2015年5月.vol.6.No.3 - A

JOINT-05 への参加について
JOINT-05参加医師募集中
や非定型骨折の発生を抑制するために、
経口(5年以上)または 静注(3年以上)BP製剤で
治療中の閉経後女性(ただし10年未満)
ビスホスホネートの治療期間が議論され
ている。ASBMRのLong-term BP Task
大腿骨近位部, 椎体 または 複数の骨粗鬆性骨折の既往または新規発生
forceにより、ビスホスホネート治療は5
<HV
年行った時点で、椎体あるいは大腿骨近
BP製剤による治療の継続
または 代替薬への変更
2∼3年ごとに検査
位部骨折の既往・新規発生があるかまた
は大腿骨近位部骨密度Tスコア<−2.5の
または
骨折高リスク(年齢・危険因子・FRAX)
BP製剤による治療を10年継続
または 代替薬への変更
2∼3年ごとに検査
20)
されている(図4) 。
おわりに
予想される高齢者の脆弱性骨折とそれに
大腿骨近位部骨密度 Tスコア ≦ −2.5
<HV
場合などには、継続が必要であると提案
超高齢社会であるわが国で増加すると
1R
1R
休薬を検討
2∼3年ごとに検査
ASBMR Long Term BP Task Force
図4. BP製剤で⻑期治療中の閉経後⼥性に対するマネージメント
:アルゴリズム
11. Shiraki M, et al. A double-masked multicenter comparative study
between alendronate and alfacalcidol in Japanese patients with
osteoporosis. The Alendronate Phase III Osteoporosis Treatment
Research Group. Osteoporos Int 1999; 10: 183-92.
12. Liberman UA, et al. Effect of oral alendronate on bone mineral
density and the incidence of fractures in postmenopausal
osteoporosis. The Alendronate Phase III Osteoporosis Treatment
Study Group. N Engl J Med 1995; 333: 1437-43.
13. Kushida K. The efficacy of alendronate in reducing the risk for
vertebral fracture in Japanese patients with osteoporosis: a
randomized, double-blind, active-controlled, double-dummy trial.
Curr Ther Clin Exp 2002; 63: 606-20.
14. Iwamoto J, et al. Alendronate is more effective than elcatonin in
improving pain and quality of life in postmenopausal women with
osteoporosis. Osteoporos Int 2011; 22: 2735-42.
15. Uchiyama S, et al. Effect of early administration of alendronate after
surgery for distal radial fragility fracture on radiological fracture
healing time. Bone Joint J 2013; 95-B: 1544-50.
16. Ishijima M, et al. Minimum required vitamin D level for optimal
increase in bone mineral density with alendronate treatment in
osteoporotic women. Calcif Tissue Int 2009; 85: 398-404.
17. Orimo H, et al. Effects of alendronate plus alfacalcidol in
osteoporosis patients with a high risk of fracture: the Japanese
Osteoporosis Intervention Trial (JOINT) - 02. Curr Med Res Opin
2011; 27: 1273-84.
18. Sakai A, et al. Efficacy of combined treatment with alendronate
(ALN) and eldecalcitol, a new active vitamin D analog, compared
to that of concomitant ALN, vitamin D plus calcium treatment in
Japanese patients with primary osteoporosis. Osteoporos Int 2015;
26: 1193-202.
19. Sugimoto T, et al. Vertebral fracture risk after once-weekly
teriparatide injection – Follow-up study of teriparatide once-weekly
efficacy research (TOWER) trial –. Curr Med Res Opin 2013; 29:
195-203.
20. ASBMR 2014 Task Force on managing osteoporosis patients after
long-term bisphosphonate treatment.
伴う要介護・寝たきりを防ぐためには、最適
な医療の普及と継続は必要である。アレンドロ
ネートは骨粗鬆症治療において第1選択薬の一
つであることに異論はないが、JOINT-05研究
により、
“骨折リスクの高い原発性骨粗鬆症患
者”に対して、脆弱性骨折をより効果的に抑制
できる治療法が提案されるものと期待される。
文献
1. Cauley JA, et al. Risk of mortality following clinical fractures.
Osteoporos Int 2000; 11: 556-61.
2. Black DM, et al. Randomised trial of effect of alendronate on risk
of fracture in women with existing vertebral fractures. Fracture
Intervention Trial Research Group. Lancet 1996; 348: 1535-41.
3. Cummings SR, et al. Effect of alendronate on risk of fracture in
women with low bone density but without vertebral fractures: results
from the Fracture Intervention Trial. JAMA 1998; 280: 2077-82.
4. Kendler D, et al. Patients with osteoporosis prefer once weekly to
once daily dosing with alendronate. Maturitas 2004; 48: 243-51.
5. アレンドロネート(毎日・週1回製剤)の市販直後調査.
6. Cramer JA, et al. A systematic review of persistence and
compliance with bisphosphonates for osteoporosis. Osteoporos Int
2007; 18: 1023-31.
7. Khosla S, et al. Bisphosphonate-associated osteonecrosis of the
jaw: report of a task force of the American Society for Bone and
Mineral Research. J Bone Miner Res 2007; 22: 1479-91.
8. Shane E, et al. Atypical subtrochanteric and diaphyseal femoral
fractures: report of a task force of the American Society for Bone
and Mineral Research. J Bone Miner Res 2010; 25: 2267-94.
9. Papapoulos SE. Bone diseases: bisphosphonates in osteoporosis-beyond 5 years. Nat Rev Rheumatol 2013; 9: 263-4.
10. アレンドロネート5㎎申請概要. 吸収、分布、代謝、排泄.
3
JOINT-05は、COIを明確とした契約臨床研究となるため、すべての参加施設と公益財団とで、
受委託研究契約を締結します。この契約により、明確なCOI管理が実現され、医師主導臨床研究
として、国内に誇れる研究実施システムを構築して運用します。
JOINT-05では、セキュリティ向上のため、データ収集にEDC(Electronic Data Capture)
を導入します。そのため、被験者登録、割付等は、原則Web上で実施しますので、インターネッ
ト環境が必要です。Web上での症例登録となる事で、24時間登録が可能となります。
JOINT-04までのJOINT-studyとは、参加施設条件、研究実施システム、協力業者等が異なっ
ております。A-TOP研究会のホームページのJOINT-05の内容をよくご確認ください。
JOINT-05に参加するには
JONT-04に参加している施設でも改めて、参加申請手続きが必要となります。A-TOP研究会の
ホームページの「JOINT-05 参加申請」より、手続きをしてください。Web上の参加申請画面
で、必要事項を記入した後、プリントアウトし、署名(自署)捺印したものを、事務局へ送付し
てください。
資料の請求
〒169-0051 東京都新宿区西早稲田1丁目1番7号
公益財団法人パブリックヘルスリサーチセンター 骨粗鬆症至適療法研究支援事業事務局
TEL:03-5287-2638 FAX:03-5287-2634 E-MAIL:[email protected]
A-TOP研究会のホームページ(http://www.a-top.jp/)
JOINT-05 研究の概要
A-TOP
TOP NEWS
6
Vol.
Adequate Treatment of Osteoporosis
A-TOP研究会ニュース Vol.6 No.3
2015年5月
発行人:A-TOP研究会 実行委員会 会長 折茂 肇
連絡先:公益財団法人パブリックヘルスリサーチセンター
骨粗鬆症至適療法研究支援事業事務局
〒169-0051 東京都新宿区西早稲田1-1-7
TEL:03-5287-2638 FAX:03-5287-2634
アレンドロネートのエビデンス
~国内データを中心に~ 慶應義塾大学医学部スポーツ医学総合センター 岩本 潤
はじめに
の臨床試験・研究のデータを中心に)について
骨粗鬆症は「骨強度
レビューし、今般議論されているビスホスホネ
の低下によって、骨折
ートの治療期間について述べる。
のリスクが高くなる骨
の障害」と定義され、閉経後女性に多発する。
アレンドロネートの軌跡
骨粗鬆症に関連する(脆弱性)椎体および大腿
閉経後骨粗鬆症患者を対象としたアレンド
骨近位部骨折は、健康寿命を縮めるばかりでな
ロネートの第III相臨床試験であるFracture
1)
く、死亡率をも高めることから 、これらの骨
Intervention Trial(FIT)により、①1個以上
研 究 課 題
骨折リスクの高い原発性骨粗鬆症患者に対する骨粗鬆症治療薬の骨折抑制効果検証試験
− 週1回テリパラチド製剤とアレンドロネート製剤の群間比較試験 −
折を抑制することは重要である。脆弱性骨折の
の椎体骨折を有する患者において、椎体(形
抑制には、カルシウム・ビタミンD栄養状況の
態・臨床)骨折および大腿骨近位部・橈骨遠位
研 究 期 間
2014年10月∼2019年6月(57ヶ月)
症例登録期間:2014年10月∼2017年3月(30ヶ月)、観察期間:120週(約28ヶ月)
改善のもと、薬物治療は必須である。日常診療
端骨折を抑制すること(図1)2)、②椎体骨折
では患者の年齢や骨折リスクに応じて骨吸収
のない患者において、初発椎体(形態)骨折を
「週1テリパラチド(72週)+アレンドロネート(48週)
」投与群、
「アレンドロネート(120週)」投与群
抑制剤が第1選択薬として広く使用されている
抑制すること3)が確立され、アレンドロネート
が、骨形成促進剤であるテリパラチドは重症骨
は第1選択薬として処方されている。
粗鬆症(添付文書によると、骨折の危険性の高
朝・水・30分(起床時にコップ一杯の水で服
い骨粗鬆症:低骨密度・既存骨折・加齢・大腿
用し、少なくとも30分は横にならない)で服用
骨近位部骨折の家族歴などの骨折の危険因子を
する必要があるため、毎日製剤では上部消化管
0
治 療 群
高骨折リスク
骨粗鬆症
24
48
72
週1回テリパラチド 72週
96
ALN
120
48週
アレンドロネート(ALN) 120週
目標症例数
1,800例/2群(各群900例)
主要評価項目
新規椎体(形態)骨折発生率(72週時点)
新規椎体(形態)骨折発生率および非椎体(臨床)骨折発生率(120週時点)
副次評価項目
非椎体(臨床)骨折発生率(72週時点)
、新規椎体(臨床)骨折発生率、増悪椎体骨折発
生率、骨密度、変化率、QOL(EQ-5D など)変化率、骨構造解析 など
適 格 基 準
臨床研究参加の文書同意が得られ、以下の基準を全て満たす患者を対象とする。
① 日本骨代謝学会 原発性骨粗鬆症の診断基準(2012年度改訂版)に基づき原発性骨粗
鬆症と診断された患者
② 同意取得時の年齢が満年齢75歳以上の日本人患者
③ 閉経後女性
④ 自立歩行(独歩および一本杖歩行、歩行器歩行)が可能な患者
⑤ 以下のいずれかを満たす患者
・骨密度が、YAMの60%未満または−3.3SD未満の患者
・登録時点で第4胸椎(Th4)∼第4腰椎(L4)に2個以上の椎体骨折を有する患者
・Grade 3の骨折を有する患者
・大腿骨近位部骨折の既往を有する患者
有する患者)が適応となる。わが国で開発され
たテリパラチド週1回製剤の非椎体(臨床)骨
折の抑制効果などを検証する目的で、「骨折リ
スクの高い原発性骨粗鬆症患者に対する骨粗鬆
症治療薬の骨折抑制効果検証試験-週1回テリ
パラチド製剤とアレンドロネート製剤の群間比
較試験-」が、A-TOP研究会により開始され
ている(JOINT-05研究)
。A-TOP NEWS Vol.
6 No.2で田中栄先生がテリパラチドの作用と効
椎体骨折
椎体骨折
椎体骨折
(%) (形態) 2個以上(形態) (臨床)
0
大腿骨近位部
骨折
橈骨遠位端
骨折
51%
48%
20
40
60
47%
55%
80
90%
1個以上の椎体骨折を有する
閉経後骨粗鬆症患者2027名
果について論説されているので、本稿では対照
100
薬であるアレンドロネートのエビデンス(国内
図1. アレンドロネートの骨折抑制効果(リスク低下率)
1
障害とアドヒアランス(服薬遵守・継続)が低
を2時間に設定した場合:それぞれ2.32% vs.
いことが問題であったが、週1回製剤(毎日製
0.78%)10)、②アレンドロネート投与による1年
剤よりも嗜好性・利便性に優れる)が登場しこ
の腰椎骨密度増加率は、海外試験(10mg/日)
れらの問題は改善され
4)
, 5)
, 6)
A-TOP研究会
医療法人厚生会 福井厚生病院 リハビリセンター長 古澤 修章
当院での骨粗鬆症治療の現状:A-TOP研究会に参加して
、現在では週1回
と国内試験(5mg/日)で同等であること(そ
製剤が主流となっている。しかし、長期治療で
れぞれ5.4% vs. 6.2%、図2)11), 12)が明らかにさ
顎骨壊死・非定型大腿骨骨折が発生する症例が
れている。また、わが国の原発性骨粗鬆症患者
病院紹介
患が圧倒的に多いのが特徴です。当院ではリハ
、効率よく骨折を抑制し、
におけるアルファカルシドールを対照薬とした
当院は福井市の南東部の郊外に位置した208
ビリスタッフが理学療法士、作業療法士、言語
有害事象の発生を最小化するために、治療期間
2年間の臨床試験により、アレンドロネートの
床のケアミックス病院です。内科、外科、整形
療法士あわせて66名おりとても充実しておりま
椎体骨折抑制効果が確認されている(リスク低
外科、精神科を中心に急性期から回復期にいた
す。手術も主に高齢者が対象となるため、周術
下率:66%) 。この効果は、海外の閉経後骨
るあらゆる患者様を受け入れております。当院
期も検査、内服調整などにて準備に時間がかか
粗鬆症患者におけるプラセボ対照の臨床試験の
は昭和58年に開設され、昨年4月で30周年を迎
ることが多く、術前は床上でのリハビリテーシ
結果と同等である(図3) 。
えました。病院開設以降、当グループでは、健
ョンを行い、術後は回復期病棟にてリハビリテ
の半量に設定されている。①閉経後女性に対す
臨床研究により、アレンドロネートについ
診センター、訪問看護・介護サービス、通所サ
ーションをさらに強化しております。また近隣
る単回投与(10mg)試験により、アレンドロ
て、①閉経後骨粗鬆症患者において、エルカト
ービス、デイケア、サービス付き高齢者住宅な
の医院との病診連携、病院との病病連携も密に
ネートの生物学的利用率は、日本人はアメリカ
ニンに比べて疼痛・QOLの改善効果に優れる
どを充実させ、地域に根差した「医療・介護・
行い、地域連携パスなども運用してリハビリテ
うけることができました。現在のJOINT-04に
下での治療を減らすための川上での治療が重要
福祉の複合体」を目指しています。新病棟増築
ーションを中心に「寝たきりを作らない」とい
なって新たに追加された開眼片足起立、3m up
になってくると考えられます。当院でも地域
治癒に影響を与えないこと 、③血清
基本プランが平成26年3月にまとまり、今後の
う目標を掲げて診療を行っております。
and goなどの身体能力測定、血圧測定などもス
性、患者層から、骨粗鬆症治療はさらに重要性
25(OH)D低値の閉経後骨粗鬆症患
プラン実現に向けて検討を重ねている段階で
タッフの協力でこなせるようになり、40症例以
が増してくると思われます。現在のJOINT-05
者では、骨密度増加は十分でないこと
す。
A-TOP研究会への参加
上の登録と非常に低い脱落率の実績を残せてお
は重症度の高い骨粗鬆症患者が対象とのこと
16)
、④70歳以上の骨折リスクの高い閉
福井県が健康長寿県であることに違わず、当
A-TOP研究会の存在を知り、参加を決定し
ります。
で、当院にも対象と思われる患者様が多く来院
経後骨粗鬆症患者において、アルファ
院も患者様は地域の高齢者が非常に多く、90歳
たのはJOINT-03が行われていたころです。初
また本研究に参加することで私自身、骨粗鬆症
しております。まだ参加については検討中です
カルシドールとの併用は、荷重骨(大
以上の超高齢者でも一人で歩いて来院される方
めは高齢者の割合が高く、対象患者も多い当
治療に対する意識が大きく変化し、リスクの高
が前向きに考えていきたいと思っています。骨
腿骨・骨盤・下腿骨)の骨折抑制や椎
も数多くおられます。
院であれば症例を集めるのはそれほど困難で
そうな患者様には骨塩定量検査、X線検査など
粗鬆症外来、骨粗鬆症リエゾンサービスなど取
体既存骨折が2個以上あるいはSQグ
中でも整形外科は特に高齢者が多く、大腿骨
はないと考えていました。しかし当研究に携
をこちらから積極的に勧め、ライフスタイルと
り組みたいことが数多くありますが、整形外科
レード3の患者における椎体骨折抑制
頚部骨折、脊椎圧迫骨折など骨粗鬆症関連疾
わる医師は私1人であり、時には1日100人
状態に合った内服、注射などの治療を提案し、
医1名の現在ではなかなか実現が困難となって
を超える外来患者を診療しな
定期的にフォローしていくようになってきまし
おります。しかし今後もA-TOP研究をはじめ、
、⑤原発性骨粗鬆症患
がら、患者様に同意を得て登
た。また患者様からも検査値の改善がみられる
骨粗鬆症治療に鋭意携わっていきたいと考えて
者において、エルデカルシトールとの
録、アンケート、検査などを
と大変感謝され、治療継続のモチベーションに
います。
併用は大腿骨頚部骨密度の増加に有用
こなしていくのは非常に大変
もつながっています。さらに年次総会などで、
報告されて以来
7)
, 8)
9)
すなわち休薬について議論がなされている 。
13)
国内の臨床試験・研究
13)
わが国ではアレンドロネートの投与量は海外
14)
こと 、②橈骨遠位端骨折患者において、骨折
人の約3倍高いこと(服薬から食事までの時間
15)
(%)
7
6
投
与
前
値
か
ら
の
変
化
率
アレンドロネート5mg(国内)11)
6.2%
5.4%
5
アレンドロネート10mg(海外)12)
4
3
2
アルファカルシドール
(国内)11)
1
0
−1
プラセボ
(海外)12)
0
3
6
9
12 (月)
図2. 腰椎骨密度増加率の比較 海外10mg vs. 国内5mg
アレンドロネート群が良い
対照群が良い
に効果的であること(A-TOP研究会
JOINT-02)
17)
医療法人厚生会 福井厚生病院 〒918-8135 福井県福井市下六条町201 TEL 0776-41-3377
海外骨折介入試験a)(椎体骨折なし)
であること(eADVANCED study)
な労力とモチベーションが必
自らが参加した研究成果を知ることで臨床にフ
閉経後骨粗鬆症
18)
などが報告されている。また、⑥
要であるということが次第に
ィードバックできており、A-TOP研究会への参
海外骨折介入試験b)(椎体骨折あり)
閉経後骨粗鬆症
骨折の危険性の高い原発性骨粗鬆症患
わかってきました。それでも
加は非常に意義のあったものであったと考えて
者において、テリパラチド週1回製剤
何とか患者登録が軌道に乗る
います。
で18ヵ月治療後、ビスホスホネートで
ようになってきたのは整形外
治療を継続すると、腰椎および大腿骨
科外来の看護スタッフの協力
今後の展望
近位部の骨密度はさらに増加すること
があったからです。忙しい業
骨粗鬆症はそれ自体による症状が乏しいた
19)
務の中、実に要領よく患者フ
め、患者様自身の意識、医療機関の治療意欲が
ォロー、検査誘導などを行っ
低いのが現状であると思います。しかし骨折が
てくれました。この甲斐あっ
起こってからの治療には大きな医療費を費やす
てJOINT-03では登録数表彰を
ことになり、医療費削減が求められる現在、川
海外第Ⅲ相試験c)
閉経後骨粗鬆症
(椎体骨折なし/あり)
国内臨床試験(2年)
原発性骨粗鬆症
(vs. アルファカルシドール)
0.34
合計
48%骨折リスク低下
0.1
0.3
0.5
0.8
も報告されている
1
。
椎体骨折相対リスク
a) Black DM, et al. Lancet 1996; 348: 1535-41.
b) Cummings SR, et al. JAMA 1998; 280: 2077-82.
c) Liberman UA, et al. N Engl J Med 1995; 333: 1437-43.
ビスホスホネート(BP)の治療期間
図3. 椎体骨折抑制効果(メタアナリシス)
今般、長期治療でみられる顎骨壊死
2
整形外科外来スタッフ(前列中央が筆者)
4
JOINT-05の参加施設を
募集しています!
※参加希望の場合は、
ぜひお問合せ下さい。
5
JOINT-05 への参加について
JOINT-05参加医師募集中
や非定型骨折の発生を抑制するために、
経口(5年以上)または 静注(3年以上)BP製剤で
治療中の閉経後女性(ただし10年未満)
ビスホスホネートの治療期間が議論され
ている。ASBMRのLong-term BP Task
大腿骨近位部, 椎体 または 複数の骨粗鬆性骨折の既往または新規発生
forceにより、ビスホスホネート治療は5
<HV
年行った時点で、椎体あるいは大腿骨近
BP製剤による治療の継続
または 代替薬への変更
2∼3年ごとに検査
位部骨折の既往・新規発生があるかまた
は大腿骨近位部骨密度Tスコア<−2.5の
または
骨折高リスク(年齢・危険因子・FRAX)
BP製剤による治療を10年継続
または 代替薬への変更
2∼3年ごとに検査
20)
されている(図4) 。
おわりに
予想される高齢者の脆弱性骨折とそれに
大腿骨近位部骨密度 Tスコア ≦ −2.5
<HV
場合などには、継続が必要であると提案
超高齢社会であるわが国で増加すると
1R
1R
休薬を検討
2∼3年ごとに検査
ASBMR Long Term BP Task Force
図4. BP製剤で⻑期治療中の閉経後⼥性に対するマネージメント
:アルゴリズム
11. Shiraki M, et al. A double-masked multicenter comparative study
between alendronate and alfacalcidol in Japanese patients with
osteoporosis. The Alendronate Phase III Osteoporosis Treatment
Research Group. Osteoporos Int 1999; 10: 183-92.
12. Liberman UA, et al. Effect of oral alendronate on bone mineral
density and the incidence of fractures in postmenopausal
osteoporosis. The Alendronate Phase III Osteoporosis Treatment
Study Group. N Engl J Med 1995; 333: 1437-43.
13. Kushida K. The efficacy of alendronate in reducing the risk for
vertebral fracture in Japanese patients with osteoporosis: a
randomized, double-blind, active-controlled, double-dummy trial.
Curr Ther Clin Exp 2002; 63: 606-20.
14. Iwamoto J, et al. Alendronate is more effective than elcatonin in
improving pain and quality of life in postmenopausal women with
osteoporosis. Osteoporos Int 2011; 22: 2735-42.
15. Uchiyama S, et al. Effect of early administration of alendronate after
surgery for distal radial fragility fracture on radiological fracture
healing time. Bone Joint J 2013; 95-B: 1544-50.
16. Ishijima M, et al. Minimum required vitamin D level for optimal
increase in bone mineral density with alendronate treatment in
osteoporotic women. Calcif Tissue Int 2009; 85: 398-404.
17. Orimo H, et al. Effects of alendronate plus alfacalcidol in
osteoporosis patients with a high risk of fracture: the Japanese
Osteoporosis Intervention Trial (JOINT) - 02. Curr Med Res Opin
2011; 27: 1273-84.
18. Sakai A, et al. Efficacy of combined treatment with alendronate
(ALN) and eldecalcitol, a new active vitamin D analog, compared
to that of concomitant ALN, vitamin D plus calcium treatment in
Japanese patients with primary osteoporosis. Osteoporos Int 2015;
26: 1193-202.
19. Sugimoto T, et al. Vertebral fracture risk after once-weekly
teriparatide injection – Follow-up study of teriparatide once-weekly
efficacy research (TOWER) trial –. Curr Med Res Opin 2013; 29:
195-203.
20. ASBMR 2014 Task Force on managing osteoporosis patients after
long-term bisphosphonate treatment.
伴う要介護・寝たきりを防ぐためには、最適
な医療の普及と継続は必要である。アレンドロ
ネートは骨粗鬆症治療において第1選択薬の一
つであることに異論はないが、JOINT-05研究
により、
“骨折リスクの高い原発性骨粗鬆症患
者”に対して、脆弱性骨折をより効果的に抑制
できる治療法が提案されるものと期待される。
文献
1. Cauley JA, et al. Risk of mortality following clinical fractures.
Osteoporos Int 2000; 11: 556-61.
2. Black DM, et al. Randomised trial of effect of alendronate on risk
of fracture in women with existing vertebral fractures. Fracture
Intervention Trial Research Group. Lancet 1996; 348: 1535-41.
3. Cummings SR, et al. Effect of alendronate on risk of fracture in
women with low bone density but without vertebral fractures: results
from the Fracture Intervention Trial. JAMA 1998; 280: 2077-82.
4. Kendler D, et al. Patients with osteoporosis prefer once weekly to
once daily dosing with alendronate. Maturitas 2004; 48: 243-51.
5. アレンドロネート(毎日・週1回製剤)の市販直後調査.
6. Cramer JA, et al. A systematic review of persistence and
compliance with bisphosphonates for osteoporosis. Osteoporos Int
2007; 18: 1023-31.
7. Khosla S, et al. Bisphosphonate-associated osteonecrosis of the
jaw: report of a task force of the American Society for Bone and
Mineral Research. J Bone Miner Res 2007; 22: 1479-91.
8. Shane E, et al. Atypical subtrochanteric and diaphyseal femoral
fractures: report of a task force of the American Society for Bone
and Mineral Research. J Bone Miner Res 2010; 25: 2267-94.
9. Papapoulos SE. Bone diseases: bisphosphonates in osteoporosis-beyond 5 years. Nat Rev Rheumatol 2013; 9: 263-4.
10. アレンドロネート5㎎申請概要. 吸収、分布、代謝、排泄.
3
JOINT-05は、COIを明確とした契約臨床研究となるため、すべての参加施設と公益財団とで、
受委託研究契約を締結します。この契約により、明確なCOI管理が実現され、医師主導臨床研究
として、国内に誇れる研究実施システムを構築して運用します。
JOINT-05では、セキュリティ向上のため、データ収集にEDC(Electronic Data Capture)
を導入します。そのため、被験者登録、割付等は、原則Web上で実施しますので、インターネッ
ト環境が必要です。Web上での症例登録となる事で、24時間登録が可能となります。
JOINT-04までのJOINT-studyとは、参加施設条件、研究実施システム、協力業者等が異なっ
ております。A-TOP研究会のホームページのJOINT-05の内容をよくご確認ください。
JOINT-05に参加するには
JONT-04に参加している施設でも改めて、参加申請手続きが必要となります。A-TOP研究会の
ホームページの「JOINT-05 参加申請」より、手続きをしてください。Web上の参加申請画面
で、必要事項を記入した後、プリントアウトし、署名(自署)捺印したものを、事務局へ送付し
てください。
資料の請求
〒169-0051 東京都新宿区西早稲田1丁目1番7号
公益財団法人パブリックヘルスリサーチセンター 骨粗鬆症至適療法研究支援事業事務局
TEL:03-5287-2638 FAX:03-5287-2634 E-MAIL:[email protected]
A-TOP研究会のホームページ(http://www.a-top.jp/)
JOINT-05 研究の概要
A-TOP
TOP NEWS
6
Vol.
Adequate Treatment of Osteoporosis
A-TOP研究会ニュース Vol.6 No.3
2015年5月
発行人:A-TOP研究会 実行委員会 会長 折茂 肇
連絡先:公益財団法人パブリックヘルスリサーチセンター
骨粗鬆症至適療法研究支援事業事務局
〒169-0051 東京都新宿区西早稲田1-1-7
TEL:03-5287-2638 FAX:03-5287-2634
アレンドロネートのエビデンス
~国内データを中心に~ 慶應義塾大学医学部スポーツ医学総合センター 岩本 潤
はじめに
の臨床試験・研究のデータを中心に)について
骨粗鬆症は「骨強度
レビューし、今般議論されているビスホスホネ
の低下によって、骨折
ートの治療期間について述べる。
のリスクが高くなる骨
の障害」と定義され、閉経後女性に多発する。
アレンドロネートの軌跡
骨粗鬆症に関連する(脆弱性)椎体および大腿
閉経後骨粗鬆症患者を対象としたアレンド
骨近位部骨折は、健康寿命を縮めるばかりでな
ロネートの第III相臨床試験であるFracture
1)
く、死亡率をも高めることから 、これらの骨
Intervention Trial(FIT)により、①1個以上
研 究 課 題
骨折リスクの高い原発性骨粗鬆症患者に対する骨粗鬆症治療薬の骨折抑制効果検証試験
− 週1回テリパラチド製剤とアレンドロネート製剤の群間比較試験 −
折を抑制することは重要である。脆弱性骨折の
の椎体骨折を有する患者において、椎体(形
抑制には、カルシウム・ビタミンD栄養状況の
態・臨床)骨折および大腿骨近位部・橈骨遠位
研 究 期 間
2014年10月∼2019年6月(57ヶ月)
症例登録期間:2014年10月∼2017年3月(30ヶ月)、観察期間:120週(約28ヶ月)
改善のもと、薬物治療は必須である。日常診療
端骨折を抑制すること(図1)2)、②椎体骨折
では患者の年齢や骨折リスクに応じて骨吸収
のない患者において、初発椎体(形態)骨折を
「週1テリパラチド(72週)+アレンドロネート(48週)
」投与群、
「アレンドロネート(120週)」投与群
抑制剤が第1選択薬として広く使用されている
抑制すること3)が確立され、アレンドロネート
が、骨形成促進剤であるテリパラチドは重症骨
は第1選択薬として処方されている。
粗鬆症(添付文書によると、骨折の危険性の高
朝・水・30分(起床時にコップ一杯の水で服
い骨粗鬆症:低骨密度・既存骨折・加齢・大腿
用し、少なくとも30分は横にならない)で服用
骨近位部骨折の家族歴などの骨折の危険因子を
する必要があるため、毎日製剤では上部消化管
0
治 療 群
高骨折リスク
骨粗鬆症
24
48
72
週1回テリパラチド 72週
96
ALN
120
48週
アレンドロネート(ALN) 120週
目標症例数
1,800例/2群(各群900例)
主要評価項目
新規椎体(形態)骨折発生率(72週時点)
新規椎体(形態)骨折発生率および非椎体(臨床)骨折発生率(120週時点)
副次評価項目
非椎体(臨床)骨折発生率(72週時点)
、新規椎体(臨床)骨折発生率、増悪椎体骨折発
生率、骨密度、変化率、QOL(EQ-5D など)変化率、骨構造解析 など
適 格 基 準
臨床研究参加の文書同意が得られ、以下の基準を全て満たす患者を対象とする。
① 日本骨代謝学会 原発性骨粗鬆症の診断基準(2012年度改訂版)に基づき原発性骨粗
鬆症と診断された患者
② 同意取得時の年齢が満年齢75歳以上の日本人患者
③ 閉経後女性
④ 自立歩行(独歩および一本杖歩行、歩行器歩行)が可能な患者
⑤ 以下のいずれかを満たす患者
・骨密度が、YAMの60%未満または−3.3SD未満の患者
・登録時点で第4胸椎(Th4)∼第4腰椎(L4)に2個以上の椎体骨折を有する患者
・Grade 3の骨折を有する患者
・大腿骨近位部骨折の既往を有する患者
有する患者)が適応となる。わが国で開発され
たテリパラチド週1回製剤の非椎体(臨床)骨
折の抑制効果などを検証する目的で、「骨折リ
スクの高い原発性骨粗鬆症患者に対する骨粗鬆
症治療薬の骨折抑制効果検証試験-週1回テリ
パラチド製剤とアレンドロネート製剤の群間比
較試験-」が、A-TOP研究会により開始され
ている(JOINT-05研究)
。A-TOP NEWS Vol.
6 No.2で田中栄先生がテリパラチドの作用と効
椎体骨折
椎体骨折
椎体骨折
(%) (形態) 2個以上(形態) (臨床)
0
大腿骨近位部
骨折
橈骨遠位端
骨折
51%
48%
20
40
60
47%
55%
80
90%
1個以上の椎体骨折を有する
閉経後骨粗鬆症患者2027名
果について論説されているので、本稿では対照
100
薬であるアレンドロネートのエビデンス(国内
図1. アレンドロネートの骨折抑制効果(リスク低下率)
1
障害とアドヒアランス(服薬遵守・継続)が低
を2時間に設定した場合:それぞれ2.32% vs.
いことが問題であったが、週1回製剤(毎日製
0.78%)10)、②アレンドロネート投与による1年
剤よりも嗜好性・利便性に優れる)が登場しこ
の腰椎骨密度増加率は、海外試験(10mg/日)
れらの問題は改善され
4)
, 5)
, 6)
A-TOP研究会
医療法人厚生会 福井厚生病院 リハビリセンター長 古澤 修章
当院での骨粗鬆症治療の現状:A-TOP研究会に参加して
、現在では週1回
と国内試験(5mg/日)で同等であること(そ
製剤が主流となっている。しかし、長期治療で
れぞれ5.4% vs. 6.2%、図2)11), 12)が明らかにさ
顎骨壊死・非定型大腿骨骨折が発生する症例が
れている。また、わが国の原発性骨粗鬆症患者
病院紹介
患が圧倒的に多いのが特徴です。当院ではリハ
、効率よく骨折を抑制し、
におけるアルファカルシドールを対照薬とした
当院は福井市の南東部の郊外に位置した208
ビリスタッフが理学療法士、作業療法士、言語
有害事象の発生を最小化するために、治療期間
2年間の臨床試験により、アレンドロネートの
床のケアミックス病院です。内科、外科、整形
療法士あわせて66名おりとても充実しておりま
椎体骨折抑制効果が確認されている(リスク低
外科、精神科を中心に急性期から回復期にいた
す。手術も主に高齢者が対象となるため、周術
下率:66%) 。この効果は、海外の閉経後骨
るあらゆる患者様を受け入れております。当院
期も検査、内服調整などにて準備に時間がかか
粗鬆症患者におけるプラセボ対照の臨床試験の
は昭和58年に開設され、昨年4月で30周年を迎
ることが多く、術前は床上でのリハビリテーシ
結果と同等である(図3) 。
えました。病院開設以降、当グループでは、健
ョンを行い、術後は回復期病棟にてリハビリテ
の半量に設定されている。①閉経後女性に対す
臨床研究により、アレンドロネートについ
診センター、訪問看護・介護サービス、通所サ
ーションをさらに強化しております。また近隣
る単回投与(10mg)試験により、アレンドロ
て、①閉経後骨粗鬆症患者において、エルカト
ービス、デイケア、サービス付き高齢者住宅な
の医院との病診連携、病院との病病連携も密に
ネートの生物学的利用率は、日本人はアメリカ
ニンに比べて疼痛・QOLの改善効果に優れる
どを充実させ、地域に根差した「医療・介護・
行い、地域連携パスなども運用してリハビリテ
うけることができました。現在のJOINT-04に
下での治療を減らすための川上での治療が重要
福祉の複合体」を目指しています。新病棟増築
ーションを中心に「寝たきりを作らない」とい
なって新たに追加された開眼片足起立、3m up
になってくると考えられます。当院でも地域
治癒に影響を与えないこと 、③血清
基本プランが平成26年3月にまとまり、今後の
う目標を掲げて診療を行っております。
and goなどの身体能力測定、血圧測定などもス
性、患者層から、骨粗鬆症治療はさらに重要性
25(OH)D低値の閉経後骨粗鬆症患
プラン実現に向けて検討を重ねている段階で
タッフの協力でこなせるようになり、40症例以
が増してくると思われます。現在のJOINT-05
者では、骨密度増加は十分でないこと
す。
A-TOP研究会への参加
上の登録と非常に低い脱落率の実績を残せてお
は重症度の高い骨粗鬆症患者が対象とのこと
16)
、④70歳以上の骨折リスクの高い閉
福井県が健康長寿県であることに違わず、当
A-TOP研究会の存在を知り、参加を決定し
ります。
で、当院にも対象と思われる患者様が多く来院
経後骨粗鬆症患者において、アルファ
院も患者様は地域の高齢者が非常に多く、90歳
たのはJOINT-03が行われていたころです。初
また本研究に参加することで私自身、骨粗鬆症
しております。まだ参加については検討中です
カルシドールとの併用は、荷重骨(大
以上の超高齢者でも一人で歩いて来院される方
めは高齢者の割合が高く、対象患者も多い当
治療に対する意識が大きく変化し、リスクの高
が前向きに考えていきたいと思っています。骨
腿骨・骨盤・下腿骨)の骨折抑制や椎
も数多くおられます。
院であれば症例を集めるのはそれほど困難で
そうな患者様には骨塩定量検査、X線検査など
粗鬆症外来、骨粗鬆症リエゾンサービスなど取
体既存骨折が2個以上あるいはSQグ
中でも整形外科は特に高齢者が多く、大腿骨
はないと考えていました。しかし当研究に携
をこちらから積極的に勧め、ライフスタイルと
り組みたいことが数多くありますが、整形外科
レード3の患者における椎体骨折抑制
頚部骨折、脊椎圧迫骨折など骨粗鬆症関連疾
わる医師は私1人であり、時には1日100人
状態に合った内服、注射などの治療を提案し、
医1名の現在ではなかなか実現が困難となって
を超える外来患者を診療しな
定期的にフォローしていくようになってきまし
おります。しかし今後もA-TOP研究をはじめ、
、⑤原発性骨粗鬆症患
がら、患者様に同意を得て登
た。また患者様からも検査値の改善がみられる
骨粗鬆症治療に鋭意携わっていきたいと考えて
者において、エルデカルシトールとの
録、アンケート、検査などを
と大変感謝され、治療継続のモチベーションに
います。
併用は大腿骨頚部骨密度の増加に有用
こなしていくのは非常に大変
もつながっています。さらに年次総会などで、
報告されて以来
7)
, 8)
9)
すなわち休薬について議論がなされている 。
13)
国内の臨床試験・研究
13)
わが国ではアレンドロネートの投与量は海外
14)
こと 、②橈骨遠位端骨折患者において、骨折
人の約3倍高いこと(服薬から食事までの時間
15)
(%)
7
6
投
与
前
値
か
ら
の
変
化
率
アレンドロネート5mg(国内)11)
6.2%
5.4%
5
アレンドロネート10mg(海外)12)
4
3
2
アルファカルシドール
(国内)11)
1
0
−1
プラセボ
(海外)12)
0
3
6
9
12 (月)
図2. 腰椎骨密度増加率の比較 海外10mg vs. 国内5mg
アレンドロネート群が良い
対照群が良い
に効果的であること(A-TOP研究会
JOINT-02)
17)
医療法人厚生会 福井厚生病院 〒918-8135 福井県福井市下六条町201 TEL 0776-41-3377
海外骨折介入試験a)(椎体骨折なし)
であること(eADVANCED study)
な労力とモチベーションが必
自らが参加した研究成果を知ることで臨床にフ
閉経後骨粗鬆症
18)
などが報告されている。また、⑥
要であるということが次第に
ィードバックできており、A-TOP研究会への参
海外骨折介入試験b)(椎体骨折あり)
閉経後骨粗鬆症
骨折の危険性の高い原発性骨粗鬆症患
わかってきました。それでも
加は非常に意義のあったものであったと考えて
者において、テリパラチド週1回製剤
何とか患者登録が軌道に乗る
います。
で18ヵ月治療後、ビスホスホネートで
ようになってきたのは整形外
治療を継続すると、腰椎および大腿骨
科外来の看護スタッフの協力
今後の展望
近位部の骨密度はさらに増加すること
があったからです。忙しい業
骨粗鬆症はそれ自体による症状が乏しいた
19)
務の中、実に要領よく患者フ
め、患者様自身の意識、医療機関の治療意欲が
ォロー、検査誘導などを行っ
低いのが現状であると思います。しかし骨折が
てくれました。この甲斐あっ
起こってからの治療には大きな医療費を費やす
てJOINT-03では登録数表彰を
ことになり、医療費削減が求められる現在、川
海外第Ⅲ相試験c)
閉経後骨粗鬆症
(椎体骨折なし/あり)
国内臨床試験(2年)
原発性骨粗鬆症
(vs. アルファカルシドール)
0.34
合計
48%骨折リスク低下
0.1
0.3
0.5
0.8
も報告されている
1
。
椎体骨折相対リスク
a) Black DM, et al. Lancet 1996; 348: 1535-41.
b) Cummings SR, et al. JAMA 1998; 280: 2077-82.
c) Liberman UA, et al. N Engl J Med 1995; 333: 1437-43.
ビスホスホネート(BP)の治療期間
図3. 椎体骨折抑制効果(メタアナリシス)
今般、長期治療でみられる顎骨壊死
2
整形外科外来スタッフ(前列中央が筆者)
4
JOINT-05の参加施設を
募集しています!
※参加希望の場合は、
ぜひお問合せ下さい。
5
障害とアドヒアランス(服薬遵守・継続)が低
を2時間に設定した場合:それぞれ2.32% vs.
いことが問題であったが、週1回製剤(毎日製
0.78%)10)、②アレンドロネート投与による1年
剤よりも嗜好性・利便性に優れる)が登場しこ
の腰椎骨密度増加率は、海外試験(10mg/日)
れらの問題は改善され
4)
, 5)
, 6)
A-TOP研究会
医療法人厚生会 福井厚生病院 リハビリセンター長 古澤 修章
当院での骨粗鬆症治療の現状:A-TOP研究会に参加して
、現在では週1回
と国内試験(5mg/日)で同等であること(そ
製剤が主流となっている。しかし、長期治療で
れぞれ5.4% vs. 6.2%、図2)11), 12)が明らかにさ
顎骨壊死・非定型大腿骨骨折が発生する症例が
れている。また、わが国の原発性骨粗鬆症患者
病院紹介
患が圧倒的に多いのが特徴です。当院ではリハ
、効率よく骨折を抑制し、
におけるアルファカルシドールを対照薬とした
当院は福井市の南東部の郊外に位置した208
ビリスタッフが理学療法士、作業療法士、言語
有害事象の発生を最小化するために、治療期間
2年間の臨床試験により、アレンドロネートの
床のケアミックス病院です。内科、外科、整形
療法士あわせて66名おりとても充実しておりま
椎体骨折抑制効果が確認されている(リスク低
外科、精神科を中心に急性期から回復期にいた
す。手術も主に高齢者が対象となるため、周術
下率:66%) 。この効果は、海外の閉経後骨
るあらゆる患者様を受け入れております。当院
期も検査、内服調整などにて準備に時間がかか
粗鬆症患者におけるプラセボ対照の臨床試験の
は昭和58年に開設され、昨年4月で30周年を迎
ることが多く、術前は床上でのリハビリテーシ
結果と同等である(図3) 。
えました。病院開設以降、当グループでは、健
ョンを行い、術後は回復期病棟にてリハビリテ
の半量に設定されている。①閉経後女性に対す
臨床研究により、アレンドロネートについ
診センター、訪問看護・介護サービス、通所サ
ーションをさらに強化しております。また近隣
る単回投与(10mg)試験により、アレンドロ
て、①閉経後骨粗鬆症患者において、エルカト
ービス、デイケア、サービス付き高齢者住宅な
の医院との病診連携、病院との病病連携も密に
ネートの生物学的利用率は、日本人はアメリカ
ニンに比べて疼痛・QOLの改善効果に優れる
どを充実させ、地域に根差した「医療・介護・
行い、地域連携パスなども運用してリハビリテ
うけることができました。現在のJOINT-04に
下での治療を減らすための川上での治療が重要
福祉の複合体」を目指しています。新病棟増築
ーションを中心に「寝たきりを作らない」とい
なって新たに追加された開眼片足起立、3m up
になってくると考えられます。当院でも地域
治癒に影響を与えないこと 、③血清
基本プランが平成26年3月にまとまり、今後の
う目標を掲げて診療を行っております。
and goなどの身体能力測定、血圧測定などもス
性、患者層から、骨粗鬆症治療はさらに重要性
25(OH)D低値の閉経後骨粗鬆症患
プラン実現に向けて検討を重ねている段階で
タッフの協力でこなせるようになり、40症例以
が増してくると思われます。現在のJOINT-05
者では、骨密度増加は十分でないこと
す。
A-TOP研究会への参加
上の登録と非常に低い脱落率の実績を残せてお
は重症度の高い骨粗鬆症患者が対象とのこと
16)
、④70歳以上の骨折リスクの高い閉
福井県が健康長寿県であることに違わず、当
A-TOP研究会の存在を知り、参加を決定し
ります。
で、当院にも対象と思われる患者様が多く来院
経後骨粗鬆症患者において、アルファ
院も患者様は地域の高齢者が非常に多く、90歳
たのはJOINT-03が行われていたころです。初
また本研究に参加することで私自身、骨粗鬆症
しております。まだ参加については検討中です
カルシドールとの併用は、荷重骨(大
以上の超高齢者でも一人で歩いて来院される方
めは高齢者の割合が高く、対象患者も多い当
治療に対する意識が大きく変化し、リスクの高
が前向きに考えていきたいと思っています。骨
腿骨・骨盤・下腿骨)の骨折抑制や椎
も数多くおられます。
院であれば症例を集めるのはそれほど困難で
そうな患者様には骨塩定量検査、X線検査など
粗鬆症外来、骨粗鬆症リエゾンサービスなど取
体既存骨折が2個以上あるいはSQグ
中でも整形外科は特に高齢者が多く、大腿骨
はないと考えていました。しかし当研究に携
をこちらから積極的に勧め、ライフスタイルと
り組みたいことが数多くありますが、整形外科
レード3の患者における椎体骨折抑制
頚部骨折、脊椎圧迫骨折など骨粗鬆症関連疾
わる医師は私1人であり、時には1日100人
状態に合った内服、注射などの治療を提案し、
医1名の現在ではなかなか実現が困難となって
を超える外来患者を診療しな
定期的にフォローしていくようになってきまし
おります。しかし今後もA-TOP研究をはじめ、
、⑤原発性骨粗鬆症患
がら、患者様に同意を得て登
た。また患者様からも検査値の改善がみられる
骨粗鬆症治療に鋭意携わっていきたいと考えて
者において、エルデカルシトールとの
録、アンケート、検査などを
と大変感謝され、治療継続のモチベーションに
います。
併用は大腿骨頚部骨密度の増加に有用
こなしていくのは非常に大変
もつながっています。さらに年次総会などで、
報告されて以来
7)
, 8)
9)
すなわち休薬について議論がなされている 。
13)
国内の臨床試験・研究
13)
わが国ではアレンドロネートの投与量は海外
14)
こと 、②橈骨遠位端骨折患者において、骨折
人の約3倍高いこと(服薬から食事までの時間
15)
(%)
7
6
投
与
前
値
か
ら
の
変
化
率
アレンドロネート5mg(国内)11)
6.2%
5.4%
5
アレンドロネート10mg(海外)12)
4
3
2
アルファカルシドール
(国内)11)
1
0
−1
プラセボ
(海外)12)
0
3
6
9
12 (月)
図2. 腰椎骨密度増加率の比較 海外10mg vs. 国内5mg
アレンドロネート群が良い
対照群が良い
に効果的であること(A-TOP研究会
JOINT-02)
17)
医療法人厚生会 福井厚生病院 〒918-8135 福井県福井市下六条町201 TEL 0776-41-3377
海外骨折介入試験a)(椎体骨折なし)
であること(eADVANCED study)
な労力とモチベーションが必
自らが参加した研究成果を知ることで臨床にフ
閉経後骨粗鬆症
18)
などが報告されている。また、⑥
要であるということが次第に
ィードバックできており、A-TOP研究会への参
海外骨折介入試験b)(椎体骨折あり)
閉経後骨粗鬆症
骨折の危険性の高い原発性骨粗鬆症患
わかってきました。それでも
加は非常に意義のあったものであったと考えて
者において、テリパラチド週1回製剤
何とか患者登録が軌道に乗る
います。
で18ヵ月治療後、ビスホスホネートで
ようになってきたのは整形外
治療を継続すると、腰椎および大腿骨
科外来の看護スタッフの協力
今後の展望
近位部の骨密度はさらに増加すること
があったからです。忙しい業
骨粗鬆症はそれ自体による症状が乏しいた
19)
務の中、実に要領よく患者フ
め、患者様自身の意識、医療機関の治療意欲が
ォロー、検査誘導などを行っ
低いのが現状であると思います。しかし骨折が
てくれました。この甲斐あっ
起こってからの治療には大きな医療費を費やす
てJOINT-03では登録数表彰を
ことになり、医療費削減が求められる現在、川
海外第Ⅲ相試験c)
閉経後骨粗鬆症
(椎体骨折なし/あり)
国内臨床試験(2年)
原発性骨粗鬆症
(vs. アルファカルシドール)
0.34
合計
48%骨折リスク低下
0.1
0.3
0.5
0.8
も報告されている
1
。
椎体骨折相対リスク
a) Black DM, et al. Lancet 1996; 348: 1535-41.
b) Cummings SR, et al. JAMA 1998; 280: 2077-82.
c) Liberman UA, et al. N Engl J Med 1995; 333: 1437-43.
ビスホスホネート(BP)の治療期間
図3. 椎体骨折抑制効果(メタアナリシス)
今般、長期治療でみられる顎骨壊死
2
整形外科外来スタッフ(前列中央が筆者)
4
JOINT-05の参加施設を
募集しています!
※参加希望の場合は、
ぜひお問合せ下さい。
5
JOINT-05 への参加について
JOINT-05参加医師募集中
や非定型骨折の発生を抑制するために、
経口(5年以上)または 静注(3年以上)BP製剤で
治療中の閉経後女性(ただし10年未満)
ビスホスホネートの治療期間が議論され
ている。ASBMRのLong-term BP Task
大腿骨近位部, 椎体 または 複数の骨粗鬆性骨折の既往または新規発生
forceにより、ビスホスホネート治療は5
<HV
年行った時点で、椎体あるいは大腿骨近
BP製剤による治療の継続
または 代替薬への変更
2∼3年ごとに検査
位部骨折の既往・新規発生があるかまた
は大腿骨近位部骨密度Tスコア<−2.5の
または
骨折高リスク(年齢・危険因子・FRAX)
BP製剤による治療を10年継続
または 代替薬への変更
2∼3年ごとに検査
20)
されている(図4) 。
おわりに
予想される高齢者の脆弱性骨折とそれに
大腿骨近位部骨密度 Tスコア ≦ −2.5
<HV
場合などには、継続が必要であると提案
超高齢社会であるわが国で増加すると
1R
1R
休薬を検討
2∼3年ごとに検査
ASBMR Long Term BP Task Force
図4. BP製剤で⻑期治療中の閉経後⼥性に対するマネージメント
:アルゴリズム
11. Shiraki M, et al. A double-masked multicenter comparative study
between alendronate and alfacalcidol in Japanese patients with
osteoporosis. The Alendronate Phase III Osteoporosis Treatment
Research Group. Osteoporos Int 1999; 10: 183-92.
12. Liberman UA, et al. Effect of oral alendronate on bone mineral
density and the incidence of fractures in postmenopausal
osteoporosis. The Alendronate Phase III Osteoporosis Treatment
Study Group. N Engl J Med 1995; 333: 1437-43.
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increase in bone mineral density with alendronate treatment in
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teriparatide injection – Follow-up study of teriparatide once-weekly
efficacy research (TOWER) trial –. Curr Med Res Opin 2013; 29:
195-203.
20. ASBMR 2014 Task Force on managing osteoporosis patients after
long-term bisphosphonate treatment.
伴う要介護・寝たきりを防ぐためには、最適
な医療の普及と継続は必要である。アレンドロ
ネートは骨粗鬆症治療において第1選択薬の一
つであることに異論はないが、JOINT-05研究
により、
“骨折リスクの高い原発性骨粗鬆症患
者”に対して、脆弱性骨折をより効果的に抑制
できる治療法が提案されるものと期待される。
文献
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Osteoporos Int 2000; 11: 556-61.
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once daily dosing with alendronate. Maturitas 2004; 48: 243-51.
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and Mineral Research. J Bone Miner Res 2010; 25: 2267-94.
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10. アレンドロネート5㎎申請概要. 吸収、分布、代謝、排泄.
3
JOINT-05は、COIを明確とした契約臨床研究となるため、すべての参加施設と公益財団とで、
受委託研究契約を締結します。この契約により、明確なCOI管理が実現され、医師主導臨床研究
として、国内に誇れる研究実施システムを構築して運用します。
JOINT-05では、セキュリティ向上のため、データ収集にEDC(Electronic Data Capture)
を導入します。そのため、被験者登録、割付等は、原則Web上で実施しますので、インターネッ
ト環境が必要です。Web上での症例登録となる事で、24時間登録が可能となります。
JOINT-04までのJOINT-studyとは、参加施設条件、研究実施システム、協力業者等が異なっ
ております。A-TOP研究会のホームページのJOINT-05の内容をよくご確認ください。
JOINT-05に参加するには
JONT-04に参加している施設でも改めて、参加申請手続きが必要となります。A-TOP研究会の
ホームページの「JOINT-05 参加申請」より、手続きをしてください。Web上の参加申請画面
で、必要事項を記入した後、プリントアウトし、署名(自署)捺印したものを、事務局へ送付し
てください。
資料の請求
〒169-0051 東京都新宿区西早稲田1丁目1番7号
公益財団法人パブリックヘルスリサーチセンター 骨粗鬆症至適療法研究支援事業事務局
TEL:03-5287-2638 FAX:03-5287-2634 E-MAIL:[email protected]
A-TOP研究会のホームページ(http://www.a-top.jp/)
JOINT-05 研究の概要
A-TOP
TOP NEWS
6
Vol.
Adequate Treatment of Osteoporosis
A-TOP研究会ニュース Vol.6 No.3
2015年5月
発行人:A-TOP研究会 実行委員会 会長 折茂 肇
連絡先:公益財団法人パブリックヘルスリサーチセンター
骨粗鬆症至適療法研究支援事業事務局
〒169-0051 東京都新宿区西早稲田1-1-7
TEL:03-5287-2638 FAX:03-5287-2634
アレンドロネートのエビデンス
~国内データを中心に~ 慶應義塾大学医学部スポーツ医学総合センター 岩本 潤
はじめに
の臨床試験・研究のデータを中心に)について
骨粗鬆症は「骨強度
レビューし、今般議論されているビスホスホネ
の低下によって、骨折
ートの治療期間について述べる。
のリスクが高くなる骨
の障害」と定義され、閉経後女性に多発する。
アレンドロネートの軌跡
骨粗鬆症に関連する(脆弱性)椎体および大腿
閉経後骨粗鬆症患者を対象としたアレンド
骨近位部骨折は、健康寿命を縮めるばかりでな
ロネートの第III相臨床試験であるFracture
1)
く、死亡率をも高めることから 、これらの骨
Intervention Trial(FIT)により、①1個以上
研 究 課 題
骨折リスクの高い原発性骨粗鬆症患者に対する骨粗鬆症治療薬の骨折抑制効果検証試験
− 週1回テリパラチド製剤とアレンドロネート製剤の群間比較試験 −
折を抑制することは重要である。脆弱性骨折の
の椎体骨折を有する患者において、椎体(形
抑制には、カルシウム・ビタミンD栄養状況の
態・臨床)骨折および大腿骨近位部・橈骨遠位
研 究 期 間
2014年10月∼2019年6月(57ヶ月)
症例登録期間:2014年10月∼2017年3月(30ヶ月)、観察期間:120週(約28ヶ月)
改善のもと、薬物治療は必須である。日常診療
端骨折を抑制すること(図1)2)、②椎体骨折
では患者の年齢や骨折リスクに応じて骨吸収
のない患者において、初発椎体(形態)骨折を
「週1テリパラチド(72週)+アレンドロネート(48週)
」投与群、
「アレンドロネート(120週)」投与群
抑制剤が第1選択薬として広く使用されている
抑制すること3)が確立され、アレンドロネート
が、骨形成促進剤であるテリパラチドは重症骨
は第1選択薬として処方されている。
粗鬆症(添付文書によると、骨折の危険性の高
朝・水・30分(起床時にコップ一杯の水で服
い骨粗鬆症:低骨密度・既存骨折・加齢・大腿
用し、少なくとも30分は横にならない)で服用
骨近位部骨折の家族歴などの骨折の危険因子を
する必要があるため、毎日製剤では上部消化管
0
治 療 群
高骨折リスク
骨粗鬆症
24
48
72
週1回テリパラチド 72週
96
ALN
120
48週
アレンドロネート(ALN) 120週
目標症例数
1,800例/2群(各群900例)
主要評価項目
新規椎体(形態)骨折発生率(72週時点)
新規椎体(形態)骨折発生率および非椎体(臨床)骨折発生率(120週時点)
副次評価項目
非椎体(臨床)骨折発生率(72週時点)
、新規椎体(臨床)骨折発生率、増悪椎体骨折発
生率、骨密度、変化率、QOL(EQ-5D など)変化率、骨構造解析 など
適 格 基 準
臨床研究参加の文書同意が得られ、以下の基準を全て満たす患者を対象とする。
① 日本骨代謝学会 原発性骨粗鬆症の診断基準(2012年度改訂版)に基づき原発性骨粗
鬆症と診断された患者
② 同意取得時の年齢が満年齢75歳以上の日本人患者
③ 閉経後女性
④ 自立歩行(独歩および一本杖歩行、歩行器歩行)が可能な患者
⑤ 以下のいずれかを満たす患者
・骨密度が、YAMの60%未満または−3.3SD未満の患者
・登録時点で第4胸椎(Th4)∼第4腰椎(L4)に2個以上の椎体骨折を有する患者
・Grade 3の骨折を有する患者
・大腿骨近位部骨折の既往を有する患者
有する患者)が適応となる。わが国で開発され
たテリパラチド週1回製剤の非椎体(臨床)骨
折の抑制効果などを検証する目的で、「骨折リ
スクの高い原発性骨粗鬆症患者に対する骨粗鬆
症治療薬の骨折抑制効果検証試験-週1回テリ
パラチド製剤とアレンドロネート製剤の群間比
較試験-」が、A-TOP研究会により開始され
ている(JOINT-05研究)
。A-TOP NEWS Vol.
6 No.2で田中栄先生がテリパラチドの作用と効
椎体骨折
椎体骨折
椎体骨折
(%) (形態) 2個以上(形態) (臨床)
0
大腿骨近位部
骨折
橈骨遠位端
骨折
51%
48%
20
40
60
47%
55%
80
90%
1個以上の椎体骨折を有する
閉経後骨粗鬆症患者2027名
果について論説されているので、本稿では対照
100
薬であるアレンドロネートのエビデンス(国内
図1. アレンドロネートの骨折抑制効果(リスク低下率)
1