平成26年度東京都立中野特別支援学校 学校経営報告 平成27年3月31日 校長 庄司伸哉 1 今年度の取組と自己評価 (1)教育活動への取組と自己評価 ①学校教育目標の具現化 学校教育目標のもとに教育計画を策定し実施した。学習指導要領及び東京都教育委員会の方針に則り ながら本校の教育課題の達成を目指して教育課程を検討し編成した。 ②教育課程編成の充実 小・中学部:自閉症学級の設置を継続するとともに、障害特性に応じた教育の推進を目指して指導内容・ 方法等の改善を図った。外部専門家による授業場面の観察・評価・改善に向けた具体的な助言等により 学習環境や指導方法、教材・教具等の工夫・改善を積み重ねた。 教科等を合わせた指導の充実、生活単元学習における授業づくりで教育課程に関する研修会実施(小学 部6回、中学部3回)生活単元学習単元計画の作成と全教員への配布。学校運営連絡協議会の協議内容 として中学部の作業学習を取り上げ、協議会委員、外部専門家による授業観察と評価・改善の提言を踏 まえ作業環境、作業工程の改善を図り製品の品質・精度を高めた。 高等部:類型化12年目である。職業学科設置の知的障害特別支援学校の開校による本校生徒の実態の 変化を踏まえながら作業学習、職業の教育課程の改善充実を図った。 ③授業の充実 教育計画の適正実施のため年間指導計画の学期ごとのPDCA実施(年3回) 。 週時程の見直し 小学部日常生活の指導の時間の短縮、小学部午前中45分授業2コマの確保。 「授業の改善」を研究テーマに設定し、日々の授業の充実を図った。授業の改善に当たっては、授業づ くりの方向性を「児童・生徒自ら分かって動ける授業」とするとともに小学部は児童のニーズに応じた 日常生活指導の充実と改善、中学部は複数のアセスメントを活用した授業づくり、高等部は作業学習の 改善を研究課題に設定し、課題に即して専門家の指導を受けた。大学の専門家との連携によるアセスメ ント実施と活用等も推進した。 ④専門性向上・校内研修の充実 全校の研究テーマや各部研究課題毎の研修会、 企業体験等の特別研修、 年次研修等を計画通り実施した。 地域支援事業としての専門性向上研修会については、中野区役所内会議室を会場とするなど関係区教委 との連携のもとに実施できた。授業研究は教職員が授業を見合うことを大切にし、ビデオ等を活用しな がら協議を進めた。中学部は教員全員が研究授業を実施した。授業研究協議会では、積極的に他学部の 分科会に参加して意見交換し、課題の共有化や指導の一貫性等について検討が深められるようにした。 ⑤近隣の小・中・高との交流学習の充実 都立高等学校との交流が9年目となり、生徒会交流の他夏祭りでの共同出店を企画した。私立高校との 交流を拡充し本校の授業見学を実施した。 小・中・高の交流校とは年3回の交流学習連絡会を実施し、交流の成果を共有することができた。 新たに交流だよりを発行して保護者に交流及び共同学習の様子について情報提供を行った。 ⑥進路指導・職業教育の充実(進路・職業学習、現場実習、資格取得など) 学校運営連絡協議会委員や就労支援アドバイザー等外部専門家からの指導・助言を受けながら進めた。 高等部職業類型のサービス班10名の職業の時間には、 近隣の運送会社集配所、 コンビニエンスストア、 ドラッグストア、青果店と連携し、店内清掃、商品の陳列、袋詰め等の店舗実習を週1回継続して実施 した。また、生活類型・基礎類型の生徒は学校周辺の清掃活動を行った。 -1- 清掃技能検定に向けて東京ビルメンテナンス協会の協力を得て実技講習を受けるとともに、地域の小学 校の校庭、校舎内の清掃を実施した。 ⑦健康で、安全・安心な学校生活(安全指導・生活指導の充実) 安全指導:防災意識と災害への対応力を高めるため引き取り訓練を実施した。在宅時の発災に備えた防 災マニュアル日本語版に、ひらがな版、英語版、ハングル版を加えてHPに掲載し、外国籍の保護者へ の周知を図った。PTA保護者研修部と連携した保護者向け救急救命訓練の実施、大震災を想定し、ス クールバスに設置のPHSを活用した連絡訓練の実施、防災対策不審者情報等地域からの情報を保護者 に伝達し、注意を喚起した。 生活指導:生活指導上課題を有する児童・生徒への対応として、外部専門家(国際医療福祉大学院臨床 心理学専攻教員)による相談を実施した。保護者対応にも活用した。 関係機関の協力を得てケース会議・支援会議を開催し、指導内容や指導体制などを確認しながら対応し た。 ⑧人権を尊重した教育の推進 いのちを大切にする指導、人権を尊重し、いじめ・体罰を絶対に許さず、いじめ・体罰を防止する指導 を推進するために、学校サポートチームによる生徒聞き取り、体罰防止研修と教職員の個別の聴き取り 調査を実施した。 個人情報の管理の徹底、校内規定の周知徹底を図り、言葉遣い、態度、服装等、人権を尊重し、個性に 配慮した指導を推進した。 ⑨保護者と連携した教育活動 各学部の授業参観を通した授業評価アンケートの実施と結果に基づく授業改善を図った。 学校運営連絡協議会等を通じた学校経営への参画、個別の教育支援計画の策定時や支援会議における保 護者との連携を図った。 ⑩地域の特別支援教育センター的機能の発揮 特別支援教育コーディネーターの役割の充実と支援事業の拡大を図った。 学校ホームページ、校門前掲示板の積極的・効果的活用、学校便りの配布等の教育情報を提供した。 学校公開の実施、地域交流集会(夏祭り)を実施した。 近隣の特別支援学校との連携充実 中野、新宿、杉並の3区を学区とする特別支援学校のコーディネー ター連絡会を設立し、情報交換と学区内の特別支援学級設置小・中学校等との連携を深めた。 地域内の児童・生徒等及び保護者、放課後等デイサービス、移動支援等の児童・生徒支援の事業所へ の相談・研修・理解推進活動を推進した。 副籍制度の円滑な実施:直接交流開始前には出前授業等を行い、理解・啓発に努めた。 ⑪学校開放事業の推進と効率的で適正な運営 都民にとって一層有効に実施できるように施設改修情報を早期に提供し、関係教育委員会と地域との連 携を図りながら次年度の計画に反映させた。 ⑫保護者(PTA)支援 児童・生徒の学校外活動への支援:可能な限りの支援を行うとともに継続可能な活動とするためPTA と連携して課題を整理し自立的な活動を行うようにした。 保護者研修会、高等部卒業後対策等への支援:PTAと連携した進路保護者会を企業や福祉関係者等を 招き3回開催した。多くの保護者が参加し、好評を得た。更にPTA進路対策部を中心として企業や作 業所等の見学会を多数回実施。進路専任を中心に支援した。他にも中野区小学校PTA連合会との合同 研修会の開催等、非常に活発に行った。 -2- (2)重点目標への取組と自己評価 <学習指導> 日常授業の一層の充実 本校は、障害特性に応じた教育の推進において、先導的な役割を果たしてきた。現在は、今までの研究 成果を土台に独自に作成した基本的な考え方「分かって動ける環境づくり」をもとに、児童・生徒自ら が分かって動く授業を目指している。具体的には、学習環境、教材・教具、授業展開等を工夫し、「や ることが分かる、やり方が分かる、結果が分かる」授業を行うことで、児童・生徒自らが学習に参加し、 活動量・学習量の多い授業を目指している。考え方は、徐々に浸透しているが、「障害特性を踏まえて」 という部分では異動者が多いこともあり、まだ不十分な面も見られる。とくに、高等部では、自閉症学 級等の取組がないことや卒業が間近であることなどから支援を減らしていくことを優先し、必要な支援 は行うという視点が薄れがちであったが、専門家の指導を受けながら、支援ツールの開発・活用等を研 究内容として授業改善を図ってきた。必要な支援は充実させるという意味からも良かった。なお、専門 家との連携では、 小学部は富岡康一先生 (自閉症と知的障害のある子どもの学習室 「クレメント」 代表) 、 中学部は 本郷美奈子先生(のぞみ発達クリニック臨床心理士)、高等部は半澤嘉博先生(東京家政大 学准教授) 、小林幸夫先生(東京都就労支援アドバイザー)の指導を受けた。 高等部の作業学習(清掃、手工芸、リサイクル)では外部専門家や地域(南台商店街、NPO法人等) との連携を図った指導を推進した。商店街との連携では、地域施設を十分に活用しきれていないという 課題が生じてはいるが、今年度は作業学習の製品販売を行った。 読書活動の推進の一環として都立多摩図書館の職員による読み聞かせの会を各学部1回実施した。 <生活指導・進路指導> 自立と社会参加の実現を目指した進路指導・職業教育の充実のため、今年度は特に以下の課題につい て取り組んだ。 ① 就労支援アドバイザーの活用による生徒向け研修の充実 就労支援アドバイザーによる職業類型の生徒向け研修として、10月8日にビジネスマナー研修を実 施し生徒20名が参加した。2月19日には高等部1年生の8名がアドバイザー企業の見学をした。 年3回職業類型事務班の授業改善についてアドバイザーによる指導・助言を実施。 ② 企業セミナー等の開催、学校間や推進室・ハローワークとの連携等による実習先・進路先開拓 ハローワーク新宿主催の企業向け施設見学会と共催の就労支援アドバイザーを活用した本校の企業 向けセミナーの実施(7月) 。実習受け入れ企業を対象とした企業懇談会の実施(2月) 。2、3年生 の企業実習先のうち、5社は推進室や学校間情報からの紹介企業、卒業生就労先の企業22社、新規 開拓企業19社だった。 ③ 就労支援アドバイザーや外部講師の講演会や企業見学会等による保護者向け情報提供・理解啓発 本校進路保護者会(各区福祉課担当者、企業雇用管理担当者、相談支援事業所職員による講演形式) 、 進路指導主任による学区内特別支援学級や特別支援学校の保護者向け、教員向けの進路講演会、保護 者参加型の高等部1年生職場見学の実施等を行なった。 またPTA進路対策部と連携した企業見学会、施設見学会、情報交換会を実施した。 ④企業の方を講師にした生徒向け研修会の実施 就労に向けての意識づくりとして身だしなみ講座、着こなし講座を実施した。研修を通して社会人に なるという自覚の高まりが見られる。 一般就労については25名が就労した。就労率は36.8%で昨年度よりも7.2%上回った。高等部 2学年に積極的に企業での現場実習を体験させたことで就労率の向上を図ることができた。その他に就 労支援機関を経ての就労を目指す生徒が4名いる。 <学校運営> ①学校経営計画と教職員一人一人の職務課題、OJTとの連動 -3- 自己申告書を活用し、個々の職務課題とOJTの内容を明確化して成果を確認した。校内OJT体制 を確立し、指導記録の蓄積を進めた。 ②校務分掌組織の一層の機能化、効率化 担当分掌における日常的な課題整理と進行管理によって業務達成を図った。 学校評価の時期を早め、学校運営連絡協議会等の提言を踏まえた改善を年度内に明示・反映させた。 ③経営企画室業務遂行、効率化 就学奨励費の適正な取扱と円滑な実施のため、教員向け研修会を実施した。 私費会計に関する経営企画室の取り扱いを拡充するとともに、次年度の執行計画の提出時期について 見直しを行った。 予算執行状況の管理を徹底し、適切な執行を行うと共に一般需要費のセンター執行率を昨年度71. 7%から7.8ポイント増の79.5%に向上させた。 ④特別支援教育のセンター的機能の推進 【センター的機能実施内容】 ア 地域関係機関との連携 (各区教育委員会・子ども家庭部・障害福祉課・保健センター・子ども家庭 支援センター・児童相談所・就学前機関・子ども発達センター等) イ 地域保育園、子ども園、幼稚園、小・中学校への支援 (専門性向上研修会開催・小・中学校校内 研修会・ケース相談) ウ 地域幼・小・中学校保護者への相談支援・情報提供 (学校相談・電話相談) エ 地域就学前機関・放課後クラブとの連携支援 (講演会開催・特別支援学校紹介・ケース相談) オ 高等部設置校として障害のある生徒の進路・就労に関する情報提供 (講演会開催) 地域の教育委員会等の研修講師として27件、地域小・中学校等への研修支援、事例相談(32ケ ース) 、教材支援、出前授業等14校で実施。学校相談は32件で、保護者を中心に、施設職員、教 員等である。内容的には、進路相談、児童・生徒対応についての相談が中心であった。地域の保護者 支援としての外部専門家と連携した教育と子育て心理相談では20日間22事例であった。地域対象 専門性向上研修3日間7講座、理解推進事業1講座開催で、延べ890名参加した。また、在校生支 援として、45ケースついて支援を実施し、内63回について、関係機関との連携のもとに支援会議 等開催した。 【地域支援研修講座】 ア 夏季特別支援教育専門性向上研修会 日 時 内 容 講 師 7 月 30 日(水) 9:30~12:30 「学びにくさがある子供への学習支援」 聖徳大学准教授 7 月 30 日(水) 13:30~16:30 「子どもの社会性を育てる指導と支援」 ~通級学級の取り組みから生活場面への応用~ あきる野市立増子小学校 主幹教諭 中村 敏秀 7 月 31 日(木) 9:30~12:30 「行動面の問題の理解と支援」 ~いわゆるキレやすい子への効果的な対応~ 早稲田大学教授 7 月 31 日(木) 13:30~16:30 「診察室から見た子どもたち」 ~子どもたちの生き辛さを知る~ 尾山台すくすくクリニック院長 新井 慎一 東原 文子 -4- 本田 恵子 8 月 1 日(金) 9:30~12:30 「学びのユニバーサルデザイン」 ~通常の学級での取り組み~ 杉並区立桃井第三小学校 主幹教諭 浦野 裕司 8 月 1 日(金) 13:30~14:50 「保護者と学校のより効果的な連携を求めて」 ~信頼関係構築のあり方~ 15:00~16:10 「これからの個別の教育支援計画」 特別支援学校保護者の会代表 永田 健児 教育庁指導部 義務教育特別支援教育指導課 指導主事 西岡 陽子 イ 地域支援者対象校集会(59名) 「子どもたちへの効果的な支援のあり方を考えるⅠ」6月23日(月)28名参加 講師:本校小学部主任教諭 海老澤 里恵 「子どもたちへの効果的な支援のあり方を考えるⅡ」11月5日(水)31名参加 講師:本校高等部主幹教諭 濵島 隆幸 学校公開(地域住民対象)年1回開催(11月5日)参加者95名。本校への今後の期待として特別 支援教育の専門性の発揮、教育相談機関としての役割、交流教育などがあげられた。また、アンケー トにより本校の施設開放事業、ボランティア養成講座等の事業が知られていないことが明確になった。 広報活動の見直しを図っていく。 相談機能の充実のため月2回の相談日を設定し、随時相談も行った。大学(国際医療福祉大学大学院) との連携による子育て支援・教育相談(心理相談室)を通年で実施した。20日間で22回実施し、解 決が図られるようにするため地域の相談機関などに繋げるようにした。 ⑤「個別の教育支援計画」策定・実施・評価 保護者の参画促進、関係機関との連携強化、教育支援部会の定例化(月1回)を図った。 個別支援会議を年間45ケース計63回開催した。また、夏季休業日に支援会議週間を実施し必要に応 じて随時実施した。高等部卒業時には個別移行支援計画を作成し、必要に応じて支援会議を設定した。 ⑥副籍事業の円滑な実施 小学部31名、中学部13名、計44名(約38%)で1%の微増である。 今後も事業の拡大に向けた取り組みが課題である。引き続き保護者等への理解を図る。副籍報告会は 校内向けと校外向けを合同で実施し、相互の情報共有ができるようにした。活動の意図や内容が具体 的に分かるようにプレゼンテーションソフトを活用して行った。 ⑦学校PR活動(学校情報の提供)の充実 学校ホームページ更新(毎月1回、随時)、掲示枠の3倍に拡大した校門前掲示板の更新(2週1回) 地域自治会を通しての学校近隣住民への情報提供(月1回) 関係区広報への掲載、教育委員会との連携を実施した。 ⑧就学相談の内容の充実 障害幼児の保護者相談の充実のため、就学前施設と連携した支援会議を実施した。更に自治体の巡回相 談対象になっていない私立保育園からの要請を受けて支援会議における助言を行った。 指導、支援の継続性、障害特性の理解共有、支援計画の作成・活用、保護者の理解啓発に関する連携 幼児教室等の開催など内容の充実を図った。 ⑨学校評価方法の充実及び学校運営連絡協議会の充実 学校評価アンケートには学習指導、生活指導、進路指導、特別活動等の全般的な成果に加えて、楽しく 通学しているか、障害特性に応じた指導、個別指導計画、情報発信、保護者との連携、個人情報保護、 人権、防災対策等に関する15の質問を設けた。教職員、保護者が同じ質問に回答した。保護者には本 -5- 校教育活動への不満に関する質問を加えた。昨年度から学校評価アンケートは9月に実施し、教職員(9 月:112名)、全保護者(9月:270名)、高等部生徒(11月:167名中122名)に実施し た。学校評価の充実のため、PTAと連携して回収率向上に努めた結果、昨年度との比較で小学部:9 8.2%→100%、中学部90.0%→95.8、高等部80.3%→92.5%で、全体では86. 8%→94.8%と8.0ポイントの更なる向上となった。引き続き90%以上の回収率の定着に努め る。 また、学校サポートチームによる高等部生徒(12月12名)への聴き取りを実施した。 10月に実施した第2回学運協においてアンケート結果を報告し、1月の第3回学運協では年度内に改 善した課題及び次年度改善策の提示を行い、学運協の提言への迅速な対応で組織の活性化を図った。 その他協議委員による授業評価、保護者による学校行事や授業参観ごとの評価アンケート等を実施した。 【学校評価(保護者)の結果】 設問1 1 大いにある 2 一部ある 3 ない 無回答 0% 0% 2.0% 0% 1.8 % 11.1% 26.1% 17.6% 20.5% 21.1% 76.2% 73.9 % 76.5% 74.4% 68.4% 12.7% 0% 3.9% 5.1% 8.8% 小 中 高1 高2 高3 中野特別支援学校の教育 活動に対するご不満があり ますか 不満が「ない」と回答した保護者は全体で昨年度との比較で72.8%→73.1%と1.0 ポイン トの向上となり、感謝のことばも寄せられた。現状に満足することなく、今後もより良い学校づくり を推進する。不満と感じる具体的な要望では、 「トイレ等の教育環境について」「プールについて」「子 どもの情報の引き継ぎについて」に関する要望が寄せられた。 1 よい 2 だいた いよい 3 普通 4 改善を 要す 5 わから ない 無回答 小 79.4% 12.7% 3.2% 1.6% 3.2% 0% 中 高1 高2 高3 69.6% 74.5% 71.8% 61.4% 21.7% 15.7% 23.1% 21.1% 8.7% 7.8% 5.1% 10.5% 0% 2.0% 0% 3.5% 0% 0% 0% 3.5% 0% 0% 0% 0% 設問2 お子さんは楽しく学校に通 っていますか 各学部とも80%以上の保護者から「よい」「だいたいよい」の回答をいただき各学部とも「ほぼ楽し く通えている」回答数が多く、特に小学部から高等部2年までは90%を越える保護者の方に「よい」 「だいたいよい」の回答があった。保護者全体での昨年度との比較では、87.5%→89.8%と 2.3ポイントの微増であった。昨年度から始めた課外活動の音楽クラブを楽しみにしているとの感 想があった。今後とも自分と他人への理解が深まる高等部の時期に友達関係を学ぶという課題ととも に、安心して楽しみを共有できる指導環境の改善に努める。 【高等部生徒のアンケート結果の概要】 167名中122名が回答し、学校が楽しい87%、楽しくない3%、どちらでもない10% 先生は悩みを聞いてくれる:76%、聞いてくれない:3% <特別活動・その他に関するもの> ①児童・生徒一人一人に応じた特別活動、学校行事等の実施、障害の特性に配慮した運動会(中・高等部) ②各学部における交流学習の内容の充実 ③副籍事業の充実(前掲の通り) -6- ④保護者・地域支援 保護者研修会の開催と協力、夏祭り、保護者参画活動の充実を図った。 ⑤ボランティア初級養成講座の実施 直近の2年間は参加希望者が少なく、講座の実施を見送ったが、医療関係専門学校、大学生への働きか けで応募者が増え、参加者が10名となり、全3回の講座で修了者は7名となった。今後も募集活動を 強化する。 ⑥休日、放課後活動等、支援活動への全教職員の協力 保護者のニーズも多様になってきており、デイサービスの内容も充実してきている。支援活動の今後の 在り方は引き続き検討していく必要がある。 <研究・研修> ①教育課題に対応する研究・研修の推進 ア 校内研究活動 【小学部】 「児童のニーズに応じた日常生活の指導の充実と改善」 日常生活の指導で児童のつまずいていることや困っていることに対して支援の方法を工夫し、指導 の改善・充実を図った。学部の全教員が全児童について太田ステージ及び鳥の絵課題を実施し、二 つの課題の成否で児童を4群に分け、各群の児童の共通した特徴から対象児を決め、指導の手立て を検討した。手立ての検討の際には課題分析シートを作成して共通理解を図り、ケース会議では児 童の活動のポイントを明確にし、わかりやすい課題と達成感のある設定について検討を行った。授 業改善についての研究の継続し、指導事例の蓄積を行って学部全体での力量向上を図ることが課題 である。 講師 富岡康一先生(自閉症と知的障害のある子どもの学習室「クレメント」代表) 【中学部】 「複数のアセスメントを活用した授業づくり」 中学部では太田ステージによって分けたグループ別で国語・数学の授業を行っている。授業を組み 立てる際の構成、課題、教材選定のための細かいアセスメントの必要性を感じ、NC プログラムに よるアセスメントを全生徒に実施した。これにより生徒の個人内差を含めた実態をより細かく把握 できた。アセスメントの結果によって、グループ内の生徒に共通する課題を見つけたり同一課題の 中でも支援の内容・方法を変えて個々の課題に対応したりして、授業のねらいや課題を精選するこ とができた。学部の全教員が研究授業を行い、講師の助言に基づいて具体的な授業改善が行われた。 講師 本郷美奈子先生(のぞみ発達クリニック) 【高等部】 「作業学習の授業改善 ~生徒の実態から手立てを探る~」 働くことに意欲をもち、主体的に活動する力を育てること。社会参加をするうえで必要な態度やコ ミュニケーション能力を養うことなどの作業学習のねらいに沿って学習内容を整理し、作業班ごと にケースに注目し、指導や授業の改善を進め、各学年や各作業班での指導を学部全体で共有を図っ た。その結果、生徒の意欲、技術、コミュニケーションスキルが高まった。必要な支援や次の課題、 目標が明らかになった。記録を取ることで客観的な評価ができ、指導の改善に結びついた。各作業 班で得られた指導の手立てや支援方法を他学年や他の作業班でも活用できるように情報を共有す ること、研究での目標と個別指導計画の整合性をもたせること、キャリア教育の視点での指導を整 理することが課題である。 講師 小林幸夫先生(東京都就労支援アドバイザー) 半澤嘉博先生(東京家政大学准教授) イ 専門家連携(アセスメント連携) 小学部 小学部1年生のアセスメント 実施と研修会 小野寺敦志先生 波多野茂幸先生(国際医療福祉大学) -7- 中学部 太田ステージ 研修会 立松英子先生(東京福祉大学) 生徒全員にNCプログラム及び太田ステージの実施と研修会 本郷美奈子先生(のぞみ発達クリニック) 高等部 高等部1年生のアセスメント 実施と研修会 佐藤秀行先生(立正大学) 高等部2、3年職業類型の生徒へのKABC-Ⅱの実施と結果通知、指導への活用研修 熊上先生(立教大学) 、後藤先生(筑波大学) 、船山先生(筑波大学相談室)星井純子主幹教諭 ウ 全校研修会 校内夏季研修会 7月29日(火) 、8月26日(火) 、27日(水)に計4講座を開講した。 「特別支援学校の進路指導と企業が求める人材」 講師 四王天正邦先生(株式会社三越伊勢丹ソレイユ代表取締役社長) 小野寺肇主任教諭 (本校進路指導主任) 「学校における事例検討の工夫 ~多様な視点から支援の試みへ~」 講師 波多野茂幸先生(国際医療福祉大学大学院) 「障害者の人権~障害者権利条約の批准・発効に伴うインクルーシブ教育の構築と特別支援学校の在 り方~」 講師 森下由規子先生(明星大学准教授) 「アセスメント研修~WISC-ⅣやKABC-Ⅱを中心とした心理検査の意味と活用~」 講師 星井純子主幹教諭(本校特別支援教育コーディネーター) ②専門家との連携の継続と教員の専門性の向上 ア アセスメント、ケースカンファレンス イ 専門家による校内専門研修会(授業づくり、指導法、事例研究等) ウ 外部専門家との連携拡大(アセスメント結果に基づく高職業類型の生徒への助言と教員との協議) ③公開授業研究協議会 平成26年12月17日(水)実施 本校はこれまで自閉症の児童・生徒の教育課程の開発・研究事業と高等部普通科における職業教育の充実 に関する開発・研究事業の指定校としての実践・研究を重ね、その成果を土台としながら、内容を更に充 実させ、新たな発展を目指した授業改善に取り組んでいる。児童・生徒一人一人の特性や発達の状況、教 育的ニーズに応じた学習を充実させ、自立と社会参加への意欲と力を段階的に身に付けさせるため、小・ 中学部では自閉症学級、知的障害学級、重度・重複学級、高等部においては、職業類型、生活類型、基礎 類型のそれぞれ3つの教育課程を編成し、生徒一人一人の自立と社会参加を目指した指導を実施している。 本校の障害特性に応じた教育(自閉症教育)について広く公開してほしいとの要望や、本校の今後の実践 研究の継続と更なる発展につなげていくことが不可欠であることから、外部からの意見を活かしながら実 践・研究の方向性を検討し、公開授業研究協議会で得た意見を今後の教育課程と授業の改善に生かすため に実施した。全国から45名参加。小、中、高、3つの分科会に分かれ、それぞれテーマに沿って研究協 議を行った。また、自閉症の当事者による講演で自閉症の身体的、心理的な特徴と具体的な支援方法につ いて理解を深め、公開授業研究協議会を含めて今年度の研究成果を実践報告集にまとめた。 -8- 【参考】公開授業研究協議会プログラム 受付 公開授業 8:45 *受付終了後、公開授業見学 8:50 ~ 10:50 小学部 「日常生活の指導」 「保健体育(時間走)」 「国語・算数」「自立活動」 中学部 「日常生活の指導」「保健体育(朝の運動)」 「国語・数学」「自立活動」 「日常生活の指導」「作業学習」紙工班、木工 班、クリーニング班、リサイクル班、食品班、 手工芸班、陶芸班 本校の概要について 今年度の研究概要について 本校の進路指導について 高等部 全体説明会 昼食・休憩 教材展示公開 11:00 ~ 11:30 11:40 ~ 13:00 体育館で教材展示 小学部協議会 授業研究 協議会 13:00 ~ 14:50 全体会 15:00 ~ 16:30 閉会 16:30 中学部協議会 助言者 富岡康一先生 クレメント代表 助言者 本郷美奈子先生 のぞみ発達クリニック 助言者 半澤嘉博先生 高等部協議会 東京家政大学准教授 ・各協議会からの報告・助言者からの講評 ・講演会 「ASD児・者への支援 当事者の視点から」 片岡 聡先生 NPO法人リトルプロフェッサーズ代表 ・謝辞 校長 庄司伸哉 -9-
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