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§22
遷移元素と定性分析
CHECK
Rank
Priority
Mission 1
1
★★★
Mission 2
3
★★★
Mission 3
2
★★★
Mission 4
2
★★★
Mission 5
3
★
Mission 6
3
★
Mission 7
3
★
Secret Mission 1
3
★
Secret Mission 2
3
★
Secret Mission 3
5
☆
LIST
exposition
Postpone
189
1st
2nd(redoing)
Mission 1
[
金属イオンの特性
Rank ☠
]
Priority ★★★(Frequency †††)
次の各問において、最も適するイオンを(ア)~(オ)の中から 1 つずつ選べ。ただし、イオンはすべて水溶液で存在し、反
応は示してあるイオンについてのみ考える。
問1
アンモニア水を過剰に加えても、生じた沈殿が溶けずに残っている。
(ア)
問2
Al3+
(オ) Cd2+
Ca2+
(イ) Na+
(ウ) Ni2+
(エ)
Cu2+
(オ) Sn2+
Zn2+
(イ) Fe3+
(ウ)
Ag+
(エ)
Al3+
(オ) Pb2+
Al3+
(イ) Ag+
(ウ) Zn2+
(エ)
Ni2+
(オ) Cu2+
硫化水素を通じると、酸性では沈殿しないが、塩基性のとき沈殿が生じる。
(ア)
問6
(エ)
過剰のアンモニア水を加えても沈殿しないが、塩酸を加えると白色の沈殿が生じる。
(ア)
問5
(ウ) Cu2+
過剰のアンモニア水を加えても沈殿しないが、過剰の水酸化ナトリウム水溶液を加えると沈殿が生じる。
(ア)
問4
(イ) Ag+
硝酸を加えても沈殿しないが、硫酸を加えると沈殿が生じる。
(ア)
問3
Ba2+
Cu2+
(イ)
Ca2+
(ウ) Ni2+
(エ)
Pb
2+
(オ)
Mg2+
硫化水素を通じると、黒色の沈殿が生じるが、この沈殿を生じた水溶液にさらにシアン化カリウム水溶液を過剰に
加えると溶解する。
(ア)
問7
(イ)
Cd2+
(ウ)
Zn2+
(エ)
Sn2+
(オ)
Ag+
アンモニア水を加えても沈殿しないが、硫酸ナトリウム水溶液を加えると沈殿が生じる。
(ア)
問8
Mn2+
Zn2+
(イ)
Co2+
(ウ) Cu2+
(エ)
Ba2+
(オ) Fe2+
硝酸銀水溶液を加えると白色の沈殿を生じるが、この沈殿を生じた溶液にさらに過剰のアンモニア水を加えると溶
解する。
(ア)
I-
(イ)
Cl-
(ウ)
S2-
(エ)
CrO42-
190
(オ) SO42-
Mission 2
Rank ☠☠☠
<(Ⅰ)06 大阪大(改)、(Ⅱ)12 横浜市立大、(Ⅲ)14 宮崎大>
[
製錬と合金
]
Priority ★★★(Frequency †††)
(Ⅰ)
鉄は、酸素、ケイ素、
ア
に次いで地殻中(地表付近)に質量比で多く存在する元素で、地殻中では一般に酸化物の形
で存在している。われわれが利用している鉄は、鉄鉱石から精錬と呼ばれる過程をへて得られている。
図1は精錬に用いられる溶鉱炉の概略図である。Fe2O3 などの酸化鉄を主成分とし、ケイ素や
ア
などを不純物として
含む鉄鉱石を、コークス、①石灰石(CaCO3)とともに溶鉱炉の上部から入れ、下部から約 1300℃の熱風を送り込む。コー
クスの燃焼により、熱風は 2000℃以上の高温になり、②コークスの炭素は還元性の強い気体である一酸化炭素となる。
生成した一酸化炭素は溶鉱炉中のエリア1~3で式1のように段階的に酸化鉄を還元する。
エリア1の反応
エリア2の反応
Fe2O3
A
この過程で得られる鉄は
イ
エリア3の反応
FeO
Fe
(式1)
と呼ばれ、質量比で約3~5%の炭素を
はじめ、硫黄やリンなどの不純物元素を含み、硬いがもろく、展性、延性
に乏しい。さらに転炉において
イ
に高圧の
ウ
を吹き込むことに
よって炭素などの不純物を約 2%以下まで減らす。これにより、粘り強い
性質をもつ
エ
が得られる。
問1
空欄
ア
~
問2
下線部①について、溶鉱炉上部より投入される石灰石(CaCO3)の役割を化学反応式を含めて 50 字以内で書け。
問3
下線部②について、一酸化炭素が発生する主な反応の化学反応式を書け。
問4
式 1 の中の化合物 A の化学式を書け。
問5
式 1 において Fe2O3、化合物 A および FeO が一酸化炭素で逐次還元される主な反応の化学反応式をそれぞれ書け。
エ
にあてはまる語句を書け。
(Ⅱ)
銅の鉱石(黄銅鉱-主成分 CuFeS2)をコークスと石灰石やケイ砂(主成分 SiO2)などと共に高温の炉で加熱すると、(a)銅の
硫化物が得られる。これを転炉に移し、(b)強熱しながら空気を吹き込むと粗銅ができる。さらに電解精錬によって純銅
が得られる。また、鉄鉱石(赤鉄鉱や磁鉄鉱)とコークス、石灰石を溶鉱炉の上から入れ、下部から熱風を吹き込むと、
溶融状態の(c)鉄が炉底にたまる。この鉄を転炉に移し、酸素を吹き込み、不純物を取り除いて、(d)より純度の高い鉄を
得る。
問1
下線部(a)の反応で黄銅鉱に含まれていた鉄がどのように分離されるのか述べよ。
問2
下線部(b)の化学反応式を書け。
問4
下線部(c)と下線部(d)の鉄について、それぞれの名称と性質および用途について述べよ。
問5
鉄もしくは銅を亜鉛と組み合わせた材料として、トタンおよび真鍮(真ちゅう)がある。
(ア)
トタンでは内部にある金属の腐食の進行が遅くなる。理由を述べよ。
(イ)
トタンとの構造の違いを考慮し、真鍮の腐食を考察せよ。
191
(Ⅲ)
銅の製造では、銅鉱石(主成分は黄銅鉱)を溶鉱炉や転炉で空気を吹き込みながら加熱して不純物を含む純度約 99%の粗
銅をつくり、①この粗銅を電気分解により電解精錬して純度 99.99%以上の純銅を得る。
アルミニウムの製造では、アルミニウム鉱石のボーキサイトから酸化アルミニウムをつくり、②融解した氷晶石に酸化ア
ルミニウムを溶かし、炭素電極を用いて融解塩電解して純度の高いアルミニウムを得る。
鉄は、湿った空気中ではさびやすいため、鉄の表面を別の金属でめっきすることでさびるのを防ぐことができる。ブリ
キは鉄に
ア
をめっきしたもので、缶詰などに使われている。トタンは鉄に
イ
をめっきしたもので、屋根などに
使われている。
アルミニウムは、表面に酸化アルミニウムの皮膜をつくると、この皮膜が内部を保護するためさびにくくなる。アルミ
ニウムの表面に人工的に酸化皮膜をつくったものを
ウ
という。
金属は、合金にすることにより、もとの金属にはない優れた性能をもつようになるものがあり、金属材料としてさまざ
まな合金が利用されている。
問1
文章中の空欄
ア
~
ウ
に最も適当な語句を書け。
問 2
下線部①の電解精錬において、粗銅の板と純銅の板を電極に用い、硫酸酸性の硫酸銅(Ⅱ)水溶液中で 0.2~0.5V
の低電圧で電気分解を行うと、粗銅板中の銅は純銅板上に純度の高い銅として析出する。これに関して、以下の(1)
と(2)の問に答えよ。
(1)
粗銅板は陰極と陽極のどちらに用いるか書け。
(2)
粗銅中に不純物としてニッケルと銀が含まれていた場合、電気分解でそれぞれの金属はどのようになるか、その理
由とともに書け。
問3
下線部②において、陰極で起こる反応のイオン反応式を書け。
問4
下の(a)~(d)の記述に関係する合金の名称を書け。
(a)
アルミニウムに銅やマグネシウムなどを添加した合金で、軽量で強く、航空機の骨格などに利用される。
(b)
スズを主成分とする合金で、融点が低く、金属になじむので、金属の接合剤に利用される。
(c)
鉄にクロムやニッケルを添加した合金で、さびにくく、台所用品などに利用される。
(d)
銅とニッケルの合金で、加工性がよく、硬貨などに利用される。
192
Mission 3
Rank ☠☠
<(Ⅰ)11 中央大、(Ⅱ)08 大阪市立大>
[
定性分析:基本(陽イオン)
]
Priority ★★★(Frequency †††)
(Ⅰ)
Ag+、K+、Pb2+、Ca2+、Zn2+、Cu2+、Fe3+、Al3+のイオンを同じ濃度で含む水溶液がある。下図は、各イオンを分離する
操作である。①~⑩に入る主な沈殿またはイオンを 1 つずつ化学式で書きなさい。
193
(Ⅱ)
5 種類の金属イオン Ag+、Cu2+、Pb2+、Zn2+、Fe3+の分離と確認を次の操作 1 から操作 6 の順で行った。実験操作を読み、
各問に答えよ。
実験操作:
操作 1
5 種類すべての金属イオンを含む水溶液に塩酸を加えると沈殿が生じた。
操作 2 操作 1 で生じた沈殿をろ過して、沈殿とろ液に分離した。
操作 3 操作 2 で得られたろ液に過剰のアンモニア水を加え、アルカリ性にすると沈殿が生じた。
操作 4 操作 3 で生じた沈殿をろ過して、沈殿とろ液に分離した。
操作 5 操作 4 で得られたろ液を塩酸で酸性としたのち、硫化水素を通じると沈殿が生じた。
操作 6 操作 5 で生じた沈殿をろ過して、沈殿とろ液に分離した。
問1
操作 2 の沈殿には 2 種類の化合物
ア
と
イ
ろ過して、不溶物とろ液に分離した。これは、
が含まれている。この混合物に
ア
る。このろ液に含まれるイオンを確認するため、
イ
は
エ
ウ
によく溶けるが、
ウ
イ
を加え、よくかき混ぜたのち,
は溶けにくいことを利用してい
を含む水溶液を加えると、黄色の沈殿が生じた。
(ⅰ)
ア
と
(ⅱ)
ウ
に当てはまる適当な語句を記せ。
(ⅲ)
エ
に当てはまる最も適当な陰イオンを,次の(a)~(e)の中から選び,記号で答えよ。
(a)
Cl-
(e)
SO42-
に当てはまる化合物をそれぞれ化学式で記せ。
(b)
NO3-
(c)
CO32-
(d)
CrO42-
問2
操作 4 と操作 6 で得られた沈殿は何か。それぞれ化学式で記せ。
問3
操作 4 で得られたろ液と、操作 6 で得られた沈殿は何色か。次の(a)~(d)の中から選び、それぞれ記号で答えよ。
(a)
問4
濃青色
(b)
赤色
(c)
緑色
(d)
黒色
操作 6 で得られた沈殿に硝酸を加え、加熱して溶かした。②この溶液に水酸化ナトリウム水溶液を過剰に加える
①
と青白色沈殿が生じた。下線部①と②の反応をそれぞれ化学反応式で記せ。
194
Mission 4
Rank ☠☠
<(Ⅰ)11 立命館大(改)、(Ⅱ)関西大>
[
定性分析:標準(陽イオン)
]
Priority ★★★(Frequency ††)
(Ⅰ)
7 種の金属イオン Ag+、Al3+、Ca2+、Cu2+、Fe3+、
Na+、Zn2+を含む水溶液の試料について、各イオ
ンを分離し確認するため、下図のように操作 1~8
を順に行った。
操作 1:試料に希塩酸を加えると、白色沈殿が生
じたため、ろ過して沈殿とろ液に分離した。
操作 2:操作 1 で得られたろ液に硫化水素を通じ
ると、沈殿が生じたため、ろ過して沈殿
A とろ液に分離した。
操作 3:操作 2 で得られたろ液を加熱して硫化水
素を除き、(a)硝酸を加え、過剰のアンモニ
ア水を加えると、沈殿が生じたため、ろ過
して沈殿とろ液に分離した。
操作 4:(b)操作 3 で得られたろ液に硫化水素を通じると白色の沈殿が生じたため、ろ過して白色沈殿とろ液に分離した。
操作 5:操作 4 で得られたろ液に炭酸アンモニウム水溶液を加えると、沈殿 B が生じたため、ろ過して沈殿 B とろ液に
分離した。このろ液に含まれるイオンを確認するため、白金線にろ液をつけてガスバーナーの外炎に入れると、
黄色が観察できた。
操作 6:(c)操作 1 で生じた白色沈殿にチオ硫酸ナトリウム Na2S2O3 水溶液を加えると、沈殿は溶解して
あ
色の溶液に
なった。
操作 7:操作 2 で生じた沈殿 A に硝酸を加えて溶かし、アンモニア水を少量加えると、沈殿 C が生じた。
操作 8:操作 3 で生じた沈殿に水酸化ナトリウム水溶液を加えると、沈殿の一部が溶解し、有色の沈殿が残った。ろ過
して有色の沈殿とろ液を分離し、このろ液に塩酸を加えると、
問1
沈殿 A から D の化学式を書け。
問2
下記の文章中の
ア
および
イ
い
色の沈殿 D が生じた。
について、あてはまるイオン式を書け。
操作 3 の下線部(a)の硝酸を加えるのは,硫化水素で還元されて生じた
ア
を、硝酸で酸化して
すためである。
問3
操作 4 の下線部(b)について、(ⅰ)および(ⅱ)の問いに答えよ。
(ⅰ) このろ液の中には、錯イオンが存在している。この錯イオンの名称を書け。
(ⅱ) この錯イオンはどのような形状になるか。
問4
問5
例)正三角形
操作 6 の下線部(c)の白色沈殿が溶解したときに生じる錯イオンのイオン式を書け。
あ
および
い
について、最も適当な色を書け。
195
イ
にもど
(Ⅱ)
次の文の
(1)
化学反応式を、{
に入れるのに最も適当なものを 解答群 から選び、その記号をマークしなさい。また、(
(4)
)には
}には化学式を、それぞれ解答欄に記入しなさい。
9 種類の金属イオン Ag+、Al3+、Ba2+、Ca2+、Cu2+、Fe3+、K+、Pb2+、Zn2+のうち、4 種類のイオンの硝酸塩を含む水溶
液がある。この水溶液に含まれる 4 種類の金属イオンを特定するために、以下の実験 1~7 を行った。なお、以下の実験
で、分離は完全に行われたものとする。
実験 1:4 種類の金属イオンを含む水溶液に塩酸を加えると、沈殿 A が生じた。ろ過によって、沈殿 A とろ液Ⅰに分離し
た。
実験 2:沈殿 A に熱湯を注ぎ、ろ過によって白色沈殿 B とろ液Ⅱに分離した。
実験 3:(a)沈殿 B に過剰のアンモニア水を加えると、沈殿 B は溶けた。
実験 4:ろ液Ⅱにクロム酸カリウム水溶液を加えると、黄色沈殿 C が生じた。
実験 5:ろ液Ⅰに硫化水素を通じると、黒色沈殿 D が生じた。ろ過によって、沈殿 D とろ液Ⅲに分離した。
実験 6:ろ液Ⅲを煮沸して硫化水素を除去した後、アンモニア水を過剰に加えると、白色沈殿 E が生じた。ろ過によっ
て、沈殿 E とろ液に分離した。
実験 7:(b)沈殿 E に水酸化ナトリウム水溶液を過剰に加えると、沈殿 E が溶けた。
以上の実験 1~7 から、4 種類の金属イオンは
(1)
であることがわかる。下線部(a)および(b)の化学反応は、それぞ
れ①および②式によって表される。
(
(2)
) ············································· ①
(
(3)
) ············································· ②
沈殿 C の化学式は、{
(4)
}である。また、沈殿 E を熱して得られる金属酸化物に塩酸を加えると、③式の化学反応が
進み、その酸化物は溶ける。
(
(5)
) ············································· ③
解答群
(ア)
Ag+、Cu2+、K+、Zn2+
(イ)
Ag+、Cu2+、Pb2+、Zn2+
(ウ)
Ag+、Ca2+、Cu2+、Zn2+
(エ)
Ag+、Ba2+、Cu2+、Zn2+
(オ)
Ag+、Al3+、Ba2+、Pb2+
(カ)
Ag+、Al3+、Fe3+、Pb2+
(キ)
Ag+、Al3+、Ca2+、Fe3+
(ク)
Ag+、Al3+、Fe3+、K+
(ケ)
Ag+、Fe3+、Pb2+、Zn2+
(コ)
Ag+、Ca2+、Pb2+、Zn2+
(サ)
Ag+、Al3+、Ba2+、Cu2+
(シ)
Ag+、Al3+、Cu2+、Pb2+
196
Mission 5
[ 定性分析:応用(陽イオン)
]
Rank ☠☠☠
Priority ★(Frequency †)
Al3+、Ca2+、Fe3+、Cu2+、Zn2+の 5 種の陽イオンを含む水溶液 X について、以下のような分離実験を行った。問 1~3 に
答えよ。ただし、文中の沈殿 A、C、D、E、F には、1 種類の金属イオンのみが含まれるとする。
〔分離実験〕
(ⅰ) 水溶液 X に操作①を行うと、沈殿が生じた。沈殿をろ別し、沈殿(沈殿 A とする)と、ろ液(溶液 a とする)に分離
した。沈殿 A を硝酸にとかし、(ア)アンモニア水を加えると、沈殿を生じた。(イ)この沈殿にさらにアンモニア水を加
えると沈殿は溶解した。
(ⅱ) 溶液 a を煮沸後、希硝酸を加えさらに加熱した。この溶液に操作②を行うと、沈殿が生じた。これをろ別し、沈
殿 B と溶液 b に分離した。
(ⅲ) 沈殿 B に操作③を行うと、沈殿の一部が溶解した。残った沈殿をろ別し、沈殿 C と溶液 c に分離した。沈殿 C を
塩酸に溶かした溶液にヘキサシアノ鉄(Ⅱ)酸カリウム水溶液を加えると、濃青色の沈殿を生じた。一方、溶液 c
に操作④を行うと、沈殿 D が生じた。(ウ)沈殿 D に水酸化ナトリウム水溶液を加えると溶解した。
(ⅳ) 溶液 b に対し操作⑤を行うと、沈殿が生じた。これをろ別し、沈殿 E と溶液 e に分離した。(エ)沈殿 E に塩酸を加
えると、異臭のある気体が発生した。一方、溶液eに対し操作⑥を行うと、沈殿 F が生じた。(オ)この沈殿 F に塩
酸を加えると、無色無臭の気体が発生した。
問1
文中の操作①~⑥には下記の(あ)~(き)の試薬のうち、1 つあるいは 2 つの試薬が用いられている。それぞれの操
作に対して、用いられたと思われる試薬を、(あ)~(き)から選び,記号で答えよ。ただし、操作には、かくはん、
加熱(煮沸を含む)の操作が含まれる場合があるが、その他の操作(たとえば、ろ過など)は含まれないとする。
(あ)
硫化水素ガス
(い)
水酸化ナトリウム水溶液
(う)
アンモニア水
(え)
塩
(お)
硝酸銀水溶液
(か)
炭酸アンモニウム水溶液
(き)
塩化バリウム水溶液
酸
問2
沈殿 A、C、D、E、F を化学式で示せ。
問3
文中の下線部分(ア)~(オ)について、起こった反応を、化学反応式あるいはイオン反応式で示せ。
197
Mission 6
[ 定性分析:応用(陰イオン)
]
Rank ☠☠☠
Priority ★(Frequency†)
硫酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、クロム酸カリウム、および臭化カリウムのそれぞれ数%程度の濃度の水溶液を調製
し、これらを 5m l ずつ混合したところ、水溶液は弱塩基性を示した。これに、約 0.2m l の酢酸を加えて中性にしたもの
を試料水溶液として、次の図にしたがって陰イオンの分離・検出を試みた。各問に答えよ。
操作Ⅰ:塩化バリウム水溶液を加えると沈殿が生じた。沈殿物は,沈殿a(白色),沈殿b(白色),沈殿c(黄色)の混合
物である。沈殿の生成を完全なものにするために、さらにアンモニア水を数滴加えてしばらく加熱した。
操作Ⅱ:希塩酸を加えると沈殿の一部(沈殿 b と沈殿 c)は溶解した。この時、気体が発生したが、これは(ア)沈殿 b の溶
解にともなっておこったものである。
操作Ⅲ:水溶液に硫酸ナトリウム水溶液を加えると(イ)白色の沈殿を生じたので、これをろ過して除いた。(ウ)ろ液に水酸
化ナトリウム水溶液を加えて塩基性にすると溶液は
あ
色に変化した。
操作Ⅳ:硝酸銀水溶液を少しずつ注意深く加えると最初に淡黄色の沈殿 d が、そしてその後、白色の沈殿 e が生じた。
操作V:濃アンモニア水で処理すると、沈殿はすべて溶解した。
操作Ⅵ:希硫酸を加えて熱すると(エ)刺激臭をもつ物質が遊離した。
問1
沈殿 a、d、e を化学式で記せ。
問2
下線部(ア)の変化を化学反応式で示せ。
問3
下線部(イ)は何か。化学式で記せ。
問4
下線部(ウ)の変化をイオン反応式で示せ。また、
問5
操作Ⅴで沈殿が溶解したとき、どんな陽イオンが生じたか。その名称と化学式を記せ。
問6
下線部(エ)は何か。化学式で記せ。
あ
198
にあてはまる語句を記せ。
Mission 7
[
熱重量分析
]
Rank ☠☠☠
Priority ★(Frequency †)
次の文章を読んで、問 1~4 に答えよ。
温度範囲
物質
質量(g)
CuSO4・5H2O は、空気中で加熱すると結晶水を段階的に放出した後、酸
t1
CuSO4・5H2O
1.000
化物に分解される。1.000gの CuSO4・5H2O の結晶を空気中で 0℃から
t2
a
0.856
1200℃まで加熱し、その間の質量を測定したところ、表のような結果
t3
b
0.711
が得られた。この加熱による質量変化を模式的に示すと、図のように
t4
c
0.639
なった。温度が上昇して質量が減少するにしたがい、結晶の色は青色
t5
d
0.480
から徐々にうすくなり、t4 の温度範囲では白色となった。さらに、加
t6
e
0.319
t7
f
0.287
熱を続けると t5、t6、t7 の温度範囲でも質量一定の部分が見られた。
t6、t7 の温度範囲で得られた物質 e および f は、室温でそれぞれ黒色
および赤色であった。また、t5 の温度範囲で得られた物質 d は、物
質 c と e が 1:1 で混合したものと同じ組成であった。(1)物質 e と f
1.0
の間の変化は可逆的であり、物質 f を t6 の温度範囲まで冷却すると
a
再び物質 e が得られた。この物質 e は希硫酸に溶け、溶液は青色に
なった。この溶液に水酸化ナトリウム水溶液を加えると(2)青白色の
物質が沈殿したが、(3)さらに過剰のアンモニア水を加えると、この
b
c
質
量
0.5
(g)
d
e
沈殿は溶けて溶液は深青色に変化した。
f
t1 t2 t3
問1
t4
t5
t6
t7
この実験結果から物質 a、b、c、e、f を決定し、その化学式
を書け。
0
問 2 下線部(1)の加熱に伴う e から f への変化を化学反応式で示せ。
問3
下線部(2)の物質の化学式を書け。
問4
下線部(3)の変化をイオン反応式で示せ。また、生成した銅を含むイオンの名称を書け。
199
500
温度(℃)
図
1000
1200
Secret Mission 1
Rank ☠☠☠:Application
<(Ⅱ)12 大阪大>
[
錯体の応用
]
Priority ★(Frequency †)
(Ⅰ)
①
塩化コバルト(Ⅱ)、塩化アンモニウム、アンモニア水と過酸化水素を反応させたのち、塩酸を加えると、化合物 A の紫
色沈殿を生じた。A を分離精製して分析したところ、コバルトの原子 1 個に対しアンモニア分子 5 個、塩化物イオン 3
個を含むイオン性の化合物であることがわかった。A を構成する②陽イオンの構造を調べたところ、アンモニア分子と塩
化物イオン合わせて 6 個がコバルトイオンに配位結合した八面体構造であることがわかった。
問1
下線部①における化合物 A の合成反応は次の式で与えられる(塩酸は反応式には含まれない)。c~g に当てはまる
数値と A の化学式を答えよ。
c
CoCl2 +
d
NH4Cl +
e
NH3 +
H2O2
f
A +
g
H2O
問2
下線部②の陽イオンが何価のイオンであるかを答えよ。またその構造を、次の例にならって立体的に図示せよ。
問3
化合物 A 中のアンモニア分子 2 個が分子 L2 個に置換した化合物について、すべての異性体の陽イオンの構造を、
次の例にならって立体的に図示せよ。
2+
L
Zn
H3N
NH3
NH3
(Ⅱ)
遷移金属イオンは、様々な配位数の金属錯体を形成する。水やアンモニア、ハロゲンイオンは
金属イオンに
エ
ウ
を持っているので、
することができる。配位数が 6 の可能な構造として、図 1 のような正六角形、正三角柱、正八面体
の三つの構造が存在する。いま、組成の異なる二種の錯体[MA5B]と[MA4B2](M は金属イオン、A、B は配位子)について考
える。三つの構造について、[MA5B]、[MA4B2]錯体で可能な幾何異性体の数を表 2 にまとめた。
200
Secret Mission 2
Rank ☠☠☠:Knowledge
[
チタン精錬
]
Priority ★(Frequency †)
アルミニウムは地球上に金や銀より遥かに多く存在している。しかし金や銀が有史以前から利用されて来たのに対し、
(A)
アルミニウムが広く利用され始めたのは 20 世紀に入ってからである。これは非常に良く知られた話であるが、実はチタ
ン(Ti)についても同じ様な事が言える。現在でこそゴルフクラブ、ラケット、眼鏡、自転車から航空機やミサイルまで、
実に多様な分野で利用されているが、チタンが工業的に利用され始めたのはアルミニウムよりも更に遅く、第二次世界
大戦後になってからである。しかし存在量が少ない訳では決して無く、アルミニウム程では無いが、チタンも地球上に
豊富に存在している。実際、地殻中にチタンより多く存在している元素は十指に満たない。鉄などの他の多くの金属と
同様、チタンも酸化物の形で鉱石中に存在する。しかし炭素と容易に反応して炭化物を作ってしまうので、鉄とは異な
り、炭素で直接還元して金属を得る事が出来ない。また、窒素や酸素とも反応し易いので、純粋な金属を得る事はなか
なか難しい。そこでチタン鉱石中に含まれる(ア)TiO2 を炭素の存在下で塩素ガスと反応させて四塩化チタンにし、得られ
た(イ)四塩化チタンをナトリウムで還元する事により金属チタンを得ると言う製錬法が開発された。四塩化チタンは常温
で液体の化合物であるが、(ウ)水が存在すると激しく反応して二酸化チタンと塩化水素を生じるので、取り扱いには注意
を要する。
問1
鉄鉱石中の Fe2O3 を一酸化炭素で還元して鉄を得る反応の反応式を書け。
問2
下線部(ア)、(イ)、及び(ウ)の反応の反応式を書け。
問3
下線部(イ)の反応は、アルゴンで満たした密閉した反応容器中で行われる。何故か。
問4
数年前、兵庫県内に有るチタン製錬工場で火災が起こった。この際、消防隊は火災の比較的初期に現場に到着し
たが、積極的な消火活動をせず、ただ火が燃え尽きるのを見守っただけだと言う。その理由について考察せよ。
問5
文頭の下線部(A)について、何故かを考察せよ。
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Secret Mission 3
<09 札幌医科大>
Rank ☠☠☠☠☠: Knowledge
[ 水銀
]
Priority ☆(Frequency †)
(1)
金属元素の中で水銀は、唯一常温で液体である。水銀と硫化水素は、水銀とイオウの間で電子移動を起こし結合を作り
硫化水銀ができる。水銀以外の重金属も同様の反応で硫化物を作る。このため,硫化水素がただよう火山には重金属が
多い。
問1
水銀と多くの金属(例えば金、銀、銅)とで合金を作ることができる。この合金はアマルガムと呼ばれ、ペースト
状の柔らかいものになることが多い。この性質を利用して、掘り出した鉱石を微細な粒になるまで挽いて、これに
水を加えて練り水銀とともに撹拌すると鉱石中の金等が水銀に溶け込む。更に,水銀を取り除くことで金等を精製
することができるが、どのようにすれば水銀を除くことができるか。
(2)
水銀温度計を落としたら壊れ、中の水銀 2g が部屋(10m3)の床にこぼれた。こぼれた水銀は、水滴状になっていた。すぐ
に回収せず、長時間そのままにしておいたところ、水滴状の水銀は蒸発してなくなっていた。
問2
水銀がなくなっていたとき、部屋の水銀の蒸気圧を計算せよ。部屋の温度は 27℃で、温度変化せず、密閉されて
いるものとする。また、床や壁は水銀を吸着しないものとする。水銀の飽和蒸気圧は 0.0022mmHg(27℃)である。必
要なら気体定数 0.082L・atm/(K・mol)を用いよ。
問3
蒸発した部屋の水銀を除去するにはどのような方法があるか。換気する以外の方法を記せ。
(3)
水銀は殺菌作用をもつため、かつて医療の分野で用いられた。殺菌には第二水銀が作用する。例として、塩化第二水銀
があるが皮膚への刺激が強いわりに、細菌への浸透性は低いため、細胞膜浸透性が高く殺菌作用の強い有機水銀の開発
がすすめられた。
問4
第二水銀の酸化数を答えよ。
問5
有機水銀の例として塩化メチル水銀がある。塩化メチル水銀の構造式を答えよ。
問6
有機水銀が無機水銀より細胞膜浸透性が高い理由を答えよ。
問7
有機水銀化合物は、実際には例えば細菌の体内に入った後、分解され、第二水銀イオンとなって、これが細菌体
内の多くの酵素タンパク質と結合し、酵素の働きを失わせる。標的となるタンパク質中のアミノ酸名を記し、そ
の結合様式を答えよ。
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