ニキビ

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2015
5
2015 May
ニキビ
ニキビは、顔や胸、背中など、毛穴の多い場所にできやすい「吹き出もの」
です。
ありふれた皮膚の病気で、日本では90%以上の人がなる1)ため生理的変化と捉えられがち
ですが、
「尋常性ざ瘡
(じんじょうせいざそう)
」と呼ばれる皮膚病のひとつです。皮脂の分泌が盛んな思春期に多い
病気ですが、成人以降になることもあります。
ニキビの原因 2,3)
ニキビの原因は、主に毛穴に皮脂が溜まり、ふさがった毛穴の中で皮膚にいる菌(アクネ菌)が増殖し、炎症が起こること
によります。アクネ菌は、誰の皮膚にもいる菌で通常は無害な菌ですが、皮脂が多いところで過剰に増加すると、ニキビの原
因になります。
ニキビには、思春期に起こるものと成人になってから起こるものがあります。
原因
できやすい箇所
思春期のニキビ
思春期には
「アンドロゲン」
というホルモンの働きが
活発になることで、皮脂の分泌が過剰になり、毛穴
に溜まりやすくなるため。
成人のニキビ
皮膚に老廃物が蓄積され、
毛穴がふさがることによ
る。
( 睡眠不足や不規則な生活、間違ったスキンケ
ア、
月経前のホルモンバランスの乱れなどが関係す
ると考えられる)
額や鼻など皮脂の分泌量の多い箇所
(Tゾーン)
あごや頬、
口のまわりなど
(Uゾーン)
、
首下など肌が
乾燥して毛穴が開きにくくなっている箇所
ニキビのタイプ 2,3)
ニキビには、毛穴に皮脂が詰まっただけの初期のものから、炎症を起こして赤く腫れている重症のものまで、いくつかの
タイプがあります。
ニキビの種類
重症度
白ニキビ
面皰(めんぽう)
軽傷
黒ニキビ
赤ニキビ
紅色丘疹
中等度
(こうしょくきゅうしん)
膿をもったニキビ
(黄色ニキビ)
膿疱(のうほう)
ニキビ跡
瘢痕(はんこん)
重症
どのような状態か
ニキビの最初の段階。毛穴に皮脂が詰まっている状態。白∼乳白色に
見える。
詰まった毛穴に穴が開き、ニキビの患部の皮脂が空気にさらされ、酸化
して黒っぽくなったもの。
白・黒ニキビの中でアクネ菌が増殖し、炎症が起きた状態。
ニキビの周りが赤く腫れあがる。
赤ニキビの炎症が進んで周囲まで広がり、
膿をもった状態。
膿の色から「黄色ニキビ」と呼ばれる場合もある。
さらに悪化すると膿の袋ができたり、
硬く盛り上がったりすることもある。
強い炎症のニキビの跡に凸凹が残ることがある。
2015 年 5 月号
ニキビの治療
どのタイプのニキビであっても自分でつぶしたりしてはいけません(皮膚科で治療目的でつぶすことはあります)
。
むやみに患部に触れたり、刺激を与えたりすると、
ニキビの炎症が悪化する恐れがあります。
ニキビは痕を残さないためにも、悪化する前に治療することが重要です。
早めに皮膚科を受診しましょう。
主なニキビの薬
病院では、ニキビの原因となる毛穴のつまりを防ぐ薬や、炎症の原因となるアクネ菌を抑える薬などが主に処方され
ます。
最近、
海外では古くから使われていた
「過酸化ベンゾイル」
を含む薬が日本でも使われるようになりました。
薬が効くしくみ
薬のタイプ
主な薬(処方薬)
レチノイド
毛穴がふさがる原因となる皮膚の角化を防ぐ。
<塗り薬>ディフェリンゲル
過酸化ベンゾイル
ニキビの原因となるアクネ菌を抑える。
また、毛穴がつまる原因となる古い角質を取り除く。
<塗り薬>ベピオゲル、
デュアック配合ゲル(抗菌薬との配合剤)
抗菌薬
ニキビの原因となるアクネ菌を抑える。
<塗り薬>ダラシンT、アクアチム、ゲンタシン、
アクロマイシン
<飲み薬>ミノマイシン、
ビブラマイシン
イオウ製剤
毛穴につまった古い角質を取り除く。
<塗り薬>イオウ・カンフルローション
薬局で購入できる市販薬はたくさんの種類があります。
「ニキビ治療薬」に含まれている主な有効成分は次の通りです。
薬選びの参考にしてください。
炎症を抑える成分
イブプロフェンピコノール、グリチルリチン酸、アラントイン など
アクネ菌を抑える成分
イソプロピルメチルフェノール、レゾルシン など
角質をやわらかくし、毛穴のつまりをとる成分
イオウ、サリチル酸 など
ニキビの予防法2,4)
洗顔
毛穴の汗やほこり、
余分な皮脂などを落とすため
1日2回洗顔する。洗顔料はしっかり泡立て優しく
洗います。ゴシゴシ洗って、皮膚の保護や保湿に
必要な皮脂まで落としてしまうのは逆効果なので
注意します。
また、
洗顔料は顔に残らないようによ
く洗い流しましょう。
肌の乾燥に注意
洗顔後は、肌の乾燥を防ぐために、化粧水、乳液、保湿薬などで保
湿をしましょう。肌の水分を保つことで角質層がやわらかくなり、
毛穴がふさがりにくくなります。
【参考文献】
紫外線に対するケア
肌へのダメージを抑えるため、日焼け止め
などで対策をしましょう。
ストレスをためない
十分な睡眠をとる
ストレスや睡眠不足は疲れの原因となり、
皮膚にも負担になるので気をつけましょう。
便秘にならないように注意する
便秘が原因でニキビがひどくなる場合があります。食物繊維など
を適度にとり、
バランスの良い食事を心がけましょう。
1)林伸和ら:日本皮膚科学会ガイドライン 尋常性痤瘡治療ガイドライン:日皮会誌:118(10)
,1893―1923,2008
2)マルホ:ニキビの治療.com http://www.maruho.co.jp/kanja/nikibi/
3)ライオン:健康きれいナビ ニキビ http://kknavi.lion.co.jp/symptom/pimple/ 4)ガルデルマ・塩野義製薬:ニキビは皮膚科へ.jp http://www.nikibi-hifuka.jp/