第11回(12/4)

第11回(12/4)
立憲制度と民主主義
民主主義とは何か?
(長谷部『何か』p.72-)
デモクラシー=「多数者の支配」
「長いあいだ、デモクラシーはマイナス
のシンボルだった。」
「多数者の支配」に対する嫌悪
議会制への批判と擁護
• シュミットの議会制批判
個別利害の妥協の場としての議会
(≠真の公益)
• ケルゼンの議会制擁護
多様な利害の調整こそが政治のなしうる最大限
現実的な妥協の場としての議会
党派的利害の調整と討議民主主義
• ハーバーマスの議論
公益の実現を目指した討議は可能
公論の喚起と、公論の議会への反映
• アメリカ建国期の議論(マディソン)
党派と「大きな共和国」
• デモクラシーよりも、リパブリック(共和制)
• democracy から res publica へ
アメリカのデモクラシー
デモクラシーの徹底としての
ファシズムと共産主義
リベラル・デモクラシーとしての
現代のデモクラシー
民主主義を支える立憲主義
• 民主主義的政治実現のための自己拘束とし
ての憲法
• プレコミットメントとしての憲法
なぜ民主主義なのか?
(長谷部『問い直す』p.18-)
• なぜ多数決なのか?
「どのような場合には多数決で結論を出すべき
ではないか」
「民主主義に対してどのような制限が立憲主義
によってかけられるべきなのか」
なぜ多数決なのか?
1)自己決定の最大化=単純多数決
全員一致は少数者の反対による決定不能を生む
2)功利主義(最大多数の最大幸福)
選択肢は単純ではない/幸不幸は計量不能
3)個人の同等性(各人を公平に扱う/個人の対等平等)
結論の善し悪しにかかわらない
4)コンドルセの定理
正しい判断をする確率/単純多数決が正しい結論を選
ぶ確率
~~~党議拘束と専門的意見
なぜ民主主義なのか?
1)民主主義(多数決)は、正解に近づくための手
段という見方
~~功利主義/コンドルセの定理
2)正解はないのだから民主的な手続きにした
がって出た答えに従うしかないという見方
~~自己決定の最大化/個人の同等性
1)正解に近づくための民主主義
1)参加すること自体の意義
~公共空間への参加、討議と決定への参加
←民主主義の過剰評価?
→ 適度な政治参加、政治参加は目的か?
2)功利主義の民主主義観
~自己利益に基づいて行動する結果、社会全
体の幸福の最大化が導かれる
2)手続きとしての民主主義
「民主主義はさまざまな役割を果たしうるシステ
ムであり、いろいろな立場から異なった仕方で
正当化できるシステムである」(p.38-39)
しかし、「最低限、民主主義が果たしているの
は、人々の意見が対立する問題、しかも社会
全体として統一した決定が要求される問題に
ついて、結論を出すという役割である。」
民主主義の限界
「民主政治は、社会の根幹にかかわるような
問題を解決することはできない」(p.40)
「戦争や独裁を通じてしか解決し得ないような
深刻な問題もある」
民主的には決めるべきではない問題群がある
=立憲主義による民主主義の制限!!
民主主義と立憲主義
「民主主義が良好に機能する条件の一つは、
民主主義が適切に答えを出しうる問題に、民
主主義の決定できる事柄が限定されているこ
とである」(p.41)
「その境界を線引きし、民主主義がそれを踏
み越えないように境界線を警備するのが、立
憲主義の眼目である。」(p.41)