(薬剤と偶発症・揃えておきたい医薬品) (2) − 薬物

全身的偶発症
(薬剤と偶発症・揃えておきたい医薬品) (2)
− 薬物アレルギー −
鹿児島県薬剤師会 薬事情報センター
恵谷 誠司
薬物アレルギーの症状は脳貧血症状(徐脈、血圧低下、意識喪失、全身痙攣など)に似ています
が、アレルギー症状(全身発赤、蕁麻疹、血管神経性浮腫、咽頭浮腫による呼吸困難、気管支喘息
など)を伴う点で異なります。なかでも、最近、薬物によって誘発される気管支喘息発作が注目されて
います。発作を誘発する薬物としては、全ての酸性鎮痛薬(多くの鎮痛剤がこのカテゴリーに属しま
す。例:アスピリン、メフェナム酸(ポンタールなど)、ロキソプロフェン(ロキソニンなど)、ジクロフェナク
(ボルタレンなど)など)や局所麻酔剤に防腐剤として添加されているメチルパラベン(パラオキシ安息
香酸メチル)などがあげられます。診療に際し、事前の問診による既往歴の確認、アレルギーテストの
実施などを心がける必要があります。既往歴等が確認された場合、鎮痛剤としては比較的安全と考え
られるアセトアミノフェン(カロナールなど)や塩基性鎮痛薬(エピリゾール(メブロンなど)、塩酸チアラ
ミド(ソランタールなど)、エモルファゾン(ペイントルなど))、注射剤はメチルパラベン無添加のものの
使用を考慮します。
表. 歯科で使用される代表的な注射剤と添加物の有無
一般名
商品名
塩酸リドカイン・エピ
歯科用キシロカインカ
ネフリン注(歯科用)
ートリッジ
メチルパラベン
亜硫酸塩
(防腐剤)
(酸化防止剤)
+
+
血管収縮薬
エピネフリン
キシレステシン A
−
+
リグノスパンカートリッジ
+
+
オーラ注カートリッジ
−
+
酒石酸水素
エピネフリン
塩酸メピバカイン注
スキャンドネストカートリ
−
−
−
−
フェリプレシン
ッジ 3%
塩酸プロピトカイン・
歯科用シタネスト−オク
+
フェリプレシン注
タプレシン
クロロブタノールも
(オクタプレシン)
添加
塩酸プロカイン・酒石
歯科用シタネストカート
酸水素エピネフリン
リッジ
参考文献) 各薬剤添付文書
+
+
酒石酸水素
エピネフリン