[三多摩腎疾患治療医会] 第69 回研究会 プログラム および 演題要旨 *当日、参加費壱千円を徴収させて頂きます。 平成27 年 6 月 14 日(日) 於:杏林大学大学院講堂 三多摩腎疾患治療医会 [第 69 回研究会 2015 年 6 月 14 日(日) プログラム] 13:00~16:40 於:杏林大学大学院講堂 <開会の辞> Ⅰ. 一般演題 座長:有村義宏 理事長 (発表 8 分 長 澤 俊 彦 討論 3 分) 13:00-13:05 13:05-15:06 13:05-13:38 1.『IgA 腎症に抗糸球体基底膜抗体型腎炎を合併した1例』 東京医科大学八王子医療センター腎臓内科:小島糾、尾田高志、藤井理恵、小松秀平、 山形瑛、大島泰斗、廣瀬剛、須藤泰代、冨安朋宏、 山田宗治、吉川憲子、吉田雅治 2.『腎膿瘍に由来する横紋筋融解症から急性腎障害を呈した 1 例』 立川相互病院 腎臓内科 齋藤彩香、小川亜季、大石学、鈴木創、形山憲誠、小泉博史 3.『腎機能が正常な症候性高 Mg 血症に対し血液浄化療法を施行した一例』 東京都立多摩総合医療センター 腎臓内科:小西真樹子、戸島範之、齋藤麻里絵、 宮崎崇、齊藤弥束、古荘泰佑、川村美波、平澤卓、土岐徳義、 九鬼隆家、紀平裕美、羽田学、西尾康英 座長:西尾康英 13:38-14:22 4.『エコー下腕神経叢ブロックを施行して VAIVT(vascular access intervention therapy)を 行った症例の検討』 東京都立多摩総合医療センター内科:羽田学、紀平裕美、西尾康英、九鬼隆家、 土岐徳義、平澤卓、齊藤弥束、古荘泰佑、小西真樹子、宮崎崇、 川村美波、齋藤麻里絵、戸島範之 東京都立多摩総合医療センター麻酔科:貴家基 5.『当透析センターにおけるインシデント・アクシデントの現状と課題』 杏林大学医学部付属病院 腎・透析センター、第一内科 片山満代、濵井章、渡辺恭子、曹由美、千々和京介、平松佐紀子、山田裕信、 軽部美穂、要 伸也、西川あや子、有村義宏 6.『血液透析における抜針検知システムの開発(第4報)』 杏林大学大学院 保健学研究科:山内大輔 杏林大学保健学部 臨床工学科:宮内哲 杏林大学保健学部 臨床工学科 血液浄化療法学:須田健二、副島昭典 7.『アクションカードを利用した地震発生時の対応』 府中腎クリニック、八王子東町クリニック、南大沢パオレ腎クリニック:森野正大、 藤井美香、小林雅子、中川奈美、大塚律子、富永正志、小杉繁、 杉崎健太郎、杉崎弘章 座長:安藤亮一 14:22-15:06 8.『生体腎移植を増やすには~移植患者を紹介する立場より~』 公立福生病院 腎臓病総合医療センター:濱耕一郎、櫛山武俊、中林巌 9. 10. 『生体腎移植を増やすには~移植患者を紹介される立場より』 東京医科大学八王子医療センター消化器外科・移植外科:岩本整、今野理、 横山卓剛、木原優、中村有紀、河内茂行 公立福生病院腎臓病総合医療センター:濵耕一郎、中林巌 『シナカルセト塩酸塩の誘導する副甲状腺細胞のアポトーシス機序の解析』 東海大学医学部付属八王子病院:都川貴代、巽亮子、石田真理、角田隆俊 11.『透析導入時における貧血と鉄代謝に関する検討』 武蔵野赤十字病院 腎臓内科、透析センター、日本透析導入研究会:岩本俊輔、 藤木珠美、山さとみ、大西剛史、島崎雅史、安藤亮一、重松隆 ∞∞∞ Ⅱ.『総 Coffee Break ∞∞∞ 15:06-15:20 会』 15:20-15:40 理事長 長澤俊彦 Ⅲ. 特別講演 15:40-16:40 座長:安藤亮一 『鉄代謝から考える腎性貧血治療-慢性腎臓病における“鉄の囲い込み”』 兵庫医科大学内科学 腎・透析科 中西 健 先生 <閉会の辞> 副理事長 要 伸也 16:40-16:45 【演題要旨】 1. 『IgA 腎症に抗糸球体基底膜抗体型腎炎を合併した1例』 東京医科大学八王子医療センター腎臓内科:小島糾 症例は 66 歳女性。数年持続する血尿、蛋白尿を主訴に 2012 年 11 月に当院を受診した。経 過から CGN を疑い、2014 年 3 月に腎生検を施行し IgA 腎症の診断に至った。その後 10 月の 外来受診時に血尿、蛋白尿の増悪に加えて Cr 値の急激な上昇(1.04mg/dl→4.53mg/dl )を 認めたため、各種自己抗体を測定したところ、抗 GBM 抗体が 116EU と高力価で検出された。 臨床所見、経過から抗 GBM 抗体型腎炎の合併と診断し、ステロイドパルス療法、血漿交換(計 8 回)施行した。治療開始 4 週間後に施行した腎生検で線維細胞性半月体形成、基底膜におけ る IgG 沈着(linear pattern)を確認した。腎死は免れなかったが、肺胞出血や感染症など 致死的合併症を引き起こすことなく、上記治療により寛解が得られた。IgA 腎症に抗 GBM 抗体 型腎炎を合併した報告は極めて稀有である。若干の文献的考察を加えて報告する。 2.『腎膿瘍に由来する横紋筋融解症から急性腎障害を呈した 1 例』 立川相互病院 腎臓内科:齋藤彩香 症例は 86 歳男性。陳旧性心筋梗塞にて他院通院中、腎障害の指摘はなかった。入院 2 日前 の夕方に悪寒が出現、入院同日朝より両下肢脱力を伴うようになり、介助歩行も困難となっ たため前医に救急搬送され、入院となった。入院時両側大腿内側に把握痛を認め、WBC/CRP 21900/17.8 と高い炎症、BUN/Cre 35.5/2.11 と腎機能障害、高 CK 血症を伴い、尿所見は、尿 比重 1.010, 尿潜血 3+であった。敗血症、横紋筋融解症と急性腎障害の疑いで治療を開始。 無尿となり代謝性アシドーシスを合併したため、第 2 病日に急性血液浄化療法が開始された 上で、当院転院となった。当院転院時、尿中ミオグロビン 3400ng/ml, プロカルシトニン 121ng/ml と高値で、造影 CT にて腎膿瘍の診断に至った。高齢で低心機能であることから観血 的処置はリスクが高いと判断し、メロペネム投与による保存的加療を継続する方針となった。 炎症は改善傾向で CT でも膿瘍の縮小を確認した。また第 8 病日より自尿が得られるようにな り、第 15 病日に血液透析を離脱した。細菌感染症に由来する横紋筋融解症は比較的稀な症例 と考えたため、報告する。 3.『腎機能が正常な症候性高 Mg 血症に対し血液浄化療法を施行した一例』 東京都立多摩総合医療センター 腎臓内科:小西真樹子 【症例】70 歳女性【主訴】意識障害【現病歴】X-1 日に大腸内視鏡検査のためマグネシウム 緩下剤を内服し,X 日に意識障害,全身脱力をきたし当院に救急搬送となった.来院時,JCS Ⅱ-10,BP 146/83mmHg,HR 79 /分,RR 20 回/分,SpO2 93%(O2 6L),心電図変化は認めなか った.精査の結果,高 Mg 血症(Mg 15.2mg/dL)が原因であった.腎機能は正常であったが,症 候性の高 Mg 血症に対して緊急透析の適応と判断し血液濾過透析を施行した.透析中に多量の 硬便と下痢便を排出した.透析後は Mg 4.8mg/dL 台まで低下し,その後 Mg の再上昇を認めな かった.【考察・結語】腎機能障害者では高 Mg 血症をきたしやすく,当院で経験した症候性 高 Mg 血症の 4 症例はいずれも腎機能障害を合併していた.腎機能正常者に発症した意識障害 を伴う高 Mg 血症に対して透析療法を施行した一例を経験した. 4.『エコー下腕神経叢ブロックを施行して VAIVT(vascular access intervention therapy) を行った症例の検討』 東京都立多摩総合医療センター内科:羽田学 【目的】VAIVT 時の疼痛は,しばしば問題となる.我々は,「無痛 VAIVT」を目指し,エコー 下腕神経叢ブロック(以下エコー下ブロック)を施行した VAIVT 症例の検討を行った. 【対象と方法】2011 年 4 月から 2013 年 12 月,当院でエコー下ブロック VAIVT を行った 58 例 を対象とし,成功率,疼痛の有無,橈骨動脈の攣縮,そして血管拡張に伴う血腫形成につい て検討した.攣縮については,非ブロック群と比較した.VAIVT 成功は,翌日,血液透析が問 題なく行えたかどうかで判定した. 【結果】VAIVT 成功率は,98.2%.疼痛と血腫形成を各 1 例ずつ認めた.攣縮は,非ブロック 群と比較して差はなかった。ブロックに関連した合併症はなかった. 【考察と結語】エコー下ブロックは,安全性が高く,ほぼ「無痛 VAIVT」が達成できた.しか し,血管攣縮の予防はできず、無痛となる分血管破裂等の合併症により注意が必要となる. 5.『当透析センターにおけるインシデント・アクシデントの現状と課題』 杏林大学医学部付属病院 腎・透析センター:片山満代 【目的】当透析センターにおけるインシデント分析を行い、今後の対策と課題を明らかにす る。 【方法】2011 年 4 月~2014 年 3 月までに発生したインシデント・アクシデントレポートを集 計し、分析を行った。 【結果】総数は 160 件、年度別ではそれぞれ 55 件、27 件、33 件,45 件であり、報告者の内 訳は看護師 131 件(81.8%)、医師 2 件(1.3%)、臨床工学技士 27 件(16.9%)であった。 透析医療事故の全国調査に準じた内容別では、体重測定ミス 30 件、抗凝固剤以外の投薬ミス 22 件、採血などの検査 18 件、抜針事故 16 件、基本的操作ミス 15 件、不適切な除水設定 11 件であった。患者影響レベルは、レベル 1 ~3 がそれぞれ 114 件、239 件、36 件、針刺しが 1 件であった。透析経験年数は、看護師は 5.38 年(±5.0)で勤務者平均 9.18 年よりも短かっ たが、臨床工学技士は 7.97 年(±6.3)と勤務者平均 6.56 年よりやや長かった。曜日別では 金曜が 34 件、次に月曜 30 件、土曜 27 件の順に多かった。 【まとめ】インシデント事例の分析を通じて、業務改善と再発予防に繋げていきたい。 6.『血液透析における抜針検知システムの開発(第4報)』 杏林大学大学院 保健学研究科:山内大輔 【目的】本研究では抜針検知システムの開発を行っており、第 68 回研究会で第 3 報の発表を 行った。今回は前回までの電気的インピーダンスを用いたものとは異なるシステムを用いて 実験、検討を行った。本システムでは抜針の検出にリードスイッチ(磁界に反応し内部のス イッチが開閉する素子:LS)を用いた。針の移動が起こると警報を発する機構となっている。 【方法】穿刺針に磁石を固定し、その上から LS を装着したバンドを腕に巻く。このとき内部 のスイッチが閉じた状態になるよう固定した。抜針を模擬した時、内部のスイッチが開き警 報が発するか実験を行った。抜針を模擬したときの警報は Arduino によるプログラムで制御 を行った。 【結果および考察】実験の結果、LS と磁石が離れたとき警報の発生を確認することができた。 これにより LS と磁石を利用した抜針検知の可能性が示唆された。 7.『アクションカードを利用した地震発生時の対応』 府中腎クリニック:森野正大 震災直後の透析継続、中止、避難などを迅速に実施するため、スタッフ全員に災害対策を 周知、訓練を実施し、習熟することは大切であるが、震災に直面した場合のスタッフの動揺 は避けられないことが予測される.そこで、初動期の役割分担を「ハガキ」サイズにまとめ、 当日の出勤者は常に携帯し、地震発生時に備えている.現在、訓練を通して内容を再々検討 中である.とくに初動期の命令指揮系統の明確化と各自分担の中で無駄のない行動を目指し て検討しているので報告する. 8.『生体腎移植を増やすには~移植患者を紹介する立場より~』 公立福生病院 腎臓病総合医療センター:濱耕一郎 我々は移植患者を紹介する側の立場から、現状の腎代替療法選択の現場の問題点と課題に ついて考えた。2013 年 4 月 1 日より 2015 年 3 月 31 日までの新規透析導入対象・アクセスト ラブル症例の全 258 例のうち、移植適応外を除く 66 名に移植情報提供を行い、うち 16 例が 移植医療を選択した。透析導入時での移植選択率は 86%であった。CKD 保存期の治療を行っ ているのは腎臓内科医である。移植医は腎臓内科医に腎代替療法の選択を依存、実践的な移 植医療経験の無い医師が説明をせざるを得ない実情が医療側のストレスと、患者側の現実感 の欠損となっている。結果、現実的な移植医療情報を CKD 患者は得難い。つまり、腎代替療 法選択時に、移植医との間接的な立場しか取れない実情が生体移植の伸び悩みの一因と思わ れた。今後は、特に腎代替療法選択時の移植医の関与が、移植医療の選択には重要であり、 その形態が課題と思われた。 9. 『生体腎移植を増やすには~移植患者を紹介される立場より』 東京医科大学八王子医療センター消化器外科・移植外科:岩本整 腎移植は患者の余命を伸ばし QOL を向上させる素晴らしい医療である。しかし近年症例数 はあまり増加していない。このような状況下我々は、市民公開講座、透析施設への講演、院 内腎臓内科との連携強化等腎移植普及の活動をしてきた。その結果生体腎移植数は、2009 年 10 例、2010 年 10 例、2011 年 10 例、2012 年 13 例、2013 年 13 例、2014 年 25 例と徐々に増 加した。理由の一つとして腎臓内科との連携が挙げられる。当院腎臓内科からの紹介数は 2009 年 1 例、2010 年 4 例、2011 年 4 例、2012 年 8 例 2013 年 4 例、2014 年 6 例であり継続的に紹 介されている。もう一つの理由は近隣 A 病院への移植医の赴任である。2013 年 7 月に赴任し てから当院への紹介は 2013 年 1 件(1/13)、2014 年 8 例(8/20)と A 病院からの症例は激増 している。症例数の増加を考察すると当院や A 病院では移植医がすぐに直接、患者に移植を 説明できる環境にある。移植医は内科からの紹介を待つ立場にいたが、今後は移植医が直接 移植医療を患者に説明できる環境が必要と考える。そのためには保存期腎不全から腎移植そ して移植術後の管理までを包括的に治療できる院内および地域の連携作りが必要と考える。 10. 『シナカルセト塩酸塩の誘導する副甲状腺細胞のアポトーシス機序の解析』 東海大学医学部付属八王子病院:都川貴代 カルシウム受容体作働薬であるシナカルセト塩酸塩は、肥大した副甲状腺組織に対する縮 小効果が報告されている。我々はこの効果の機序を解明するため、シナカルセトの投与が2HPT 患者の副甲状腺細胞の増殖とアポトーシスに与える影響について検討した。シナカルセト治 療群と非治療群より採取された副甲状腺組織の比較より、細胞の分裂とアポトーシスの頻度 が共にシナカルセト投与群において上昇していることを見出したが、これはシナカルセトが 副甲状腺の細胞増殖を抑制することを示した他の報告や副甲状腺縮小効果とは矛盾するよう に思われた。細胞増殖のマーカーとして用いたKi67は増殖サイクルにある細胞で常に発現さ れていることから、副甲状腺細胞の多くはG0期の静止状態にあると推測されるが、シナカル セトがG0期細胞を増殖サイクルG1期へ復帰させ、さらに細胞周期のチェックポイントでアポ トーシスへと導いていることで、細胞増殖とアポトーシスの頻度の上昇が説明できるのでは ないかと考えられた。今回、この仮説についてp27Kip1やc-Mycなどの細胞周期に特異的な遺 伝子の発現解析等により検討したので報告する。 11.『透析導入時における貧血と鉄代謝に関する検討』 武蔵野赤十字病院 腎臓内科:岩本俊輔 【目的】透析導入期における貧血と鉄代謝について検討した。 【方法】2006 年 1 月から 2014 年 9 月まで透析導入例のうち、CRP≤3mg/dl の 2464 例を 4 分類 し (A 群:Ferritin<100&TSAT<20,B 群:Ferritin<100&TSAT≥20,C 群:Ferritin≥100&TSAT<20,D 群:Ferritin≥100 &TSAT≥20)、比較検討した 【結果】導入時 Cr は平均 9.37mg/dl で、鉄剤は 17.9%に、ESA は 73.6%に使用されていた。 平均の Hb は 8.7g/dl、フェリチンは 186ng/ml、TSAT は 29.1%であった。 4群間に年齢・DM 率は差がなく、女性比率は A 群で高値であった。D 群を基準として平均 Hb 値は男性・女性とも B 群で有意に高値であり、Hb<10g/dl の患者割合は B 群で有意に少なかっ た。Hb<10g/dl に関連する因子について多変量解析をしたところ、年齢・性別・鉄剤投与・ESA 投与・CRP 値を加えても、Alb 値が有意に関連する因子であった。 【結語】透析導入時の貧血には貯蔵鉄よりも鉄利用が効率的に行われていることが重要と考 えられた。また導入時の貧血には低 Alb 血症が関連していた。 ∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞ ≪賛助会員名簿≫ 平成27年3月末現在、賛助会員として本会にご支援、ご協力いただいている企業は 以下の通りです。社名を掲載し、敬意と感謝の意を表します。(五十音順) 協和 発酵キリ ン株式会 社 中 外 製 薬 株 式 会 社 東レ・メディカル株式会社 鳥 居 薬 品 株 式 会 社 ニ プ ロ 株 式 会 社 バクスター株式会社 扶桑薬品工業株式会社 ∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞
© Copyright 2024 ExpyDoc