パラグアイ海外邦人安全対策情報 (平成26年10月~12月) 1 社会・治安情勢 10月16日、カニンデジュ県ビリャ・ウガティミ市でabc新聞社の記者でパブロ・メディナ(53歳) 氏と同行していたアントニア・アルマダ(19歳)氏が車両で走行中に射殺される事件が発生した。 この事件の容疑者の一人として、カニンデジュ県ウペフ市の市長ビルマル・アコスタ氏が殺害事件 を計画したとして殺人の容疑で現在も捜索されている。捜査関係者は今回の事件はメディナ氏が アコスタ市長の麻薬密輸関連を強く訴えていたことが原因とみて捜査しており、アコスタ市長の兄 弟も指名手配されている。 2 一般犯罪・凶悪犯罪の傾向 (1)国家警察庁がまとめた、平成26年度第3四半期(平成26年10月~12月)の犯罪認知件数 によると、総犯罪認知件数は4,844件であり、前年同期(平成25年10月~12月)と比較して2 68(前年度犯罪認知件数:4,576)件増加しています。犯罪種別の内容は以下のとおりです。 ① 殺人 358件 (前年同期比: 73件減) ② 傷害 610件 (前年同期比: 89件増) ③ 暴行・過失傷害 ④ 強姦・強制わいせつ 1,055件 (前年同期比: 22件増) 98件 (前年同期比: 50件減) ⑤ 強盗 836件 (前年同期比: 60件増) ⑥ 窃盗 1,642件 (前年同期比: 57件減) (2)主な事件概要 ○10月上旬 アスンシオン市内ショッピングセンターの駐車場にある銀行で、39歳の空軍に所属する男性が、 現金2,200万グアラニー(約47万円)を引出し、路上を歩いていたところ、オートバイで接近して きた2人組の男性に拳銃で襲撃され重傷を負う事件が発生した。被害者は所持していた現金を現 場付近の民家に投げ込んだため、現金は強奪されることはなかった。 ○10月上旬 セントラル県フェルナンド・デ・ラ・モラ市の路上で、国軍大統領府警備隊に所属する30歳の男 性が、道路脇に車を駐車して待機しているところをオートバイで接近してきた2人組の男に拳銃で 襲撃され重傷を負い、財布及び携帯電話を強奪される事件が発生した。目撃者によると、犯人グ ループは被害者が助手席においていた護身用の拳銃に気付き、発砲を行ったとの事である。 ○10月中旬 アスンシオン市カルメリータ地区の路上で、47歳の通行人男性が、オートバイで接近してきた2 人組の男に拳銃で脅迫され、携帯電話を強奪される事件が発生した。警察署の報告によると、被 害者が犯人の要求を聞こうとしなかったため、犯人の一人が脅迫するために空に向け発砲を行っ 1 たとの事である。被害者に怪我はなかった。 ○10月下旬 アスンシオン市内の路上で、不動産会社の職員2名が車両で会社の現金5,000万グアラニー (約110万円)を輸送していたところ、オートバイで接近してきた2人組の男に拳銃で脅迫され現 金を強奪された。 ○11月上旬 アスンシオン市サホニア地区の住宅で、男性が建築作業員を装い住居に侵入し、家政婦を拳銃 で脅迫し、プラズマテレビ数台、携帯電話、クレジットカード及び小切手を強奪する事件が発生し た。犯人グループは、家主からの依頼と偽り家政婦しかいない時間帯を狙い、住宅内に侵入して いた。 ○11月上旬 アスンシオン市ベリャ・ビスタ地区の路上で、43歳の通行人の男性がオートバイで接近してき た2人組の男に凶器で脅迫され、所持品の財布、携帯電話及び身分証明書を強奪される事件が 発生した。警察官の捜査で容疑者として25歳と29歳の男2人が逮捕され、2名とも犯罪経歴が ある事が確認された。 ○11月上旬 セントラル県リンピオ市の路上で、31歳の女性通行人がオートバイで接近してきた2人組の男 に発砲され重傷を負う事件が発生した。犯人グループは女性の所持品を強奪し逃走した。警察署 は女性が犯人の要求に抵抗したため発砲された可能性があると報告している。 ○11月上旬 アスンシオン市「メルカード・アバスト」市場内で、トラック運転手の36歳の男性が、車中で、2人組 の男に襲われ、現金1,000万グアラニーを強奪された。その後の警察署の捜査で、セントラル県 ビリャ・エリーサ市に住む18歳と19歳の男性2名が容疑者として逮捕され、所持品から犯行を行 った証拠品が見つかった。 ○11月上旬 アルト・パラナ県エステ市中心部に所在する宝石店で偽造クレジットカードを使用し、宝石商品 約4,000米ドル相当を購入しようとした、ドミニカ共和国国籍の男女が逮捕された。警察署の捜 査で容疑者等の所持品から偽造の疑いがあるクレジットカード9枚が見つかった。 ○11月中旬 セントラル県リンピオ市に位置する国道3号線で、27歳の新聞社に務める男性が取材現場で、 オートバイで接近してきた2人組の男に脅迫され、取材用のカメラを強奪される事件が発生した。 ○11月中旬 アルト・パラナ県サンタ・リタ市内のブラジル人農業経営者の住宅に、4人組の武装グループが 侵入し、被害者の車両を盗もうとしたが、警察官に包囲され、約8時間に渡って一家を人質にとる 事件が発生した。警察官との銃撃戦で犯人2名が射殺され、2名が逮捕された。被害者は無事に 救出された。警察官の調べで、容疑者等はブラジル国の刑務所を脱走したブラジル人と確認され 2 た。 ○11月下旬 セントラル県ルケ市の銀行にあるATMが爆発物で襲撃され、その一部が破壊される被害が発 生した。警察署は強盗未遂事件と報告し、現場付近に設置されている監視カメラの映像をもとに 犯人の確認を行っている。 ○11月下旬 セントラル県ルケ市の路上で、男性通行人が男に凶器で脅迫され所持品を強奪される被害が 発生した。その後の警察署の捜索で、29歳の男を容疑者とした逮捕した。その容疑者の所持して いた物から犯行に使用した凶器や強奪品が見つかった。 ○11月下旬 アルト・パラナ県ファン・レオン・マジョルキン市のブラジル人農業経営者の住宅に、3人組の男 が侵入するが、それに気付いた被害者が護身用に持っていた散乱銃で犯人グループに向け発砲 を行い、犯人グループはその場から逃走する事件が発生した。警察署の捜索で、被弾した犯人一 人が、自らの自宅付近で死亡しているのが確認された。 ○12月上旬 アスンシオン市内の住宅に2人組の男が侵入し、演劇の稽古をしていた女子学生13名と教員 1名が拳銃で脅迫され、携帯電話及び財布を強奪される被害が発生した。 ○12月上旬 アスンシオン市ビスタ・アレグレ地区の路上に駐車していた車両の窓ガラスが割られ、車内にあ った現金が強奪される事件が発生した。 ○12月中旬 プレシデンテ・アジェス県ビリャ・アジェス市内のATMが爆発物で襲撃され、現金4億2,000万 グアラニーが強奪された。現場には民間警備会社の警備員が派遣されていたが、犯人グループ が破壊力の高い武器で武装し、脅迫されたため抵抗は出来なったとの事である。 ○12月中旬 セントラル県マリアノ・ロケ・アロンソ市国道3号線20キロメートル地点にあるガソリンスタンド店 のATMが爆発物で襲撃され、現金7,020万グアラニー(約150万円)が強奪される事件が発生 した。 ○12月中旬 アルト・パラナ県エステ市シウダ・ヌエバ地区の住宅に数名の武装グループが侵入し、睡眠中 の夫婦を拳銃で脅迫する強盗事件が発生した。この事件で、被害者(38歳)の男性は、妻の面前 で犯人に射殺された。犯人グループは被害者が所有している車両を強奪し逃走した。 ○12月中旬 セントラル県サン・ロレンソ市の金融会社に、3人組の武装した男が侵入し、経営者と職員3名 を拳銃で脅し、現金2億グアラニーを強奪する事件が発生した。 ○12月中旬 3 アスンシオン市サホニア地区の路上で31歳の通行人男性が、車両で接近してきた男性にライ フル銃で脅迫され、車内に連れ込まれ現金370万グアラニー(約8万円)を強奪される事件が発 生した。被害者は犯人の隙をつき、車から逃げ出し、管轄の警察署に通報をした。 ○12月中旬 コルディリェーラ県サン・ベルナルディノ市内の湖水浴場の敷地内にある ATM が爆発物で襲撃 され、現金6,000万グアラニー(約130万円)が強奪された。現場を警備していた第16管轄警 察官は、家畜強盗被害があったとの通報を受けため現場を離れたが後にその通報が事実でなか ったことが判明し、これらは犯人による計画的な犯行とみて確認を急いでいる。 ○12月中旬 アスンシオン市クアトロ・モホネス地区の路上で、通行人の16歳の少年が2人組の男に凶器 で脅迫され携帯電話機とカバンを強奪される被害が発生した。被害者は犯人グループに凶器で 首部分を刺され重傷を負った。 ○12月中旬 アスンシオン市ビスタ・アレグレ地区の路上で、16歳の少女がオートバイで接近してきた2人 組みの男に拳銃で脅迫され、所持していた携帯電話を強奪される事件が発生した。 ○12月下旬 セントラル県ランバレ市プエルト・パブラ地区の路上で、22歳の男性が自宅付近でオートバイ で接近して2人組の男に拳銃で襲撃され、所持品を強奪された。被害者は被弾し負傷した。 ○12月下旬 アスンシオン市ピノサ地区の電化製品販売店に客を装い侵入した2人組みの男が、拳銃で店 員を脅迫し売上金を強奪する事件が発生した。 ○12月下旬 アルト・パラナ県エステ市内のビルの10階にある事務所に、武装した2人組の男性が侵入し 事務所の所有者である28歳の男性を拳銃で脅迫し、現金1,000万グアラニー(約20万円)を強 奪する事件が発生した。 3 テロ・爆弾事件等の発生状況 11月下旬、コンセプシオン県オルケタ市クエロ・フレスコ地域で、警察庁及び国軍の共同捜査 部隊員3名が乗った車両が爆発し、車内にいた軍人で34歳の中佐と39歳の士官が死亡し、麻薬 密輸対策庁SENADの捜査官が重傷を負った。当初は、爆発物を輸送していたとして事故と報告 されていたが、オートバイで走行していた不審者の存在があったとの情報から事件・事故の両面 で捜査を行っている。 4 誘拐・脅迫事件発生状況 4 12月下旬、コンセプシオン県ウブ・ジャウ市で、パラグアイ人民軍(EPP)に誘拐されていたア ルラン・フィック・ブレン(17歳)氏が、解放された。被害者は4月2日に、EPPに無理やり連れ去ら れ、267日間捕虜となっていた。被害者はウブ・ジャウ市の路上で解放され、現場付近に住む住 民に保護された。 5 日本企業の安全に関わる諸問題 今期は、特になし。 6 安全に関する情報 (1)パラグアイ国内の都市部では、オートバイを使用し、けん銃や凶器で脅迫の上、現金や携帯 電話を強奪する手口の強盗が多発しています。また、銀行や金融機関に出入りする顧客を狙った 強盗も多く発生しています。移動中等は、不審なオートバイが近付いてきていないか等、周囲の 状況を常に確認するようにし、警戒の意識を保ちながら行動しましょう。 (2)アマンバイ県とブラジルの国境付近においては、麻薬組織関係者の縺れが原因と見られる殺 人事件が多く発生していますので、これらの事件に巻き込まれないよう、十分に注意する必要が あります。 5
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