生物の内なる海

生物の内なる海
27th April, 2015
「科学技術の世界(第3回)」 (27th April, 2015)
骨の構造
長管骨
皮質骨
骨
生物の内なる海
平板骨
先端生命科学研究院
理学部生物科学科(高分子機能学)
組織構築科学研究室
海綿骨
海綿骨
佐々木直樹
皮質骨
外骨格
内骨格
骨単位(オステオン)
陸棲
水棲
セメント線
保護
硬組織
の機能
体液の
恒常性
100%
0
海水
体液の恒常性
骨小孔
保護
0
Havers氏管
100%
硬組織は脊椎動物に
とっては母なる海
骨, Bones
0.1mm
オステオン
骨の組成
コラーゲン線維
Bone
ハイドロキシアパタイト
m

骨の機能
D
2D
化学的 --無機イオンの貯蔵、血中イオンの調節
ミネラルを含むコラーゲン
線維
線維を覆っているミネラル
生体力学的--臓器の保護、姿勢の維持、運動
(ナノレベルまで緻密に制御された空間構造)
科学技術の世界 (#3)
m
骨細胞の入っている穴
(lacuna)
骨の中のコラーゲンと
ミネラル
Sasaki et al. J. Mater Sci.Mater. Med.13, 333-337 (2002)
1
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27th April, 2015
コラーゲン線維中のコラーゲン分子の配列
コラーゲン分子
弾性率
collagen 線維 1GPa
体積分率 ~ 0.6
D
Bone 20GPa
しなやかさ
しなやかさ
ミネラル粒子
ネ
粒子 110GPa
体積分率 ~ 0.4
(強)靱性
強さ
Hodge-Petruska Model
コラーゲン線維内でのミネラル
Bone
Hydroxyapatitelike Mineral
Collagen 分子
Collagen Fibers
の系統的変化
の系統的変化
D周期
~400Å
JD Currey J. Biomech. 2, 1(1969)
JL Katz J. Biomech. 4, 455(1971)
S Leeds et al., J. Biomech. 10, 473(1977)
N Sasaki et al., J. Theor. Biol. 122, 25(1986)
N Sasaki et al., J. Biomech. 26, 77(1993)
…………………..
Wynnyckyj et al. Bone, 44, 840 (2009)
靭性の増加
S. Lees Calcified Tissue International 27, 53-56 (1979)
OBJECTIVE
骨の力学特性を決定しているのは?
• 骨密度?
collagen 相の変化
?
骨の力学特性の変化?
老化により骨折しやすくなる理由
• コラーゲンの状態?
科学技術の世界 (#3)
• 骨のコラーゲン相だけを処理.
• その結果力学特性がどう変化する
かを調べる.
2
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1.4
1.2
A/A0
BA
KOH
1
0.8
0
5
10
0.85M KOH, 37oC で 3, 6, 12, 18, 24時間処理.
15
20
25
30
reaction time (hours)
縦軸の値が1より大きくなればなるほどコ
ラーゲンの分解が進んでいる。
コラーゲンの分解は、試料の膨潤でモニター
応力緩和実験について
0 hr (control)
1.4
0.3
3 hrs
Bone
1.2
A/A0
6 hrs
0.2
forcee (N)
ステンレス板(完全弾性体)
12 hrs
1
18 hrs
0.1
0.8
0
5
10
24 hrs
15
20
25
30
reaction time (hours)
0
-4
-2
0
2
4
6
8
10
12
time (sec)
初期弾性率
18
100
弾性率 (GPa)
弾
ステンレス板
14
12
コラーゲン線維が完全に分解さ
れず、何箇所かが切断されただ
けで弾性率が減少
E0 (GPa)
骨を構成してい
る各成分が与え
られた変位で安
定の状態になる
ために不可逆的
に動いている
16
100
10
10
Bone
10
0.1
1
10
100
1000
10000
100000
time (sec)
1
1
1
1.1
1.2
1.3
1.4
1.5
q
特にコラーゲン
科学技術の世界 (#3)
コラーゲンの分解の度合い
3
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Relaxation Youngg's Modulus (GPa)
18
コラーゲンだけをほんのわずか切断するだ
けで緩和特性に不連続性が現れた。
早い緩和
遅い緩和
16
高次の組織構造の変化
骨ミネラルをほんのわずか減らしても、こ
骨ミネラルをほんのわずか減らしても
こ
のような不連続性は現れていない。
14
12
collagen fibrils
の再配列
10
0.1
1
10
100
1000
10000
100000
time (sec)
Biorheology 43, 117-132 (2006)
1.E+01
0 hr (control)
残留応力を内蔵したまま構造を
保っている成分
3 hrs
1.E+00
H() (GPa)
H
6 hrs
1.E-01
コラーゲンが部分的に切断されただ
けで応力緩和の様子が大きく変化
12 hrs
18 hrs
1.E-02
1.E-03
1.E+00
二つの緩和
1.E+01
1.E+02
一つの広がった緩和
1.E+03
1.E+04
1.E+05
1.E+06
24 hrs
1.E+07
collagen
1.E+08

何時どれだけの規模の緩和が起きているかを表す
緩和時間

0  5105 sec
不連続性!
処理していない骨では
この値が 107 sec
骨の力学特性を決定しているのは?
• 骨密度?
• コラーゲンの状態
ゲ
!
これを臨床的に調べること
何時緩和が起きるかを表す量
科学技術の世界 (#3)
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