心臓CT検査における最適撮影条件 最適撮影条件の検討

9 心臓CT検査における最適撮影条件
最適撮影条件の検討
公立大学法人 大阪市立大学医学部附属病院 中央放射線部
○大瀬俊一 中村 敦 渡辺晋一 吉田梨影
【目的】
冠動脈CTでは,患者の体格に応じた撮影線量
撮影線量の調整により,画像ノイズをコントロールするこ
とが可能であるが、その性状を把握するにはより高
高い鮮鋭度が必要である.今回,更なる画質向
上を目的として,撮影条件(画像スライス厚、再構成関数
再構成関数)が画質に与える影響について検討する. 【使用機器】 CT装置:SIEMENS SOMATOM Sensation64 標準心臓撮影条件(メーカ推奨条件):管電圧120kV 120kV,管電流770eff.mAs,0.33sec/r,
0.6mm*64,HP0.2,画像スライス厚0.75mm,再構成関数
再構成関数(B25)
【方法】
①十分な撮影線量,造影により撮影を行った場合
場合,撮影条
0.75mm
0.6mm
件の変更(画像スライス厚0.75mm,0.6mm)が画質
画質(分解
能とノイズ)に与える影響について検討した.
②体格の大きい患者において,不十分な撮影線量
撮影線量,造影
で撮影となった場合,撮影条件の変更(再構成関数 再構成関数B25,
CT値
429
430
B20)により,分解能を維持したまま画質改善が可能
可能である SD
14.2
22.5
Fig.1 スライス厚の影響
か検討した.
(CT値とSDの変動)
【結果】
①冠動脈内(左冠動脈主幹部)のSDが20以下となる
となる十
分な撮影線量,造影により撮影した場合,画像スライス
スライス
厚を0.75mmから0.6mmに変更することで画像ノイズ
ノイズ
(SD)は増加する.しかし,薄いスライスにより高い
い分解
能を得ることができ画質を向上させることができた
させることができた.特に
プラークや石灰化部分といった病変部分について
について,より
薄いスライスによりその近傍部分や形状がより明瞭
明瞭に描
出可能であった(Fig.2).
②不十分な撮影線量,造影となった場合,分解能
分解能を維持
するために画像スライス厚は0.75mmとし,再構成関数
再構成関数
をよりスムーズな関数(B20又はB10)とすることで
とすることで画像ノ
イズを低下させることができ診断能を維持することができ
することができ
た.
0.75mm
0.6mm
0.75mm
0.6mm
Fig.2 スライス厚の影響
(石灰化病変とプラーク病変)
【まとめ】
・画像SDを考慮することで,画像スライス厚を薄くしても
くしても低コントラスト分解能を低下させることなく冠動
脈内の性状評価の向上が可能であった.
・十分な造影効果と画像SDが得られなかった場合
場合には,再構成関数を変更することで,ノイズ量と分
解能のバランスを保持することができ,診断能を低下
低下させることなく冠動脈内を描出可能であった.