ろう付け実習 概要 ろう付けとは、古くから使われている手法で様々な金属を接合する技術である。この実習 では代表的なはんだ付けと銀ろう付けの基本技術を習得する。 内容 ・安全なガストーチの使い方の習得 ・前処理の仕方 ・はんだ付け、銀ろう付けの習得 ・後処理の仕方 ろう材の種類 ろう材の融点が450℃以下のものを軟ろう(はんだ)といい、450℃以上のものを硬ろう という。 はんだの代表的なものは、Sn-Pb合金でありSnが50%の合金で溶融温度が183℃のものが 広く使用されている。最近では環境問題から鉛フリーが求められているが、接合の物理的 特性から依然として実験装置の組み立てでは、鉛入りはんだが有用である。 硬ろうの代表的なものは銀ろうであり、Ag-Cu合金にZn・Cd・Snなどを添加したものであ る。溶融温度範囲は合金組成により違いがあるが、600~800℃である。銀ろうはAL合金や Mg合金以外の金属材料の接合に使われる。 使用ガストーチ 都市ガス・酸素用を使用する。 ろう付けの手順 はんだ付け 1.黄銅板、ステンレス板(SUS304)各1mmを各10枚づづ50mm×50mmにシャーリングマシン で切断加工する。黄銅板同士、ステンレス板同士、黄銅板とステンレス板の組み合わ せを2枚1組で各5組つくる。2枚1組のうち1枚を軽く曲げて上に置き、T型にする。 2.材料接合面の脱脂、酸化物層を除去し、きれいな金属表面をつくる。 中性洗剤を用い超音波洗浄器を使って脱脂する。また、材料表面を清浄にするために、 はんだ付けをしたい部分にフラックスを塗る。 はんだ用のフラックスは、主成分が塩化亜鉛である。 3.ガストーチを用い、材料を加熱し毛管作用によりはんだを流す。 はんだの化学組成は、Sn63%、Pb37%で溶融温度183℃のものを使う。 一般的なガストーチの炎の外炎は弱い青紫色の炎(酸化炎)が1300℃とすれば、内炎 の青から青緑の明るい炎(還元炎)は800℃位である。還元炎の部分でろう付けすれ ば、酸化しやすい金属に比較的影響を与えずにロウ付けできる。 4. 材料表面が冷めたら、表面のスラグ等を除去するためブラシ類を使って水洗または湯 洗する。ただし、急冷するとクラックが入る場合があるので注意する。 5.水分を乾燥させて終了。 銀ろう付け 1.黄銅板、ステンレス板(SUS304)各1mmを各10枚づづ50mm×50mmにシャーリングマシ ンで切断加工する。黄銅板同士、ステンレス板同士、黄銅板とステンレス板の組み 合わせを2枚1組で各5組つくる。2枚1組のうち1枚を軽く曲げて上に置き、T型にする。 2.材料接合面の脱脂、酸化物層を除去し、きれいな金属表面をつくる。 中性洗剤を用い超音波洗浄器を使って脱脂する。また、材料表面を清浄にするため に、銀ろう付けをしたい部分にフラックスを塗る。銀ろう付け用のフラックスの主 成分はフッ化物である。 3.ガスバーナー等を用い、材料を加熱し毛管作用により銀ろうを流す。 銀ろうは、Cdを含まないろう(BAg-7)を使う。BAg-7の溶融温度は、650℃である。 銀ろう付けの場合もガストーチの炎は還元炎の部分でろう付けすれば、酸化しやすい 金属に比較的影響を与えずにロウ付けできる。 *BAg-7の化学組成 Ag55-57%、Cu21-23%、Zn15-19%、Sn4.5-5.5%、その他0.15% (参考)BAg-1の化学組成(一般的によく使われる銀ろう、溶融温度は、620℃) Ag44-46%、Cu14-16%、Zn14-18%、Cd23-25%、その他0.15% 4.材料表面が冷めたら、表面のスラグ等を除去するため希硫酸で酸洗いし、その後、水 酸化ナトリウムで中和したのちブラシ類で水洗または湯洗する。ただし、急冷すると クラックが入る場合があるので注意する。 5.水分を乾燥させて終了。 (上) 共晶ハンダ(融点183℃) (下)銀ろう(融点650℃・BAg-7) ガストーチ(都市ガス・酸素用) ろう付けサンプル(銀ろう) (左)ハンダ付け用フラックス (右)銀ろう付け用フラックス 還元炎 酸化炎 (内炎) (外炎) 還元炎と酸化炎
© Copyright 2024 ExpyDoc