2015 年 6 月 22 日 IT・ソフトウエア業界 ◆市場動向 ~「インターネット・プラス」の時代へ~ ~世界最大のネット大国、社会の急速な IT 化が追い風に~ 14 年の業界規模: 売上高:3.7 兆億元(前年比 20%増) 、ネットユーザー数(14 年末) :6.49 億人(ネット普及率:48%) 中国社会は急速に IT 化が進んでおり、 昨年の業界売上高は景気減速の中でも約 2 割の伸び率を確保した。 ネット接続の多くはスマートフォンからで、国民は各種ネットサービスを気軽に利用。特に E コマース は引き続き高い伸びで、その販売額は前年比 5 割増の約 4500 億米ドルと、米国を上回り世界最大。E コマースを起点にネット金融が普及するなど、中国の個人生活では IT 化が急速に進んでいる。これを受 け、企業側も積極的に IT 投資を続けるなど、対応を迫られている。もっとも、景気低迷の影響は日に日 に大きくなっており、今 1-4 月期の業界利益額は前年同期比で 11.5%増と、伸び率は 10 ポイント以上 も低下。競争も激しく、業界は徐々に体力勝負の様相になりつつある。 ◆業界の特徴 ~民営企業が主役の成長市場~ 生産・販売面: IT 業界は民営・中小が大半を占め、4 万近くの企業が成長市場で激しい競争を繰り広げている。主にソ フトウエア開発、システムインテグレーション(SI)、データ処理などに分けられ、売上高全体に占める 割合はそれぞれ 30%、21%、18%。成長性の高さは製品・サービスの技術革新の速さも意味し、業界 の新陳代謝は活発となっている。 国際面: 多くの中国企業は海外からアウトソーシング契約を受注。同年のソフトウエア輸出額は前年比 16%増の 545 億米ドルだった。有力外資は大半が進出しているが、規制の壁は大きい。近年は中国企業の海外進 出も目立ち、昨年はアリババグループが資金確保のために米国に ADR を上場させた。 政策面: 当局は国内 IT 産業の発展と、国内産業の IT 化を重視、IT 消費規模を 12 年の約 1.7 兆元から 15 年ま でにほぼ倍増させる計画だ。さらに「インターネット・プラス」を提唱。各産業とネットの融合を進め るため、具体的な行動計画の策定を進めている。 ◆主要企業、主な取扱銘柄 ~「BAT」が業界の主役、競争激化で各企業の明暗が 分かれる~ IT 業界は民営・新興企業が多く、企業規模は概ね小さい。ただ、大手は米国、香港・本土などに上場し ており、「BAT」と呼ばれるアリババグループ、テンセント(00700) 、百度(バイドゥ)の 3 社は抜き 出た存在感を放つ。E コマースで約 8 割のシェアを握るアリババは米国上場で約 250 億米ドルもの資金 を調達した。SNS・ゲーム最大手のテンセントはチャットアプリ「微信」 (WeChat)の強みを活かし、 広告・ゲーム収入を拡大。14.12 期も好業績が続いた。一方で競争も激しく、ゲーム市場大手の雲遊控 股(00484) 、網龍(00777)などの業績は悪化。業界内で明暗が分かれた。競争は企業向けでも熾烈を 極め、ERP 大手の金蝶国際(00268) 、企業向けソフト最大手である用友ソフト(600588)は売上が伸 び悩んだ。一方でブロードバンド業者の鵬博士(600804)は加入者数を急速に拡大し、14 年も業績を 拡大。また、少ないながらも政府系の大手 IT 企業が安定した売上を記録した。航空システムの分野で独 占的なシェアを持つ中国民航信息網路(00696) 、企業のオートメーション化を支援する上海宝信ソフト (900926)などが、各々の強みを活かした。 2015 年 6 月 22 日 主な取扱銘柄: コード 00268 社名 金蝶国際 通貨 元 売上高 増収率 1,547 ▲3.5 純利益 増益率 時価総額 コメント 197 +55.9 中小企業向けERPソフトの開発で国内最大手。深セン市に本拠を置 く民営企業で、同社運営の「友商網」は国内最大規模のオンライン 14,721 のERPプラットフォームとなっている。クラウドとEコマースを成 長分野に設定。金山軟件やアリババグループとの提携を通じて、競 争力を高めていく構えだ。 00596 浪潮国際 HK$ 1,703 +30.9 ▲69 赤転 山東省政府系のIT企業。米マイクロソフトが資本参加している。ソ フトウエア開発、SIなどを展開し、ITサービスは企業、税務、通 2,164 信、金融、政府など幅広くカバー。親会社の浪潮集団は政府系では 国内有数のIT企業。浪潮ソフト(600756)、浪潮信息 (000977)とは兄弟会社の関係にある。 00696 中国民航 信息網絡 5,336 +18.3 1,653 +37.1 政府系のITソリューション大手で、航空関連のシステムで国内最大 36,168 手。大手航空会社が大株主として出資しており、結びつきが強い。 航空業界の発展による恩恵を直接享受できる企業といえる。 78,932 23,810 +30.6 +53.6 「QQ」ブランドで様々なインターネットサービスを提供する大型 IT企業。オープンプラットフォーム戦略を採用し、ソフト会社が開 発した豊富なゲーム、アプリなどを迅速に提供できる点が強み。 1,445,757 チャットアプリ「微信」(WeChat)は多くのユーザー数を誇る。 オンラインゲームの最大手で、利用者数上位15タイトルのうち、 14年は8タイトルを同社が配信した。 00700 00861 03888 08002 テンセン ト 金山軟件 IGG 用友ネッ ト 600718 東軟グ ループ 900926 元 神州数碼 HK$ 600588 600804 元 鵬博士 上海宝信 ソフト 元 US$ 68,343 - 3,350 +54.2 205 +132.6 701 - 国内有数のIT企業。MBOを通じて経営陣が大株主になっている。 パソコン最大手の聯想集団(00992)と関係が深い。企業向けを中 11,774 心に各種IT製品を販売。SIやソフトウエア開発なども提供してい る。日本のジャスダックに上場するSJIを傘下に収める。また、深 セン上場の神州数碼信息服務(000555)を子会社化している。 769 +14.6 民営の大手ソフト開発会社。ゲーム、アプリケーションソフトなど が主力。オンラインゲームの中華圏でのブランド力は高く、同社製 36,490 セキュリティソフトや辞書ソフトは広く使われている。同社の雷 軍・主席は有名なIT企業家の一人。クラウドサービスを戦略分野に 定め、中国のデータサービス大手に出資した。 66 +855.3 シンガポールに本拠を置くオンラインゲームの開発運営会社。自社 開発したMMORPG(多人数同時参加型オンラインロールプレイン 7,828 グゲーム)の「衆神之戦」(GodsWar)などがヒット作品。モバ イルゲームの開発も手がけ、「微信」(WeChat)などを通じてス マートフォン・ユーザーにゲームを提供している。 元 4,374 +0.3 550 +0.4 民営の大手ソフトウエア会社。財務管理、顧客管理、EPRを含む企 業向け分野で、国内トップの座を長年維持。中国トップ500社の6 95,799 割以上と取引関係にある。近年はモバイル、クラウド、ビッグデー タ、SNSなどと連携した製品・サービスを提供。金融、医療など各 分野に特化した専門子会社を設置している。 元 7,796 +4.6 256 ▲37.8 遼寧省瀋陽市の大手ソフトウエア会社。東北大学(中国)の教授な どが91年に創業した。ソフトウェアやシステム開発を手がけ、顧 41,447 客は国内外の通信、電力、建設、不動産会社などに及ぶ。海外から のソフトウエア受託開発は国内最大級の規模。日本企業からの受注 も多い。 534 +32.5 四川省成都市を本拠とする民営の大手ネットサービス会社。主力は ブロードバンド接続サービスの提供で、近年はネット付加価値サー 62,806 ビスとの連携を加速。インターネットデータセンター、画像監視シ ステム、情報セキュリティなどがその中身で、北京市のスマートシ ティ建設に協力している。 322 +10.9 企業の自動化・情報化をサポートする企業。顧客企業は鉄鋼、都市 交通、電力、石油化学、非銀行系金融機関、医療、行政など幅広 29,210 く、ソフトウエア開発、システムインテグレーション(SI)などを 手がける。日本にも子会社を設置している。国務院系の鉄鋼大手で ある宝山鋼鉄(600019)の傘下にある。 元 元 6,963 +19.7 4,072 +13.7 ※売上高・純利益は14年12月本決算。単位は百万。神州数碼(00861)は変則決算のため、増収増益率は非表示。 ※時価総額は15年6月19日の終値に基づきブルームバーグから算出、単位は百万HK$。換算レートは1元=1.2HK$、1US$=7.75HK$。 2015 年 6 月 22 日 ◆注目されるトピックス ~ネットと既存産業との融合が加速~ 「インターネット・プラス」戦略で IT は今後も成長産業に: 中国は国家戦略として、ネットと既存産業との融合を加速し、経済構造の高度化を進める構えだ。具体 的にはモバイル、クラウド、ビッグデータ、IoT(モノのインターネット)などを活用。この中でも「ネ ット+製造業」が今後の注目ポイントと考えられ、メーカーによる生産ラインの自動化、IT システムの クラウド化などが進もう。この新規需要は長期的に続く可能性が高い。 ネット大手が主役の業界の垣根を超えた買収・提携に注目: 「BAT」を含むネット大手が主役の買収・提携は今後も業界の方向性を左右しよう。特に昨年米国に上 場したアリババの動きに注目。ネットを基礎に置く事業多角化のビジネスモデルは、E コマース、物流、 金融を軸に更なる広がりを見せようとしている。これにほかの IT 企業が刺激されれば、経済全体の活性 化にも繋がろう。 米ハイテク株が香港の地合いを左右へ: 米国株市場には百度、京東商城に加え、昨年にはアリババも上場。中国の有名ネット企業の多くは米国 に上場しており、同市場の中国 IT セクターの動向は引き続き上海・香港の同セクターの株価に大きな影 響を与える可能性が高い。前営業日のニューヨーク市場は常に留意しておく必要がある。 (中国部 畦田) 中国のインターネット市場のユーザー数(万人) 項目 携帯電話でのネット利用 者 13年 14年 増加率 補足 中国のネット接続手段は通信網の整備、低価格帯 50,006 55,678 11.3% 製品の普及に伴い携帯(スマートフォン)が主 流。これが中国のIT化を牽引している。 新浪(SINA)、騰訊(Tencent)、捜狐 (Sohu)が ミニブログ(微博、中国 版Twitter)利用者 28,078 24,884 -11.4% 大手で、多くの著名人も自らのページを開設。 もっともSNS市場はすでにピークを過ぎており、 競争激化や政府の統制強化などが影響している。 ネットショッピングの ネットショッピングを含むEコマースは、市民生活 30,189 36,142 19.7% ネット決済利用者 26,020 30,431 ネット銀行利用者 25,006 28,214 17.0% 最大手はアリババグループ。Eコマース市場の急成 長に合わせ、昨年は金融のネット化が加速。決済 12.8% にとどまらず、資産運用までサービスは多様化・ ユーザー数 ネット資産運用利用者 出所:CNNIC - 7,849 - に深く浸透。B2B、B2C、C2Cの3形態に分かれ、 拡大している。 2015 年 6 月 22 日 % 中国のネットユーザー数の推移 万人 70000 60 ユーザー数 60000 50 うち携帯電話(比率) ネット普及率 50000 40 40000 86% 30 81% 30000 74% 20000 66% 20 66% 69% 61%61% 10 10000 0 39% 24% 0 07年 08年 09年 10年 11年 12年 13年 14年 出所:CNNIC 「インターネット・プラス」戦略で IT は今後も成長産業に: 検索サイトのブランド浸透率(%) 百度 92.1 捜捜 45.8 38.6 360検索 グーグル 27.4 神馬 3.5 宣捜 1.9 有道 1.3 0 20 40 60 80 100 2015 年 6 月 22 日 Eコマースのブランド浸透率(%) 淘宝網 87 天猫 69.7 京東 45.3 唯品会 18.8 当当 16.2 蘇寧 淘宝網と天猫はいずれも アリババが運営 14.2 1号店 12.9 アマゾン 12.6 聚美優品 11.7 0 20 40 60 80 100 ネット決済サービスのブランド浸透率(%) 支付宝 88.2 銀聯支付 41.9 微信支付 21.5 騰訊財付 通 支付宝はアリババが運営する 国内最大のネット決済サービ ス。ライバルのテンセントは微 信支付、騰訊財付通を運営。 19.6 快銭支付 13.2 0 20 40 60 80 100 2015 年 6 月 22 日 重要な注意事項 当社の概要 商号等 内藤証券株式会社 金融商品取引業者 近畿財務局長(金商)第24号 本店所在地 〒541-0043 大阪市中央区高麗橋1丁目5番9号 主な事業 金融商品取引業 資本金 30億248万円(平成26年3月末現在) 設立年月 昭和18年4月 加入協会 日本証券業協会、一般社団法人金融先物取引業協会 指定紛争解決機関 特定非営利活動法人 証券・金融商品あっせん相談センター 連絡先 ご質問がございましたら、下記部支店までご連絡ください。 リスク等重要事項のご説明 リスクについて 〈株 式〉株価および為替相場(特に外国株式の場合)の変動等により損失が生じるおそれがあります。 〈債 券〉債券は市場金利の動向や発行者の信用状況等によって価格が変動するため、損失を生じるおそれがあります。さらに外国債券は為 替相場の変動などにより損失が生じる場合もあります。 〈投資信託〉組み入れた株式や債券など、有価証券の価格変動および為替相場の動向(特に外国通貨建て有価証券等を投資対象としている場 合)等により投資元本を割り込むおそれがあります。 〈株価指数先物・同オプション〉対象とする株価指数の動きにより損失が生じるおそれがあります。加えて、建て玉代金に比べ少額の委託証拠金 での取引が可能であり、株価指数の変動によっては損失額が委託証拠金を上回る(元本超過損)おそれがあります(オプション買方の場合は買 付代金とコストの合計額に限定されます)。 手数料について 〈株 式〉①対面取引の場合、 i)国内株式は約定代金に対して最大1.15%(税抜き以下同じ、但し最低2,500円)。ii)現地委託取引による外国 株式は売買金額に対し最大0.80%(但し買付け時のみ最低500円)の国内手数料をいただきます。加えて、現地手数料として米国株式で外貨約 定代金の最大0.50%、香港株式で同0.25%(最低50香港ドル)、上海・深セン株式で同0.50%必要となるほか、各証券市場によってSEC Fee、 印紙税や取引所税等の費用が掛かる場合があります。また、為替に関しては内藤証券が決定したレートを用います。 iii)国内店頭(相対)取引に よる外国株式は当社提示の取引価格の中に手数料等(諸費用を含む)をあらかじめ加味しております。また為替は上記同様、当社為替レートを 用います。②コールセンター取引の場合、 i)国内株式は約定代金に応じて最大31,000円(最低2,500円)。ただ、月間取引回数等による割引き あり。 ii)外国株式は対面取引と同様です。③インターネット取引の場合、 i)国内株式は手数料プランが複数に分かれており、この欄に表示する のが難しいため、詳細は当社HP(http://www.naito-sec.co.jp/)にてご確認ください。 ii)現地委託取引による外国株式は売買金額に対して最大 0.40%(但し買付け時のみ最低500円)の国内手数料をいただきます。また現地手数料並びに為替レート等は対面取引と同様です。なお、イン ターネット取引では米国株式及び国内店頭取引による外国株式の取り扱いを行っていません。 〈債 券〉国内債券については売買委託手数料表をご確認ください。また、相対取引による外貨建て債券の売買に関しては当社が提示する価格 の中に手数料等(諸費用を含む)をあらかじめ加味しております。円貨と外貨を交換する際には、外為市場等の動向をふまえて当社が決定した 為替レートを用います。 〈投資信託〉商品により異なりますので、詳細は「投資信託説明書(交付目論見書)」をご覧下さい。 〈株価指数先物・同オプション〉 i)株価指数先物は約定代金に対して最大0.08%。 ii)株価指数オプションは約定代金の最大4.0%(但し最低 2,500円) ◆本資料は、公表されたデータ等信頼できると考えられる情報に基づいて内藤証券が作成し、また記載された見解等の内容は全て作成時点の もので時間の経過とともに不正確となる場合があり、過去から将来にわたって、その正確性・完全性を保証するものではありません。内容は今後 予告なく変更することがあります。◆本資料に基づいた投資によって発生する損益は全てお客様に帰属します。内藤証券は、故意または重過失 が無い限り、責任を負いません。◆本資料に提供される情報著作権等の知的財産権は、引用部分を除き、全て内藤証券に帰属します。お客様 は、事前に内藤証券の同意なく、本資料の内容及び情報を複製・譲渡・修正・変更または転送等の行為をすることができません。 本社 大阪市中央区高麗橋1-5-9 東日本地区 西日本地区 06-6229-6511 東京第一営業部 TEL03-3666-5541 東京第二営業部 TEL03-3666-7137 神田支店 TEL03-6361-9191 三鷹支店 金沢文庫支店 足利支店 TEL0422-71-1251 TEL045-780-5021 TEL0284-22-1234 伊勢崎支店 焼津支店 TEL0270-25-3780 TEL0270-25-3780 TEL054-621-1311 本店営業部 住道支店 寝屋川支店 金剛支店 橿原支店 和歌山支店 有田支店 田辺支店 TEL0744-28-4711 TEL073-423-6211 TEL0737-52-7110 TEL0739-22-4678 新宮支店 高松支店 TEL0735-22-8151 TEL087-822-0105 TEL06-6229-6904 TEL072-889-5236 TEL072-822-6333 TEL072-365-1901 インターネット [email protected] コールセンター 0120-20-9680 伊勢崎駅前サテライト 2015/6/22 広告審査済
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