UHF 帯 FM-CW レーダに関する基礎検討 Fundamental Study on FM-CW Radar at UHF band 八戸工業大学 柴田研究室 序論 現在、自動車の衝突防止用としてミリ波帯の電波を使 用したレーダシステムが実用化されている。一方、UHF帯 は携帯電話を初めとした多種多様な移動通信システムとし て幅広く利用され、部品のコストも低い。そこで本研究では、 UHF帯FM-CWレーダの開発を目的とし、構成コンポーネ ントとシステムの設計(シュミレーション)と評価を行った。 幅とT=25μsののこぎり波の周期を代入し、さらにR= 100mの遅延線路長と光速を代入しビート周波数の理論値を 求めると、ケーブルの誘電率を無視すれば理論値は 1066.7 Hzとなった。次にビート周波数の測定値を式(2)にて求める。 動作原理 実験を行ったFM-CWレーダの原理を図 1 に示す。 矩形波発生器の三角波をマイクロ波発振器に入力すると出 力される電磁波の周波数は時間変化する。これをバンドパス フィルターに通して余分な周波数を遮断し方向性結合器へ 伝達するとF1 とF2 の矢印の各方向に別れる、その際F2 側の 信号は遅延線路を通るため、F1 を通過した周波数とはミキ サへの到達時間が異なり、F1 とF2 の周波数の差がミキサの ビート信号としてIF信号が出力される。 この式にFM-CWレーダ測定時のオシロスコープを引き 延ばした時の値である 800μsを代入すると、1250Hzとな った。そこで算出した理論値と測定値から、誤差率は f1 理論値-測定値 100・・・・(3) 理論値 となるのでこの式(3)に算出した理論値と測定値を代入す ると、誤差率は 17%という結果を得た。さらに、算出した ビート周波数を用い、測定値の距離に対する距離誤差も検討 した。使用する式は 誤差率 L 図 1 FM-CW レーダの回路図 実験 本研究では、図 2 のオンボード化した実験回路の動作 確認を行った。機器に電圧±15Vを加え、FM-CWレーダ のビートIF出力をオシロスコープにて観測した。 1 ・・・・(2) T f1TC ・・・・(4) 2f であり、この式に実験で測定した数値と算出した測定値を代 入すると、117.1875mとなった。この数値から遅延線路の長 さの 100mを引くと、誤差は約 17mとなった。さらに開発し たFM-CWレーダの距離精度から、天候観測や地中探知用レ ーダとして活用可能であるか確認するため、距離分解能も算 出した。距離分解能とは測定対象物に電波を照射した時の値 と実際の距離の値との誤差である。そのため式(5)を使用 する。 Rbin C T 1 C 2 f T 2 f ・・・・(5) この式で周波数変化幅が 40MHzの時の計算結果を表 1 に 示す。これより周波数変化幅が 40MHzの時、距離分解能 は 3.75mとなった。さらに変化幅 10MHzの場合でも距離 分解能が 15mの為、UHF帯では天候観測レーダとして使 用可能だが、変化幅 40MHzの時、距離分解能が 3.75mの 為、地中探知用レーダとしても活用可能と考える。 表 1 周波数変化幅と距離分解能 周波数変化幅 [MHz] 図2 FM-CW レーダの実験回路 今回の実験では実験機器が正常に作動することが確認でき、 さらに周波数変化幅 40MHz や図 3 ののこぎり波の 25ms と 引き延ばした波形からは図 4 の 800μsが確認できた。 図 3 測定時のオシロの画像 図 4 波形を引き延ばしたオシロの画像 誤差検討 そこで実験で測定した数値を用い、理論値と測定 値を算出する。まずビート周波数の理論値を求める式は f1 f 2 R ・・・・(1) T C となる。この式に実験で測定した数値Δf=40MHzの変化 距離分解能 [m] 10 15.00 40 3.75 45 3.33 まとめ 今回の実験ではすべての使用機器が問題なく使用で き、FM-CWレーダとして正常に動作することを確認できた。 そして実験で測定した理論値と測定値のビート周波数の誤 差率は 17%という結果となった。一方、距離分解能は周波 数変化幅が 40MHzの時 3.75mなので、UHF帯にて天候 観測レーダだけではなく地中探知用レーダとしても使用で きると評価できた。 今後の課題 今回オシロスコープでのこぎり波やIF波形など を測る時は、ほとんど手動で行っていた。今後は、パソコン から制御できるようなプログラムの確立が必要である。さら に今回はアンテナの変わりに遅延線路を用い実験を行った が、次回からは空間に電磁波を送信し実験を行いたい。 参考文献 [1]吉村義弘,藤森允之:レーダ工学の基礎,哲学出版,pp.1-15(1971). [2]電気学会:電気電子応用計測, pp52-54.
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