幸福を考える(1) 復習 功利主義 幸福は皆が求める 快楽機械 ソフィスト対

12/05/25
復習
•  功利主義 = みんなの幸福を最大に。 •  シンプルで魅力的な立場。 •  正義、自由、平等、権利などはみんなの幸福
を最大にするための装置、とりきめ。
幸福を考える(1)
倫理学 江口聡
功利主義
幸福は皆が求める
•  「功利」または「最大幸福の原理」を道徳的行
為の基礎として受けいれる信条にしたがえば、
行為は、幸福を増す程度に比例して正しく、
幸福の逆を生む程度に比例して誤っている。
幸福とは快楽を、そして苦痛の不在を意味し、
不幸とは苦痛を、そして快楽の喪失を意味す
る。(ミル、『功利主義論』)
•  誰もが「よく生きること」という意味での幸福を
求める。 •  しかし、幸福は快楽の生活か? •  快楽 = pleasure 喜び。
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快楽機械
•  あなたが望むいかなる経験も味わせてくれる「経
験機械」があるとしよう。非常に優秀な神経生理
学者が、あなたの脳を刺激し、あなたは自分が
すばらしい小説を書いているとか、友達と楽しん
でいるとか、おもしろい本を読んでいるかのよう
な経験を味わせてくれる。その間中、あなたは脳
に電極をつけられタンクのなかに浮んでいる。あ
なたは一生分の経験をあらかじめプログラムし
てもらっ て、この機械に一生つながれるべきだ
ろうか?・・・あなたはそれをのぞむだろうか?(ノー
ジック、『アナーキー・国家・ユートピア』、1972)
ソフィスト対ソクラテス
•  プラトン『ゴルギアス』での論争。 •  ソフィストのカリクレス「よく生き
るとは欲望を満足させ、快楽を
むさぼることである。」 •  ソクラテス「よく生きるとは正しく
生きることである。正義、節制、
勇気、節制などの徳を身につけ
それを発揮した秩序ある生活を
すること」
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12/05/25
アリストテレス
•  三つの幸福 •  (1) 快楽 –  ← 一般の人々が目指すもの •  (2) 立派な活動、名誉、成功、達
成 –  ← 洗練された人々が目指すもの •  (3) 観想的生活(理論的探求)=
学問、瞑想 エピクロス派
•  エピクロス(341-­‐270B.C.) •  幸福とは快楽であり、苦痛
がないことである。 •  ただし、積極的に快楽を求
める活動は苦労が多いので、
主として苦痛を減らすことを
目指した方がベター
–  ← 最高度に優れた人々が目指す
もの
ヴォルテールの問い
•  ヴォルテール
(1694-­‐1778) •  フランス啓蒙主義の中
心人物。知性を重視。
『百科全書』 •  しかし、知性を鍛えると
不幸になる? J. S. ミル
•  動物的な快楽では人間
の幸福の概念を満足させ
ない。 •  快楽の質の差。二つの快
楽を十分に知った人が選
ぶ方が質の高い快楽。 •  ひとは高級な能力を発揮
できる活動を選択する。 •  「満足した豚であるより、
不満足な人間であるほう
がよい。」 ベンサム
•  快楽をもたらすものはどれも
価値がある。 •  快の量が同じなら同じ価値。 –  強度、持続性、純粋性etc •  「もっとも恥ずべき犯罪者」の
感じる快も、快は快。被害者
の苦痛の方が大きいので犯
罪は不正であるにすぎない。
ミルの『自由論』
•  幸福になるには個性の自由な発展が必要。 •  自分の幸福に一番関心があるのは自分自身。 •  自分にとってなにが幸福であるのかを一番よ
く知っているのも自分自身。 •  選択しないと選択する能力は伸びない。 •  → 各自自由に自分にあってると思うライフス
タイルを採用するべきだ。
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