ICTを活用したデータヘルス実証事業(PPT版)

厚生労働省保険局保険課 御中
「レセプト等のデータ分析に基づいた保健事業の立ち上げ支援事業」における
「先進的な保健事業の実証等」に関する報告書
~ ICTを活用したデータヘルス実証事業 ~
平成27年3月31日
実証事業実施者: 内田洋行健康保険組合
委託開発企業: 株式会社ミナケア
1
目次
1. 実証事業の背景
2. 実証事業の目的
3. 事業内容
•
事業実施体制
•
事業実施スケジュール
4. 実施状況
5. 実証事業の結果
•
ストラクチャー評価
•
プロセス評価
•
アウトプット評価
•
アウトカム評価
6. 今後の事業の方向性
2
1. 実証事業の背景
1-1. 内田洋行健康保険組合の概要
当健保組合は、被保険者全体のうち約80%が男性であり、女性の割合が低い。
また、平均年齢は40歳を超えやや高い。
基本情報
※平成26年3月末時点
H25年度
全体
被保険者
被扶養者
組合名称
内田洋行健康保険組合
特定健康診査
実施率
88.5%
95.4%
74.3%
形態
単一
特定保健指導
実施率
17.5%
19.3%
0.0%
3,379名
(平均年齢 43.4歳)
被保険者数
男性 …79.0% (平均年齢 44.6歳)
女性 …21.0% (平均年齢 39.0歳)
加入者数
7,082名
適用事業所数
30ヶ所
保険料率
107.3‰
職員数
5名 (保健師1名含む)
当健保組合の特徴は…
・職員が少ない ・保険料率が高い ・比較的小規模な健保組合
3
1. 実証事業の背景
1-2. 内田洋行健康保険組合の変遷と実績 (平成23~26年度)
平成
23年度
平成
24年度
平成
25年度
平成
26年度
Ⅰ. 過去の継続
健保財政の逼迫
Ⅱ. 立て直し
健保財政の大改革
Ⅲ. 大改革
保健事業の大改革
Ⅳ. 新たな挑戦
データヘルス計画
への挑戦
・納付金、支援金の増加 ・別途積立金がゼロになる
・保険料率アップ(一般10‰/介護4‰)
・保険料率アップ(一般16‰)107.27‰ ※調整含む
分析
保健事業の強化
広報
健康分布図分析の実施
基本方針・健康ビジョンの作成
発症・重症化予防の考え方の明
確化
保健事業の課題と対策の整理
健診・レセプトデータの分析・解析
開始(※先駆けて25年3月より実施)
健保保健師の仕事環境を改善
健診項目の見直しと健診代行開始
生活習慣病改善プログラムの実施
ジェネリック医薬品の差額通知の実施
柔整療養費の適正化事業の開始
ホームペー
ジの刷新
へるすあっ
ぷ21記事
電話健康相談、メンタルヘルスカウンセリングの刷新
データヘルス
コラボヘルス
広報
健診・レセプトデータの分析・解析
実施 (※2回目実施)
データヘルス計画のトライアル実施
厚生労働省が実施するデータヘル
ス計画モデル事業に採択 (※先進
的な保健事業の実証を含む)
加入事業所の各社長
向けに「健康経営プレゼ
ン」の実施
社長からの健康メッセー
ジを社長ブログへ掲載
日経新聞10/5日記事
月刊総務10月号記事
データヘルスセミナーの講
演活動(10ヶ所)
4
1. 実証事業の背景
1-3. 内田洋行健康保険組合が抱える課題
データヘルス事業の新規実施に際し、当健康保険組合では以下の2つの課題が実施障壁であった。
【健保の課題①】
【健保の課題②】
~健保財政の悪化~
~人的リソースの不足~
コストの問題
マンパワーの問題
現状の体制のままでは
保健事業の
質の低下
現状の体制のままでは
保健事業の
量の低下
保健事業担当者任せの
保健事業運営
保健師への負担増大
・本来業務の圧迫
新規事業としてデータヘルス事業を実施するためには…
ヘルスケアICTサービスの導入などにより、保健事業の低コスト化・効率化を実現しつつ、
より多くの加入者の健康増進を戦略的に実施、達成することが求められていた。
5
1. 実証事業の背景
1-4. 従来のヘルスケアICTサービスの課題
従来の保険者向けヘルスケアICTサービスである、加入者向けの健康管理ポータルサイトなどは、以下の課題を抱え
ており、「保健事業の質・量」の改善までには至らなかった。
【従来サービスの課題①】
加入者の
ログイン率が少ない
【従来サービスの課題③】
健診・レセプトデータを
個人ごとに突合分析できない
【従来サービスの課題②】
健保側は
あくまでも受け身の立場
【従来サービスの課題④】
年次報告のため、タイムリーな
保健事業実施ができない
【従来サービスの課題⑤】
医療従事者が不在の場合は
事業対象者選定において質的な判断が困難
この為、当健康保険組合の抱える課題を解決する為には、
専門性をもったデータ分析機能を持ち、かつ加入者へ直接アプローチができる
プッシュ型ヘルスケアICTサービスの導入が求められていた。
6
2. 実証事業の目的
実証事業の目的
本実証事業では前述の背景や課題を踏まえ、以下を実証し、その有効性を明らかにすることを目的とした。
健診・レセプトデータ
突合分析機能
投資型保健事業を実現する
保健事業支援システム
連動
加入者へ直接アプローチできる
プッシュ型サービス機能
低コストかつ効率的・効果的な
保健事業運営およびデータヘルスの実現
健診・レセプトデータ突合分析機能と
それに連動して加入者へ直接アプローチできるプッシュ型サービス機能を併せもつ
ヘルスケアICTサービスの導入により、
低コストかつ効率的・効果的な保健事業運営およびデータヘルスの実現を実証
7
3. 事業内容
3-1. プッシュ型ヘルスケアICTサービスを利活用したデータヘルス事業の実施イメージ
データ分析連動プッシュ型ヘルスケアICTサービスとして(株)ミナケアの保健事業支援システム「元気LABO」を導入し、
実証を行った。当ICTシステムを利活用したデータヘルス事業の実施イメージは以下の通りである。
Act
医療費・健康度の実態把握
健診・レセプトデータ突合機能による
データの一元管理・見える化
画面イメージ
健診
データ
突合
レセプト
データ
取込
加入者データを
一元管理・見える化
Plan
保健事業の企画・立案
リスク者抽出機能による
保健事業対象者の特定
Do
保健事業の実施
メール送付機能により、
加入者へのプッシュ型アプローチ
画面イメージ
保健事業のPDCAサイクルに沿った
事業運営を、迅速かつ効率的、
そして医学的に根拠をもってサポート
画面イメージ
Check
保健事業の効果検証
保健事業管理機能など
各指標の見える化
『投資型』保健事業の実現
加入者 >>> 生活の質向上
保険者 >>> 財政の健全化
画面イメージ
8
3. 事業内容
3-2. 実施体制
本事業の実施体制は、以下の通りです。
実証事業実施者
支援企業
内田洋行健康保険組合
株式会社ミナケア
• 実証事業の全体管理とフィールド提供
• プッシュ型ヘルスケアICTサービスの導入
• 実証事業の評価作業の実施、報告書作成
常務理事
• 実証事業の企画・立案・実施支援
• プッシュ型ヘルスケアICTサービスの開発・改修
• 実証事業報告書の作成支援
プロジェクト
責任者
データ分析連動プッシュ型
ヘルスケアICTサービスを導入
プロジェクト責任者
プロジェクト
管理者
事務長
プロジェクト管理者
事務局
(保健事業担当)
保健事業の企画・立案、
進捗管理
保健師
保健事業の企画・立案、
対象者抽出・保健介入
評価作業の実施、報告書作成
報告書
作成支援者
報告書作成支援
個人情報保護
担当者
システム
エンジニア
開発・改修
連携・協力
(コラボヘルス)
加入事業所
加入者
9
3. 事業内容
3-3. データ分析連動プッシュ型ヘルスケアICTサービスの開発企業の概要
加入者への直接アプローチや対象者選定には、医学的知見が必要であることから、医師、歯科医師が在籍し、
ヘルスケアサービス開発や医療費解析実績の豊富な(株)ミナケアのICTサービスを導入することとした。
基本情報
データヘルス計画策定・医療費解析の実績
会社名
株式会社ミナケア
代表者
代表取締役
設立
2011年2月
従業員数
15名(2015年1月時点)
所在地
東京都千代田区神田錦町1-23
宗保第2ビル6階
アクセス
地下鉄「大手町駅」C2b出口から徒歩5分
地下鉄「小川町駅」B7出口から徒歩5分
JR「神田」駅から徒歩9分
山本 雄士
1. データ解析事業/データヘルス支援事業
保険者に蓄積されている様々なデータを解
析することで、効果的かつ効率的なヘルスケ
ア (=データヘルス)を実現いたします。
事業内容
2. ヘルスケアサービス開発支援事業
ヘルスケアや医療に関連する事業会社と連
携し、弊社のデータベース及び専門職の知見
を活かして新しいヘルスケアサービスの開発を
ご支援いたします。
厚生労働省
「データヘルス事例集」
(平成25年9月)
厚生労働省
「データヘルス計画モデル事業」
(平成26年6月)
3例
28例中
9例
業界
トップ
クラス!!
52例中
ヘルスケアサービス開発の実績
自治体・保険者
住宅
×ヘルスケア
×ヘルスケア
健康自治の実現
高齢団地で健康づくり
コンビニ
医学
×ヘルスケア
×ヘルスケア
マチの健康ステーションへ
データから新たな医療を
10
4. 実施状況
予定
4-1. 実証事業スケジュール
実績
平成26年度
項目
月
~3月
4月
5月
6月
7月
8月
9月
10月
11月
12月
1月
2月
3月
実証検討委員会
分析・実態把握
キックオフ
コラボヘルスの推進
(健康経営プレゼン、情報交換会)
ICTシステム導入
試用版
導入
正式版
導入
ICTシステム改修
ICTシステム運用
実証評価
【アプローチ対象】
• 肝機能リスク者
• 喫煙者
【アプローチ対象】
• 血糖ハイリスク者
• 血圧ハイリスク者
• 脂質ハイリスク者
11
4. 実施状況
4-2. 医療費・健診度の実態を把握
4-3. コラボヘルス(事業主との連携)の推進
本事業の実施状況は、以下の通りです。
以前まで
Before
事業主に対し健康経営プレゼンを実施
健診データから一定の数値に沿ってリスク者を分類するが、医療費
や受診状況を含めた実態把握までには至らなかった。
健診
データ
‘14年2月
‘14年4月
‘14年6月
‘14年11月
分類
事業主との情報交換会を実施
健診データとレセプトデータの突合解析による実態把握を実施。
健診
データ
突合
‘14年3月
‘14年4月
‘14年5月
レセプト
データ
取込
加入者データを一元管理・見える化
(2回目:新社長向け)
‘14年12月 ウチダ人材開発センタ・社長
‘15年3月 ウチダシステムズ・社長
今回から
After
内田洋行・社長
内田洋行ITS・社長
ウチダエスコ・社長
内田洋行・社長
取込
内田洋行・社長とミナケア・社長
ウチダエスコ・人事総務部長
内田洋行・社長と安倍塾長
加入者の
社用メールアドレス情報を
事業所・健康保険組合
とで共有化
内田洋行・社長が
自身のブログにて
健康経営に関する
メッセージを発信
コラボヘルス推進
健康課題の実態把握と課題整理が
容易かつより精緻に
 加入者へ簡単にアクセスすることが可能に
 データヘルスの実施環境がより整備された
12
4. 実施状況
4-4. 健保職員の役割分担の見直しと定義
Before
方針変更
当健保組合の財政は厳しい中で保健事業の
質および量の強化を実現するため、役割分担
の見直しを実施した。
役割分担の見直し
解決策
健保内の保健師のリソースを最大限に活用す
るため、保健師から事務作業を全面的に除
外し、保健指導に専念できる環境整備を行っ
た。
以前まで
保健師が担当している主な事務作業









健診結果の入力
健診機関向けアンケートの作成・配布と結果整理・覚書修正
案内状の作成・配布・問合せ対応
契約外受診の処理
定期健診の健診機関との事前打合せ、当日の立会、他
事業所への受診者情報の提供
事業所が行う労基署報告用資料のデータ提供
国への報告用データチェックと報告資料の作成・提出
健診機関との打合せ
After
今回から
保健師が担当している主な事務作業
他職員へ業務引継
事務長・事務局(保健事業担当者)
代行業者へ外部委託
 健保内の保健師が保健指導に専念できる環境の整備
 内部の事務コスト削減 (約1,000万円)
13
4. 実施状況
4-5. UCHIDA元気ラボを活用したPDCA(対象者抽出→保健介入→効果検証)
Plan
対象者抽出機能の活用
健診結果や受診状況
などから対象者条件を選択
Action
次年度に向けた
課題の整理・改善
Do
作業時間:約5分
多様な保健事業を企画し
その対象者をリスト化
Check
メール送信機能の活用
テンプレート文を利用し
一括メール送信
作業時間:約5分
返信内容の確認
効果検証機能の活用
保健事業進捗の確認
(アウトプット評価)
医療費推移の確認
(アウトカム評価)
属性別の医療費分析
(アウトカム評価)
受診状況の確認
(アウトカム評価)
 加入者を多彩な条件で抽出してアプローチができ、保健事業の多様な企画が可能に
 外部委託せずに低コストでPDCA(対象者抽出→保健介入→効果検証)の実施が可能に
14
4. 実施状況
4-6. 保健介入の実施状況
本事業の実施状況は、以下の通りです。
Plan
アプローチ対象
抽出した
対象者数
保健事業の企画・立案
目標値 (H27年度)
保健事業の実施
Do
保健介入の
実施者数
実施方法
ポピュレーション・アプローチ
①喫煙者
②肝機能
リスク者
1,029名
喫煙者を5%削減
962名
メール送信機能による
禁煙キャンペーンの案内。
429名
リスク者を5%削減
404名
メール送信機能による
受診勧奨。
ハイリスク・アプローチ
③血圧
リスク者
415名
④血糖
リスク者
145名
⑤脂質
リスク者
117名
113名
⑥血圧
ハイリスク者
24名
24名
⑦血糖
ハイリスク者
55名
⑧脂質
ハイリスク者
15名
386名
リスク者を5%削減
リスク者を40%削減
未受診者を70%削減
124名
43名
メール送信機能による
受診勧奨
メール送信機能による
保健指導
14名
15
4. 実施状況
4-7. 当健保組合職員の声
(本システムの使用感)
本事業の実施状況は、以下の通りです。
常務理事・事務長の声
事務局(保健事業担当者)の声
保健師の声
「UCHIDA元気ラボ」の導入によってデータ
分析と保健事業のPDCAサイクルの融合と
効率化が実現できました。1年サイクルだった
マネジメントサイクルを月サイクルへと短縮す
ることによって意思決定がスピードアップしまし
た。
今までそれぞれ別々に管理していた「健診
結果→治療状況→保健事業への参加有
無→医療費動向」といった加入者個人の状
況が総合的に管理できるようになりました。ま
た、保健事業全体の進捗管理も非常に便
利です。
加入者の健診データやレセプトデータが毎月
更新されるので、健診結果や病院の受診
状況を早期に確認し、リスク者に対して保健
指導や受診勧奨などのアプローチをスピー
ディに実施できるようになりました。
マネジメントサイクル
が12倍速に
総合的な保健事業
の管理が可能に
加入者へのアプローチ
がスピーディーに
16
4. 実施状況
4-8. 加入者からの声①
(保健介入に対する加入者からのメール返信)
加入者Aさんからのメール
加入者Bさんからのメール
加入者Cさんからのメール
内田洋行健康保険組合
***様
内田洋行健康保険組合
***様
内田洋行健康保険組合
***様
お世話になっております。
ご案内頂きありがとうございます。
お世話になります。
***支店の***でございます。
成人病検診後の経緯についてご報告申し
上げます。
ご連絡頂きました件ですが、
実は、健康診断当日に
間違って昼食を取ってしまったため、
血糖値が基準値を超えてしまったようです。
・昨年12月に専門医受診
念のため、
健康診断の結果が出てから別の病院で
もう一度検査をしてもらったところ、
血糖値に異常はありませんでした。
お手数おかけ致しました。
この点は私自身気にしておりまして、
意識して食事の改善をすることと、有酸素
運動を継続しようと考え、 昨年12月あたり
からジョギングに取り組み始めました。
-----<< 省略 >>---------<< 省略 >>-----
これを継続し、来年度で改善できるかを見て
まいりたいと思います。 ありがとうございました。
・その後、糖分や炭水化物を控え、極力運
動に励んだ結果、本年2月に別件で血液
検査を行なったところ、HbA1c値は6.1に下
がっていたました。
メールでのアプローチなので、加入者からのレスポンスもスピーディに
17
4. 実施状況
4-9. 加入者からの声②
(保健介入に対する加入者からのメール返信)
加入者Dさんからのメール
加入者Eさんからのメール
お世話になっています。 遅くなりましたが
治療中の結果が出てますので 添付しておき
ますので、宜しくお願いします。
ご連絡いただきありがとうございます。
現在 かかりつけの内科に行っております。
ご連絡まで。
加入者Fさんからのメール
メールありがとうございました。
本日病院へ行ってまいりました。
3ケ月後また診察ということになりました。
とりあえずご報告まで。
メールでのアプローチなので、加入者からのレスポンスもスピーディに
4-10. 事業所担当者からの声
A事業所担当者からのメール
リスク保持者への受診奨励についてのご案
内を頂き御礼申し上げます。
社員等の健康保持・増進に心がけ参りたい
と思いますので、引き続き、ご指導を賜ります
ようよろしくお願い申し上げます。
(保健介入の実施報告に対する事業所担当者からのメール返信)
B事業所担当者からのメール
メールありがとうございます。健保の支援をい
ただきながら、社員の健康に配慮して参りま
す。
C事業所担当者からのメール
検査が遅く、後で悔しい思いをされる方が現
実いらっしゃいます。
継続フォロー、よろしくお願い致します。
事業所からの評価も良く、コラボヘルスの今後更なる強化が期待される
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5. 事業結果
5-1. ストラクチャー(構造)評価
実施体制における有効性や課題は以下の通りです。
実証事業実施者
委託開発企業
内田洋行健康保険組合
株式会社ミナケア
業務体制
業務体制
健保職員の役割分担の見直しと定義を行い、保健師が保健指
導に専念できる環境の整備を行った。
保健師が在籍しているため、ICTシステムの改修要望の提起、導
入前後の比較・検証を円滑に実施することができた。
医師、歯科医師が常勤で在籍しており、対象者選定に使用する
抽出条件や保健介入として送付するメール文面について医学的
知見から助言を得られた。
事業主との連携体制
加入事業所の各社社長に対し実施した健康経営プレゼンや内田
洋行・社長が自身のブログで発信した健康経営に関するメッセージ
などによって健康づくりの風土が醸成された。
事業主との情報交換会などを経て、各事業所から加入者の社用
メールアドレス情報を共有化、メールによる加入者へのアクセスがで
きるようになった。
実証期間
実証期間が1年と短く、本システムの開発・改修・導入が大半の
期間を占めたため、本システムの利活用による実質的な実証期間
が短かった。
医師
歯科医師
管理
栄養士
データ
アナリスト
医学的知見
データベース
エンジニア
統計・分析ノウハウ
コンサル
タント
企画・立案力
個人情報保護の管理体制
プライバシーマーク付与事業者であり、個人情報保護担当者を中
心に厚生労働省策定の各種ガイドライン*1*2*3に順守した業務体
制を構築していた。
*1
健康保険組合等における個人情報の適切な取扱い
のためのガイドライン (平成16年12月27日)
*2
国民健康保険組合における個人情報の適切な取り
扱いのためのガイドライン (平成17年4月1日)
*3
健康寿命延伸産業分野における新事業活動のガイ
ドライン (平成26年3月31日)
19
5. 事業結果
5-2. プロセス(過程)評価
本事業の意思決定、進捗管理、実証内容の検討を行うための会議体として実証検討委員会を設け、円滑な事業
推進に努めた。
実証検討委員会の構成員 (敬称略)




委員長
委員
委員
委員
松井
中家
中尾
山本
陽一
良夫
京子
さゆり
内田洋行健康保険組合
内田洋行健康保険組合
内田洋行健康保険組合
内田洋行健康保険組合
常務理事
事務長
保健師
事務局(保健事業担当)




委員
委員
委員
委員
山本
佐藤
奈良
小菅
雄士
有実子
夏樹
泰雄
日程
株式会社ミナケア 代表取締役 医師
株式会社ミナケア
株式会社ミナケア 歯科医師
株式会社ミナケア 管理栄養士
日程
主な議題
主な議題
第1回
2014/03/07
保健事業管理システムの構想についてのヒアリング
第8回
2014/07/29
健診データの運用に関するヒアリング
第2回
2014/05/16
メール送信機能の運用についてのヒアリング
第9回
2014/08/25
試験運用開始について
第3回
2014/05/26
操作画面の使用感に関するヒアリング
第10回
2014/10/17
実証報告についての事前準備について
第4回
2014/06/06
ネットワーク環境に関するヒアリング
第11回
2014/12/26
正式版の導入について
第5回
2014/06/18
取込用データに関するヒアリング
第12回
2014/01/14
正式版の操作説明
第6回
2014/07/22
試用版の導入について
第13回
2015/02/12
実証事業報告書に関するヒアリング
第7回
2014/07/28
試用版の操作説明
第14回
第15回
2015/03/04
2015/03/20
実証事業報告書について
20
5. 事業結果
5-3. アウトプット(事業実施量)評価
本ICTシステムの導入による保健事業実施量の拡充結果は、以下の通りである。
H25年度
アプローチ対象
システム導入前
実施状況
①喫煙者
システム導入後
H26年度
対象者
実施者
実施率
未実施
1,029名
962名
93.5%
未実施
429名
404名
94.2%
415名
386名
93.0%
145名
124名
85.5%
②肝機能
リスク者
本ICTシステムの導入により、
前年度の保健事業に加え、
③血圧
リスク者
④血糖
リスク者
新規で8カテゴリの
未実施
アプローチ対象者を追加し、
合計で約2,000名に対して
未実施
保健介入を実施することができた。
⑤脂質
リスク者
未実施
117名
113名
96.6%
⑥血圧
ハイリスク者
未実施
24名
24名
100.0%
⑦血糖
ハイリスク者
未実施
55名
43名
78.2%
⑧脂質
ハイリスク者
未実施
15名
14名
93.3%
21
5. 事業結果
5-4. アウトカム(成果)評価① ~業務効率化~
本事業のアウトカム評価として、本ICTシステム導入前後の作業時間を比較し、業務効率化について評価を行った。
Before
①対象者の抽出
導入前
導入前の運用 で本事業と同様の対象者に保健介入を実施した場合
作業時間:約12時間*
作業時間:約167時間*
エクセルの関数を用いて8種のリスク者を
抽出し、各25事業所別にリスト化。
対象者リストからアドレスを探し出し、対
象者約2,000名に対し個別に宛名を
入力し、メール送付(2回/年)。
* 12時間=1.5時間/種×8種
約12
時間
* 167時間=2.5分/通×2,000人×2回/年
約167時間
約98.9%
導入後
②メール送信
の作業時間を削減
導入後の運用
After
作業時間:約40分*
作業時間:約80分*
対象者抽出機能を使用し、8種のリス
ク者を抽出。
メール送信機能を使用し、8種のリスク
者(計2,000名)へ一括でメール送信
(2回/年)。
画面イメージ
①対象者抽出機能 * 40分=5分/種×8種
画面イメージ
②メール送信機能
* 80分=5分/種×8種×2回/年
22
5. 事業結果
5-4. アウトカム(成果)評価② ~低コスト化(保健介入を外部委託した場合との比較)~
本事業のアウトカム評価として、本ICTシステム導入前後の外部委託費を比較し、低コスト化について評価を行った。
※外部委託費はメール1通あたり1,500円、健保人件費は3,000円/時と仮定
Before
①対象者の抽出
導入前の運用 で本事業と同様の対象者に保健介入を実施した場合
健保人件費:約3.6万円*
外部委託費:約600万円*
エクセルの関数を用いて8種のリスク者を
抽出し、各25事業所別にリスト化。
対象者約2,000名に対し個別に宛名を
入力し、メール送付(2回/年)。
* 3.6万円=3,000円/時×12時間
約600万円
導入前
導入後
* 600万円
=1,500円/通×2,000人×2通/年
②メール送信
元気ラボ
年間利用料
約60万円
約90.0% の外部委託費を削減
導入後の運用
After
健保人件費:約2,000円*
健保人件費:約4,000円*
対象者抽出機能を使用し、8種のリス
ク者を抽出。
メール送信機能を使用し、8種のリスク
者(計2,000名)へ一括でメール送信
(2回/年)。
画面イメージ
①対象者抽出機能 * 2,000円= 3,000円/時×40分
画面イメージ
②メール送信機能
* 4,000円= 3,000円/時×80分
23
6. 今後の方向性
6-1. 実証事業の課題と今後の方向性
実証期間が1年と短く、本システムの改修・導入にも一定の期間を要したため、本システムの利活用による実質的な実証期間には制限
があった。また、本来は健診結果をもってアウトカム評価とすべきであるが年度内事業としてはその実施までは至らなかった。従って、本シス
テムの積極活用も含め、平成27年度も実証事業を継続したいと考えている。
生活習慣病の発症および重症化の予防を目的に保健事業の今後更なる強化を図り、本システムを起点とした新規事業についても次年
度以降は検討したいと考えている。
今後の
方向性
「生活習慣病の発症・重症化予防」を目的に
保健事業の更なる強化
ハイリスク・アプローチ
①透析
②血糖
③血圧
ポピュレーション・アプローチ
④脂質
⑤肝機能
⑥非肥満
WHO
⑦歯科
(歯周病)
⑧喫煙
加入者の生活習慣の改善 【意識改革と行動変容】
New
WHAT
New
HOW
HOW
食事
運動
New
ボールエクササ
イズ
New
New
生活習慣
データ測定
New
遠隔地
保健指導
New
レシピ
やせるコツ
運動、睡眠、食
事、内臓脂肪
New
脳梗塞、心筋梗塞
リスクの測定
New
ICT活用
血液検査
New
口腔ケア
禁煙
リスク階層
化、情報配
信
禁煙支援
情報配信
データヘルス計画モデル事業
(実証事業:プッシュ型ヘルスケアICTシステム)
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6. 今後の方向性
6-2. 内田洋行健康保険組合の想い
本事業の成果を多くの保険者へ継続的に伝え、
データヘルスやコラボヘルスの意義について浸透させるとともに、
保健事業の効率化や改善を進めて業界の底上げを狙いたい。
投資型保健事業を実現する
保健事業支援システム
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