石崎徹、三浦ふみ (2015)

一卵性双生児を用いた
光トポグラフィによるテレビ広告 反応測定
中央大学大学院戦略経営 研究科教授 円〓甲 洋可
専修大学経営学部教授 石 崎
徹
ふ ス一
インテージ/中央大学大学院戦略経営研究科博士後期課程 一二浦w ヽ
不神奇 伺t(い しざき 。とおる)
968年 生まれ。91年 早稲田大学商学部卒業。同
大学大学院商学研究科修士課程を経て、98年 同
大学院博士後期課程単位取得退学。専修大学経
[著
営学部助教授等を経て、 2006年 より肌
書]Fわ かりやすい広告論』(編 著、2012)ほ か。
992年 お茶の水女子大学文教育学部卒業。出版
社、,資系 リサーチ会社等を経て、2003年 イン
)
テージ入社。法政大学大学院経営学研究科修士
課程l多 了。[著 書]Fマ ーケティング・リサーチ入
F司 』(州嘲 筆、 202)。
イアが いく つも開発されてきた。 こうした状況 の変
イ ンターネ ット の登場以来、新し い電子広告メデ
かにすることにある。本研究 では、問題意識として
る のだろうか、本研究 の目的はこうした問題を明ら
な視聴環境 であれば広告 への反応はど のよう に異な
こうした新し い広告視聴環境にお いて、ど のよう
示す のだろう か。
能動的な態度 で視聴したとき は、 異な る広告反応を
し て、 そ の効果を上げ てきた。 それ では、 視聴者 が
レビ画面を集中して見な い非専念視聴など の視聴形
ビと スマホの両方を用 いるダブ ルスクリー ンや、 テ
して いる。例えば、 テレビ広告視聴にお いて、 テレ
さらに、広告を視聴する態度そ のも のも大きく変化
をはじめ、次 々と新し いデバイ スが登場して いる。
スマホ︶
するデバイ スに ついても、 ス マート フォン︵
、携帯
ト型 コンピ ューター ︵
以下タブ レ ット PC︶
電話、 スマホなど、さまざまな デバイ スが登場し、
今 日ではテレビ受像機以外 に、 パソ コン、タブ レ ッ
するためには何らかのデバイ スを必要とする。従来
は、 テレビ受像機を通じてしか視聴 できなか ったが
ひと つは視聴デバイ スの問題 である。広告を視聴
倉いヽ﹁
o3 C〓 N一一γ︶
´
,
二一
一.ゴ 、i ti・
一
光トホグラ ファヒ ほ、■ri .
力 な 分析 手段 と し て注 日さ れ るよ う に ■ ´て 一ヌ´
し てきた が、 現在 では大脳反応 が日頭反応 ヒ並 び有
応を調 べる際、従 来は被験者 の口頭 で の反応 に依存
野 ︵
前 頭葉︶ での広告反応を計測した。広告 への反
●■ ・
ける血流 量変化 を可■化 すを ∵よて 1 ͡
,
013ヽ 我 々の脳 は、お ら一.■ そ 千を 二 ‘て代 計
それらを通じてテレビ視聴が可能 である。 では、同
﹀この作業中
が進 む。 そ の結果、血流量 が増加す る^
被験者 が刺激 に対し てど のよう に反応し て いるかを
じテレビ広告が、テレビとパソコンと いう異な った
可視化す る こと ができ る。光トポ グ ラ フィでは、大
こうした状況にお いては、従来と異なる広告手法
もう ひと つの焦点は、視聴態度 である。か つてテ
、
の脳血流量 の増加 ・減 少を計測す る こと によ って
レビは、お茶 の間で受動的 に視聴されるも のであ っ
デバイ スで視聴された場合、視聴者 の反応は異なる
いく つかの例 ︵
鈴木ほか、 2012︶
のありようは、
のだろうか。
を除 いては実証的に明らかにされる機会が少なか っ
や戦略が必要 になるかもしれな い。しかしこれま で
に、 こうした新し い広告視聴環境 における広告反応
態 である。
グ ラ フィ ︵
近赤外線 分光法︶ によ って大脳 Ω 則頭前
本 研究 では、 これら の疑間 に答え るため、光トポ
化 に対応して、ク ロスメディァなど、さまざまな広
た。 テ レビ広告もま た こう した受動的な 視聴 に対応
(経 済学)。 電通、
法政大学経営学部教授、 コロンビア大学研究員
などを経て、2008年 より璃悧む 日本 マーケティ
ング学会副飢
[著 書]Fブ ラン ド戦略全書』
(編 著、 205)ほ か。
2 つの焦点を持 って いる。
た。
195年 生 まれ。京都大学博士
告手法や戦略が提唱、実践されて いる。広告を視聴
顆藝均︲︲︲
、
ヽ
み
うら・、
(み
、
み
.ヽ
三浦
。ひろし)
洋
(た なか
田中
2
日経広告研 究所報 280号 ―一―――-
を ﹁
近赤外光﹂を用 いて測定し、脳活動 に伴う血流
脳 の血流量増加 の際に使われる ヘモグ ロビ ンの濃度
を除 いては実証的 に明ら かにされ る機会 が少な か っ
人間 の前 頭前 野は、人間を人間たらしめる脳 の部
位、 つま り思考 や創 造性を 司る脳 の最高中枢 と考 え
ができる。
の反応部位を■一
定 でき を点 で艦 れた方法と言う こと
レビ は、 お茶 の間 で受 動 的 に視 聴 さ れ るも のであ ´
、
②感性 ︵
不安や恐怖など の行動を抑制す る情動︶
、
て観測した。①記憶 ︵
記憶 の出入りに関す る活動︶
思決定と いう幅広くか つ重要な活動を司 っている。
行動計画、推論、さらに、情動 ・動機 つけ機能、意
今回は、前頭前野 の活動を次 の4 つの部位に分け
量変化を画像 で観察することが可能となる^
.
。具 体的 には ワーキ
られ て いる ︵
渡邊 、 2 01 3︶
③直感 ︵
非言語的︶ ︵
映像 。音楽 視聴など の非言語
ホグラフィによる計測手法を用 いた理由
この光卜.
、反応抑制、行動 の変化、
ング メ モリー ︵
動作 記憶︶
、④論 理 ︵
要素 への注意︶
発話や書字など
言語的︶ ︵
は、大脳水準 で測定された反応 は口頭反応と異なる
場合 があること、また、大脳 のど の部位が反応する
かを見ることで、 日頭反応 では得られな い結果が期
。③と④ の 一
の言語要素 への注意︶である ︵
図表 ︰︶
部は ワーキ ングメモリー、
つまり情報 の 一時的保持
待されたためである。
また光トポグラフィは、同じ大脳水準 での反応を
本実験では、
一卵性双生児を4組招集し、双生児
と処理に関わる部位 である。
持 って いる。大脳 の反応を測定する手法として、脳
計測するほかの手法と比 べ、 いく つかの優れた点を
波計測法とfMRI ︵
核磁気共鳴画像法︶ の2 つが
す でに知られて いる。光トポグラフィは、身体 の外
から脳内反応を測定し、脳を傷 つけな い非侵襲式で
光 トポ グ ラ フ ィ装 置 によ るア ウ トプ ッ トの概 要
立 ハイテクノ ロジーズが開発した機器を使用した。
これはウ ェアラブ ル機器であり、被験者が頭に装着
するだけで測定が可能となる。また、視聴時間も比
較的長く取れ、さらに日常生活に近 い姿勢 で反応が
計測 できること、 これらが広告 の反応測定 にと って
大きな メリ ットとなる。
ただし、光トポグラ フィの測定法に欠点 がな いわ
けではな い。fMRIと比較した場合、測定領域が
大脳皮質 に限られてしまう ことである。fMRIは
大脳 の奥 の反応も測定 ができる。また、脳波計測法
リサーチク エスチ ョンー 一デバイ スの違 い ︵
テレビ
定された。
本研究 のリサーチク エスチ ョンは以下 のように設
生児を招集した。
ぼ同じ環境 で育 った女子高校生 。大学生 の 一卯性双
。今回はこうした生育
か った ︵
﹃8∞P 3 ”F Sa ︶
上、また後成的な影響を できるだけ避けるため、ほ
りは近 い反応をすることが期待される。近年 の研究
では、
一卵性双生児に後成的 おり﹂
﹄
eな違 いが
”①●①一
生じるため、遺伝子 レベルでの変化があることがわ
育 ったならば、刺激 に対して、異な った個体同士よ
間 で反応を測定。条件による違 いを明らかにしよう
とした。
一卵性双生児 ︵
とは、
ヨo●oいく的o易 一
ョ一
湧︶
同じ遺伝子を持 つ同じ母胎から誕生した2 つの個体
である。同じ遺伝子を持 つため、もし同様 の環境 で
と比較すると、反応 の即時性 にお いて劣 っている。
s
、
vタブ レ ットPC︶によ って 脳 の前頭前野 の部位ご
とに、ど のような反応 の違 いがあるだろうか。
リサーチク エスチ ョンーの背景 ¨テレビはふ つう
日経広 告研 究所 報 280号
3 -一 ―――一
あるため、被験者 への大きな負担なしに実験 できる。
しかしこうした欠点 にもかかわらず、前記 のよう に
i
今回 の測定 では、光トポグラフィ測定装置として日
実際 の広告を見る のに近 い環境 で測定 でき、か つ脳
図表
リー フィングを行 い、謝罪したうえ で実験 の意図を
、
評価 のため﹂とイ ンストラクシ ョンを与え 広告評
、
価とわからな いよう にした。そして 実験後 にデブ
リラ ック スし、受動的な状態 にお いて視聴されるも
、
のと理解されている。 これに比較して タブ レ ット
だした。
て了解を得た。なお、実験 の後 でこの実験 の目的が
何 であると思うかを尋ねたが、実験デザイ ンに つい
。
て言 い当 てた被験者は いなか った
、
広告 の提示方法は図表 2のよう に 環境ビデオを
0秒露出し、 これを被験者が評価する
最初と最後 に3
﹃
テレビ番組﹄と称した。2回の環境ビデオ の間に
、
4本 の5秒 コマーシ ャルを流し 実際 のテレビの番
1
クラ ッター状況﹂を つくり
組と広告 の配置 に近 い ﹁
明らかにし、す べての被験者から実験 の操作 に つい
などパソ コンのようなデバイ スに対しては能動的な
視聴をするも のと解されている。 こうした理解を大
一 一方、非集中条件 の被験者 には次 のような指示が
テ レビ画面、PC画面を見な がら正し
なされた。﹁
くタ ツピ ングを続けることができるかと いう実験で
。
まずは1分間タ ッピ ングをして いたださます
す﹂﹁
画面 の真 ん中を見
ち ょ っと練習してみまし ょう﹂﹁
ながら、目を開けて、タ ッピ ングをしてくださ い﹂
、 止めて
︿
実際に対象者と共 にタ ッピ ングを実施 ﹁
一
れからテレ
くださ い﹂と言うま で続けてもらう﹀で﹂
ビ番組から取 ってきた映像を流しますが、画面を見
、一
● アウ トプ ッ トは 4本 まとめて
の提示 (個 々の広告 の脳血流
の状態 はオ
巴握 することはでき
ない
)
本調査では、番組映像の間に 4本 連続で広告 を放映 し、その前後に「環境 ビデオ」 を流 し、これを
番組 として被験者 に提示 した。
● 広告4本 まとめてのlX血 流 の
測定
︲︲
二
劃﹁ ・剥﹁却
中していたかどうかを尋ね、指示が有効 であ ったこ
験 に先立ち、大学生3名を対象とした予備実験 で確
、
認されて いる。本実験にお いても、実験終了後 集
を続けてくださ い﹂とお願 いした。
、
こうした指示や実験方法が有効かどうかは 本実
ながらも、タ ッピ ングを意識して正し いタ ッピ ング
4本 連続で計測
。
脳 レベルでの反応として確認した い
リサーチ ク エスチ ョン2 ¨画面 への注意 の集中度
、
、
︵
高s
v低︶によ って 脳 の 削頭前野 の部位 にお いて
ど のような反応 の違 いがあるだろうか。
リサーチク エスチ ョン2の背景 ¨指示によ って視
︱集中度︶を高める実験はこれまでにも
聴関塁 度 ︵
︱
。
精級化見込みモデルの実験などでも行われてきた
こうした集宝 度を操作した結果、大脳 レベルではど
︲︲︲
。
のような反応 が起 こ って いるだろうか
顆ョー
集中的視聴︶と受動
今回 の実験 では、能動視聴 ︵
非集中的視聴︶と の条件を設定した。
視聴 ︵
。
集中条件 の被験者には次 のような指示がなされた
、
﹁
これからまた映像を見て いただきますが あなた
、
日立 ハイ テクノ ロジーズが開発した ウ ェアラブ
ル光トポグラ フィ装置を用 いて大脳前頭前野 の血流
・・
す。映像終了後 に、あなた の評価をお聞きします の
。
で、し っかりと集中して見てくださ い﹂
の評価 によ って実際に放映されるかどうか決まりま
反応を測定した。
女性︶ の
実験対象者として4組 の 一卵性双生児 ︵
30秒
15秒 x4本 =1分
30秒
広 告 の提示 方法
2
図表
。
高校生 。大学生を機縁法 によ って招集した 対象者
は、現在首都圏近郊に居住しており、同居している
。
こと、ま たお互 い仲が良 いことを条件とした 女性
、
´
が高く、
■
i瑛 ´t理由は 女性同士は 一般 に親和性
類似した反応 が期待されるからである。社会人以上
、
では、環境 による影響 が大き いと判断されるため
。
社会的影響 の少な い学生を対象とした 実験はイ ン
、
0
テージのオ フィス内 の実験室を借り 一組あたり9
分を使 って行 った。
テレビ番組 の
被験者には招集時と実験参加時 に ﹁
一
【=
4
日経広告研 究所報280号 ―一一―一-
3
双 生 児 間 の 大 脳 機 能 の 相 似 性 チ ェ ック
● 言語流暢性課題の合致度は平均して1∼ 2害 」
であり、
双子であっても必ずしも高いとは言えない。しかし、
言語流暢性課題実施時の
脳血流の反応を見ると、
使用部位でかなりの共通点が見られる。
一 各提示広告の好意度は双子であっても一致していないために、
TemporJ AnJysも の波は必ずしも一致していないが、
全体的な上が
り方・下がり方では共通が見られる。
1組 目
1人 目
餘
2組 目
1黎:!
ヽ 。
テ レビ広 告 に対 す る反応
●脳血流が増加 している部分 が濃 く表示 される。 また、 本 図は カラー印刷 でないため、若干正確性 に欠 けるこ と
,こ
くだ さ い
(3)集 中
対象者⑤TV_集 中
′
隕
…
② 久フレット→ こ
5 -― 一―一一 日経広告研 究所報280号
対象者②TB_集 中
浙
│
……
√ 弓
:魃
ヽ一
一
―
―
:
中し て いたかどう かを尋ね、指 示 が有効 であ った こ
対象者①TV_集 中
主言 _て
ビ番 組 から取 ってきた映像 を流 します が、画面を 見
鼈 一
一
m
2人 目
│
4組 目
吻
MЮ
図表 4
3組 目
被 験 者 には招集 時 と実 験 参 加 時 に ﹁テ レビ番 組 の
図表
広告 の大脳
とを確認した。また実験 の本来 の意図 ︵
問した
での反応︶ が被験者 に判明したかどうかも質
。
が、意図を見抜 いた被験者は いなか った
、
課 を実
また実験 に際しては 簡易な言語流暢性 題
ェッ
一卵性双生児 の大脳機能 の相似性をチ
施して、
。
とは前頭葉 の機能
査
検
暢
性
語
流
言
図表 3︶
クした ︵
法 であ
をチ ェックするために広く採用されて いる方
た﹄
。 れは例えば、﹁
頭に ﹃
こ
伊藤、 2006︶
る ︵
ぃ﹂と の
のつく言葉を できるだけ沢山挙げてくださ
た
た にし﹂﹁
谷間﹂﹁
たん ぼ﹂﹁
指 示 に、被験者 が ﹁
る。 こ
ぬさ﹂⋮、と拳げて ぃくょうなやりとりでぁ
である。
活動部位 の変化 がテレビょりも大き いょう
能動︶ンこ奮︲
結果 2 ¨画面 への注意 の集中度高 ︵
、
条
受動︶ の比較では 集中条件よりも非集中
度低 ︵
︵
0。
件 のほう で、全般的 に脳血流 が増加して いる
。
して いる部位は、 デバィ スによ っ
が
加
増
血
流
④︶
、
よりも非
て違 って いる。タブ レットでは 集中条件
キ ング メ
集中条件 で図表 1 の脳部位③ と① のワー
対象者④⑧と
モリーの脳血流 の増加が顕著である ︵
、
。
条件よりも非集
中
は
集
で
ビ
レ
テ
方
一
対象者②⑦︶
、
の増加が
中条件 のほう で 感性に関する領域 の血流
。
対象者③⑥と対象者①⑤︶
顕著である ︵
あるが、
なお、 これらは広告露出 の場合 の脳反応 で
ら
剛後に流した番組部分でも同様な傾向 が見
広告 の一
。
シ ョンを考えてみた い
って
まず、 デバイ スの違 いで前頭葉 の活動 が異な
。 じ レビ コ
いたと いう興味深 い結果 が得られた 同 テ
、
聴する場
マーシ ャルの素材 であ っても テレビで視
は大脳
合と、タブ レ ット型端末 で視聴する場合とで
。
の反応が異な って いたことが観察された
反応して
テ レビでは感性 =非言語 に関する部位が
し いる状況
いる。 これは我 々が普段テ レビを視聴 て
。
り、ぁ
を反映したも のと考えることができる つま
、
語的な
まり内容 に ついて深く考えることなく 非言
、
ー
ここから得られた結果を検討して イ ンプリケ
れた。
︲︲︲
鶉訓 劃 は1∼2割
の結果、連想した語 の双生児間 の合致度
った。
であ つた。 これは予想したょりも低 い割合 であ
円頭前野 の反応を見
しかし言語流暢性課題実施時 の一
。 こう
図表 3︶
ると、双子間 の相似性 が見て取れる ︵
性
した結果から、双子間 の大脳機能 には 一定 の相似
。
があると判断した
︲ ︲ ︲
﹁ ﹃
概要を
図表 4 〓、テレビ広告 4本 に対する反応 の
られた。
示した ここから七 に以下 の2点 の結果が得
テ レビとタブ レットP
結果 1 一デバィ スの違 い ︵
、
に関する
C︶で比較すると テレビ群 のほう で感性
られ
前頭前野 の中心部︶ の脳血流 の増加が見
領域 ︵
に
図表 4 の0。以下カ ッコ内 の番 号 は図表 4
た ︵
、
。
一方、タブ レ ット PC群 で は 記憶 領 域
対応︶
が見ら
貧 時的な記憶を司る領域︶ で脳血流 の増加
の
。タブ レットでは提示する素材 による脳
②︶
れた ︵
、 ブ レットP
。
情報 に反応して いる のである 一方 タ
、
ングメモリ
Cで視聴して いるときは むしろ ヮーキ
。
ッ PCで
ト
ー領域が活性化している これはタブ レ
、
向けて
何かを調 べると いう意識から 情報 に注意を
。
いる の
いる現れかもしれな い コンピ ューターを用
スク
は、受動的と いうょりもむしろ何か仕事なリタ
、
した普
を こなそうとして いるときが多 いので そう
るゎれる。
段から の行動 が影響して いるとも考ヽ
、
得られる
ここから類推すると 次 のような示唆 が
、
じて
だろう。同じ動 回広告でも テレビ受像機を通
は、同じ
流される広告とネ ットで流される動画広告
れ 。 つま
コンテンツでな いほう が良 いとも考えら る
合は、ょ
リテレビ受像機 での視聴を想定して いる場
、
反応 が
り非言語的なメ ッセージを強調し 情緒的な
。 ッ
れる動
得られる広告表現を用意する ネ トで流さ
、
込みをし
画広告は、ょり情報性を強調し 情報取り
えられる。
やす いメ ッセージにするほうが良 いと考
に解釈
では、集中と非集中条件 の違 いはど のよう
、
条件 にお
できるだろうか。興味深 いことは 非集中
とでぁ
いて、より前頭前野 の活動 が高ま って いたこ
、
し
血流量
る。集中して いると いう条件下では む ろ
。
が低下して いる傾向が観察された のである
、 と っの
このことはさまざまな解釈ができるが ひ
、
頭前野
解釈としては、集中条件 のときに 大脳 の前
である。
以外 の領域が活性化して いたと いう可能性
、
頭葉
例えば、視党を司る後頭葉や 聴党 に関する側
。
した解
が活発化して いたと いう可能性 である こう
ればなら
釈 の可能性 に ついては別 の調査を待たなけ
、
告を視
な い。しかし少なくとも 集中してテ レビ広
お f 一う
6
日経広告研 究所報280号 一一一一一
まり内容に ついて深く考えることなく、非言語的な
たとも解釈 できる。 つまり、非集中と いう ことは、
バイ スの違 いに対応して大脳が使う部位を決めて い
に関する領域が活性化して いた のである。 これはデ
憶領域が、タブ レ ットPCでは ワーキ ングメモリー
影響 が強 いのか、今後検 討し て いく必要 があ る。
ア スとし て働 いて いる のか、 そ の他 の要 因 のほう が
傾向 があ る。 こ のような影響 が今 回 の実験 でも バイ
示され て いるほど、さま ざまな効果指標 が高くな る
ット で視聴したとき の画面 の大 きさ のバイ ア スであ
る。従来 の研究 では、基本的 に大きな スペー スで提
・、 ヽ■^一
■
さ する〓要 ■´
/
Iハ
戸
■
え
い
置
■
一
,
面 テ レビで視聴したときと、 6 ヽm一´
程度 のタブ レ
決して大脳 の働きが向けられていな いことを意味せ
ぼす ことは想像 に難くな い。現在 の大画面薄 型 テ レ
ビ の主流 であ る LE D液 晶 と、 鴫 ”Qで採 用さ れ て
いる ﹁
”の一
ヨと デ ィスプ レイ の質感 の違 い、またそ
る必要 があ るだろう。
本 研究 は、吉 田秀雄記念事業財団 の研究助 成、 平
な い。 し かし 少 な く とも 、集中してテレビ広告を視
ュぃて
C^
︶﹄
︶
一
.
︼くい“〓 o ﹃
ω 〓
国
﹁
リふ
一
・ ” oo やい
ヽ ”ド
A引用文献V
・ ﹃ ヽ“” P
C 〓 o∽けp
・
r ﹄●¨
7 ︻ ” ooo﹃p
ヽ
∽
↓ ゴo 一
日 0●o一 0ぃ計2 0くお 一
o● ●らくo7
ヽ.
5 日 ア ク セ ス ︶。
き ヽ ∽∪ N 国ON 銘 ゝ ∞∪ ︵2 0 1 4 年 3 月 2
い0●﹃O〓 ﹂ し ヽヨ 丼 く ヽ ” いヽ ∞Φゝ ∞∪ ヽ 同 o滅 > oヽ > ∪ ゝ 国 いま
・渡邊正孝 ︵
2013︶﹁
前頭前野﹂﹃
脳科学辞典﹄F一
●ヽ″0
5 ︲ 7o
12①、 1 15 11 19否、 20 12 10
︲
トポ グ ラ フィーと アイト ラ ッキ ングを統合したCM ・広告 の
効果 分析﹂電気学会研究会資料、情報 シ ステム研究会、 20
・白 肌邦生 ︵
2013︶﹁
光トポ グ ラ フィから みた脳 反応 の解
釈と、記憶と の関わ り﹂ ﹃
記憶 のカギ は ″
自 分 ごと化 ″ド ラ
0で。
イ バー 脳 から みた新聞広 告 H﹄ 日本 新聞協 会、 811
・鈴木義彦 、工場、白 肌邦生、小坂満隆、牧敦 ︵
2012︶﹁
光
∽けo い︻oり ウ﹁o い〇 NOO∞
ヽ
︶
と く o中ヽ ︲
Oo●一oX 嗜 >・
∽0日 0﹁ 00o¨∽¨O● 占“ ”庁 ﹄●” ^
● ” 0﹁ ヽ
0●﹃O”0 中
,
一●” こ “P﹁Oヽオ ¨●” 咆 ”づo■ ∽ o﹁﹄o∽ [︶
①o やヽ壼H¨
o●け 0﹁ ω一
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,
・∽ヽ
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0 ミヽミ ヽヽこ ・い父 ● ´もつ ∞卜o︲ωい
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ro”H●い
●”¨
●” ‘く〓FO●計 ︻
いくo︼
ヽヽ
くo﹁︼
①●一 ﹃ヾむ、ヽ 6ヽヽ
もヽ
・パ ︻﹂∞日 “P 国 ∪ ︵Po一3
2006︶雪呈旧
・伊藤恵美 ︵
流暢性検査に関する神経生理学的
研究﹂名古屋大学大学院環境学研究科提出論文。
〓〇〇〇卜︲POOOΦ
けo 〓お い一
一
日 の 0﹁ 日 0●0いく”O︹ぉ ︵ヨ い
●りヽ ﹁をヽ ∽ヽ〓o一3 3 ・oや
出げ計
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Nooい︶︶癸[
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実験 で言えば、タ ッピ ン
グ︶も、大脳は絶え間なくテレビ広告 のメ ッセージ
れ ぞれ の画面 で提 示されたとき の映像 の質感 の違 い
むしろ非集中条件 のときにお いて、テレビでは記
を 処 理し よう と し て いると解 釈 でき る。か つて
因ご的B”●︵
30 ︶が低関与 の視聴概念を提唱したが、
そこでもやはり受け身 で視聴するがゆえに、 テレビ
に ついても何ら か の形 で計測し、 そ の影響を考慮 す
また、画面 の質感 、映像 の質感も 視聴 に影響を及
広告は有効な のだ、と いヽ
ユ戯論がなされていた。
本研究 では、
一卵性双生児を用 いて、 デバイ スと
視聴集中度 の違 いによ って前頭前野での脳活動 の違
ビ広告が低関与 であると いう ことは、脳活動 の低下
3︲5年度 ﹁
委 託研究プ ロジ ェクト﹂ によ るも の
成2
2
∧謝辞∨
を意味せず、むしろ脳活動がデバイ スや視聴集中度
であ る。実験実施 に際し ては、イ ンテー ジ、イ ンテ
いにど のような差 が現れるかを検討してきた。 テレ
によ って影響を受けるも のであることが見 いだされ
ージ ・リサーチ ソリ ュー シ ョン開発室 の生田征志 様、
感謝す る。
イ ンテー ジリサーチに多大な協 力を賜 った。 記し て
た点に本研究 の意義 がある。
本研究 の限界としては、
一卵性双生児 の被験者数
が合計 8名と少数 であ ったことである。これは招集
の困難と予算 の限界 のためであ ったが、次 の研究 で
は、より多く の被験者数を確保し、テストすること
7 -― 一――一 日経広告研 究所報280号
│_
目次
2015
田中洋、石崎徹、三浦 ふみ
告 反応 測定
Apr./May
変 化 す る広 告 環 境 と 広 告 主 の動 向
︱アドテクノロジーの取り組みなど明らかに
﹁
広告動態 調査 ﹂ 報告
小野晃 典
5
土山誠 一郎 1
古川隆、和田雅直
︱ ターダテイ ング広告商材 による潜在患者 の
WEBサイト ヘの誘導 と事後 の受診行動 の検証
D 丁 C マー ケ テ ィ ング の新 手 法 導 入 に
関 す る考 察
一卵 性 双 生 児 を 用 いた
光 トポ グ ラフィによ るテレビ
広
進 む コ ン テ ン ツ ・マー ケ テ ィ ング と
リ ア ルタ イ ム oマー ケ テ ィ ング の波
IWOMMAサミット2014で目立った
2 つのキ ー ワード を巡 って
畿鐘 鱚 [
22旦
カ スタ マイ ゼ ー シ ョ ン時 代 の
マー ケ テ ィ ング 理 論 を 探 究
8期生
慶應義塾大学 高橋郁夫研究会第 1
多様化す るプ ライ ベート ・ブ ラ ンドが
スト ア ・ロイヤ ルテ ィに与 え る影響
研究 員 ノー ト
研究 所だ よ り
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よ り
川原信之
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情 報 行 動 の行 方 橋一
九
良明
轟鐵簿
一
一
襲轟購艤嘲鶴
鰈漑燿警 第︱回
素 人 ディレクタ ーも
ドリトスCMでアメリカン ・ドリーム 楓セビル
瑣 靡
ブ ラ ンド 研 究 の旅 ︵下 ︶
和 田充夫
な アイー和子著︶ 一
﹃
合 理的 な の に 愚 か な戦 略 ﹄ ︵
二浦俊彦
﹃ソ ロモ ン 消 費 者 行 動 論 ﹄
︵
マイケル ・R ・ソ回モン著/松井剛監訳︶ 高橋郁夫
﹃
消 費 の美 学 ﹄ ︵
牧野土
土子著︶
久保田進彦
︵
小林潔司、原良憲、山内裕編︶
岡本慶 一
轟難 鰺 鍛
経
醸響
﹃
日本型クリエイティブ ・サービスの時代﹄
40
4241
43
55 5452
15
24
32