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平成26年度共同研究講座活動実績報告書
共同研究講座名:生体食品機能学講座
所
1
属
長
:
吉
川
敏 一
共同研究講座の目的
タカラバイオ株式会社の開発した機能性食品素材等に関する生体内での生理機能の解析等の共同研
究を実施するため
2
報告年度に係る取組状況
アガロオリゴ糖は寒天の主成分であるアガロースの酸加水分解により産生されるオリゴ糖であ
る.本共同研究講座におけるこれまでの研究成果により,アガロオリゴ糖が抗酸化酵素であるheme
oxygenase-1(HO-1)の発現亢進を介した抗炎症作用を発揮することで,腸管炎症の抑制や薬剤性潰
瘍の予防に関して有用であることを見出してきた.本年度は,アガロオリゴ糖のさらなる機能性開
発を目指し,①腸内環境改善効果,および②大腸発がん抑制作用について実験を行った.
腸内環境改善効果に関しては,脂肪食摂取に起因する腸内環境の変遷を是正する効果が認められ
た.具体的には,高脂肪摂取に伴うBacteroides属の上昇ならびにLactobacillus属の減少を抑制する効
果が観察された.さらに,アガロオリゴ糖の摂取により,盲腸内容物重量の増加ならびに盲腸内乳
酸濃度が上昇することを見出した.
大腸発がん抑制作用の評価に関しては,アゾキシメタン(発がんinitiator)と高脂肪食(発がん
promoter)による大腸発がんモデルを使用した.異常陰窩数の計測により大腸発がんの評価を行っ
た結果,アガロオリゴ糖の摂取により大腸発がんが抑制されることを見出した.
3
報告年度における著書、論文、学会発表、講演、研究助成等の実績
著書
1. Naito Y, Takagi T, Harusato A, Higashimura Y, Yoshikawa T: Chapter 14, Heme oxygenase-1 induction
inhibits intestinal inflammation: Role of food factors. Clinical Aspects of Functional Foods and
Nutraceuticals. 2014; pp 185-193.
2. 東村泰希,内藤裕二,髙木智久,谷村祐子,水島かつら,春里暁人,福居顕文,寄木浩行,半
田修,大野木宏,吉川敏一:非ステロイド性抗炎症薬惹起性小腸潰瘍に対するアガロオリゴ糖
の予防効果.Vitamins (Japan). 2015; 89(2): 53-55.
原著論文
1. Higashimura Y, Naito Y, Takagi T, Tanimura Y, Mizushima K, Harusato A, Fukui A, Yoriki H, Handa
O, Ohnogi H, Yoshikawa T. Preventive effect of agaro-oligosaccharides on non-steroidal
anti-inflammatory drug-induced small intestinal injury in mice. J Gastroenterol Hepatol. 2014;29:310-7.
2. Kondoh M, Shimada T, Fukada K, Morita M, Katada K, Higashimura Y, Mizushima K, Okamori M,
Naito Y, Yoshikawa T. Beneficial effects of heat-treated Enterococcus faecalis FK-23 on high-fat
diet-induced hepatic steatosis in mice. Br J Nutr. 2014;112:868-75.
3. Naito Y, Takagi T, Higashimura Y. Heme oxygenase-1 and anti-inflammatory M2 macrophages. Arch
Biochem Biophys. 2014.
学会発表
1. Higashimura Y, Naito Y, Takagi T, Mizushima K, Ohnogi H, Yoshikawa T. Oligosaccharides from agar
ameliorate intestinal inflammation through the induction of heme oxygenase-1 expression in
macrophages. The 32nd Annual Meeting of the Japanese Society for Cytoprotection & Cytobiology
(2014).
2. 東村泰希、内藤裕二、大野木宏、工藤庸子、安井まどか、乾星菜、吉川敏一: ラット抗がん剤
誘発脱毛モデルにおけるガゴメ昆布由来フコイダンの保護作用.第17回日本補完代替医療学
会学術集会(2014)
3. 東村泰希、内藤裕二、高木智久、水島かつら、大野木宏、工藤庸子、安井まどか、乾星菜、吉
川敏一:アガロオリゴ糖は腸管バリア機能の調節を介して腸管炎症を抑制する.第12回日本
機能性食品医用学会総会(2014)