認知症支援の 地域プラットホームづくり マニュアル

独立行政法人福祉医療機構 平成 26 年度社会福祉振興助成事業
地域サロンを核にした認知症支援事業
認知症支援の
地域プラットホームづくり
マニュアル
***地域の居場所からはじめる認知症支援***
1.地域プラットホームとは
2.提案したいプログラムと進め方
3.カフェ、サロン運営上の留意点
4.参加者が役割を持つためのノウハウ
5.広報、呼びかけ方法
6.他団体、他機関との連携
7.カフェ、サロン運営上の課題と大切なこと
NPO 法人 きらっと☆光星
白石まちづくりハウス
NPO 法人 さっぽろ福祉支援ネットあいなび
15-030189.indd 1
2015/03/13 17:07
1. 地域プラットホーム(地域課題を解決するために集まる場)はどんなところ?
3つの拠点(札幌市東区、南区、白石区)をご紹介します。
名
称
きらっとサロン
(コミュニティスペース光星)
特定非営利活動法人きらっと・光星
運営団体 (介護保険・障害福祉サービス指定
事業所、お手伝いサービス)
所 在 区
カフェサロン
名
称
札幌市東区(最寄交通機関 地下鉄
東豊線 東区役所前)
月 1 回の手作り教室、不定期の
オレンジカフェ(年に数回程度)
2階建店舗兼アパートの1階
広さ
38.88 ㎡
オレンジカフェ
(多目的スペースあらいぶ)
特 定 非 営 利 活 動 法 人 さっぽろ福 祉
運営団体
支援ネットあいなび
(福祉移動支援・生活支援・地域交
流支援・福祉運送運転者講習)
所 在 区
カフェサロン
名
称
運営団体
所 在 区
カフェサロン
札幌市南区 (最寄交通機関 定鉄バ
ス・中央バス 十五島公園)
地域交流サロンふじのカフェと共
2階建テナントビルの1階
広さ
50 ㎡
同活動(月曜日から金曜日)
なごみ喫茶
(Café
smile)
白石まちづくりハウス
札幌市白石区
(最寄交通機関 JR 白石駅)
広さ
50 ㎡
毎日型地域交流サロン
8階建店舗兼マンションビルの1階
(月曜日から金曜日)
交通機関は地下鉄、バス、JR とさまざまだが、いずれも人通りがある1階路面店で、テナント仕様。
広さは 11 坪~ 15 坪。この広さなら自宅解放型でも、施設併設型でも可能。わかりやすい表示と中
の様子が覗ける(安心感が増す)ことがポイント!
−2−
15-030189.indd 2
2015/03/13 17:07
2. 提案したいプログラムとその進め方は?
① カフェの開催
団体
きらっと・光星
さっぽろ福祉支援ネットあいなび
白石まちづくりハウス
名称
きらっとサロン
オレンジカフェ
なごみ喫茶
準備
・認知症家族の会に講師派
遣依頼・告知チラシ作成、
配布(関係団体、周辺地域、
団体の会員等)
・内容につ
いて講師と相談、資料作成
・オレンジカフェ担当者と 地域包括支援センターに講
レジュメ作成・各支援団体 師派遣依頼(簡単な認知症
や講師等との調整・告知チ 予防講座など)
・チラシ作
ラシを作成し各団体、回覧 成し、関係機関、地域資源
板にて配布
(スーパー・グループホー
ムなど)に配布
当日
・参加者へお茶を提供
・主催団体より開催趣旨を
説明
・講師から体験談を含め、
認知症対応について話
を聞く
・質疑応答
・生演奏・回想法・介護ア ・参加者へお茶を提供
ロ マ・三 分 式 着 物・カ ラ ・主催団体より開催趣旨の
説明とあいさつ
オケ(例として)・読み聞か
せ 療 法・日 本 舞 踊・昔 遊 ・プログラムを順次開始
(足 浴・マ ッ サ ー ジ・懐
び・料 理 教 室・地 域 包 括
かしの歌・お手玉など)
支 援 セ ン タ ー 等 の 認知 症
等のお話し及び介護相談・
安心、安全な食事の提供及
び食の講習・その他
報告
アンケート集約とまとめ
アンケート集約とまとめ
名称
それぞれの拠点におけるカフェの開催について
<準備><当日><報告>に分けて進め方を整
アンケート集約とまとめ
認知症家族のための
オレンジカフェ
準備 ・地域包括支援センター、
家族の会などに協力依頼
理し、まとめると以下のような流れができる。
・チラシを作成し、関係機
講師への依頼、内容調整
関、地域資源(スーパー・
告知チラシ作成、配布
布
グループホームなど)に配
当日
・参加者が気楽に話せるよ
うお茶などの用意
当日プログラムの実施
・主催団体より開催趣旨の
説明とあいさつ
アンケート集約とまとめ
・自由に発言し、ゆったり
過ごす
多彩なプログラムの組み立ては日ごろからの
人脈や伝手、他団体からの情報が大切!
報告
アンケート集約とまとめ
−3−
15-030189.indd 3
2015/03/13 17:07
2. 提案したいプログラムとその進め方は?
② 講座の開催
団体
きらっと・光星
さっぽろ福祉支援ネットあいなび
名称
ユマニチュードケア講座
認知症サポーター養成講座
準備
・ユマニチュードケアに関する DVDを
入手、スタッフで内容を学習・講座で何
を伝えていくかを検討・レジュメ作成・告
知チラシを作成し、各団体、周辺地域に
配布
・オレンジカフェ担当者とレジメ作成
・地域包括支援センターへ講師依頼
・介護支援専門員に講師依頼
・告知チラシを作成し各団体、回覧板に
て配布
当日
・主催団体から開催趣旨を説明
・限られた講座時間の中で、有効に学習
するために、いくつかのチャプターを抜
粋して、鑑賞する・参加者に感想、意見
を述べてもらい、理解度を深める・参加
者の意識に残るようなキイワードを使い
ながら総括
・地域包括支援センター講師による認知
症サポーター養成講座
・介護支援専門員による認知症介護支援
の講習
報告
名称
準備
当日
報告
アンケート集約とまとめ
アンケート集約とまとめ
音楽療法基礎講座
・音楽療法を研究、実践している有識者
に面談・名義後援依頼・告知チラシ作成、
配布(札幌市内公共機関に配架)
・事前受付と名簿作成・横断幕作成
・講座内容について講師と相談
・会場、機材の手配・資料印刷
講座はどんな人に聞いてもらいたいか
・主催団体から開催趣旨を説明
・講師による講義と実践
短時間で有意義な内容にすることが
・アンケート集約とまとめ
・名義後援報告
増やすコツ。
¥¥
目的を明確にすることが大切。
例えば、ユマニチュードケアについて
は専門職やサロンスタッフ、認知症
サポーター養成講座は一般市民向け
というように。
居場所の質を高め、リピーターを
運営費用メモ なごみ喫茶の場合
お 茶・お菓子
コップ他消耗品
ボランティア費
チラシ印刷・作成
計
…
…
…
…
¥¥
1,000円
1,000円
3,000円 (1名1,000円×3名)
5,000円 (1枚5円×1000枚)
10,000円
−4−
15-030189.indd 4
2015/03/13 17:07
2. 提案したいプログラムとその進め方は?
③ 講習会・学習会の開催
団体
さっぽろ福祉支援ネットあいなび
白石まちづくりハウス
名称
徘徊模擬講習会
地域サロンスタッフ交流学習会
準備
・オレンジカフェ担当者と
レジュメ作成
・警察署に徘徊についての
講師依頼
・介護支援専門員に講師依
頼
・告知チラシを作成し各団
体、回覧板にて配布
・地域サロン開催団体調査・プログラム検討・地域サ
ロン団体に実践報告依頼・地域サロン団体に基礎資料
作成のためのデーター依頼・チラシを作成し、関係団
体などに配布・HP掲載、ボランティア団体等のHP掲
載依頼・終了後の認知症予防の食事を食べながら交流
するための準備・(ボランティア募集、メニュー依頼大
学の栄養学科に依頼)
当日
・警察署職員による認知症
者SOSネットワークに
ついての説明
・介護支援専門員による徘
徊講習
・職員による徘徊模擬訓練
・質疑応答
・参加者へのお茶の準備、会場セッティング・食事の
準備・主催者からの趣旨説明とあいさつ・各事業所の
実践報告と質疑応答・食事をしながらの交流
アンケート集約とまとめ
アンケート集約とまとめ
報告
地域プラットホームづくりの要となるのは、プラットホーム(場)を中心にしたネット
ワークの構築である。
講習会や学習会は参加者のスキルアップの場であるとともに、次の行動を一緒に考える
仲間づくり、ネットワークを認識する場として機能している。
例えば、徘徊模擬講習会では、地域の人たち(警察署、ケアマネジャー、町内会、商店
街)が同じ目的のために力を合わせる仲間であることを確認できる。また地域サロンス
タッフ交流学習会では、同じ居場所運営に関わる仲間の活動状況を聞いて、活動のヒン
トを得ることができる。どちらも地域の居場所だからこそできる地域プラットホームづ
くりのための機会となり得る。その意義はとても大きい。
−5−
15-030189.indd 5
2015/03/13 17:07
3. カフェ、サロン運営上の留意点
認知症の人とそ
認知症カフェの場
づくり
合は、専門職等の
の家族が一般の
気軽に相
談できる
雰囲気
安心して利
用できる場
づくり
相談体制
人と出会い相互
扶助の輪を形成
応援を要請し、
スタッフは
参加者との
つなぎ役
悩みを話しやすい
雰囲気づくりを
サロンカフェ
積極的な
参加者の
希望意向
を反映
参加、協力
につながる
心がける
ボランティアも
重要
知識があ
るスタッ
フを配置
やりがい
を感じる
企画
参加者の
やる気を
引き出す
カフェ、サロンの
運営団体が事務所とサロンスペー
スを共有する場合は、
参加者も役割を持つ
個人情報の管理などに留意が必要
地域の名人を講師に
4. 参加者が役割を持つためのノウハウ
楽しく手伝う
スタッフが参加
されている方の
得意な
こと
会話の中から関
心のあることを
「自分にもできる」
と実感することが
喜びにつながる
察知してスタッ
フ間で情報共有
する
興味の
あること
自分の事や
体験を話す
食事や飲み物の給仕等
無理のないペースで
関わってもらう
−6−
15-030189.indd 6
2015/03/13 17:07
5. カフェの広報、参加呼びかけ方法
市内及び周辺
•公共施設へのチラシ配架
•公報に掲載
•駅でのポスター掲示
•HPでの告知
区内、地域包括圏内
•地域FM、タウン誌
•地域包括支援センター
•介護予防センター
•介護施設、高齢者住宅等
•手配り、 回覧版
•スーパーマーケット
•病院、銀行等
•サロン入口にポスター掲示
近隣、町内会に
チラシ配布掲示
会員へ電話かけ
6. 他団体、他機関との連携
市内、市外
他の地域サロン
成年後見の専門家
弁護士等
生活圏域
地域包括支援センタ
ー
介護予防センター
病院
ご近所
情報交換
町内会
問題解決
の糸口
民生委員
区社協
警察署
介護施設
地域のNPO
助け合い団体
7. カフェ、サロン運営上の課題ともっとも大切なこと
課題
大切なこと
寄り添う
参加者の拡大
入口の工夫(入りやすいように)
継続のための
どんな話も傾聴
運営費
協力してくれる
仲間づくり
認知症と思われる
人にどうやって
来てもらうか
笑顔でゆっくり話す
気持ち
コーディ
ネイト力
認知症の知識を得ておく・スタッフの学習会
目的を明確にし、参加者数にこだわらない
−7−
15-030189.indd 7
2015/03/13 17:07
認知症は誰にでも発症の可能性のある病気です。従来、その支援は適
正な訓練を受けた専門職でなければ対応できないというイメージを持
たれていました。しかしこれから増えていく認知症支援を公的サービ
スで担うことには限界があり、地域で認知症状のある人を支えていく
仕組みづくりが求められています。
ひとりひとりのスキルアップをはかりボランティアとして活躍できれ
ばいいのですが、情緒や行動の変化が著しい認知症状に戸惑い、尻込
みしてしまうケースもあるでしょう。
この冊子は、まずは、サロンと言われるような「地域の居場所」で、
認知症支援に取り組んでみることを提案しています。
3つのプラットホーム(拠点)で実施された特色ある活動。
これから認知症支援に取り組むためのヒントがたくさん盛り込まれて
います。ぜひご活用ください。
発 行 年 月 : 平成27年3月
発
行 : NPO法人きらっと☆光星
〒065-0009 札幌市東区北9条東9丁目3番32号
TEL 011-790-6508
協
力 : 白石まちづくりハウス
NPO法人さっぽろ福祉支援ネットあいなび
ホームページ : https://sapporosalon.wordpress.com
15-030189.indd 8
2015/03/13 17:07