研 究 紀 要 - 北海道白樺高等養護学校

平成 26年度
研 究 紀 要
確かな学びと確かな歩みとなる
教育活動の実践的研究
北海道白樺高等養護学校
目 次
◆はじめに
校 長
藤 根
収
◆今年度の研究
Ⅰ 研究計画
Ⅱ 各グループの研究
1 地域学習(仮称)グループ
(1) 研究の目的と内容
(2)
た意見
2 性教育グループ
(3) 研究のまとめ
3 教科学習「国 語」
(4) 今後の課題
4 白樺 授業のポイントグループ
5 セルフチェック・ニーズシートグループ
6 教科学習「数 学」
7 「性教育」「SNS」に関する指導のあり方
8 講演「少年のインターネット犯罪の現状」
Ⅲ 寄宿舎
Ⅳ研究のまとめ
―資 料ー
◆あとがき
◆共同研究者
教 頭
ワークショップにおいて出され
伊 藤 友 紀
研究紀要
巻頭言
は
じ
め
に
校長
藤
根
収
本校は開校から 50 年目を迎えました。本校では、これまで幾多の実践研究を積み重ね、
その成果は、現在の本校の実践に受け継がれています。
昨年度までは「自立と社会参加に向けた教育活動の充実」をテーマとして一人一人の学
びを大切にした指導の在り方をグループを構成してまとめてまいりました。
この研究により「指導ツール」を形にして、指導につなげる状況をつくることができた
ことは成果であり、課題としてツールの活用と改善が残されました。
こうした中、近年の高等部進学希望者の増加に伴い、本校に入学してくる生徒の状況も
変化が見られ、学習指導や生徒指導上の対応すべき課題も多様になってまいりました。
50 年で培われた成果を基盤として、生徒一人一人学びを大切にし、「確かな学び」から
「確かな歩み」につなげていく取組が、今、本校に求められるテーマであると考えます。
また同時に、校内研修が一人一人の教職員にとって実のあるものにするために主体的に
参画し合える研修となることも求められています。そこで本年度は単年度の研究として、
昨年度の残された課題解決と喫緊の指導課題である事項について、本校教員が課題を共有
し、豊富な経験と発想を駆使しながら実践研究に取り組むこととしました。
各自が研究の参画者として、同僚の考えや意見に耳を傾けながら、新たな学びの機会を
通して、より現実的な課題に対しての解決方法を検討する過程を大切にしました。
そのため、研究では、課題提示の上、ワークショップ形式でのグループ研修を主体に構
成しました。グループでの協議は、一人一人が出す意見に対して尊重しながら、さらに発
展的な考え方に整理・統合していく過程を重視しています。また、研修の様子やまとめら
れた事項を「研修だより」として校内全員に定期的に発行・配付しました。
この営みは、教員が課題を共有し合い、互いに学び合うことで、研修意欲を高めながら、
指導改善に結びつけるために効果的と考えております。
折しも、平成 26 年 10 月の「初等中等教育における教育課程の基準等の在り方について」
中央教育審議会への諮問内容において、新たな学習・指導方法として「アクティブ・ラー
ニング」が新たな学びの方法として示されています。このことは、指導に当たる教員につ
いても同様であり、能動的な研修参加の中で、互いに連携協力しながら教育課題を解決す
る方策を考え、実践につなげることで、本校の教育活動を改善・充実する取組になるもの
と期待しております。
まだまだ、緒についたばかりの実践研究であり、研修方式ではありますが、本紀要をご
一読いただき、皆様方の忌憚のないご意見、ご指導を賜りますようお願いいたします。
Ⅰ
研
究
計
画
H26年度
1 研究主題設定に
あたって
研
究
計
画
前年度までの2カ年の研究では,「自立と社会参加に向けた教育活動の
充実」~一人一人の学びを大切にした指導の在り方を探る~を研修主題とし
(1)前年までの研究成 て取り組みました。「実践検証」「指導の在り方」「必要な力」「地域と連携した
果
教育を考える」の4つのグループに分かれ,研究1年目の24年度は各研究の
基盤づくりを主な取り組みとし,研究2年目の25年度には,1年目の研究成果
をベースとして,生徒の学びの充実に向けた「指導ツール」を形にすることがで
きました。研究主題のサブテーマにある「指導の在り方を求める」という点から
考え,このことは大きな成果であるとして2カ年の研究を終えたところです。
(2)前年までの研究課
題
しかし,形となったツールの実践的な活用と改善は課題として残りました。研
究の集大成としてまとめたツールを「作成して終わり」ではなく,生徒の学びの中
で有用性を探るなど,この2年の研究の成果をより実りあるものにするためには,
教育活動の中で実践と検証をしていくことが必要です。研修成果を教育活動
に環流することは,校内研究の大きな意義です。「研究レベル」から「教務レベ
ル」へと言い換えることができます。
(3)校内研究の意義
校内研究の意義について触れましたが,校内研究の意義について続けて
述べていきますと,次のようなことがあげられます。まずは,校内研究は学校の
教育目標を達成するために全教師が追究する研究活動であるということで
す。また,先ほど述べた校内研究の成果から教育課程の改善を図ること,さら
には校内研究を通して教師の指導力の向上を図ること,そして,校内研究を通
して生徒の成長と発達を促すことも意義とされます。
(4)本校生徒の実態
一方,本校生徒の実態からは次のようなことが述べられます。ここ数年言わ
れていることですが,入学する生徒の実態の変化が見られ,多様化する生徒
像から多岐にわたる生徒指導上の課題も増えてきています。また,卒業生の
生活状況や就労状況からも,今後予想される諸課題を散見することができま
す。こうした実態や状況を受けて,個に応じたきめ細やかな指導や教育的ニー
(5)確かな学びと確か
な歩み
ズへの指導の充実は私たちに求められていることです。つまり,生徒一人一人
の学びを大切にし,「確かな学び」を保障し,日々の生活が将来へとつながる
「確かな歩み」としていかなければならないということです。その実現には,校内
(6)課題の共有化と
即時的な対応
における課題の共有化と,それらの課題に即時的に対応していくことが必要だ
と考えます。
ここまで,昨年までの校内研究の成果と課題,校内研究の意義,本校生
徒の実態について述べてきました。これらのことをふまえて,今年度の研究課
題の焦点化をします。
(7)課題の焦点化
研究は単年度の研究とし,その中で,積み残しとなっている前年度の研究
課題について実践的研究をしながら課題解決を図ることが一点目です。その
1
他,校内の生徒指導上の課題や予想される諸課題といった,校内でタイムリ
ーな課題となっていることについて取り上げて,研究成果を日々の指導に反映
させていくことが二点目です。この視点から,以下のような研究主題,研究仮
説,研究内容を設定して,校内研究を進めていくこととします。
2
研究主題
「確かな学びと確かな歩みとなる教育活動の実践的研究」
3
研究仮説
作成した指導ツールの実践的研究と校内におけるタイムリーな課題解決に
向けた取り組みが,授業デザインをはじめ,学びの場における生徒一人一人の
確かな学びと確かな歩みにつながる。
4
研究内容
研究主題に基づき,研究仮説の検証に向けて,以下を研究内容とします。
①白樺「授業のポイント」の活用と改善
②「セルフチェックシート」「ニーズシート」の活用と改善
③地域と連携した教育活動の実践
④校内における諸課題への変化
5
研究方法
これまでは構成員を固定してグループ研究を行ってきましたが,今年はグル
ープ構成員を固定せず,毎回1つのテーマ(研究課題)に基づいて,構成員
を変えながらワークショップ方式で研究をすすめていくこととします。これは研究
課題を全校で共有(シェア)することができるとともに,構成員が変わることでグ
ループ研修の硬直化を避け,職員同士の研修の活性化が見込めること,さら
には課題解決に向けて多くの意見が得られることで,客観性が高まり,かつ,
短期間で課題解決を図ることも期待できるということ,そして,校内におけるタイ
ムリーな課題に対してすぐに対応ができるといった即効性が見込めると考えまし
た。一方で,これまでと同様に,校内授業研究会を実施し,実践的研究を推
進するとともに,全体研修の場を設定して,1年間の成果を確認し教育活動に
生かしていくようにします。
(1)研究の充実への視
点
こうした計画により今年度の校内研究を進めていきますが,研究方法と関連
して,研究が充実する視点として以下のことを合わせて述べておきます。
一点目は全教師が課題の共有をし,豊かな発想によって課題解決に向か
うという視点。二点目は,これまで述べてきたことと重なりますが,実践と理論を
結びつけながら,研究の成果を日々の指導に反映させるという視点です。そし
(2)指導力の向上
て,これらの視点による研究の取組が指導力の向上につながると考えます。
2
6
研究の構造
学 校 教 育 目 標
自己の能力を伸ばし
心豊かに
たくましく
生きる人を育てる
自分でやり遂げる力を
豊かな感性と心を培い,
健康で安全な生活が
働く喜びを知り,意欲的
育てる
それを表現する力を育てる
できる力を育てる
に働く力を育てる
研究主題:「確かな学びと確かな歩みとなる教育活動の実践的研究」
(グループ研修)
研
究
仮
説
研
究
内
容
研
究
方
法
研修のまとめ
7
研究推進日程
月日
5月
曜日
研
修
内
容
2日(金) 全体研修会
6月10日(火) グループ研修「地域学習について①」
7月
3日(木) グループ研修「性教育①」
8月22日(金) グループ研修「教科学習(国語)
」
9月16日(火) グループ研修「性教育②」
10月21日(火) グループ研修「【白樺
授業のポイント】改訂」
11月21日(金) グループ研修「地域学習について②」
12月
5日(金) グループ研修「【セルフチェックシート,ニーズシート】改訂」
12月16日(火) 校内授業研究・反省会
1月22日(木) グループ研修「教科学習(数学)」
2月
6日(金) グループ研修「【性教育】
【SNS】に関する指導のあり方」
2月13日(金) グループ研修「少年のインターネット犯罪の現状」
3月25日(水) 全体研修会(まとめ)研修参加報告会
3
8
研究推進組織
研修部
教育課程検討委員会
教務部
寄宿舎研修部
○ 全体研修会
○ グループ研修
○ 校内授業研究・反省会
○ 夏季・冬季校内研究会
○ 研修参加報告会
1学年
2学年
3学年
4
寄宿舎
Ⅱ
各グループの研究
1 「地域学習(仮称)」グループ
(1)研究の目的と内容
「確かな学びと確かな歩みとなる教育活動の実践的研究」
研究の目的
~自立と社会参加に向けた「地域と連携した教育」の検討~
社会の著しい変化や障害の多様化が進む中で、本校がこれまで培った実践を
研究の内容
ベースとして、キャリア教育の視点から、学校を取り巻く地域との関係の中で展開す
る生きた学習の可能性を2カ年の研究で探った。それらの結果について、昨年度は
グループ内での検討であったため、今年度は、実施に当たり全教職員が共通理解
できる場としてワークショップにて、目的や具体的活動について検討した。
昨年度までの成果として、
①キャリア教育の視点から、現場実習等の押さえの再考と整理を行い、白樺版移
行支援デザイン・キャリアデザインを作成した。
②5つのカテゴリーに関して、具体的に展開する方法を検討した。
そこで今年度は、
①Ⅰ年次において「地域学習(仮称)」実施の検討と目的の妥当性
②昨年度の具体的な取り組み以外に考えられる展開
を柱に2度検討した。
(2)ワークショップにおいて出された意見
(2)ワークショップにおいて出された意見<詳細は資料
において出された意見<詳細は資料 研修部便りにて>
第一回検討会
(6月 10 日)
<1
1年時における
年時における地域学習
における地域学習(
地域学習(仮称)
仮称)について>
について>
○「ありがとう」
「助かった」と感謝されることを通して、勤労観を育てる1つのき
っかけとなる。
○校外の方から褒められたり、学んだことを般化できるチャンスとなる。
○生徒が主体的に参加して、地域の方々から褒められることを通して、
「働く意欲や
楽しさ」を経験できることはよい。
○地域に出るということはコミュニケーション力が必要。働く力にコミュニケーシ
ョンは必要なのでよい機会。
○普段、関わりのない人から感謝されるのは必要。地域の人と会話することや喜ば
れる経験も必要。また、職業人の話を聞くことも大切。
○「楽しさとは?」地域に出てふれあった経験が、その後の意欲につながっていけ
ばよい。
○現場実習では「働く大変さ」を経験するが、
「働く楽しさ」を経験する必要がある
のでは。(今はどの場面で経験しているのだろう)
△目的を明確にする中で進めるべき。
△校外に出るよりも校内を充実させる必要があるのでは。
5
△継続して引き受けてくれる企業があればいいが、毎年、企業が変わると探すのが
大変ではないか。
△1 年次の作業の働く力の基礎も身につけると結びつくのか。
(紙工の中で働く楽しみを味あわせられるのなら行わなくてよいのでは)
△今以上に過密なスケジュールは生徒にはよくない。
△教育課程の位置付けをしっかりする必要があるのでは。
△ムーブメント(流行)に流されて、校外での学習ありきではなく、結果的に校外
に出ることになっても、まず校内の諸課題を検討していくことが必要がある。
<2.目的の
目的の内容は
内容は妥当性について
妥当性について>
について>
・体験する大切さ、働くことを通して人間関係の形成につながることも観点に入れ
てみては。
・働く楽しさを 1 回で味わうためには、工夫が必要である。
・提示された目的を前提として、もう少し具体的にできる部分があるのでは?「働
く楽しさ」とは感謝されることに喜びを感じたり、やってよかったと感じること
だと考える。もう少し絞ったわかりやすい目的にしてはどうか。
・
「働く喜びの経験」より学校以外の集団の中に入ったときの関わり方を目的にした
方がよい。
・楽しさと長時間労働に耐える力との整合性は?
※出された意見の抜粋
第二回検討会
(11 月 21 日)
<研修のまとめや新たなアイディアを出し合い、実施可能な活動内容に
研修のまとめや新たなアイディアを出し合い、実施可能な活動内容に
ついて>
実施をスムーズに行うために、どのように進めていけばよいのか>
<実施をスムーズに行うために、どのように進めていけばよいのか
>
A.清掃等
・地域から「白樺の掃除は最高」と思われるようにしっかりと指導することが
大切。
・具体的にどこで取り組むか、時期などを決めていく必要である。
・研修や教育課程検討委員会で、どこが音頭をとって取り組むのか決定してい
かねばならない。
B.老人ホーム
・生徒と高齢者が一緒に活動できることを探っていくことが重要。
・キーワードは「一緒に」。
C.小・中学校との連携
・小中学生と一緒に地域の清掃活動。清掃なら全員でできる。地域との交流に
なる。
・作業学習でやっていることを一緒にできないか。
・園芸科:畑作りを一緒に。
6
・紙 工:見学に来た時に一緒に。
D.外部講師の活用
・心理学専攻の大学生を10人ほど呼んで、一斉にではなく少人数で、職業選
択や性教育、余暇の過ごし方などを一緒に考えていくのもあっていいのでは
ないか。
・外部講師のアイディアはたくさんあるので、どうやって実現していくかを考
える。
※まとめを中心に掲載
(3)研究のまとめ
(3)研究のまとめ
・成果
・職場実習や現場実習との違いを明確に示すことができずに混同することがあった
が、キャリア発達を促す体験としてよい学習になるであろうと、共通理解が図られ
た。
・昨年度まとめられた以外にも、実施可能な活動内容として、多くの意見やアイディ
アが出された。
(4)今後の課題
・アイディアが出された段階であって、具体的に進めていくためには、計画案等もう少
し整理する必要がある。
・実施に当たって、どの部署が中心となって進めていくのかを明確にしなければなら
ない。
7
2「性教育」グループ
「性教育」グループ
(1)研究の目的と内容
研究の目的
研究の内容
「確かな学びと確かな歩みとなる教育活動の実践的研究」
~性教育(心とからだの学習)に関わる指導についての検討~
① 全職員が「性」に関わる課題を共有し、課題解決に向かうための研究
② 研究の成果を日々の指導に反映し、指導の向上につなげるための研究
青年期における「性」に関する指導は、体の成長(二次性徴)や体の清潔、異性
との関わりや心の成長、自分を守ることや命について、性に関する情報や病気の予
防、家族と家庭生活やコミュニケーション、心の成長など多岐にわたる。また、生徒
の在学中、卒業後の「性」に関する悩みやトラブル、問題行動も多くあるのが現状
である。そこで、グループ研究では、
①「指導上で大事・大切にしていること、生徒が在学中に学習すべきことについて」
「指導上の問題点、課題や疑問について」
②テーマ「高校生は性交渉はだめ。どういうとき、どういう場所、どういう相手と、と教
えるか」、課題事例「生徒同士で性交渉をして、妊娠してしまった(想定)」
を柱に検討した。
(2)ワークショップにおいて出された意見
(2)ワークショップにおいて出された意見<詳細は資料
において出された意見<詳細は資料 研修部便りにて>
<指導上で大事・大切にしていること、生徒が在学中に学習すべきこと
指導上で大事・大切にしていること、生徒が在学中に学習すべきこと
研究(7月3日) について><指導上の問題点、課題や疑問について
について><指導上の問題点、課題や疑問について>
>
第一回グルー プ
○LHRで教えているが、回数が限られる。
○広い視点で見ていかないと性教育の効果はないだろう。日常生活での様々な場面
での指導が必要。4~6時間の性教育のみの効果はほとんどないのでは。ベース
は日常指導であるべきである。
○白樺としてのベースがあればいいのではないか。指導内容がまとまっているもの
があればよい。
○自分の価値観に寄りすぎないように気を付けている。客観的な見方ができるよう
な教科書的なものがほしい。経験のみの見方では危険に思う。
○性教育で大切にしていることは、正しい知識を教えること。
○性教育は、生徒が確認、経験できない中での指導のため、知識だけでは理解でき
ないことがある。
○受容共感。
○自分、命を大切にすること。人を大事にすることへもつながるような指導をめざ
している。
○欲望の中にもルールがある。性欲のままに行動してはだめ。
○常識、モラルを教える必要がある。
○性教育を情報との関連で捉えなければならないだろう。高等養護ではどう指導す
るべきか迷いが多い。
8
○SNSの使い方。
○生徒の知識の幼さに驚かされもすると同時に、相当に知識を持っている生徒もい
て、その差が大きい。付き合うというのが簡単に行われていることに驚いた。性
交渉は行うということを前提に正しい避妊方法などの指導をすべきではないか。
○尊重、生命の大切さ、男女平等。
○責任とリスク(男女関係、妊娠など)
。
○危機感がない生徒が多い(簡単にネットを利用、公開、ツイキャス、性犯罪の恐
れ、ストーカー、フェイスブック等)。
○断り方、拒否の仕方。
○正しい行動を質問すると答えられるが、実際の行動では、正しい行動ができない。
欲求がある。
○性病の恐ろしさ。
○正しいマスターベーションとは。正しい知識が大切。
○寄宿舎としては、学校で担えない所を寄宿舎で取り入れていければと思う。連携
の必要性。
○家庭、関係機関、専門機関との連携が必要。
○学校で知識が足りない場合は、外部、ワークショップの活用も必要。
※出された意見の抜粋
「高校生は性交渉はだめ。どういうとき、どういう場所、どういう相手
「高校生は性交渉はだめ。どういうとき、どういう場所、どういう相手
研究(9月 16 日) と、と教えるか」
課題事例
事例>
生徒同士で性交渉をして、妊娠してしまった。さあ、どうす
<課題
事例
>生徒同士で性交渉をして、妊娠してしまった
。さあ、どうす
る(想定)。
第二回グルー プ
※性教育2回目のグループ研は、ロールプレイ、ディベートのような話し合いをで
きれば、と前回より人数を少なくしてグループ編成を行った。教師役、生徒役、保
護者役になっての話し合いで、教師の視線だけでなく、生徒としての意見、保護者
ならどう考えるかという意見交流を行った。
~生徒指導及び生徒の具体的事項に係わる内容のため、ここでは割愛します~
<事例>
事例>教師役、生徒役、保護者役になって意見を出し合う
~生徒指導及び生徒の具体的事項に係わる内容のため、ここでは割愛します~
9
(3)研究のまとめ
(3)研究のまとめ
・成果
・「性教育(心とからだの学習」に対しての思いや指導の難しさ、教育課程上の課
題など、多くの意見が出され、日々の指導に活かすヒントにつながった。
・知的な障がいがあり、思春期の生徒への性に関わる指導は、大切であるが難し
いと思いを抱えている教師が多いと思われる。各学年で年間指導計画を立て、生
徒たちの実態に合わせた指導を行っているが、いろいろな立場からの話し合いを
行ったことで、それぞれの教師の実践例、抱えている悩み等を意見交流できた。
(4)今後の課題
・課題
・教育課程や年間指導計画上での課題(時数、学習場面など)と指導内容(SNS
について、教科書の使用、効果的な指導など)について、今後も研究や話し合い
を進める必要がある。
・生徒たちの性に対する興味・関心の度合いは、生育歴、家庭環境、性格、理解
度、コミュニケーション力等の実態により、さまざまである。集団での一斉指導、個
別での指導等、指導を重ねていても、性に関わる問題から指導上課題のある生
徒がいる現実がある。
・SNS等のソーシャルメディアを通して犯罪に巻き込まれる危険性についての指導に
ついても大切である。
・教師だけでなく、外部からの講師を呼んで生徒たちに話をしてもらう等の指導の必
要性がある。
10
3 「教科学習(国語)
「教科学習(国語)」グループ
(1)研究の目的と内容
研究の目的
「確かな学びと確かな歩みとなる教育活動の実践的研究」
~生徒につけたい「国語」の力とは何か~
一昨年度、「自立と社会参加に向けた教育活動の充実」を研究テーマとした実
践検証グループでは、個々の生徒の実態などに即していくためには、基礎内容の
定着をしっかりしつつ、もう少し高い到達目標をもった発展学習、深化学習のプログ
ラムが必要になるのではないかという研究課題があげられた。
また、本校の「個別の指導計画」の自立活動の目標から「国語」を照らし合わせ
研究の内容
ると①人間関係の形成②状況に応じたコミュニケーション(言葉遣い)③他者の意
思や感情の理解、などが主にあげられる。
これらを踏まえて生徒につけたい「国語」の力とは何か、国語の指導や生活の中
で必要と感じられる「国語」の学習について検討した。
一昨年度の研究成果と課題から、今年度の「教科別指導(国語)」ワークショッ
プでは、
①国語の授業で感じていること、悩んでいること
②国語に関連して、日頃生徒と関わる中で「聞く、話す、読む、書く」など各分野の
中で課題として多く感じる分野は何か
以上、二点にテーマをしぼり検討した。
(2)ワークショップにおいて出された意見<詳細は資料 研修部便りにて>
グループ研修会
(8月22日)
<国語の授業で感じていること、悩みについて>
国語の授業で感じていること、悩みについて>
●5科からの意見
・各グループ内の実態に差があり、どこに合わせると良いのか。
・各グループの年間計画が一緒でどこに合わせると良いのか。
・実生活に結びつくような授業を考えていたが、結果的に卒業後の生活に結びつ
けられているのか?難しい。
・生徒が意欲的に取り組むことと、教えたいことに差がある。
・作業時間では国語の要素を取り入れている。また、PCを使い目標を書く学習をし
ている。
・
「話し合い」の授業をしたことがある。ディベートまではいかないが生徒は楽しん
でいた。もっと取り入れるべきだった。
・授業を聞いて、相手の気持ちを読むことが難しい生徒が多いのが現状で、授業の
中で、そういう場面を設定した学習も必要ではないか。
・電話の学習が少なく、将来的に事務職を希望する生徒などには電話対応が難し
く、聞き取ってメモする、正確に伝えることができない?苦手である。
11
・国語の授業は3年間通した学習が必要ではないか。
・根本的に国語の授業数が少なく、特に心(情緒面)を育てる授業がない。
・教科別の指導内容をタイムリーな時期に実施することによって興味・関心が高ま
り般化につがるのではないか?
<国語に関連して、日頃生徒と関わる課題、解決>
・
「話すこと」については、色々と話せることができるが、言葉の意味を本当に理解
しているのかどうか。意味を理解させていく必要がある。
・コミュニケーション能力は高いが、自分の思いを伝えることが難しい。
・自分と相手を知るには、「ディベート」を教科に用いてみるのも効果的ではない
か。
●2科からの意見
・国語の時間が3コマしかなく生単の授業の中に入れながら学習をすすめている。
・継続した学習の必要性を考え、毎日5分間の学習を継続している。
(3)研究のまとめ
・成 果
コミュニケーション能力は比較的あるが、「自分の思いを伝える」ことや「相手の
気持ちを読み取る」というのは学習場面では難しく、様々な日常生活場面で伝える
ことや指導していかなければならないという共通理解を図ることができた。
(4)今後の課題
・卒業後の生活を踏まえた学習カリキュラムだが、様々な場面へ適応できる能力
が身に付くまでは至らない。
・現状の2年間だけの学習形態ではではなく、3年間通したカリキュラムも検討する
必要があるのではないか。
12
4 「白樺『授業のポイント』」改訂グループ
(1)研究の目的と内容
研究の目的
研究の内容
昨年度までの2か年をかけて、授業の充実や向上を目指した共通の指針となる
「授業のポイント」(P.37)を作成した。知的障害教育の視点や学校の教育目標等と
の関連づけを行い、本校の独自性を盛り込んだ。作成過程では、校内授業研究
会において試行し改訂等を行ったが、実践研究という面では不十分のまま研究を
終えた。そこで、今年度の研究において再度取りあげて、さらなる改訂とより活用がで
きるような取り組みについて検討することとした。
研究の内容は以下のようにした。
改訂に向けては、
①事前にそれぞれが「授業のポイント」を使用(チェック)して改訂点を整理しておく。
②グループ研修では授業で大切にしていることについてそれぞれが発言するととも
に、ポイントとして追加や削除した方がよいと思われる項目について協議する。
また、活用については、
③具体的な活用場面を考えることとした。
(2)ワークショップにおいて出された意見〈詳細は資料 研修部便りにて〉
検討会
(10 月 21 日)
<授業で大切にしていることはどのようなことですか>
授業で大切にしていることはどのようなことですか>
・生徒がわかりやすいように。視覚に訴えるものとして、パワーポイント等を活用
している。また、具体例を大切にする。
・見通しをもてるようにしている。(学ぶ内容を事前に伝える)
・「できた」「わかった」という実感をもつことができるように。その際は言語活
動よりも「視覚」でと考えている。
・「わかる」体験や経験を重視している。また、「秩序」(突然の行動や言葉遣い
等)も大切にしている。
・限られた時間で、伝えたいことをしっかりと伝えきることを意識し取り組んでい
る。そのための教材研究と生徒の状態を確認しながら授業を進めている。
・一人一人に合った指導方法は難しいが大切。意欲的、積極的に取り組めるように
生徒理解に力を入れている。
・教える回数が少ない場合,わかりやすく伝えるための教材準備をしている。例え
ばわかりやすい言葉や教材、ふりがなといったことも含めて生徒がより理解しや
すいように工夫が必要である。
・落ち着いて学習できる状況や環境づくりと、状況を見つつ、その場にあった授業
づくりをしている。また、教師間での情報交換も大切である。
・生徒との信頼関係を築き、心と気持ちの把握や聞く態度などの状況を把握してい
る。
・意欲的に学ぶ姿勢を身につけ、自主性を育てるようにしている。
13
・自分で考える時間を大切にしている。
・生活に結びつけられるように取り組んでいる。
・ペアやグループでの言語活動を取り入れている。
・社会に出た時を想定した内容を意識している。
・生徒の特性や実態から、興味・関心を大切にして授業をしている。
・今と卒業後の生活を意識して大切にしている。
・体育ではなぜその種目を行うのか、ルールや技術について正しい知識をもって指
導している。
・生徒の活動量(運動量)を多くして、言語活動の充実を意識している。
・指導要領を見つめ、授業を見つめ、生活に結びついた活動をいろいろな視点から
設定している。
・授業の中でフィードバックや自己評価を授業の中でできるようにしている。
<追加や削除が必要な項目をあげてください>
<追加や削除が必要な項目をあげてください>
・学習方法ではなく、指導方法ではないか。
・再検討して多くの先生方の意見を盛り込むとよい。
・使いやすく、見やすくする必要がある。
・「興味・関心」については学習内容、学習(指導)方法の欄に入れてはどうか。
・ポイントの中にある「規律ある態度」は「学習上のルールの徹底」にしてはどう
か。
<今後の具体的な活用場面をあげてください>
今後の具体的な活用場面をあげてください>
・授業研や期間にこだわらず普段活用していく。誰かがやるのではなく「みんなが
普段から意識」する。
・授業のシステムに組み入れて、授業の中にもっと話し合いの機会を多くもち、内
容を精査していくとよい。
・机に挟める、掲示する等して見る機会を増やす。
・授業研究に使用。
・単元ごとの反省に使用。
・知らず知らずに先生方は行っているが、反省として使用する。
・自己評価ができるようなチェック票があるとよい。
・略案をつくる際にポイントを入れてみんなが意識できるようにしてはどうか。
・年度初めにみんなに見てもらえるように、経営計画の裏表紙に印刷してはどうか。
・新任者や実習生の授業に活用できるのではないか。
・新任者研修や新任者授業研で。
14
(3)研究のまとめ
成果
今回のワークショップでは、『白樺「授業のポイント」』の改訂に向けた協議におい
て、それぞれの先生方が日頃授業を行う際にどのようなことを大切にしているかを発
言することにより、それらの内容が盛り込まれているのかについて確認をすることがで
きた。大きな変更点(追加と削除)はなかったが、出された意見については活用する
中で再検討していくこととした。
一方、授業について多くの意見交換を行ったことにより、教師の指導観や教材
観、さらには教育観といったものを共有するといった副産物的な成果も得ることがで
きたと考える。
(4)今後の課題
活用
今年度の研究計画にあるように、研究活動によって作成した「指導ツール」は作成
して終わりとなるものではなく、生徒の学びの中で有用性を探るという教育活動での
実践と検証が必要である。つまり「活用」が研究成果に直結する。
15
5 「セルフチェックシート・ニーズシートの活用」グループ
「セルフチェックシート・ニーズシートの活用」グループ
(1)研究の目的と内容
研究の目的
セルフチェックシート・ニーズシートの改訂
~試行結果と活用に向けて~
近年、生徒の実態が変わってきていることは入選の結果や研修の中でも上げら
れており、障害の多様化から、生徒指導上の課題も年々増加傾向にある。学習
指導要領にも書かれているように、障害の状態に応じたきめ細かな指導や、一人
一人の教育的ニーズに応じた指導をより一層充実させていくためにも、事例を通し
ながら指導の在り方を探っていく必要がある。平成 21 年からの 3 カ年研究の中で
も「身に付けたい力」を再確認して、「白樺」の財産を共通の指導の柱としていくた
めにも、必要とされる力を卒業生の実態からもう一度見直して、より身近なものにし
ながら整理を行った。
<今までの検討と成果>
・在校生や卒業生の実態から必要な力の項目に付いて検討を行った。
・キャリア発達の項目も参考に整理した。
研究の内容
・活用しやすい形の検討を行った。
・具体的な活用方法を決め、活用の手順を明確にし、様式の整理を行った。
・試行的な活用を通して検証した。
今年度は、「身に付けたい力」を整理したシートの活用に向けて、使用時期や内
容、文言等の理解度を確認するために、今年度は、試行期間を設けて、検証す
る必要があった。
そこで、
①全体で試行を行い、成果と課題の把握を行う
②より良い活用方法と改善を検討する
以上の二点について検証した。
(2)ワークショップにおいて出された意見
(2)ワークショップにおいて出された意見<詳細は資料
において出された意見<詳細は資料 研修部便りにて>
<試行した結果と成果について>
試行した結果と成果について>
第一回検討会
「ニーズシート」(P.38~39 参照)
(12 月 5 日)
○使用することで、保護者との連携を図り、保護者の希望を寄宿舎と共有できたの
でよかった。シートの価値は高く、便利だった。また、年度当初に記入してもら
うことで、教育支援計画に反映された。保護者がしっかり書いてきたので参考に
なり、ニーズシートは教育支援計画の自分がどうなりたいのかを考えるのに役立
ったように思う。
「セルフチェックシート」
(P.40~46 参照)
○生徒が記入するのにサポートが必要。内容を絞った方がよい。また、生徒が進路
学習の生活チェック表と混合している。生徒の実態に合わせて項目を抽出しても
良い。自己評価の低い生徒、高い生徒の判断基準になった。企業の人から見ての
16
評価、観点も含まれている。
「項目と内容」
△セルフチェックシートの項目が多く,そこからニーズを見いだしにくい。ニーズ
シートに記述欄があると良い。
△言葉の意味が難しい面もある。生徒が分かりやすい言葉の方が良い。項目を絞っ
てアドバンス版と、下位版と2種類あると良い。
「時期と時数」
△10月の保護者懇談会に向けて取り組んだが、セルフチェック記入と保護者との
確認は、実習の評価や教育支援計画の確認など忙しく、時間をとれない。
△セルフチェックシート記入後,こちらの思った結果ではなかった場合,生徒と整
合性を持たせる時間がない。同様にニーズシートにおいて保護者ともずれがある
場合の確認する時間がない。
△LHR一回で行うのは無理がある。
「その他」
△生徒の事前の意識付けが必要。
△保護者や本人の望んでいることは把握できたが、記入しただけになってしまい、
意識して活用できていないのが現状である。
△自己評価ができないため、自分のことをきちんと見つめることが出来ていた生徒
が少ない。学習によって項目を変えて取り組めるようになっていると良い。
△個別の教育支援計画に組み込んでいければ良いと思う。
△進路の学習、作業学習でも同じようなことをしている。進路の学習(総合)で行
っている「働く力」チェックとの関係を整理することが必要である。
△3年間の変化がわかるように工夫が必要である。
<自己理解を促す方法の検討>
○本人が記入したのみで終わってしまうため、定期的に行ってはどうか。その後に
担任がチェックして評価し、保護者との進路懇談につなげていく。
○校内では様々な場面や形で自己理解を促している。作業日誌や学級目標や個人目
標の設定等。それ以外にも生徒との話の中でかなりの割合を占めている。生徒が
行動してその後に振り返りをさせることが大切である。すぐにフィードバックさ
せること。
○障害判断チェックシートの活用。
○進路学習。
○自己理解が難しい生徒が多く、課題には「これは、苦手だよね」
、ほめられたらこ
とには「できている」と認識できるようにその都度、あてはまる項目を生徒に伝
えることが大事である。
○一人一人時間をかけて取り組む必要がある。また、家庭の協力が必要と考える。
友達からの評価も有効である。
<活用場面と具体的取り組みについて>
○進路学習
17
進路学習に組み込んでいけばよいのではないか。文言の内容が難しいものが多い。
もっとわかりやすくする必要性がある。また、進路の学習帳についているチェッ
ク表とセルフチェックシートが類似していて生徒も混乱していた。
○LHR、個別面談など
シートに記入してその結果だけで自己理解を促すことは難しい。ダイヤグラムと
いった目に見えるような結果が集計できると良い。生徒と担任がそれぞれチェッ
クして課題や伸びた点を確認できる資料として活用。日々の自己評価があるから
このシートへの記入もスムーズにできると思う。そういった意味では有効である。
○行事後(現場実習や学校祭など)
結果を基に伸びている点を一緒に確認する。
(3)研究のまとめ
(3)研究のまとめ
・成果
活用することで、様々な課題点が浮かび上がり、課題解決に向けて改善案を検
討することができた。
(4)今後の課題
○文言の訂正
→生徒が理解しやすいように項目の見直しが必要である。
○活用する時期の見直し、時間の確保
→学年によって、現場実習や行事が重なり、保護者や本人と話す時間が取れ
ないことがある。記入する時間と記入後に本人と統合性を持たせる時間を確保
する必要がある。
○チェックシートの整理
→生徒が混合しないように様々な教科で使用しているチェックシートを整理する必
要がある。
18
6 「教科学習(数学)」グループ
(1)研究の目的と内容
研究の目的
平成9年と平成 14 年から 15 年にかけて2度に渡り、年間指導計画の変更を
行った。しかし、特別支援教育の更なる推進や生徒の実態の変化等により、平
成 22 年度から 24 年度にかけて、様々な生徒の実態に対応できるように、幅広い
指導内容を盛り込んだ年間指導計画の整備、そして、生活単元学習や各教科
との関連を図りながら、「卒業後の地域社会で生かせる力」をテーマに取り組ん
できた。
研究の内容
昨年度、実践検証グループ「数学」では、平成22年度から24年度に整備し
た指導内容や年間指導計画の実践検証する時期に当たり、実際に指導を行い
ながらその妥当性について検証して、指導内容や年間指導計画の配列等の修
正を行う予定でしたが、取り組みの検証までには至らなかった。
そのため、今年度は昨年度十分に検証できなかったことを受けて、
①数学と他の教科や指導の形態を関連させながら、どのような工夫をして授業
展開をしているのか
②卒業後必要とされる「数学」的内容について(具体的に数学のどの領域が卒
業後必要だと思うか?)
以上の2点のテーマについて検証した。
(2)ワークショップにおいて出された意見<詳細は資料 研修部便りにて>
研修部便りにて>
グループ研修会
(1月29日)
<数学と他の教科や指導の形態を関連させながら、どのような工夫をして
授業展開をしているの
るのか>
授業展開をしてい
るの
か>
・プリント学習はできる生徒が多いが、具体的な(お金・時間・計算方法)計算の
応用力がついていない。
・数学で学習した内容を作業で実際に使用する。また、出来高の計算方法を経験す
ることが必要。
・普段の生活の中で計算する機会を多くすることが必要であり、それらを活用する
ためには、考える時間を日常生活や作業を通して多く経験させる必要がある。
・できる限り満点が取れるような小テストの実施→できた喜び→自信へ。
・この時期で中々習得できない→違うツールの活用
プリントではできるが
とにかく身近な
生活の中で生かし学び
実際に生かせない
具体物を活用する
般化につなげたい
お互いに(生徒・指導者)
ねらいをもって日々取り組む
19
・作業学習:作業日誌、伝票整理、数量(平板等)、クリーニング作業でのワイシ
ャツのたたみ方、縫工の裁断等の作業で数学的分野の力が求められる。
→作業の目安を考えさせる(時間、個数など)
・現場実習:品出しや商品の数の計算、消費期限順に並べるなど。
・なぜ数学なのか。授業内容は算数ではないのか。
→生徒の実態ではなく、生活年齢に合わせた言葉を使う。
・文章を読み取る力、課題解決力、イメージの作り方の大切さ。
・学校行事や学校生活との関連:現場実習では時間。学校祭では国語。作業学習で
は数学。など教師が大まかな中で他教科との関連を意識して、指導にあたること
が大切である。
→教師が様々な授業で言葉に出して「これ、数学だよね。」と言うことで、生徒
が気が付く。
<卒業後必要とされる「数学」的内容について(具体的に数学のどの領域
が卒業後必要だと思う
が卒業後必要だと思
うか?)>
・時間を有効に使うという点から,電卓を使うことは大切な学習。
・時間や時刻、給料計算という点ではお金に関する知識が欠かせない。また、バス
などの公共の乗り物利用となると時間もかかわる。
・「生活する力」において、数学的なものが占める割合は多い。教室内での知識を
日常生活の中で般化するためにも教師は仕掛けていく必要がある。
・実習する作業種に必要な量や重さについて、事前に学習することによって自信を
持って取り組むことができ、成功体験ができた。
・時間とお金に関することが最低限必要→とにかく毎日の積み重ねが大切。
(3)研究のまとめ
・成果
今回の研修では、「数学」という教科だけではなく、生活や授業の中で取り入れ
ている数学的要素に関して、それぞれの先生方が普段、生徒に意図して伝えてい
る内容等多くの意見交換や確認ができた。このことを機会に、今後、様々な活動
の中に改めて数学的要素が含まれていることを、生徒が気が付くような指導が必
要であると考える。
(4)今後の課題
(4)今後の課題
今回、それぞれのグループで話し合って終わりとするものではなく、この具体的な
内容を実際に生徒の生活や学習場面で活用した結果、また在学中に実践した
後、卒業生がどのように活用できているか等の検証も今後必要ではないかと考え
る。
20
7 「性教育」
性教育」「SNS」に関する指導のあり方
(1)研究の目的と内容
研究の目的
研究の内容
今年度はグループ研修や夏季研修会において、「性教育」をテーマとして複数
回取りあげ、さらに12月の授業研でも性教育を題材として行った。その中で、性に関
する生徒指導事項にSNSが関与していることが多いこともあり、性教育の指導の中
にSNSの指導を行ったグループもあった。また、全体協議や年度末反省等でもこの
「性教育」と「SNS」の指導について実践上の課題として出された。
こうしたことを受けて、校内のタイムリーな課題に対応して研修を行うというスタンス
から、以下を研修テーマとして実施した。
①SNS関連の学習を性教育の学習内容とするか、性教育とは分けて考えるか。
②性教育をこれまでどおりLHRで行うのか、保健体育や総合等の指導の形態の内
容とするのか。
(2)ワークショップにおいて出された意見〈詳細は資料 研修部便りにて〉
検討会
(2 月 5 日)
<SNS関連の学習を性教育の学習内容とするか、性教育とは分けて考
えるか>
えるか
>
・SNSの指導は性教育に限るものではない。逆も言える。
・SNSをどの指導の形態で指導するのかということと合わせ、コミュニケーショ
ンツールとしてきちんと分析し、利便性と付随する問題点の具体例をあげながら
指導するとよい。分けて指導するべき。
・性犯罪のきっかけとしてSNSがある。犯罪と関連付けて分けて指導した方がよ
い。
・高校ではSNSは自己表現、コミュニケーションの手段としての活用について授
業を行っている。本校はその前段階の指導となるだろうが、普通高校での指導を
聞いてみるのもよい。
<性教育をこれまでどおりLHRで行うのか、保健体育や総合等の指導
の形態の内容とするのか>
・性教育で何を教えるのか。今は担当者がそれぞれ工夫して教えているが、3年間
を見通した内容が検討できるとよい。
・3学年では3~4か月周期でLHRを活用して安全教室として行った。
・生活科では心と体の学習を行っているが、性に興味のある生徒もいるので実態に
合わせて必要である。
・試行錯誤ではあるが、取り組みを次年度に引き継げるようにしておくとよい。
・各所で行っているSNSや性教育の教材も含めて、実践を蓄積するシステムが必
要。
・LHRと総合を合わせて性教育の時間を組み立ててはどうか。
21
・どの教科からも関連した授業はできる。例えば国語→言葉、情報→機械操作、社
会→トラブル、総合→性教育等々。
・いろいろな角度からの指導が可能であることから、年間指導計画に入れればよい
と思うがどこから下ろしていくのか、どのように教育課程に組み込んでいくのか
が課題。
・保護者の学習機会の設定も必要。
(3)研究のまとめ
成果
最初の検討課題の結論としては、「性教育」と「SNS」に関する指導について分け
て行うべきであるということだった。性犯罪のきっかけとして「SNS」はあるが、「SNS」の
利便性もじっくりと教えていく必要があるとの意見も多かった。
二つの検討課題については、意見にあったように、ひとつの指導の形態にとらわ
れることなく、さまざまな指導の形態(学習場面)で取りあげながら指導できるのではと
いう意見が多くあった。性教育やSNS関連の指導について、多面的にとらえる必要
性があるといえる。
あとはこれらの意見をどのように日常の実践に落とし込んでいけるか、ということに
なる。
(4)今後の課題
蓄積と共有化
課題の検討を通して、今まで述べたようなさまざまな意見が出された。しかし、今回
は現状から「性教育」「SNS」についての指導上の課題を明らかにすることで終わっ
てしまった。今後の課題としては、3年間を見通し、各指導の形態の中に学習をどの
ように落とし込んでいくかであろう。そのためには実践や教材等の蓄積と共有化が必
要である。
22
8 インターネット研修会『少年のインターネット犯罪の現状』
(1)研究の目的と内容
研究の目的
研究の内容
インターネットを含むSNSについては、今年度の研修でテーマとして取りあげて、どの
ように指導するかについて検討を重ねてきたところである。その中で現在のネット社会
においてどのような犯罪が生徒の周囲に起りえるのかといった、教師が持つべきイン
ターネット犯罪の現状について学ぶ必要性が高まったことを受けて、講師を招いての
講演会を実施することとした。
講演題『少年のインターネット犯罪の現状』
講師 北海道警察札幌方面厚別警察署生活安全課 福田真也巡査長
(2)講演の要約
(2)講演の要約
犯罪の現状
インターネットの普及にともなって、SNS を含むインターネットが原因となった犯罪、特
に性犯罪が急増している。警視庁の調べではコミュニティサイト等の利用を通じた性
的被害を受けた少年のうち、90.4%が携帯(スマホ)電話を使ってサイトにアクセス
している。同様に性的被害を受けた少年のうち、94.5%がフィルタリング未設定との
報告をしている。
SNS は便利である半面、使い方によっては犯罪に結びついてしまうことがある。厚別
警察署管内でも「児童買春」「児童ポルノ」「強姦」といった犯罪が発生している。ま
た、被害者だけではなく、場合によっては加害者にもなりえる。いたずら半分や興味
本位な行動から、刑法や児童ポルノ禁止法に触れる犯罪例も多い。
気をつけた
ではどういったことに気をつけてインターネット利用をしていくべきであるのか。
いこと
○インターネット上で知り合った人を安易に信用しない。
○直接会うことは避ける。
○自己の個人情報を教えない。
○出会い系サイトは利用しない。
以上のことに気をつけて利用すべきであるとともに、利用にあたっては、
○フィルタリングをする。
○どのようなサイトやアプリを使っているのかを知っておく。
○使用にあたってのルール作りをする。
○万が一ルールを破ってしまっても相談できる場所をつくっておく。
とのお話があった。
以上、どの点も大変重要な項目で、学校と連携して犯罪防止に努めたいとの話
があり講話を終えた。
23
Ⅲ
寄
宿
舎
寄宿舎
グループ
(1)研究の目的と内容
(1)研究の目的と内容
生活指導の充実に向けた指導の観点・あり方の検討
研究の目的
研究の内容
基本的生活習慣の指導からコミュニケーションを含めた社会性の指導への変
化は、発達障害児・者が抱える自他の理解不足や同年代との関わる経験が欠
如しているなどが原因の一つと考えられる。寄宿舎における生徒の実態は、これ
まで以上に他者の行動を理解したり、相手の気持ちを考えたりする力や経験が
不足している現状にある。
生徒の変化に合わせて、寄宿舎に求められる役割も変化しつつある。障害特
性や生徒個々の状態に応じたきめ細かな指導や、一人一人の教育的ニーズに
応じた指導をより一層充実させていくためにも、今ある寄宿舎の日課や行事など
の取り組みで、職員全体で意図的に指導していくことを明確にしながら、指導の
在り方を再確認していく必要がある。
開校50年という新たな節目を契機に、これまで大切にしてきた寄宿舎における
生活指導や今求められている寄宿舎の役割、これから期待されるであろう寄宿
舎の意義などについて、これから3年間の研究を進めながら再発見していく。そこ
で培われた研究成果や議論の内容を現職員で押さえるとともに、今後の本校
寄宿舎における指導へと確実につなげていく。また、H24年度より「生徒にとっての
(S)白樺(S)最高[再考](S)プロジェクト(P)」(SSSP)における課題への取り組み
の一環として、自分たちで今の寄宿舎を再考したいと考えた。
1.寄宿舎の課題について職員個々から意見を集約する。
2.生活指導要綱の検証を行う。
3.生活場面に即した指導の観点を整理する。
4.育てたい力の整理を行う。
5.育てたい力を基に、生活指導の観点を生かした指導づくりを行う。
6.指導の柱を整備する。
(2)研究の取り組み
テーマ
1 年次:
「過去の検証」、2 年次:
「育てたい力を考える」、3 年次は「未来への再構
築」
アンケート実施
キーワードの模索
再考
1
職員向けに寄宿舎研修アンケートを実施。
2
①本寄宿舎で育てたい力について、②本寄宿舎が目指したいこと、③理想と
する寄宿舎像について、④本寄宿舎の課題の以上 4 点での意見を集約し、キ
我々の思い
ーワードを導き出す。
3
キーワードを基に、これまでの白樺の寄宿舎教育を再確認・再考する。
4
生活指導要綱に即して、生活場面に隠された働きや我々の思いを検証する。
24
5
各分掌や各指導グループでの検証を行っていく。
6
アンケートからのキーワードを基に、寄宿舎の在り方を通して、育てたい力
について整理していく。
(3)研究のまとめ
(3)研究のまとめ
2012 年度(
年度(1 年目)
年目)
①寄宿舎で育てたい力について、②本寄宿舎が目指したいこと、③理想とする
職員アンケートの
寄宿舎像について、④本寄宿舎の課題、以上 4 点での意見を集約し、観点を導き
実施
出した。その観点は誰かに与えられたものではなく、職員自らが考え、自らが発
した声として集約されたことに意義があると考える。
生活指導要綱の見
直し
3 年に 1 度、実施している生活指導要綱の見直しに合わせて、生活場面につい
て再考する機会を持った。文言の整理を含めて、生徒配付用の「寄宿舎生活のし
おり」とともに、検討を行った。
指導の観点
アンケートから導き出された指導の観点がどの生活場面にあてはまるのかにつ
いて、分掌、棟、全体の 3 段階で議論し精査してきた。精査される過程で、職員
個々の思いを語り合うことで共通理解につながると考えた。
寄宿舎研修会の実
施
10 月 25 日は「共感性と社会性の形成を目指す実践課題」と題して札幌学院大
学の二通諭氏、12 月 25 日には「思春期の精神疾患についての理解と対応」と題
し、札幌医科大学の手代木理子氏を講師に招いた。研究テーマに直接関連する演
題ではないものの、生徒理解のための新しい視点を感じたり、寄宿舎の役割を再
考するきっかけとなった。
生活指導要綱を指
指導の観点まとめ表を基に、実際の生活指導要綱に反映されているか、その視
導の観点から見つ
点が位置付けられているかについて検証を行う。検証を通じ、その指導の観点が
め直す
反映されたときに、思いが実際の形となり、生きた生活指導要綱につながってい
くと考える。
2013 年度(
年度(2 年目)
年目)
生活指導要綱の項目に合わせて、各分掌で検証を行う。育てたい力を日課のど
生活場面に即した
の場面で指導できるのかを考える。指導場面の中で具体的にイメージすることを
指導の観点を整理
目的とし、
目的や意図を持った生徒への関わりにつながるのではないかと考えた。
指導項目ごとに各分掌(小規模)に振り分けながら検証を進め、意見交流がしや
すい工夫を行った。
指導内容や観点の
検証
分掌で検証したものを、3 学期の宿直班(さらに小規模)で再検証を進める。
検証グループを変えることで、違った観点や視点が入り、多角的・客観的に検証
を進めることができる。併せて、生活指導要綱への反映も視野に、現在の生活指
導要綱に不足している視点や指導内容がないかについても、検討を進める。次年
度は、その検証結果を基に、日々の指導場面や指導内容に具現化・般化させてい
く準備をすすめた。
25
2014 年度(3
年度(3 年目)
年目)
日常生活や日課に即した 4 項目【食事】
【掃除】
【洗濯】
【舎室時間】に限定して、
これからの指導を
各グループで指導の観点を意識して取り組む。これまでの 2 年間は、考察を中心
考える
に進めてきたが、3 年目は、
「実際にやってみながら考える」をテーマに、各ブロ
ックで何を中心に指導するのか、どういう言葉掛けや思いで生徒に関わっていく
のかなどを意識して、指導に当たることとした。
各グループで【食事】
【掃除】
【洗濯】
【舎室時間】の 4 項目を検証し、
「今年度、
観点を意識して実
際に取り組む
共通理解して進めていくこと(重点指導項目)
」を決定してもらい指導にあたった。
各項目において、どの場面で、どのように進めるかは、各グループで創意工夫
ブロック間の相互
意識
できるようにしてきた。
そのグループは、研究のための組織ではなく、日常的な指導グループとし、日
常の生活が少なからず研究の取り組みに般化できるようにした。
各グループでの実
<重点指導項目一覧>
践
●男子 1 階
食事:皆と食事する楽しさ、おいしさ
掃除:みんなできれいにする、協力、役割分担
洗濯:なぜ洗濯するのか(目的)、次の人のために・感謝される
舎室時間:つながり、話し合い、受容・共感、気遣い
●男子 2 階 A
食事:マナーや挨拶、待たせる・待ってあげるという相手の気持ちの理解
掃除:協力する気持ちを育てる、汚れやゴミへの気付き
洗濯:毎日洗う習慣を見つけ、自主的に取り組む
舎室時間:交流を働きがけ、その日を振り返り、翌日に向けた持ち物準備や気持
ちの整理
●男子 2 階 B
食事:マナー
掃除:相手、周囲を意識する力を(思いやり)(協調性)
洗濯:基本から応用へ、人と関わる力
舎室時間:コミュニケーション力
●女子 1 階
食事:挨拶の意味、食べ物に対する感謝、マナー
掃除:協力、丁寧さ
洗濯:他の人のことを考える
舎室時間:舎室内での関係を深める、時間を有効に活用
●女子 2 階
食事:マナー
舎室掃除:汚れを意識してきれいに掃除する、周囲を見渡し手伝う、協力する姿
勢
洗濯:次の人のことを考え、相手に伝える
舎室時間:舎室内での親睦
※個人で取り組むべき課題、集団で取り組むべき課題
26
(4)今後の課題
(4)今後の課題
2012 年度(1 年目)
生活指導要綱の活用
本研究は 3 か年の 1 年目として、過去の検証を主として取り組んできた。新た
なものを作り出していくことと同時に、これまでの指導について振り返り、意味
付けしていくことを進めてきた。その素材として、3 年に 1 度見直すことができ、
指導場面ごとに整理することができる生活指導要綱の活用は実用的であると思わ
れた。
長期的な視点
しかし、一方で生活指導要綱の位置付けが不透明であることが課題である。現
行の生活指導要綱は、指導の流れや手だてが中心となり、そこに隠された思いや
観点などは多く触れられていないものとなっている。その意味で、研究成果が生
活指導要綱に反映されていくことが長期的な視点での寄宿舎づくりにつながると
思われる。
グループ研究結果をどのように反映させるかについては、研究紀要としてまと
めるだけでなく、研究成果を具体的に生徒指導の観点や指導内容に反映させるこ
とを主たる目的とすることによって、生活指導要綱への反映が妥当であると思わ
れる。
2013 年度(2 年目)
昨年度、検討を進めてきた「育てたい力」の具体化がテーマであった。今、そ
育てたい力の具体
して、これからに向かって生活指導を考えるために、育てたい力を生活場面や指
化
導内容に即してイメージしながら、その力を具体的に指導していくためにはどう
していくべきか、各分掌を一つのグループとして検討を進めた。その後、その検
討結果を再検証する目的で、宿直班をグループとして検討を進めてきたが、検討
時間に限りがあり、充実したということまでは至らなかった。
現状を見直す
検討を進めていくにあたって、新しいアイディアや具体的なイメージが必要に
なってくるため、それらを形にしたり、文書化することは難しいことであったか
もしれない。しかし、検討を進めていく過程で、現状の指導内容がどうであるの
か、なぜこのように指導しているのかなど、現状を見直すきっかけにもなり、今
後に向けた話し合いでありながらも、一定の効果があったと考える。研修部の主
導により、研究のテーマに即した主体的な研究参加、指導基盤づくりに積極的な
参加が得られるよう、取り組み方法や推進計画にはさらなる工夫が必要である。
また、生徒の問題行動を通して、今後の指導体制、指導内容について、本研究
とは別の形で進めてきた。問題行動の検証を通して、指導組織(勤務について含
む)、日課や生徒指導の在り方などについても、検討してきた内容については、
研究内容と重なる面も多く、併せて考えることも可能ではないかと感じられた。
2014 年度(3 年目)
今年度の目的は、指導の観点(育てたい力)を具体化したものを、実際に指導場
グループでのまと
面で意識しながら取り組むことで、新たな発見につなげることであった。その方
まり
法や進め方は各グループに一任する形をとったが、結果的に各グループが競合す
ることになり、発想勝負になってしまった。
3 年生を活用した
取り組み
ただ、実際の指導組織となるグループを中心に進めることで、日常的に指導・
検証することができ、さらに定期的な話し合いを重ねることで、グループのまと
まり、連帯感を意識させることにはつながった。職員一人の関わりが、他の職員
の関わりを作り上げたりする指導の連動性やグループ指導の礎となる共通理解に
ついて話し合うことにもつながった。
27
各グループで 3 年生を活用しながらの取り組みが多く、寄宿舎の持つ集団性が
発揮される機会を設け、職員による働きかけに加え、生徒を意図的に参画させる
ことが寄宿舎における集団づくりを考えるうえでもキーワードとなりうるものだ
った。
(5)おわりに
(5)おわりに
3 年間の取り組みで寄宿舎を再考するきっかけづくりを進めてきた。1 年目は「過去の検証」2 年目とし
て「育てたい力を考える」、そして最終年として 3 年目は「未来への再構築」をテーマとした。この研究を進
める背景には、寄宿舎から見える生徒の実態はここ数年にわたり、指導課題の中心が「社会性への指
導」へと変化している現状にあり、コミュニケーション力を含めた社会性の指導へのシフトは、発達障害を
抱える生徒を中心に自他の理解不足や同年代との関わる経験の欠如などの課題が考えられる。また、
集団生活を通して、自分本位の生活から他者を意識した生活へと成長を遂げていくのだが、これまで以
上に他者の行動を理解したり、相手の気持ちを考えたりする力や経験が不足している現状にあった。
あわせて、寄宿舎の持つ集団という優位性を生かしながら、生活を中心とした自己づくりには、経験
や体験をはじめ、毎日の実生活を通して行うことが最善であると思われる。毎日の生活場面でどのように
集団的な意図を機能させられるかは、職員個々の関わりによるものが大きい。これまでの本寄宿舎の教
育とは何なのかを考えながら、現在を含めた生徒たちの実像に合わせ、その歴史や目的を反芻していく
ことが、現在の形になっていたり、そこに隠された意味について知ることにもつながる。集団の作用によっ
て、生徒一人の感情を舎室やグループでの指導へと展開していくことで、みんなでその感情を共有する
こともできる。そこで培った達成感や成就感の共有は次への行動へとつながっていくことも考えられる。
個別の指導計画の形式的取り組みは、個別指導が主流になりがちになることも危惧されている。職
員との 1 対 1 の対応だけでは自分で気が付く、自分で認知する機会が乏しく、「注意されたから」、「指
摘されたから」というイメージを生徒自身が持たされることは少なくない。集団の中で自分がどういう存在
で、他者と比較する中で自分はどうあるべきかといった自問自答の機会を減らしていることにもなり得る。
寄宿舎という場は、集団生活を営みながら、他者との時間を共有し、自分の行動を見つめることができ
る場である。集団を活用しながら、他者を意識し、異年齢同士のつながりを作り出していくことが求められ
る。我々自身も集団を活用する観点を持ち、集団や仲間の力を最大限発揮される取り組みに、今後に
向けた指導の可能性を見い出しつつある。
今年度は、3 年生を中心とした集団づくりの取り組みや 3 年生の働きを 1,2 年生に意識させることで
気付きや学びを作り出している。大人が伝えることをあえて 3 年生が 1,2 年生に教え合う関係性に期待
することも大きい。後輩を指導することで改めて自分自身で気が付くこと、わかりやすく教えることが説明
力につながっていくなど、その取り組みからの拡がりは多いものであった。学年の実態によっては、学年ご
とのまとまりや一体感を意図的に作り出していく成果を感じることができた。
3年間での取り組みは、我々の指導観を拡げることも目的の一つであった。組織的に指導することは、
職員間の指導観を共有することでもある。生徒のどこに着目するのか、実践の勘所をどこに位置付ける
のかに加え、指導者としての思いや考え、意図を明確にすることで、一人の関わりが、その意図を生かし
た全体の関わり(言葉掛け、働き掛け)が生まれていく。また、グループで指導にあたることを意識するこ
とで、情報共有の必要性を感じ、グループでの打ち合わせや棟内で生徒について交流し合う意味につ
いて考えることにもつながる。グループでの指導は、お互いに指導観や指導方法を検証し合う良い場で
あったと感じられた。
3 ヶ年研究当初より、研究の成果は紀要としてまとめることがゴールではなく、生活指導要綱に反映さ
28
せることを主たる目的としてきた。その成果を次年度の生活指導要綱見直し業務(『寄宿舎生活のしお
り』とともに 3 年に 1 度見直し実施)の中で、再議論し、位置付けていきたいと考える。研究の最大の成
果でもあった、各項目の指導観、育てたい力は 3 年に 1 度の生活指導要綱見直しの中で、定期的に
確認、検証していくことでより強固となっていくものと期待したい。
29
Ⅳ
研 究 の ま と め
Ⅳ
研究のまとめ
(1)今年度の取り組み
研究内容・
今年度は「確かな学びと確かな歩みとなる教育活動の実践的研究」を
方法・目的 テーマとして研究に取り組んできました。研修をすすめ上でのキーワー
ドは「共有」と「実行」でした。これは、研修課題を職員で共有(Share)し
て解決に向かうことと、研修成果をすぐに日常の教育活動に生かすとい
う即実行(speed)ということを意味しています。
今年度の研究の特徴としては「単年度の研究」であること、「実践的研
究」であること、そして毎回1つのテーマ(研究課題)に基づいて構成
員を変えながら「ワークショップ方式」をとったことなどがあげられま
す。特に研究方法としてワークショップ方式を取り入れたことは、これ
までのグループ研修におけるグループの硬直化が避けられる、職員同士
の研修の活性化が見込める,課題解決に向けて多くの意見が得られ客観
性が高まる、短期間での課題解決が期待できる、課題への即効性がある
といったメリットを優先して取り入れたものでした。この点については,
研修の場を離れても職員間の議論が続けられていたり,研修成果を日常
の学習活動に取り入れるなど、ある程度の成果が上げられたと考えてい
ますが、課題(デメリット)と合わせて、後ほど述べていくこととしま
す。
(2)各研究から
ここからは,各回のまとめおよび課題について概観していきます。
「地域学習(仮 「地域学習」は平成24年度末に提起され、翌25年度から本格的に
称)」
始動した「生徒にとっての(S) 白樺(S)最高[再考](S)プロジ
ェクト(P)」(SSSP)における課題のひとつ「白樺版デュアルシス
テムの構築」の一端を担うものとして検討されてきたものです。同25
年に行った教育課程検討委員会主催の研修会でも「早期からの社会との
接点」「自己理解」といった課題への対応として、地域資源を活用した学
習の必要性が意見として出されていました。一方、研究においても地域
と「連携した教育を考えるグループ」が組織され、その成果として具体
的な複数のアイディア(プラン)の提示していました。
そして今年度はそのうちの4つのプランについてグループ研修で取り
あげて、実施に向けての検討をしました。グループ研修ではどの活動を
するかを絞りきれませんでしたが、同時に教育課程検討委員会で協議し
ており、グループ研修の結果を受けて、次年度から「バス停清掃」の実
施へと踏み出すという大きな成果へとつながりました。
30
この「性教育」については、結果的に今年度の研究の中核的なテーマ
となりました。当初より2回のグループ研修を計画し、そのほかに夏季
研修会においても外部講師を招き、性教育の研修を行いました。また、
当初、タイムリーな話題を取りあげるために未定としていた2月のグル
ープ研修2回についても性教育関連についてをテーマとしました。
この項では7月と9月のグループ研修についてまとめます。
7月は本校の性教育の現状や指導上の課題や疑問についてが議論の中
心でした。性教育に対する教師のとらえに違いもあり、実に多くの意見
が出されました。まとまりはありませんでしたが,逆に日々の指導に活
かすヒントとなったとの意見もありました。
9月は教師役や生徒役、保護者役を設定してロールプレイやディベー
トを取り入れて行いました。
「高校生の性交渉について」と「妊娠をしてしまった」をテーマとし
ましたが、生徒役からの「どうして性交渉がいけないのか」という質問
に対して、生徒が実感し納得できる答えが少なかったとの意見がありま
した。また、知識を教えることは「性交渉を容認すること」につながる
のではというジレンマもあるとの話が出ました。
指導に関わっては、性に関する指導は性教育の授業場面以外で行われ
ているのが多いこと、また、性に対する興味・関心は様々で、一斉指導
での限界がある、さらにはSNSを介した犯罪が増えており、その指導
も必要であること、そして、時数不足でなかなか深まらないことや内容
についても学年や指導者任せで蓄積されにくいといった現状が明らかに
なりました。こうした現状が明らかになったことはひとつの成果と考え
られますが、ここからどう実効性のある指導に結びつけていくかが課題
として残りました。
教科学習「国 今回のグループ研修では、生徒につけたい「国語」の力とは何かとい
語」
うテーマで、日々の授業の中で感じていることと「聞く・話す・読む・書
く」の各分野の中で課題が多い分野について話し合いました。
授業上の課題として、グルーピングされているがそのグループ内に実
態差があって焦点を当てにくい、卒業後の生活を意識しているが、結び
つけられているかが判断しにくい、また、教えたいことと意欲的に取り
組むことに差があるといった意見が出されていました。
各分野の指導については、一見「話す」ことはできているが、言葉の
本当の意味を理解させることが必要である、その上で相手の気持ちを読
んだり自分の思いを伝えていく力が必要であるといった意見がありまし
た。そのためにはディベートがよいのではといった具体的な指導方法や
2年間ではなく、3年間の学習の継続の必要性が現状の課題として出さ
れました。生活科においては不足している学習を毎日5分間行うなどの
工夫をしており、国語を国語の時間のみで教えるのではなく、この例の
ように、全教育活動場面で教えるといういわゆる「言語活動の充実」と
いう視点が必要であるとまとめられます。
「性教育」
31
白樺『授業の 昨年度まで2か年かけて、授業の充実と向上を目指し、本校における
ポイント』改 授業の指針となる『授業のポイント』を作成しました。学校教育目標と
訂
関連づけを行うなど、「独自性」をもたせましたが、実践における活用不
足ということで、教師それぞれが改善すべきことがらを持ち寄る形で改
訂に向けた話し合いをしました。
結果としては大きく改訂する項目はありませんでしたが、教師それそ
れが授業で大切にしていることをテーマに話したことで、多くの指導観
や教材観に触れることができ、それがフィルターとなる今回の改訂とな
りました。
課題はやはり日常的な活用であり、そのことにより白樺の授業の充実
と向上を図ることであるとまとめられます。
「セルフチェ 平成21年度からの3か年研究の中で「身につけたい力」を再確認し
ックシート・ 必要な力として整理しました。そして、その整理した力を「ニーズシー
ニ ー ズ シ ー ト」(保護者及び生徒自身が将来の生活に向けてどのような力を高めたい
ト」の活用
かを記入する)と、卒業生の実態や日々の指導の中からキャリア教育の
視点も取り入れて5つのカテゴリーで整理し、生徒が自己評価をする「セ
ルフチェックシート」を作成したのが昨年度までの2か年の研究でした。
これらのシートは教育支援計画とも関連づけられるツールとしてまと
められ、今年度が施行初年度となりましたが、ニーズシートについては
保護者と学校が生徒の課題の共有ができたという成果があった一方で、
難しい言葉遣いがあるといった、文言整理が課題として出されました。
また、進路指導部が作成する「働く力チェック表」との関係について整
理し、次年度からはセルフチェックシートを使用することとなりました。
教科学習「数 教科別の指導の第2弾として「数学」を取りあげました。「他の教科等
学」
との関連を図りながらどのように指導をしているのか」、また、「卒業後
に必要とされる数学的な内容」について議論を深めた研修でした。
他の教科等との関連については、やはり作業を中心とした合わせた指
導が多く、学習機会であり、般化の場面としてしていることがわかりま
した。また、卒業後に必要とされる数学的な内容については、
「時間」
「時
計」「金銭」の知識が必要との意見が多く出されました。公共の乗り物の
利用や給料計算、買い物をする力が卒業後の社会生活に求められること
がその理由です。そのためには数学の授業だけではなく、学校生活の中
で教師が数学的要素について意図的に生徒に伝えていくことが必要であ
るとのまとめられますが、ここでも日常的な積み重ねと般化が重要であ
るとの意見が多くみられました。これはイコール課題であるとおさえる
ことができます。
「性教育」
「S このテーマは12月の授業研究会で問題提起をしたものでもあり、年
NS」に関す 度末反省で出されていた課題でもあります。
る指導のあり 「性教育の中でSNSについて指導するべきか、性教育と分けて設定
方
すべきか」について、また、現在は「LHRで性教育を行っているが、
保健体育や総合などで行えないか」という2つのテーマを設定しました。
32
最初のテーマについては性教育とSNSについては分けて指導すべき
というのが結論でした。あとは効率的な指導場面の設定と内容の蓄積が
課題となります。さらには教育課程全体をとらえ、どのように時間を確
保していくかについても検討しなければならないことですが、今年度3
学年が行った「安全学習」がひとつの指針となるのではないでしょうか。
さらには、家庭(保護者)への学習機会をつくることの必要性も出され
ました。
二つ目の課題については、各指導の形態で意識したり、盛り込むこと
が可能なことがわかりました。性に関する具体的な生徒指導事故を未然
に防ぐためにも、SNSも関連させながら、学校全体で3年間を見とお
した計画的な指導計画が必要であるとの意見が結論となります。
『少年のイン 札幌方面厚別警察署の方を講師と招き左記のテーマでお話をしていた
ターネット犯 だきました。具体的な犯罪事例において、SNSがどう関連していたの
罪の現状』
(講 か等について話を聞くことにより、性犯罪を身近な危険なことであると
演)
感じました。そして、どのようなサイトやアプリを利用しているのかを
大人が知っておくことや使用にあたってのルール作りとそのルールを破
ってしまった際の相談できる場所を作っておくといった、生徒への指導
において大変参考となる具体的なことがらを示していただきました。教
師がこれらすべてを把握することに限界はあると思われるので、ここで
も保護者との連携が必要であるといえます。そして、性教育同様、様々
な指導場面で日常的な指導が望まれることが課題としてみえた研修とな
りました。
(3)成果と課題
研究主題・研 これらの各グループ研修における成果と課題をうけて、今年度の研究
究仮説
仮説の検証と研究主題にどのくらい迫ることができたのかについてまと
めていくことにします。
今年度の研究主題は「多様化する本校の生徒像から多岐にわたる生徒
指導上の課題が増えている」こと、「卒業生の生活状況や就労状況から、
今後本校生徒に予想される諸課題が散見できること」などを理由に「確
かな学びと確かな歩みとなる教育活動の実践的研究」とし、研究仮説は
「作成した指導ツールの実践的研究と校内におけるタイムリーな課題解
決に向けた取り組みが、授業デザインをはじめ、学びの場における生徒
一人一人の確かな学びと確かな歩みにつながる」としました。
研究主題・研 今回の研究主題の検証は、述べてきた研修の成果と課題が「生徒の確
究仮説の検証 かな学びと確かな歩み」となったかということになりますが、まず、今
年度取りあげたテーマを「指導ツールに関すること」「性教育に関するこ
と」「具体的な学習(合わせた指導及び教科別の指導)に関すること」に
大別します。
まず、
「指導ツール」については、活用することでよりよいものになり、
33
その結果、指導の充実、さらには確かな学びにつながると言えますが、
現段階ではそれを実証する実践までには至りませんでした。しかし、「セ
ルフチェックシート」は「働く力チェック表」との関係が整理されまし
た。働くことのみならず、生徒の力を広くチェックすることができ、生
徒自身の自己評価から自己理解へとつないでいく有用なツールとなって
いき、教師がチェック項目を授業デザインに生かすことで、確かな学び
と確かな歩みにつながっていくと期待できます。
「性教育」については述べてきましたように、今年度の中心的なテー
マとなりました。卒業生の生活や在校生の状況からも共有(Share)と即
実行(Speed)が求められるテーマです。
本校においては古くは昭和49年と50年に性に関する実態調査を行
っています。また昭和60年と61年には性に関するアンケートを生徒
と保護者に行い、さらに平成7年に性教育の指導計画を研修成果として
います。その後は平成15年に指導計画を整備し、16年と17年に授
業研究をともなう研究を行っています。しかし、インターネット社会と
なり、インターネットと性に関することと切り離して考えられなくなり
ました。本校においてはこの点が課題となるケースも多く、生徒の「確
かな学び」につなげるためにも、一連の研修で出された様々な意見を指
導計画として整理することが喫緊の課題となりました。
そして、「具体的な学習」についてですが、大きな成果は来年度からの
「地域学習」の準備ができたことです。
「研究レベル」から「教務レベル」
へということになります。これからの活動ですが、確かな学びと確かな
歩みにつながる学習になると考えます。
国語や数学についてテーマにしましたが、日々の実践について意見交
換をしたことで、教師それぞれが研究で得たことは多く、授業デザイン
に反映させることができたとともに、教室内だけではなく、全教育場面
で般化させることが必要であるとの意識を高めることができたのではな
いかと思います。
以上、大別した3つのテーマから研究主題と研究仮説の検証を行いま
した。
さて、今回の研究計画では校内研究の意義として、以下のことをあげ
ました。
校内研究の意 ①校内研究の成果から教育課程の改善を図ること。
義
②校内研究を通して教師の指導力の向上を図ること。
③校内研究を通して生徒の成長と発達を促すこと。
次にこの3つの視点から研究主題と研究仮説への検証を行います。
①教育課程の改善を図ることについては、「地域学習」の実施があげら
れます。「性教育」に関しては、改善にむけた意見が出された状況で、改
善までには至ってはいません。同様に「国語」「数学」についても授業改
善レベルです。
34
②教師の指導力の向上を図ることについては、毎回の研修において、
指導の上で参考になった等の感想が出されていました。とりわけ、教科
学習や指導ツールの改訂と活用に向けた検討では、教育観や指導観に触
れることが、個々の実践につなげたれたという成果をあげることができ
たと考えます。
そして③の生徒の成長と発達を促す、今回の研究では「確かな学びと
確かな歩み」についてです。いわば本研究の中核的な目的であります。
この研究が「実践的研究」であることからも、多くの成果が期待される
ところです。しかし、この点における成果の根拠が研究の枠内では明確
にすることはできませんでした。もちろん、それぞれの教師が研修後に
行った実践による成果はありますが、述べたように研究の中で裏付けら
れる成果は乏しいと言わざるをえません。
この結果は、研究内容や方法に深く関係していると思われます。
研究内容・方 次に研究内容と方法からの検証と反省などについて述べていきます。
法
研究計画では構成員を毎回変えながらワークショップ方式で行うこと
で、グループ研修の硬直化を避けられる、課題解決に向けて多くの意見
が得られることで客観性が高まり、短期間で課題解決が期待できるとい
ったことをメリットとしました。その結果、これまで述べたような一定
の成果をあげることができました。しかし、グループ研修後の実践につ
いて交流をしたり、再考をしたりといったことがなく、結果的に研究の
枠内で成果を確かめることができませんでした。このことは研究内容と
方法における反省すべき点となります。
キーワード
はじめに述べたように、今年度研修を進めていく上でキーワードとし
ていたのは「共有」と「即実行」でした。最後にこの点からの検証しま
すと、毎回ひとつのテーマでワークショップを行ったことにより課題の
「共有」はできたかと考えます。また、研修部便りをとおして課題とテ
ーマを事前に予告して進めてきたこともこの「共有」のために有意義で
した。さらに、研修後のまとめについても、便りの紙面にすることで成
果の「共有」ができました。一方、「即実行」については、機動力や実行
後の検証という点で、先に述べたように十分ではなかったいえます。そ
ういったことからも「実践的研究」という面で課題が残ったといえます。
(4)今後にむけて(次年度への研究にむけて)
以上のような26年度の研修を終えて,27年度の研究にむかってい
きますが,少しだけその方向性について述べておきます。
繰り返しになりますが、校内研究の意義に立ち返り、教育課程の改善、
指導力の向上、生徒の成長と発達を促すことを目的として行うことが必
要です。今年のワークショップ方式は一度に多くの教育観や指導観など
に触れることができ有効でありました。しかし一方では、まとまりに欠
けた面もあります。その結果、述べたような課題が残りました。
35
次年度に向けて具体的なプランは今のところ立てていませんが、今年
の反省を生かすためにも、生徒の成長と発達を促すととともに、生徒は
もちろん、指導者の変容(指導の工夫等)が見え、それが成果となるよ
うな研究となればと考えています。
寄宿舎におけ また、寄宿舎においては開校50年に向けて、3か年計画で、寄宿舎に
る研究
おける生活指導や寄宿舎の役割や意義について追求する研究を推し進め
てきています。そうした中で、学舎で共通する課題や取り組みについて
は協働するといった、研究のあり方について模索していく必要であると
考えます。
36
-資
料-
資料1
授業名
使用者名
項目
環
内
年
容
・情緒の安定や健康観察が行われている。
・規律ある態度が意識されている。
境
・安全について配慮されている。
目
・学校教育目標や個別の指導計画等から系統立てられた目標(授業目標および個人目標)
が設定されている。
・今と卒業後の生活に活きる力を育む目標が設定されている。
標
・自己理解につながる目標が設定されている。
・身近で体験や経験ができる内容が含まれている。
学
・繰り返しによる習得を意識した内容が含まれている。
習
・協力や協同の場面が含まれている。
内
・今回の授業を次回の授業につなげている。
容
・学習に見通しをもたせている。
・生徒の特性や実態に合わせた教材の活用がされている。
学
・体験が可能な教材が活用されている。
・学習課題の提示方法が適切である。
習
・言語活動が適切である。(対生徒,生徒同士)
・考える時間が保障されている。
方
・集団の中で個別化の場面が設けられている。
・即時評価でフィードバックが随時されている。
法
・意欲的に最後まで取り組ませることができている。
・学習を振り返ることで自己評価が促されている。
評
・授業の目標の評価は適切である。
価
・個人の目標の評価は適切である。
※学習内容,学習方法の項目には授業の特性に合わせて項目を任意に設定する。
例:TTの役割が明確で効果的である。
37
等々
資料 2
保護者の希望
●将来の生活に向けて、お子さんのどのような力を高めたいですか?
全体の中から 3 つ選び、○をつけてください。(特に頑張ってほしいことには◎を付けて下さい)
項 目
み
まわ
1 年生
けんこう
ちから
かんが
せいかつ
身の回りのことを自分でする 力 や、健康を 考 えた生活ができるように
生活する力
なってほしい。
つか
かた
こうつう き か ん
り よ う
たか
お金の使い方や交通機関を利用する力を高めてほしい。
よ
か
き
も
ひろ
さまざま
たの
も
余暇を広げ、様々な楽しみを持ってほしい。
かんが
つた
コミュニケーション
気持ちや 考 えをうまく伝えられるようになってほしい。
ば め ん
おう
はな
かた
ただ
こ と ば
み
場面に応じた話し方や、正しい言葉づかいを身につけてほしい。
き
か い わ
聞く力を高めたり、上手に会話ができるようになってほしい。
他者との
関わり
人との関わりを広げたり、適切な関わり方ができるようになってほ
しい。
まも
ルールやマナーを守れるようになってほしい。
はたら
ひつよう
き そ て き
働く力
がくりょく
たか
もくひょう
む
働 くために必要な、基礎的な学力を高めてほしい。
はたら
たか
働 く力を高めてほしい。
よ
か だ い
り か い
どりょく
自 己理解 ・
将来設計
自分の良さや課題を理解し、目標に向かって努力してほしい。
き
も
自分の気持ちをコントロールできるようになってほしい。
もくてき
も
こうどう
ちから
たか
目的を持って、行動する 力 を高めてほしい。
しょうらい
かんが
し ご と
み
自分の将来について 考 え、やりたい仕事を見つけてほしい。
38
2 年生
3 年生
本人の希望
●将来の生活に向けて、どのような力を高めたいですか?
全体の中から 3 つ選び、○をつけてください。(特に頑張りたいことは◎を付けて下さい)
項 目
み
まわ
1 年生
けんこう
ちから
かんが
せいかつ
身の回りのことを自分でする 力 や、健康を 考 えた生活ができるように
生活する力
なりたい。
つか
かた
こうつう き か ん
り よ う
たか
お金の使い方や交通機関を利用する力を高めたい。
よ
か
き
も
ひろ
さまざま
たの
も
余暇を広げ、様々な楽しみを持ちたい。
かんが
つた
コミュニケーション
気持ちや 考 えをうまく伝えられるようになりたい。
ば め ん
おう
はな
かた
ただ
こ と ば
み
場面に応じた話し方や、正しい言葉づかいを身につけたい。
き
か い わ
聞く力を高めたり、上手に会話ができるようになりたい。
他者との
関わり
かか
て き せつ
かか
かた
人との関わりを広げたり、適切な関わり方ができるようになりたい
まも
ルールやマナーを守れるようになりたい。
はたら
ひつよう
働く力
き そ て き
がくりょく
たか
り か い
もくひょう
む
働 くために必要な、基礎的な学力を高めたい。
はたら
たか
働 く力を高めたい。
よ
か だ い
どりょく
自 己理解 ・
将来設計
自分の良さや課題を理解し、目標に向かって努力したい。
き
も
自分の気持ちをコントロールできるようになりたい。
もくてき
も
こうどう
ちから
たか
目的を持って、行動する 力 を高めたい。
しょうらい
かんが
し ご と
み
自分の将来について 考 え、やりたい仕事を見つけたい。
39
2 年生
3 年生
資料 3
白樺高等養護学校「必要な力」
2014 ver
にち
日
じ
時
が っ か がくねん
学科学年
な
名
がつ
にち
月
日
か
科
まえ
前
① セルフチェックシートについて
にちじょう
せいかつ
こうどう
がくりょく
じゅんい
あらそうもの
て いど
じ
こ ひょうか
ふ
かえ
日 常 の生活、行動がどの程度できているか、自己評価します。
じ ぶん
学 力 や順位を争う物ではありません。自分を振り返るためのチェックシートです。
ひょうか
②評価について
だんかい
なか
はんだん
まる
つ
くだ
5段階の中で判断し、○を付けて下さい。
1(できない)
2(あまりできない)
はんぶん
3(半分くらいできる)
40
4(だいたいできる)
5(できる)
ねん
年
生活する力
こうもく
ニーズ
身の回りのことを自分でする力
ひょうか
項目
じ ぶ ん
評価
し ん た い て きとくちょう
自分の身体的特徴がわかる。
しんちょう
や、健康を考えた生活ができ
たいじゅう
い ふ く
くつ
など
1・2・3・4・5
(身長や体重、衣服や靴のサイズ 等)
るようになりたい
ば
おう
み
ととの
1・2・3・4・5
場に応じた身だしなみを整 えることができる。
せいけつ
たも
き お ん
たいちょう
清潔を保つことができる。(髪の毛、入浴、歯磨き、爪)
あ
い ふ く
ちょうせい
1・2・3・4・5
気温や体調に合わせた衣服の調整ができる。
しょくじ
まも
りょう
かんが
しょくじ
食事のリズムを守 り、量やバランスを 考 えて食事をとることがで
きる。
み
まわ
か
じ
1・2・3・4・5
1・2・3・4・5
おこな
身の回りの家事を行 うことができる。
か い も の
そ う じ
せんたく
ちょうり
1・2・3・4・5
(買い物、掃除、洗濯、調理 など)
もの
か ん り
せいとん
1・2・3・4・5
物の管理や整理整頓ができる。
じ か ん
い し き
こうどう
1・2・3・4・5
時間を意識して行動することができる。
き そ く
せいかつ
こころ
たいちょう
ととの
規則正しい生活を心 がけ、体調を整 えることができる。
よ て い
よ
か
きゅ うそ く
次の日の予定を考え、余暇と休息のバランスを考えて生活でき
る。
でん わ
つか
れん ら く
きんし ゅ
り か い
けいかくてき
かね
たいせつ
お うたい
利用する力を高めたい
1・2・3・4・5
金種を理解し、計画的に使うことができる。
り か い
けいかくてき
ちょきん
1・2・3・4・5
お金の大切さを理解し、計画的に貯金ができる。
ち
ず
じこくひょう
かつよう
こうきょう こ う つ う き か ん
り よ う
地図や時刻表を活用しながら、公共交通機関を利用することが
できる。
余暇を広げ、様々な楽しみを
持ちたい
よ
か
はば
ひろ
ち い き し げ ん
つか
さまざま
たの
も
余暇の幅を広げ、様々な楽しみを持つことができる。
よ
か
1・2・3・4・5
1・2・3・4・5
電話を使って、連絡や応対ができる。
お金の使い方や交通機関を
1・2・3・4・5
1・2・3・4・5
1・2・3・4・5
たの
地域資源を使いながら余暇を楽しむことができる。
(映画館や遊園地、買い物など)
41
1・2・3・4・5
コミュニケーション力
こうもく
ニーズ
ひょうか
項目
評価
気持ちや考えをうまく伝えられ
るようになりたい。
すす
あいさ つ
へん じ
1・2・3・4・5
自分から進んで挨拶・返事ができる。
こま
たす
もと
そ うだん
困った時に助けを求めたり、自分から相談することができる。
よ う きゅう
どう い
きょ ひ
つた
1・2・3・4・5
要 求 や同意、拒否を伝えることができる。
わ
たい
しつもん
1・2・3・4・5
分からないことに対して自分から質問できる。
かんが
あ い て
わ
つた
自分の気持ちや 考 えを、相手 に分 かりやすく伝 えることができ
る。
た い ちょう ふ りょう
つた
かんしゃ
しゃざい
つた
自分から感謝(ありがとうなど)や謝罪(すみませんなど)を伝える
ことができる。
場面に応じた話し方や、言葉
づかいができるようになりたい
きょ り
あいさつ
できる。
あ
1・2・3・4・5
あいさ つ
場面に合わせた挨拶や言葉づかいができる。
(朝や帰り、入室・退出、仕事中 など)
あ い て
1・2・3・4・5
かい わ
声の大きさや、人との距離に気をつけて挨拶や会話をすることが
ば めん
1・2・3・4・5
1・2・3・4・5
体調不良を伝えることができる。
じ ぶ ん
1・2・3・4・5
た ち ば
け い ご
ていねい
相手の立場を考え、敬語や丁寧な言葉づかいができる。
1・2・3・4・5
1・2・3・4・5
聞く力を高めたり、上手に会話
ができるようになりたい
はなし
ひと
ちゅうい
む
き
話 している人に注意を向け、しっかりと聞くことができる。
しつもん
ないよう
り か い
こた
1・2・3・4・5
質問の内容を理解して答えることができる。
1・2・3・4・5
ひと
1・2・3・4・5
たの
人とのコミュニケーションを楽しむことができる。
42
ちから
他者と関わる 力
こうもく
ニーズ
人との関わりを広げたり、適切
な関わり方ができるようになり
たい
ひょうか
項目
た しゃ
こ せい
せいかく
とくせい
評価
かんが
かた
し
う
い
他者の個性(性格・特性など)や 考 え方を知り、受け入れること
ができる
た しゃ
よ
き
よ
と
い
他者の良さに気づき、その良さを取り入れることができる
た しゃ
て き せつ
きょ り
たも
まも
かか
他者と適切な距離を保ち、マナーを守って関わることができる。
た し ゃ
き
も
かんが
おも
はつげん
こうどう
他者の気持ちを 考 え、思いやりのある発言や行動ができる。
た しゃ
ちゅう い
す なお
き
他者からの注 意やアドバイスを、素直に聞くことができる。
ば
じょうきょう
かんが
はつげん
こうどう
ご か い
るまうことができる。
り か い
てきせつ
こうどう
好ましい男女の関わりについて理解し、適切に行動できる
た しゃ
きょう りょく
かつ ど う
1・2・3・4・5
1・2・3・4・5
1・2・3・4・5
1・2・3・4・5
あた
場の状況を 考 えた発言や行動ができ、誤解を与えないようにふ
だんじょ
1・2・3・4・5
かか
1・2・3・4・5
1・2・3・4・5
他者と協力して、さまざまな活動に関わることができる。
1・2・3・4・5
いろいろ
1・2・3・4・5
こ う りゅう
ひと
かか
ひろ
色々な人と交流し、人との関わりを広げることができる。
ち い き
ぎょうじ
かつどう
せ っ き ょく て き
さ ん か
地域の行事や活動に積極的に参加できる。
まつ
1・2・3・4・5
せい そ う
(お祭りや清掃活動、ボランティア など)
ルールやマナーを守れるよう
になりたい
やくそく
わす
まも
きまりや人との約束を忘れずに守ることができる。
ひつよう
り か い
まも
社会生活に必要なルールとマナーを理解し、守ることができる。
43
1・2・3・4・5
1・2・3・4・5
働く力1
こうもく
ニーズ
ひょうか
項目
評価
働くために必要な基礎的な学
力を高めたい
き
ないよう
と
1・2・3・4・5
話の内容を聞き取り、メモをとることができる。
ひ づけ
じゅん
なら
1・2・3・4・5
日付の順 に並べることができる。
なが
おも
どう ぐ
つか
ただ
はか
長さや重さなどを、道具を使って正しく計ることができる。
かず
ただ
かぞ
1・2・3・4・5
100 までの数を正しく数えることができる。
と け い
けいさん
ぎゃくさん
ぜ ん ご
じ か ん けいさん
1・2・3・4・5
時計の計算ができる。(逆算、前後の時間計算)
た
ざん
ひ
ざん
か
ざん
わ
ざん
1・2・3・4・5
足し算・引き算・掛け算・割り算ができる。
り か い
じ ひょうき
1・2・3・4・5
アルファベットを理解し、ローマ字表記ができる。
に ち じょう つ か
えい ご
い
み
いろ
かず
そう さ
日常使う英語の意味がわかる。(色・数・操作など)
かんたん
そ う さ
な ま え
い
ち
1・2・3・4・5
都道府県名の名前や位置がわかる。
ほっかいどう
ち め い
い
ち
1・2・3・4・5
北海道の地名や位置がわかる。
し ん ぶん
かつ よ う
よ
なか
うご
し
ニュースや新聞を活用し、世の中の動きについて知ることができ
る。
44
1・2・3・4・5
1・2・3・4・5
簡単なパソコン操作ができる。
と ど う ふ け ん め い
1・2・3・4・5
1・2・3・4・5
働く力2
ニーズ
働く力を高めたい
*指示理解
項目
し
じ
り か い
評価
こうどう
指示を理解して行動できる。
1・2・3・4・5
*手順、効率
ふくすう
*意欲
し
じ
り か い
こうどう
複数の指示を理解して行動できる。
1・2・3・4・5
*手早さ、正確さ
*報、連、相
こうてい
てじゅん
り か い
仕事の工程や手順を理解して働くことができる。
1・2・3・4・5
*時間、けじめ
ゆうせんじゅ んい
仕事の優先順位がわかる
1・2・3・4・5
こうりつ
く ふ う
効率を考え、仕事のやり方を工夫することができる。
ぶん た ん
し ごと
すす
と
く
分担された仕事に進んで取り組むことができる。
ひつ よ う
し ごと
み
すす
と
く
必要な仕事を見つけ進んで取り組むことができる。
あたら
にが て
すす
と
く
新 しいことや苦手なことにも進んで取り組むことができる。
し ご と りょう
かんが
て ばや
仕事量を 考 えて、手早くすることができる。
せい か く
い しき
と
せいかく
く
ほうこく
かんりょう
じ ょうほ う
れんらく
正確な情報を、関係する人に連絡できる。
たんとうしゃ
き かい
あんぜん
ただ
かくにん
つか
道具や機械を安全に正しく使うことができる。
ま
あ
よ ゆ う
次の仕事に間に合うように、余裕をもって行動できる。
し ご と
きゅうけい
仕事と休憩のけじめをつけることができる。
45
1・2・3・4・5
1・2・3・4・5
1・2・3・4・5
わからないことをそのままにせず、担当者に確認できる。
どう ぐ
1・2・3・4・5
1・2・3・4・5
仕事の結果を正確に報告できる。(仕事の完了、失敗 など)
せいかく
1・2・3・4・5
1・2・3・4・5
正確さを意識して取り組むことができる。
け っ か
1・2・3・4・5
1・2・3・4・5
1・2・3・4・5
1・2・3・4・5
1・2・3・4・5
自己理解 ・ 将来設計
ニーズ
項目
備考
自分の良さや課題を理解し、目
標に向かって努力したい
よ
わる
あ
1・2・3・4・5
自分の良いところ、悪いところを挙げることができる
と く い
に が て
あ
1・2・3・4・5
自分の得意なこと、苦手なことを挙げることができる
けいけん
ふ
かえ
よ
か だ い
ま え む
経験したことを振り返り、自分の良さに気づいたり、課題を前向
きにとらえることができる。
よ
の
な
どりょ く
自分の良いところを伸ばし、悪いところを無くそうと努力している
1・2・3・4・5
1・2・3・4・5
自分をコントロールする力を高め
たい
げんいん
てきせつ
たいしょ
1・2・3・4・5
ストレスの原因がわかり、適切に対処できる。
じ ぶ ん
き
も
1・2・3・4・5
状況に応じて、自分の気持ちをコントロールしようとしている。
目的を持って行動する力を高
めたい
しゅうい
たよ
かんが
1・2・3・4・5
周囲をすぐに頼らずに、自分で 考 えて行動できる。
やくわり
り か い
せきにん
も
と
学校生活における自分の役割を理解し、責任を持 ってやり遂
げることができる。(係り活動、学級や舎の役割 など)
やくわり
い よ く て き
1・2・3・4・5
自分の役割に対して、意欲的に取り組むことができる。
やくわり
やく
た
自分の役割に対して、やりがいを感じたり、人の役に立っている
よろこ
1・2・3・4・5
かん
1・2・3・4・5
ことに喜 びを感じる。
しょくば
し ょうらい
せいかつ
自分の将来について考え、やり
実習や職場見学、進路の学習を通して、将来の仕事や生活に
たい仕事を見つけたい
ついて 考 え、夢を持ったり、自分のやりたい仕事を見つけること
かんが
ゆめ
も
1・2・3・4・5
ができる。
し ん ろ
けいけん
とお
む
ふ
進路の学習や、実習などの働く経験を通して、仕事の向き・不
む
1・2・3・4・5
向きがわかる。
き ぼ う
かんが
し ん ろ
かんが
希望の仕事と自分の力を 考 えて、自分に合った進路を 考 え
ることができる。
46
1・2・3・4・5
あとがき
本校は、日本で唯一の職業学科を設置する知的障害のある高校生を対象とした学校として、昭和
40 年に設置されました。本校の開校から50年、この間、道内には多くの知的障害特別支援学校高
等部が開校し、その在り方は多様です。学科の在り方については、いわゆる「物づくり系」の学科ば
かりではなく、福祉や物流を中心とした「サービス系」の学科も設置されるようになりました。また、
設置形態についても、他障害の小・中学部と併設される形や、通常の高等学校の空き教室を活用した
り、義務校に併設する高等部だけを高等学校跡地に移転させて分校化するなど、その地域に応じて多
様な設置形態がとられるようになりました。通学形態についても、従前の寄宿舎を設置して毎週末に
帰省帰舎を行う学校の他に、
「より身近な地域で学ぶ」よう、寄宿舎を設置しない学校が設置される
など、大きく変わってきています。
また、この50年は、福祉施策の大きな転換、障がい者雇用を巡る状勢の変化など、障害のある方々
を取り巻く環境が大きく変わった50年でもあります。この十数年を見ても、社会福祉基礎構造改革、
特殊教育から特別支援教育への転換、障がい者の権利に関する条約の批准に向けた関係法令の整備、
その一つとして教育の分野における従前の就学の仕組みを大きく変えた改正学校教育法施行令の施
行など、めまぐるしく変化を続けた十数年であったといえます。
本校においては、開校以来、知的障害のある生徒の後期中等教育の在り方を模索しながら、教育課
程の編成、改善、充実に努めてきました。歴史と伝統を紡ぐなかで、その時代に合わせた工夫・改善
が続けられ、よきものをよりよく残してきた結果としての現在の教育課程であり、知的障害を含む広
義の発達障害のある生徒の学びの特性や青年期における発達課題に応じた学校生活を作り上げよう
と取り組んできた結果でもあります。
しかしながら、この数年の生徒の障害像、家庭環境、生育歴、教育歴等は、極めて多様化しており、
「指導が難しい」と感じる生徒が多く在籍する状況にあります。従前の教育課程だけでは十分な対応
ができないと感じる場面も増えてきました。このようななか、今年度は、
「確かな学びと確かな歩み
となる教育活動の実践的研究」をテーマに、ワークショップ形式で様々な課題に迫る研修を続けて来
ました。研修テーマや内容はもとより、研修方法も含め、御指導、御鞭撻いただければ幸いです。
教頭 伊 藤 友 紀
共 同 研 究 者
校 長 藤 根 収
教 頭 伊 藤 友 紀
相 原 江利子 阿 部 学
編 田 尚
猪 狩 由 佳
一 戸 美斎子 遠 藤 昭 博
大 泉 幸 一
大 澤 明 子
大 森 健 司
岡 森 博 宣
金 石 正 之
河 上 幸 久
川 本 展 子
業 天 誉 久
清 弘 直 行
工 藤 一 美
髙 坂 俊 明
小 玉 恵 理
齊 藤 崇 子
近 藤 洋 帆
齋 藤 剛
櫻 井 滋 敏
佐々木ちひろ 笹 本 大 輔
佐 藤 隆 弘
佐 藤 千 絵
志 田 絵 理
篠 塚 正 継
島
進 藤 由 弥
鈴 木 千 尋
清 野 雅 仁
髙 井 三 奈
高 木 真 澄
髙土居 重吉
高 橋
淳
髙 橋 裕 子
高 橋 由 紀
高 本 宏
竹 内 良 輔
田 代 豊
鶴 谷 省 司
中 居 淳
仲 井 照 幸
中 澤 智 淑
長 根 智 子
成 田 光 應
中 村 佳 史
南 條 恵 香
南 部 恵里子 野 上 孝 喜
箱 﨑 伸 二
濱 谷 良 介
林 勉
林
東 山 崇 麿
樋 口 英 男
平 間 俊 二
藤 田 卓 也
星 野 聡
細 川 光
本 間 譲
松 原 真 季
三 栗 伸 久
村 岡 陽 菜
源
森 下 宗 幸
柚 原 一 仁
柚 原 知 咲
吉 田 栄 治
渡 邉 圭 二
渡 邉 道 人
坂 口 友好子 藪 内 直 子
石 岡 潤
石 渡 昭 彦
大 井 康 代
金 子 清 美
小 岩 貴 子
小 蕎 直 愛
茂 原
恵
清 水 敦 子
筒 渕 隆 一
廣 船 智
村 上 享
村 上 尚 子
森 谷 理
渡 部 裕 司
荒 木 恵 一
伊 藤 享 好
伊 藤 久 代
上 野 智 広
江 田
川 島 純 子
北 川 依 子
木 村 真 典
熊 谷 幸 喜
倉 場 友 子
小 林 千 春
坂 本 沙矢佳 佐々木 初 美 里 見 百 合
中 村 倫 子
南 部 敦 志
浜 一 広
康 雄
林 敦 子
聖
晃
蓑 口 尚 美
吉 田 雅 行
初 和
潤
増 田 亜紀子 松 山 望千子 水 越 正 江
小 路
笠 井
哲
恵
収
三 本 昌 子
鷲 頭 隆 行
平成26年度 研究紀要
編集・発行 北海道白樺高等養護学校
〒061-1264 北海道北広島市輪厚621番地1
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平成27年3月31日発行