リチウムイオン電池

Ashland Inc. 製特殊添加剤の品揃えを活かし、お手持ちの
リチウムイオン電池
の性能を最適に
負極黒鉛用水系結合剤 Aqualon ™、Bondwell ™
Ashland は、広い範囲のセルロースエーテルを扱う世界有数のサプライヤです。弊社は、リチウム
イオン電池(LiB)市場のニーズに応えるべく、カルボキシメチルセルロース(CMC)製品を独自
に開発し、Aqualon、Bondwell の両ブランド名でお届けしています。
Aqualon、Bondwell の両 CMC は、レオロジー変性剤、水系結合剤としての用途を想定したものです。
スチレンブタジエン(SB)だけでは、黒鉛粉末は、コーティングのレオロジーやスラリーの安定
性を十分に引き出すことができません。そこで、これらの CMC を SB ラテックスへ配合することで、
銅コレクタへの活性黒鉛の結合強度を向上させるのが通例です。Aqualon、Bondwell の両 CMC は、
銅箔のコーティングの高速・効率化を図るものです。
製造販売されている CMC のグレード−負極において、スラリーの調製、黒鉛の結合の両効果を向
上させるもの
置換度(DS)
粘度(1% 溶液、
CPS)1
pH
純度
(%)2
Aqualon Aqu
D-5283 CMC
0.65-0.9
6,200-9,000
6.5-8.5
>99.5
• スラリーの安定性が抜群なので、加工
が安定。
• 水へ溶解しやすいので、加工が迅速。
• 黒鉛−負極間の接着強度が向上するの
で、セルの寿命が長い。
• セルの不活性成分をできるだけ少なく
しているので、用量効率が大きい。
Aqualon Aqu
D-5139 CMC
0.82-0.95
5,700-9,000
6.5-8.5
>99.5
• スラリーのレオロジーが優れているの
で、加工が安定。
• 黒鉛−負極間の接着強度が向上するの
で、セルの寿命が長い。
• 最終段階のセルは、0.5C レートにおい
て、容量維持率が強力(インピーダン
スが低い)。
Aqualon Aqu
D-5284 CMC
0.8-0.95
2,500-4,500
6.5-8.5
>99.5
• 水へ溶解しやすいので、加工が迅速。
• 中間相人造黒鉛(MAG)と混合するこ
とで、セルの電気化学的特性が最適化。
Bondwell
BVH8 CMC
0.8-0.95
800-1,200
6.5-8.5
>99.5
• 天然黒鉛(例:中国産)と混合するこ
とで、セルの電気化学的特性が最適化。
製品名
1
2
利点
ブルックフィールド型粘度計、スピンドル 4、30 rpm
純度(代表値)= 100 -(塩化ナトリウム % + グリコール酸ナトリウム %)
With good chemistry great things happen.™
Ashland 製 CMC は、高純度で、繊維を含まないことから、下記を根拠に負極用結合
剤に選定された
工程内
• 黒鉛粒子の分散が抜群に優れ、結合剤の分布が均質。
• コーティングの優れたレオロジーを確保(せん断レオロジーが高い、低いのいずれも)。
• 水系スラリーから欠陥を含まない黒鉛電極を生成。
セル内
• 天然・人造黒鉛、標準的なラテックス共結合剤のいずれとも親和性に優れる。
• 生成された膜は柔軟かつ頑丈なので、黒鉛−銅コレクタ間の結合が長持ちする。
• 下記の電気化学的性能を確保。
– 電解質の優れた浸透効果。
– 充電容量、クーロン効率が大きい。
– 容量維持率が大きいので、サイクル性能に優れる。
– インピーダンスが低いので、0.5C におけるレート能力に優れる。
Aqualon 製品は、要求される理想のレオロジーを備えたスラリーを調製することで、負極の完全
なコーティングを果たします。Aqualon 製品のこのような能力は、図 1 から証明されます。図 2
は、各種の CMC 結合剤を用いた場合の、黒鉛スラリーの沈降試験を表しています。h0 は試験開始
時のスラリーの高さ、h は 5 日間保存後の高さです。分子量、置換度、置換パターンの最適な組
み合わせが長期安定性を発揮する上でいかに重要であるかを証明するため、Aqualon Aqu D-5283、
D-5139、D-5284 の各 CMC に加え、内部基準用として Ashland Aqu D-5152 CMC も投入しました。
Aqualon ™または Bondwell ™の各種 CMC と製造販売されている SB ラテックスとを 1:1.5 の割合で
混合し、固体度 40% の水系黒鉛スラリーを調製し、半コインセルを用い、スラリーのレオロジー、
スラリーの安定性、電気化学的性能を評価しました。
Ashland Aqu
Aqu
D-5283
D-5283
CMC
Ashland Aqu
Aqu D-5139
D-5139
CMC
Ashland Aqu
Aqu D-5284
D-5284
CMC
Bondwell
BVH8CMC
BVH8
100000
CMC の粘度が大きいほど、ス
ラリーの粘度が大きく、スラ
リーの安定性に優れている。
粘度(cps)
10000
h0
1000
100
1.00
10.00
ずり速度(1/秒)
100.00
Aqualon
1% 粘度(cps)
Aqu D-5283 CMC
8000
Aqu D-5139 CMC
6500
Aqu D-5284 CMC
4000
Bondwell BVH8 CMC
1100
h
D-5139
D-5283
D-5284
BVH 8
D-5152
図 1 −高純度タイプの Aqualon Aqu D CMC は、 図 2 − Aqualon Aqu D-5283、D-5139、D-5284 の
他の追随を許さないスラリーのレオロジー特性 各 CMC は、抜群のスラリー安定性を発揮する
を発揮する
Aqualon ™、Bondwell ™の両 CMC は、SB ラテックスと混合することで、優れた接着強度が証明され
ています。
1. MAG 黒鉛(例:日本産 MAG)において、Aqualon Aqu D-5283 CMC の方向性能が最も優れている
様子が窺える(図 3)。
2. 天然黒鉛(中国産)において、Aqualon Aqu D-5283 CMC の方向性能が最も優れている様子が窺
えるが、Bondwell BVH8C CMC も強力な性能を発揮している(図 4)。
各種CMC/SBラテックス-Aを含浸した場合のMAG黒鉛負極の接着強度
(MAG黒鉛/CMC/SBラテックスの組成比は100/1/1.5)
各種CMC + SB結合剤を含浸した場合の天然黒鉛の接着強度
(天然黒鉛/CMC/SB結合剤の組成比は100/1/1.5)
0.80
1.20
0.70
1.00
0.50
接着強度(gf/mm)
接着強度(gf/mm)
0.60
0.40
0.30
0.80
0.60
0.40
0.20
0.20
0.10
0.00
Ashland
Aqu
Aqu D-5284
D-5284 CMC
Ashland
Aqu
Aqu D-5139
D-5139 CMC
Ashland
Aqu
Aqu
D-5283
D-5283 CMC
図 3 −人造黒鉛との優れた接着強度
Bondwell
Bondwell BVH8
CMC
0.00
Ashland
Aqu
Aqu D-5284
D-5284 CMC
Bondwell
BVH8
Ashland
Aqu
Bondwell BVH8C
Aqu D-5139
CMC
D-5139 CMC
各種CMC
各種 CMC
Ashland
Aqu
Aqu D-5283
D-5283 CMC
図 4 −天然黒鉛との優れた接着強度
Ashland 製 CMC を用いて調製したコインセルの電気化学
Aqualon Aqu D-5283 CMC、Aqualon Aqu D-5139 CMC のいずれかを用いて調製したコインセルは、他
のグレードの CMC(製造販売されている競合品グレード「HV-A」
、
「MV-B」を含む)に比べ、イン
ピーダンス値が大幅に低いことが証明されています
(図 5)
。これらのセルの電気化学的特性の結果、
LiB 電池のセルは、Aqualon Aqu D-5283 CMC または Aqualon Aqu D-5139 CMC を含浸した方が、充電/
放電レート能力が優れています。
業界標準
Aqualon
HV-A MV-B Aqu D-5139 Aqu D-5283 Aqu D-5284
CMC
CMC
CMC
インピーダンス
(Rct.:電荷移動
抵抗)
297
228
119
75
243
図 5 − Aqualon Aqu D-5283、D-5139 の両 CMC の低いインピーダンス
コインセルはさらにサイクル性能試験にかけました。Aqualon Aqu D-5139、Aqu D-5283 の両 CMC は、
100 サイクルにわたり、0.05C の条件で、強力な容量維持率とクーロン効率を保証することが、図
6 から窺えます。さらに、充電レート 0.05C、0.20C、0.50C において、電気化学的試験をそれぞれ
5 サイクル行いました。Aqualon Aqu D-5139、Aqu D-5284 の両 CMC は、低い充電レートにおいて容
量維持率が極めて大きく、最も高い 0.5C でも約 80% までの降下に留まっています。
0.05C レート、室温(25°C)におけるサイクル性能
条件:
容量(mAh / g-1)
クーロン効率(%)
−固体充填量:5 mg/cm2
−膜厚:約 35 um
(銅箔を除く)
容量維持率
(%)
クーロン
効率(%)
サイクル数
@50
@100
@50
@100
Aqualon™
Aqu D-5139 Aqu D-5283
CMC
CMC
95.8
96.1
93.1
92.4
99.9
100
100
99.7
図 6 − Aqualon Aqu D-5139、D-5283 の両 CMC は、100 サイクル後も、
0.05C において、強力な容量維持率とクーロン効率が窺える(半セル)
レート能力
条件:
−固体充填量:10 mg/cm2
−膜厚:約 70 um
容量(mAh / g)
(銅箔を除く)
容量
Aqualon
Aqualon
Aqualon Bondwell™
維持率 Aqu D-5139 Aqu D-5283 Aqu D-5284 BVH8C
CMC
CMC
CMC
CMC
サイクル数
単位:%
0.05C
99
98
100
100
0.20C
98
91
98
93
0.50C
79
74
81
72
図 7 − Aqualon Aqu D-5139、D-5284 の両 CMC は、様々な充電
レートにわたり、強力な容量維持率が窺える
Aqualon Aqu D-5139、D-5284、D-5283 の 各 CMC、Bondwell BVH8 CMC は、 広
範囲に及ぶ Ashland 製 CMC の中から選び抜かれ、実用に供するごく一部の
製品に過ぎません。ほとんどの LiB 用途において、これらのグレードが抜群
に優れた選択肢である反面、特定のシナリオには代替製品が要求されること
も心得ています。弊社の技術専門家が、お客様のサポートを通じ、どのよう
な手法で Ashland 製 CMC を選定し、お客様のニーズに最大限お応えできる
かについては、お客様と取り引きのある Ashland 代理店へご確認ください。
正極用結合剤の加工に用いる Micropure ™ EG 溶剤
[email protected]
ashland.com
® 世界各国で登録された、Ashland またはその子会社の登録商標。
™ 世界各国で登録された、Ashland またはその子会社の商標。
© 2013 年、Ashland
PC-12122.2
本冊子に収載される一切の記述、情報、データは、正確、
信頼を期していますが、保証、明示保証、商品性の黙
示保証、特定目的に対する適合性の黙示保証、または、
明示か黙示かを問わず、Ashland Inc. ならびにその子会
社が法的責任を引き受けることの表明とは見なされま
せん。
Ashland は、負極の性能を向上させる結合剤をお届けするだけでなく、正極用
結合剤を加工する際に用いる溶剤のサプライヤとしても世界規模の実績を誇
ります。Micropure EG(電子材料グレード)溶剤は、高純度グレードの N −メ
チル− 2 −ピロリドン(NMP)であり、正極結合剤用のポリフッ化ビニリデ
ン(PVDF)溶液の調製に用いられます。Micropure EG 溶剤を用いて生成した正
極スラリーは、アルミ箔へのコーティングとして理想の特性を備えています。
Micropure EG 溶剤は同時に、溶剤回収システムへの使用も想定しています。
Micropure EG 溶剤は、ISO から認定され、世界に名を馳せる工場で製造され、LiB 市
場で要求される厳しい基準を満足しています。具体的な製品仕様を下記に挙げます。
• 低い色数 ≦ 20 APHA
• 低い含水量 ≦ 300 ppm1
• 低い金属含有量(例:ナトリウム)≦ 10 ppb
ご要望に応じて、完全な販売仕様書(23 種類の金属の試験を確認したもの)を承っ
ております。詳細は、お客様と取り引きのある Ashland 代理店へお問い合わせください。
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ご要望に応じて、含水量がさらに低い製品を承ります。