平成26年度 都立高島高等学校全日制課程 学校経営報告 校長 近藤 剛 1.平成26年度の取組目標(平成26年度の学校経営計画より) (1)目指す学校像 「中堅の進学校として、文武両道を実現する。 」 ① 自ら学ぶ力を育てる高島高校。 ② 生徒一人ひとりの希望する進路を実現する高島高校。 ③ 文化・スポーツ教育を通して人間力を育成する高島高校。 ④ 規範意識を育み、地域に信頼される高島高校。 (2)中期的目標と方策 「学習指導、生活指導、進路指導」が一体となった、教育活動の組織的な展開を目指す。 ① 教員の授業力を高め、生徒の学力向上を図る。 ② 学習指導と進路指導を連結させ、進学実績の向上を図る。 ③ 自主性、規律を重んじ、個性豊かで創造力を持ち、健康で感性豊かな生徒の育成を図る。 ④ 部活動、生徒会活動等を通して、帰属意識を定着させる。 ⑤ 地域活性の拠点校として、貢献活動を推進し、地域、社会との連帯を目指す。 ⑥ 開かれた学校運営体制の定着を図る。 2.今年度の教育活動への取組と自己評価 (1)学習指導 ①今年度より本格実施となった「学力スタンダード」事業に対応し、本校では「学力向上推進委 員会」が主導し、定期考査の共通問題化や重要事項の年間を通した出題を通して、生徒の学力 向上に向けた組織的な取組を行った。また、OJTを活用した学習指導の工夫を各教科で実践 し、学力到達度の向上に繋げた。目標に掲げた教員相互の参観については、学校全体として組 織的な取組とまでは言えない。今後、学校運営連絡協議会との連携を含めて活性化させ、授業 改善に生かしたい。 ②朝学習は、3年間を見通した計画に従って各学年共に実施した。特に、1学年では週に一回「N IE」に取組み、読んで・考え・書くという言語活動の充実に向けた取組を行っている。 ③生徒の自学自習習慣の定着を補完するため、学年での取り組みとして自習室や図書館の活用を 促進したが、学校全体での組織的な取組には至っていない。 ④学習指導や進学指導に関する学びの場としての「教員向けセミナー」への参加が、小論文指導 方法にとどまらず、将来的な高大接続や、キャリア教育などにも積極的な参加があった。また、 教科での取組みとして長期休業日中の参加があった。 ⑤国語科を中心として読書活動に取り組んだ。今後は、図書委員会とも連携を図りさらに充実し た取組にしたい。 ⑥学習指導に関する数値目標 ・生徒の学力を高めるため、授業研究、教科内、教科を超えた研修を充実させ、教員のスキル アップを継続した結果、研究授業についての目標値25回以上については、外部にも公開し た研究授業は18回だったが、内部での研究授業を含めると25回を達成した。また、校内 -1- 研修会は若手教員対象の管理職主催によるものだけでも目標値である2回を行い、その他外 部の講師を招いての研修会を含めると5回以上行った。 ・生徒の肯定的な学校満足度は目標値の90%に近いが、授業満足度は目標値そのものが決し て高くなく(60%)今後に向けての課題と言える。 ・自学自習時間(1日1時間以上)については、1学年50%、2学年60%、3学年70% の目標値を設定したが、全学年とも下回っている。 (2)進路指導 ①日々の授業を大切にして学校全体で授業時間の確保に努めた。また、キャリア教育を含めた3 年間を見通した進路指導全体計画に基づき、各分掌や各委員会との連携を密に図り、様々な取 組を実践した。 ②総合的な学習の時間におけるキャリア教育の内容を充実させ、自学自習の習慣を身に付けるこ とができるように工夫を凝らしたが、1年次において具体的な進路目標を持たせるまでには至 っていない。 ③学習部は過去の反省点を活かし、合宿の参加者を昨年度に比べ倍増させた。また、更なる発展 に向け、成果や課題を検証した結果、次年度は、国語・数学・英語の3教科から3人ずつと英 語検定担当の合計10人が顧問となり、部員の募集方法や活動内容についても精選させた活動 を行う。 ④土曜講習や夏期講習など講習のあり方全体について検証し、1年生を対象とした学習意欲の高 い生徒を対象とした英語科の補習を始めたり、 「日東駒専突破講座」や修学旅行を終えた時期 からの「3年0学期講習」を始めたりした。 ⑤スタディサポートをはじめとする学力分析結果に基づく情報交換会を、職員会議をはじめ様々 な機会に行うことで、生徒の状況について教員全体の共有化を図り、部活動単位でも受験サプ リを意図的に導入するなど組織的に生徒の進路意識の高揚に向けた取組が行われた。 ⑥進路指導に関する数値目標 ・進路指導部と学年、教科が連携して進路指導にあたり、進学実績の向上を図ることを目標に 以下の通りの結果となった。 ○土曜講習(通年)延べ200講座以上、夏季講習55講座以上 →延べ合計73講座(ただし、年度途中より『日東駒専突破講習』及び『2学年ゼロ学期 講習』に名称及び内容を変更したため、統計方法に変更が生じたため。 ) ○四大現役進学率70%以上→65% ○国公立大学(高専・短大含む)進学者実数3名以上→0名 ○超難関私立大学(早慶上理)進学者実数5名以上→3名 ○難関私立大学(GMARCH)進学者実数8名以上→6名 ○中堅上位大学(日東駒専・武蹊成明学等)進学者実数24名以上→30名 ○中堅大学(大東亜帝国日体等)進学者実数32名以上→40名 (3)生活指導・健康づくり ①目標を達成するための多くの方策を学校経営計画に従い実施した。その主なものは、毎朝の立 ち番指導における挨拶励行・身だしなみ指導・遅刻や駐輪指導をはじめ、通年で全ての機会を 通しての頭髪違反と年間遅刻15回以上ゼロ運動、授業規律についての指導の定着、挨拶の励 行、美化活動の推進、集会での校歌斉唱などによる帰属意識の定着、毎回の集会時での自転車 -2- のルール・マナー指導、保護者や家庭との連携を通して食育指導、歯の健康指導、学校保健委 員会並びに各関係機関の教育力を活用した健康づくり教育や人権尊重教育・安全教育の実施、 生徒理解を深めるための研修会の実施などを組織的に実施した。 ②その結果、全学年で年間15回以上の遅刻は、理由の明確な生徒5名にとどまった。3年間皆 勤生徒数は32名(昨年度比+10) 、1年間皆勤生徒数1学年83名(+3) 、2学年97名 (+47) 、3学年67名(+31)となった。 ③基本的な生活習慣は、部活動主導の生活規律向上の取組が功を奏しており、規律と秩序ある生 活態度を堅持し、集団生活や社会生活を送るための規範意識の高揚と深化が図られ、自主自律 の精神が育まれてきた。特別指導件数は年間10件未満で、大変落ち着いた学校と言える。そ の一方、自転車併走等の交通ルールやマナーに対する苦情は根絶に至らず、社会人としての規 律・規範を確実に身に付けさせることが引き続き課題となっている。 ④生徒会活動については、生徒会を中心として部活動の協力も得て、中部フェスタ(特別支援学 校との交流)への参加や、学校説明会の参加等が高く評価されている。また、複数の部活動に よる交通安全運動キャンペーンなどへの参加や、雪かき、落葉清掃活動、町内会との協働で行 う災害訓練など、近隣住民や高島特別支援学校等諸機関から好評価をいただいている。 ⑤学校評価のアンケートによると、80%の生徒は、 「学校での生活規律(頭髪、服装、遅刻)を 守らない生徒への指導は厳しい」と感じている一方、保護者の生活指導に対する理解度は8 0%に達し、規律と秩序ある生活態度の堅持に向けた生徒への厳しい指導は高く評価されてい る。 ⑥生活指導に関する数値目標 ・規範意識の高揚と深化を図った結果、頭髪指導はゼロの目標に対して数人の指導を行った。 年間遅刻15回以上はゼロを目指し、実質上ゼロ人を達成した。また、生徒・保護者の生活 指導理解度は90%を目標値としたが、生徒・保護者とも概ね達成した。 (4)部活動・学校行事等 ①部活動全員加入を強力に働きかけた結果、1年生の加入率は100%を超えた。また、部活動 への定着を担任とも連携を図った指導を繰り返し、定着度が確実に上向き、目標の95%を達 成した。 ②部活動が相互に切磋琢磨することで、意識の高揚を図り活動実績の向上に繋げた。地域の方に 向けた学校評価アンケートの配布を部活動の生徒に委ね、生徒の実態を見ていただけるように した結果、部活動の生徒に対する高い評価を多くいただくことができた。 ③関東大会への出場は陸上競技部と女子バレーボール部、 写真部の3部で目標の2部を上回った。 また、都大会上位10部の目標に対しては、それに近い成果を挙げ、部活動の活動実績を上げ ることができた。 ⑤オリンピック教育推進校として、インターハイの総合開会式への生徒の出場や大会運営などを 本校生徒が支え表彰され、推進校としての責任を果たした。 ⑦学校行事等の運営を通してHR、生徒会、委員会活動の主体的な取り組みを推進し、自発性、 帰属意識を高めようとしているが、学校評価アンケートの結果では、改善の余地がある。 (5) 地域貢献・広報活動 ①教科「奉仕」及び部活動による地域清掃活動を継続した結果、学校評価アンケートなどにおい て地域からの評価は高い。 -3- ②隣接の都立高島特別支援学校とは、吹奏楽部による音楽鑑賞教室を毎年行っており、体育館棟 の工事に伴っては、本校の施設を貸与した。また、高島平警察署や、地域の自治会、地域の保 育園など地域主催行事に積極的に部活動などが参加し、地域貢献に努めた。 ④生徒会、部活動、進路体験活動等で近隣の小学校や中学校、特別支援学校との交流を継続し、 さらに推進した。また、学校開放事業を引き続き行うとともに、本校の防災活動支援隊が地域 の防災訓練に参加して、地域連携に貢献している。 ⑤募集活動・広報活動は、 広報情報部を中心に全教職員と生徒による中学校訪問も実施した結果、 中学生とその保護者の目線に立つ広報活動を行うことができ、入学選抜応募倍率はすべて目標 値を上回ることができた。 ・推薦入試応募倍率の男子目標4.0倍を上回る5.0倍(26年度4.27倍) ・推薦入試応募倍率の女子目標4.0倍を上回る4.3倍(26年度3.73倍) ・学力入試応募倍率の男子目標1.4倍を上回る1.6倍(26年度1.55倍) ・学力入試応募倍率の女子目標1.4倍を上回る1.6倍(26年度1.24倍) (6)学校組織体制 ①学校運営に資するため、学校運営連絡協議会での意見を教職員に浸透させるとともに、学校評 価アンケート結果を吟味し活用していくことがさらに必要である。 ②予算の計画、執行をはじめ、広報・募集対策、読書活動、学校開放事業など、経営企画室と一 体となった運営を推進した。 ③経営企画室は、新たに始まった就学支援業務に関しても担任団と協力体制を構築し、事故なく 行った。 3.次年度以降の課題と対応策 (1) 高い次元での文武両道が実現できるように、学力面と部活動や委員会活動をさらに活性 化させる必要がある。 (2) 「都立学校学力スタンダード」事業を、学力向上推進委員会で扱い、円滑に進めてきた。 今後は、学力向上推進委員会が中心となりつつも、教科会や学習部との連携をさらに密 にして、意図的・計画的な学力向上に向けた取組みを学校全体で進める。 (3) 進路指導部と学力向上推進委員会や、総合委員会が連携・協力して、キャリアガイダンスや 講習体制等の充実を図り、進学対応の期待に応える中堅進学校として、進路実績を向上させ る。 (4) 生徒の学力は、生徒の学習に対する意欲を喚起させるような「総合的な学習の時間」の 取組を通して向上させ、実力テストや本校が意欲的に取り組んでいる補習補講体制を活 用して、学力の定着や学力の向上に結び付ける。 (5) 生活指導部を中心に、学校全体で統一した基準のもと、生徒の規範意識や公共の精神等を育 成するよう組織的な生活指導と望ましい学習環境を実現していく。 (6) 部活動を辞めた生徒への指導を引き続き充実させる。 (7) 安定した応募倍率を維持できるよう特色ある教育活動や進学指導、部活動等を積極的に発信 し、効果的な募集・広報活動を全教職員の協力体制のもと推進する。 (8) 奉仕体験活動や防災活動支援隊、さらには、生徒会や部活動単位での地域行事への参加等を 通じて、地域貢献活動を充実させ、地域活性や防災の拠点校として、地域を支え、地域に貢 献し、地域から支持される学校づくりを進める。 -4-
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