東京都におけるユキヤナギハマキフシダニ Eriophyes sp. の生活環 ○武井円 1・上遠野冨士夫 1・宮崎俊宏 2・青山一輝 2・砂原明日美 2・三田村敏正 3・荒川昭 弘 4(法政大院・理工 1・法政大・生命科学 2・福島農総セ浜研 3・福島農総セ 4) ユキヤナギハマキフシダニはユキヤナギに葉縁捲き症状を引き起こすダニであり、福島県 の枝もの生産農家で大きな問題になった。そこで、本種の生活環を明らかにするため、葉 上における発生生態、風による分散実態、越冬生態を調査した。葉上では展葉から落葉ま で成若虫が確認され、7、8、10 月に寄生個体数が多くなった。天敵としてナガヒシダニが 多く見られ、本種の密度抑制に影響すると推察された。圃場に設置した粘着トラップには、 展葉から落葉まで雌成虫のみが捕獲されが、ゴール内には調査期間を通じて雌雄が確認さ れた。しかし、ゴール外には雌成虫のみが確認され、その全ての個体が精子を獲得してい たことから、雌成虫は精子を確実に獲得してからゴール外に移動すると考えられた。越冬 態は雌成虫で、10 月上中旬に越冬場所である花芽や葉芽に移動すると考えられた。越冬雌 は葉が展開する直前には葉芽に集中し、葉芽の出芽とともに葉上に産卵すると考えられた。 そして、その後は、新梢の伸長にともなって未展開葉につぎつぎと寄生して虫瘤を形成し、 その中で産卵・増殖していくものと考えられた。
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