MPO-ANCA 関連血管炎発症メカニズムの一端を解明 病態解析学分野 教授 石津明洋 研究成果のポイント ・MPO-ANCA が好中球細胞外トラップ(NETs)を誘導する。 ・MPO-ANCA 関連血管炎患者の血清は NETs 分解活性が低い。 ・MPO-ANCA 関連血管炎では MPO-ANCA と NETs を介した悪循環病態が存在する。 研究成果の概要 好中球細胞死の一形態である好中球細胞外トラップ(NETs)の異常は様々な自己免疫疾患 と関連する。中でもミエロペルオキシダーゼ(MPO)を標的とする抗好中球細胞質抗体 (ANCA)産生を特徴とする顕微鏡的多発血管炎(MPA)が密接な関係にある。NETs は死に至る好 中球が MPO などの殺菌蛋白や DNA を細胞外に放出して病原微生物を捕捉・殺菌する強力な 自然免疫システムであるが、 MPO-ANCA は感染がなくても好中球に作用して NETs を誘導する。 この NETs 誘導活性は MPA の活動性に比例し、また、誘導された NETs は MPA 患者では様々 な原因で制御されない背景にある。すなわち、MPO-ANCA は NETs を誘導して MPA を引き起こ し、その NETs は ANCA の対応抗原である MPO を含んだまま制御不能で存続する。そして、 このことが MPO に対する ANCA の産生を持続させるという、MPO-ANCA と NETs を介した悪循 環が、MPA の病態を形成している。 論文発表の概要 研究論文名:英語タイトル(日本語訳) Enhanced formation and disordered regulation of NETs in MPO-ANCA-associated microscopic polyangiitis (MPO-ANCA 関連血管炎における NETs の過剰形成と分解障害) 著者:氏名(所属) 中沢大悟 1, 志田玄貴 1, 外丸詩野 2, 吉田雅治 3, 西尾妙織 1, 渥美達也 1, 石津明洋 4 1 北海道大学大学院医学研究科 免疫・代謝内科学分野 2 北海道大学大学院医学研究科 分子病理学分野 3 東京医科大学八王子医療センター 腎臓内科 4 北海道大学大学院保健科学研究院 公表雑誌:Journal of American Society of Nephrology 公表日:未定 お問い合わせ先 所属・職・氏名:北海道大学大学院保健科学研究院・教授・石津明洋(いしづあきひろ) TEL:011-706-3385 FAX:011-706-4916 E-mail:[email protected]
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