な情報ツールではあっ げは減っているが、本の点数は減っていない。まだま 数年前の 10倍の利用者だといい、本離れはウソ。ヨー ても、僕らが好んできた読書とは別のものになってい だ方法はあるし、タマ(材料)はあると思う。 ロッパなど先進国の書籍は落ちていない。 くのではないか。 YKOダンスカンパニー「Wonderful Days」 鈴村由紀率いるYKOダンスカンパニーの3回目となる本公演はサミュエル・ ベケットの「しあわせな日々」等の不条理演劇の脚本からインスパイアされて創 作された『Wonderful Days』。あいちトリエンナーレ 2013のテーマ「揺れる 大地──われわれはどこに立っているのか」に呼応し、七ツ寺共同スタジオが企 画。不条理演劇の戯曲がダンス作品に昇華されるとき、言語の束縛から解き放た れて大いなる自由を獲得、ダンスの本質ともいえる豊穣なイメージの世界へと観 る者を誘う、そんなダンスならではの醍醐味を実感させてくれるパフォーマンス であった。 ベケットの戯曲「しあわせな日々」は首まで埋もれた女性のダイアローグで構 photo 構 久夫 成される。大地に埋もれ動くことができない女性が回顧するのは夫との日常。些 開始し、常に即興的な振付のあり方を模索し続けてきた。ダンサーに任された 細な出来事を取り留めもなく一人で喋り続けるこの戯曲を、言葉を発しないダン 「即興」と、鈴村が動きを指示する「振付」 、通常は正反対のベクトルをもつと考 スで表現するにあたって、鈴村はすべてのリハーサルの3分の2の時間をダン えられるこの2つを共存させるのは至難の業であるが、鈴村はその矛盾に果敢に サーたちとの本読みや質疑応答に費やした。まず最初に戯曲を体に染みこませ、 挑戦、その接点を見つけるべく即興を取り入れた振付技法を会得するための多様 気になる言葉やイメージ、例えば「欺瞞」、 「親愛」等の言葉を抽出して、それぞ な実験を行ってきた。前2作品ではその模索の痕跡が作品の中にも顔をのぞかせ れのムーブメントを生み出していったという。 ていたが、本公演ではその点が見事にクリアされていた。いやむしろ、言葉のイ 会場に入るとアクティング・エリア一面に美術家・渡辺英司の作品、『名称の メージの身体への変容を、ダンサー自身の即興に委ねることで、厳密な振付以上 庭』として創作された図鑑の切り抜きによるオブジェが敷き詰められている。ベ に、個々のムーヴメントがリアリティと必然性を獲得している。そのことによ ケットの不条理を顕在化することをテーマに設営されたこのインスタレーション り、より強固に作品のイメージが立ち上がっているのだ。 =大地は、各演出家の希望により個々の切り抜きを自由に配置できたというが、 これにはもちろん、レジデンシャルカンパニーになってからの鈴村とダンサー 鈴村は舞台面の壁沿いにロの字に配し、さらに真ん中にも島のようにオブジェが たちの地道なトライアルがあったことは言うまでもない。ダンサーの即興への信 浮かんで見えるよう誂えた。ダンサーが動ける空間は作品の置かれていない僅か 頼と振付家の指示への応答、これは経験の産物としてしか成立し得ない。この1 な通路部分のみ。空間を極めて限定することで、テキストのもつ不条理さや身体 年半あまりの活動でそのベースを築いてきた鈴村。美術家であるニシムラマホを の抑制を瞬時にイメージできるように視覚化されている。 始め、杉町明子 、鳥羽あゆみ、のびの4名の個性的な出演者との信頼関係の上 この限定された空間の中で個々のダンサーは立ちすくみ、体を捩らせ、不自然 に初めて生じた作品なのである。 な動きを繰り返す。立ち位置を固定され、その場に佇んだダンサーの身体は、大 戯曲から言葉を排除したことによって即興的振付が成立、結果、観客に自由な 地に足を取られたまま空間を彷徨っているようにも見える。これらの動きの連な 想像性を保証するダンスというメディアの特性を明らかにすることなった本作。 りの中からテキストのイメージが立ち上がっていく。そこに畳み掛けるように挿 今後のYKOダンスカンパニーを示唆するエポック・メイキングな作品になった 入されるミニマル音楽。繰り返されるサウンドが抑制された身体を空間に刻み付 と言っても過言ではないだろう。 け、世の不条理、そこに潜む死生観を強調し続けているかのようだ。 鈴村は 2012年より七ツ寺共同スタジオ・レジデントカンパニーとして活動を (10 月 12 日∼14 日 七ツ寺共同スタジオ) 唐津絵理(愛知芸術文化センター主任学芸員) avec ビーズ「あたしあのあめにうたれて」 やはり一筋縄ではいかない芝居である。何を伝えようとしたのか、何が伝わったのか、観劇 直後の私にはよくわからなかった。どうも私にとって北村想氏の作品は、なかなかすぐには入 り込めないところがある。今回は特に手強そうであるが、敵うはずもないと知りつつも再考 し、深読み、裏読みしてみたい。 舞台は、森の中のオープンカフェであろうか、テーブル席が二つ用意されている。それは、 いかにも書き割り然としたアカシアらしき木に囲まれ、洒落たというよりは、街道の茶屋を洋 風にしたようなイメージである。そこにすでに座っている二組の客、一組は盲目と思われる神 父とその助手というか秘書のような女性、もう一組は女性2人。その二組がそれぞれ会話をし ているのだが、なぜか二組ともテンペストに関連した話題である。その後、思いつくままと いったように、神と人との関係、資源の話、ヨブ記、イジメ、夕陽など様々な話題が延々と語 photo 加藤智宏 られていく。会話というより膨大な知識を披露しているといった様相で、その難しそうでもあ る話が、ダジャレやうちわネタで茶化されながら続いていくのである。そしてウエイトレス だった役者もいきなり「走れメロス」について語り出し、セリヌンティウスも登場しアカシア に関する話を語っていく。そして後半では、状況がことごとくひっくり返されていく。 まずはセリフの多さに圧倒され、語られていく内容の飛び具合に眩惑される。大量の、そし て細かな裏事情まで説明していくセリフは、無駄な情報の多すぎる現在を揶揄しているのかも しれない。浅さを強調したような舞台美術と昭和歌謡風のオリジナルソングで始まった、平板 名古屋タイムズアーカイブス委員会 10 月、東京五輪の聖火リレーが名 か。芝居の成功のカギは演者にかかっているのである。 39 年 語るセリフがあるが、それは作家と演者との関係もそうであると言っているのではないだろう 古屋市内を駆け抜けた。九州を出発して岐阜県を経由し の関係を「人間は人間だけで生きていける」 「神は人間なしでは何の意味もない役立たず」と 号、同1号をリレーした。沿道 たちの腕の見せ所である。試練によって演者は生かされていくのであるが、劇中で、人と神と 19 た聖火は同月2日に名古屋入りし、新設された愛知県体 そうなセリフの数々や状況の見えにくさは試練である。その試練にどう向かっていくかが演者 育館で一泊、翌日国道 る。神や王と民との関係は、演劇における作家と演者との関係であろう。今回の膨大で言い辛 は大変な人だかりだったが、途中ハプニングが起きた。 ソードは作家にとっての今である。作家が気になっていることをぶちまけたものが物語であ 今か今かと聖火を待ちわびる見物人たちの前にランナー そしてもう一つ、演劇についても言及しているように思う。劇中、次々と語られていくエピ の人影。大歓声が沸いた。だが良く見るとランナーは妙 い。 な 格 好 を し た 若 者 2 人、 し か も プ ラ カ ー ド を 掲 げ て い は、ただ明るく生きられるほど馬鹿でも強くもないが、暗くなっていては生きてはいかれな ラ ゴ ン が 長 崎・ 佐 世 保 に 寄 港 す る こ と に 反 対 す る パ に終結を迎える芝居は、無駄なことをし続けるのが生きていくことであるとも伝えている。人 る。「原子力潜艦寄港反対!」同年秋、米国原潜シード と言っているのだろう。所詮あらがってみても無駄ということである。がしかしハチャメチャ フォーマンスであった。2020年東京五輪では名古屋 の、もう一つの絶望の物語を語らせたということは、試練はただ受け入れていくしかないもの に平和の祭典の聖火はやってくるのだろうか? やって 受け入れていく。そして、王に与えられた試練に立ち向かうことで希望を得ようとしたメロス きたとしても、あらゆるパフォーマンスや訴えは徹底的 復讐心を燃やすが和解することで試練を受け入れ、ヨブは試練を与えた神をただ信じることで に封じ込められそうだが…。 尽な試練に対してどう向かっていくのかという共通するテーマが見えてくる。プロスペローは 半世紀前の昭和 な、どたばたのコメディにも見える舞台だが、それぞれのエピソードの中に、与えられた理不 何か他にも隠された意味があるようにも思えるのだが、それも作家の思惑であろうか。作品 の面白さにたどり着くのに時間がかかったが、これもまたてっとり早く面白がりたいと思って しまう観客への、作家からの警告かもしれない。 (2月6日∼ 11 日 ひまわりホール) 野口弥嘉(演劇サポーター) 訳 が 分 か ら な い け ど 面 白 い。 観 劇 直 後 の こ の 感 想 を、私は最高のほめ言葉と思っている。訳が分かって 面 白 い は 理 性 的 感 興 だ が、前 者 は そ れ を 超 え る か ら だ。avec ビ ー ズ の﹃ あ た し あ の あ め に う た れ て ﹄ 感興を得た。でたらめ極まりない展開で、何がなんだ ︵ 北 村 想 作、 小 林 正 和 演 出 ︶ を 見 て、 久 し 振 り に そ の み上げて来たからだ。 かさっぱり分からないのに、腹の底からおかしさがこ 掛けられていたことに気づいた。盲目の牧師が神と人 で、つらつら考えた結果、このでたらめさに罠が仕 に つ い て 語 っ た り、 ウ ェ ー ト レ ス が 突 然﹃ 走 れ メ ロ ス﹄のメロスになったり、歌謡曲の歌詞をただ連ねた だけの長ぜりふを滔々と語ったりするのだが、その一 エピソードだったのだ。しかもそれらには、シェイク つ一つが実は﹁言葉と想像力と現実感覚﹂についての スピアの﹃テンペスト﹄の、魔法が人を追いつめると いう通奏低音が冒頭から貫いている。つまり人が想像 力というものを持っている限り、虚構が現実を覆うの だ。 ﹁ 一 期 は 夢 ﹂ で あ る。 こ の 舞 台 は そ の 晴 れ 晴 れ と ︵恭︶ した実験劇だった。見逃した人、悔しがって下さい。 (写真=名古屋タイムズアーカイブス委員会提供) 七ツ寺SD SD公演情報 公演情報 七ツ寺 ◆ 総合学園ヒューマンアカデミー名古屋校 パフォーミングアーツカレッジ第 8 期生 進級公演『明日天気になぁれ』 3/20 ㈭ 19:00、21 ㈮ 15:00/19:00、22 ㈯ 14:00/18:30、 23 ㈰ 14:00/18:30、24 ㈪ 14:00 2月 ── 6月 + f i l e ◆オイスターズ第 15 回公演『ここでいいです』 2/28 ㈮ 19:30、3/1 ㈯ 14:00/19:30、2 ㈰ 11:00/15:00、 3 ㈪ 14:00/19:30 作 : 高瀬久男 演出 : 鬼頭卓見 料金 : 前当 500 作・演出 : 平塚直隆 料金 : 一般前 2500 当 2800、学生前当(要学生証)1500 問 052-561-2378(学務事務局・原田) ◆汽水域『SANDMAN RIGING』 3/27 ㈭ 19:30、28 ㈮ 14:00/19:30、29 ㈯ 14:00/18:00 問090-1860-2149 [email protected] ◆愛知学院大学劇団鯱『男子抹殺計画』 3/8 ㈯ 11:00/14:30/18:00、9 ㈰ 11:00/16:00 問 [email protected] Twitter : https://twitter.com/gekidann_shachi 「どうしてうちにはイケメンがいないの !?」 問 [email protected] 090-9926-0091 ◆ STUDIO HeadZ 12 月公演 『嗚呼! チェリー部。∼アンチラブマニュアル∼』 12/23(月・祝)14:00/17:00 ※ R15 脚本 : SUGAR-BUN 演出 : 鎌田邦昭 a.k.a.KAMAYAN 料金 : 3000 間の活動で蓄えた共振するダンスの集大成、乞うご期待! 作・演出 : 渡山博崇 料金 : 前 2200 当 2500、学生 1500 星の女子さん所属の女優、岡本理沙、鈴木亜由子、棚橋愛が ◆ 劇団ジャブジャブサーキット第 53 回公演 『ディラックの花嫁』 5/29 ㈭∼6/1 ㈰ ※ 日 時 未 定 ◆ YKO ダンスカンパニー第 4 回公演『 巡 』 4/12 ㈯ 19:30、13 ㈰ 15:00 問 080-3067-6733(鈴村) [email protected] 七ツ寺レジデントAカンパニーとしての最終公演です。2 年 ◆星の女子さん⑥『ドロドール』 3/14 ㈮ 19:00、15 ㈯ 11:00/15:00/19:00、 16 ㈰ 11:00/15:00 問080-4229-4424 作・演出 : はせひろいち http://www.jjcoffice.com/ 構成・振付 : 鈴村由紀 音楽・演奏 : 川名洋行 料金 : 一般前 2500 当 2800、学生前 1000 当 1500 鯱がお届けする笑いあり恋あり涙あり? のコメディ劇! 作 : 武田泰淳 演出 : 原 智彦 料金 : 一般前 3000 当 3500、学生 2500(前売のみ) メール予約 : [email protected] 作・演出 : 柿沼岳志 料金 : 無料 問 [email protected] 作・演出 : 山上順ノ介 料金 : 予 500 当 700 ◆ハラプロジェクト『ひかりごけ』 4/25 ㈮ 19:00、26 ㈯ 13:00/19:00、27 ㈰ 13:00/17:00、 28 ㈪ 19:00、29 ㈫ 13:00/17:00 ◆ 中京大学演劇部劇団いかづち 2014 年皐月公演 4/19 ㈯ 14:00/18:00、20 ㈰ 13:00/17:00 ※タイトル未定 料金 : 予 500 当 600 問 [email protected] 080-6950-0620(シマグチ) http://ikajin.web.fc2.com 順に主役を務める三部作の一作目。岡本理沙主演。 刊 行 file ◆愛知教育大学劇団把゚夢 新春公演『エゴ・サーチ』 1/18 ㈯ 14:00/18:00、19 ㈰ 10:30/14:30 作 : 鴻上尚史 演出 : 樋口真悠 料金 : 前 500 当 800 問090-9185-5572(イダ) [email protected] ◆ 日本福祉大学劇団どろんこ 2013 年本公演 『ここだけの話』 2/1 ㈯ 13:30/17:00、2 ㈰ 13:30 作 : 高橋いさお 演出 : 田中政樹 料金 : 前 300 当 500 『七ツ寺共同スタジオ40年史』仮題 A4判 約 180頁 予価 2000円 2014年 3月末刊行予定 七ツ寺共同スタジオでは、創立40 周年 (’12)を迎えたのを記念して、 『七ツ寺共同スタジオ40 年史』 (仮題)を刊行します。 内容としては 25周年記念として ’99に刊行した『空間の祝杯──七ツ寺共同スタジオとその同時代史』の後を受けるものになる。 但し、そこで扱えなかった分野については40 年を通した記述を心がけた。 目 次 1 メッセージ Ⅰ〈私と七ツ寺〉 諏訪哲史/天野天街/はせひろいち/ 坂手洋二/平田オリザ/松田正隆/中島諒人/高田恵篤/原 智彦 馬場駿吉/永島 卓/水谷イズル/新野守広/大塚 直/小堀 純/小島祐未子/矢野靖人/鳴海康平/田辺 剛 鬼頭直基/永澤こうじ/加藤智宏/古田一晴 メッセージ Ⅱ〈ネットワークを求めて〉 せんだい演劇工房 10-BOX/劇場 アトリエ劇研/長久手市文化の家 愛知県文化振興事業団/名古屋市文化振興事業団 2 劇団ファイル 少年王者舘/劇団ジャブジャブサーキット/双身機関/てんぷくプロ/KUDAN Project よこしまブロッコリー/オイスターズ/刈馬演劇設計社 若手座談会(渡山博崇/ニノキノコスター/宮谷達也) 3 特別寄稿 安住恭子/海上宏美/森下貴史/大島寛之/唐津絵理/越後谷卓司/平野勇治/港大尋/高橋綾子 4 七ツ寺がやってきたこと 周年記念公演/プロデュース公演/人材育成事業/あいちトリエンナーレ2010 SD プロジェクト あいちトリエンナーレ 2013 SD プロジェクト/アーツプログラム実践講座/韓国芸能の紹介/七ツ寺 SD 通信 5 年表 お 知 ら せ 1998─2013 「七ツ寺通信」は次号(5月中旬発行予定)をもって休刊します。理由は編集委員の人事上の都合で編集体制が維持できなくなったからです。 なお、次号は3月末刊行予定の『七ツ寺 40年史』 (仮題)について紹介します。 (編集部) 編 集 後 記 ◆ 電子書籍が登場しているが、本派の私はどうもついていけない。本という実在は確かに何かを手渡されている。 電子書籍はどこかに電子記号として蓄積されてはいるが、すぐ消えて、なかったことにされる感じもする。電影のその不確 かさは、だが、ひょっとすると我が生存の不確かさを映しているのかもしれない。 (き) ◆ 前号の北村想さんの生年は 1952年でした。おわびして訂正します。 ※「人・街・顔」は都合により休載しました。 七 ツ 寺 共同 ス タ ジ オ 通 信+ α vol.36 発行人 吉戸俊祐 編集人 鬼頭直基 2014.2. 24発行 二村利之
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