広範囲な用途に応える 日化産の高純度品 Nickel スルファミン酸ニッケル Sulfamate 「スルファミン酸ニッケル」は、優れためっき特性を生かした高精度・高品質の表面処理薬品として、 長年にわたり品質のご信頼を賜っております。 スルファミン酸ニッケル浴は、コネクター、リードフレーム、チップ抵抗器などの電子部品や、メタ ルマスク、樹脂金型、スタンパー、ダイヤモンドカッターなどの電鋳品等機能性めっきなどの用途に広 く使用されております。精密性、硬さ、内部応力などの高度なめっき皮膜特性コントロールの要求が高 まっており、当社では、これらのニーズにお応えすべく、ご要望に即したスルファミン酸ニッケル各品 目および各種添加剤を取り揃えております。 1. 2. 3. 4. 5. 6. 7. 特 長 一般のニッケル浴(ワット浴)より高速度めっきが可能です。 めっき浴組成が単純で、管理が容易です。 水に対する溶解度が大きく、高濃度、高電流の使用が可能です。 不純物に対し、比較的鈍感です。 内部応力が非常に小さく、各種電鋳に最適です。 純度が高く、キメの細かい電着物が得られます。 電着物の皮膜物性は、同作業条件下で再現性に優れています。 品 目 ・ 規 格 濃度 as Ni(NH2SO3)2・4H2O Fe Cu Pb Co 0.0005 0.0001 - 0.0001 0.0001 0.0001 0.0003 0.0001 0.0001 0.0005 0.0001 - Fe Cu Zn Pb Co 0.001 - 比重 at 30℃ pH 1.50±0.02 4.7~5.1 0.0001 0.0001 1.50±0.01 4.7~5.1 0.0001 1.56±0.02 4.4~5.0 Zn max.% 60%スルファミン酸ニッケル溶液 900 g/L (60wt%)以上 高純度 60%スルファミン酸ニッケル溶液 900 g/L (60wt%)以上 65%スルファミン酸ニッケル溶液 1,014 g/L (65wt%)以上 pH 純度% *1 max.% (結晶)スルファミン酸ニッケル 96%以上 3.0 以上 *1: 結晶 30g + ホウ酸 3g 0.001 0.001 + 水 → 100mL 0.001 代表的浴組成・作業条件 *2 *2 普通浴 高濃度浴 高速度めっき浴 スルファミン酸ニッケル(結晶) 350~450 g/L 600 g/L 600 g/L 60%スルファミン酸ニッケル溶液 600~750 g/L 1,000 g/L 1,000 g/L *3 塩化ニッケル 5 g/L 5 g/L 5 g/L *3 臭化ニッケル 3~10 g/L - - 30~40 g/L 30~40 g/L 40 g/L 適量 適量 適量 ホウ酸 *4 添加剤 *2 ,*3:いずれかを用いて建浴 *4:必要な場合に添加 40~60 ℃ 浴温度 1~10 陰極電流密度 40~60 ℃ A/dm2 1~45 A/dm2 40~60 ℃ 45 A/dm2 max. pH 4.0~4.5 4.0~4.5 4.0 ろ過 連続 熱交換式 連続 熱交換式 連続 熱交換式 ・pH の調整 スルファミン酸ニッケル浴の pH は、 下げる場合はスルファミン酸 上げる場合は炭酸ニッケル で調整してください。 6 (参考)pH調整剤添加量とpHの関係 5 pH 加熱方式 4 スルファミン酸 3 炭酸ニッケル 2 0 1 2 3 4 5 添加量 [g/L] 6 7 めっき浴管理上の注意 1. 2. 3. 性 浴温度を 70℃以上に上昇させないようにしてください。 加水分解が起こり、生成する硫酸アンモニウムが電着物の皮膜物性を悪化させます。 局部的にでも温度上昇しないよう液循環を行い、熱交換器を使用してください。 陽極板は溶解の良い硫黄入りニッケルをご使用ください。 陽極溶解補助剤として塩化ニッケル、臭化ニッケルを用います。 大量に使用する場合は臭化ニッケルのほうが低い内部応力を示します。 無機、有機の不純物は内部応力を高くし、もろい電着となり、皮膜物性を悪化させます。 使用薬品には充分ご注意ください。 能 測 定 例 スルファミン酸ニッケルめっき及び精密電鋳につきましては下記のデータを参考にご使用ください。 なお、めっき条件は次の通りです。 スルファミン酸ニッケル 臭化ニッケル ホウ酸 ピットレス S pH 温度 撹拌 電流密度 250~650 g/L 5 g/L 30 g/L 5 mL/L 4.0 50 ± 1 ℃ マイルドな撹拌、カソードロッカー 5 A/dm2 ① スルファミン酸ニッケル濃度と内部応力、硬さの関係 内部応力はスルファミン酸ニッケル Ni(NH2SO3)2・4H2O として 450g/L の時が最低です(図 1、2) 。 硬さは 350~450g/L の間で最小値を示します(図 3) 。 図2 濃度・めっき厚と内部応力の関係 1000 800 800 × 650g/L ○ 550g/L ◆ 250g/L □ 350g/L △ 450g/L 600 400 200 0 10 20 時間 [分] 30 内部応力 [kg/cm2] 内部応力 [kg/cm2] 図1 濃度と内部応力の関係 1000 2μm 5μm 11μm 600 400 200 40 200 400 600 スルファミン酸ニッケル濃度 [g/L] 800 図3 濃度と硬さの関係 350 硬さ(HV) 300 250 200 150 200 400 600 スルファミン酸ニッケル濃度 [g/L] 800 ② 陰極電流密度と内部応力、硬さの関係 初期内部応力は、陰極電流密度が高いほど大きくなり、厚みが増加するに従い安定します(図 4) 。 硬さは、陰極電流密度が高いほど低くなります(図 5) 。 このため、電鋳などの初期には電流を低くし、その後所定の電流密度に上昇させることにより、めっ き中の剥離防止や離型した場合の表面硬さが高くキズ防止の効果が期待できます。 図4 電流密度と内部応力の関係 図5 電流密度と硬さの関係 350 1000 300 硬さ(HV) 内部応力 [kg/cm2] 1200 800 8A/dm2 6A/dm2 4A/dm2 2A/dm2 600 400 200 0 10 20 時間 [分] 30 250 200 150 40 0 2 4 6 電流密度[A/dm2] 8 10 ③ 陽極溶解補助剤と内部応力、硬さの関係 スルファミン酸ニッケル浴の陽極溶解補助剤(塩化ニッケル、臭化ニッケル)におけるめっき皮膜物 性への影響は以下の通りです。 低濃度では塩化ニッケルと臭化ニッケルで内部応力に大差ありません(図 6、7) 。しかし、合理的に 陽極を溶解させ、浴を安定させるためにはより高濃度にする必要があります。その場合、臭化ニッケル のほうが低い内部応力を示します。硬さは塩化ニッケルと臭化ニッケルで大差ありません(図 8) 。 図6 塩化Ni添加量と内部応力の関係 図7 臭化Ni添加量と内部応力の関係 1200 内部応力 [kg/cm2] 内部応力 [kg/cm2] 1200 1000 800 20g/L 15g/L 10g/L 5g/L 0g/L 600 400 200 0 10 20 時間 [分] 1000 800 20g/L 15g/L 10g/L 5g/L 0g/L 600 400 200 30 40 0 10 20 時間 [分] 30 40 図8 陽極溶解剤と硬さの関係 350 塩化ニッケル 硬さ(HV) 300 臭化ニッケル 250 200 150 0 5 10 濃度 [g/L] 15 20 ④ アンモニウムイオンと内部応力、硬さの関係 スルファミン酸は加水分解により、アンモニウムイオンと硫酸イオンを生成します。 NH2SO3- + H2O → NH4+ + SO42- これらのイオンはめっき皮膜物性を悪化させます。内部応力はアンモニウムイオン濃度 2~4g/L の間 で最大となります(図 9) 。硬さはアンモニウムイオン濃度増加に伴って上昇し(図 10)、もろい皮膜と なります。外観は粗雑な灰色のめっき皮膜となります。 図9 NH4+濃度・めっき厚と内部応力の関係 図10 NH4+濃度と硬さの関係 350 600 300 500 6μm 12μm 23μm 400 300 200 硬さ(HV) 内部応力 [kg/cm2] 700 250 200 150 0 2 4 6 NH4+濃度 [g/L] 8 10 0 2 4 6 NH4+濃度 [g/L] 8 10 加水分解を抑制するために①浴温度 70℃以下、②局所加熱を避ける、③pH4.0 以上で作業を行って ください。浴温度 50℃、pH4.0 以上で使用した場合、アンモニウムイオン及び硫酸イオンの増加はご く僅かです。 ⑤ 温度と内部応力、硬さの関係 内部応力:温度上昇に伴って内部応力は低下します(図 11) 。 硬さ:低温から 50℃までは安定していますが、50℃以上になると硬度は上昇します(図 12) 。 図11 温度と内部応力の関係 図12 温度と硬さの関係 350 電流密度 2A/dm2 800 硬さ(HV) 内部応力 [kg/cm2] 1000 600 400 300 250 200 200 0 150 20 30 40 50 温度 [℃] 60 70 20 30 40 50 温度 [℃] 60 70 ⑥NSF-E(専用添加剤)の効果 NSF-E をご使用いただきますと圧縮応力で(図 13)、500HV 以上の硬いめっき皮膜が得られます。 図13 NSF-E添加量と内部応力の関係 内部応力[kg/cm2] 0 -100 5μm 10μm -200 -300 -400 -500 -600 2 4 6 濃度 [mL/L] 8 ⑦ 硬さ上昇のためのコバルト塩添加について めっき皮膜の硬さ上昇のために、スルファミン酸ニッケル浴にコバルト塩を添加することがあります。 通常はスルファミン酸コバルトを添加します。この場合、めっき液中のコバルト含有率を 10%前後と することが望ましく、コバルト含有率を高くしますと内部応力は上昇し、硬さは低下します。この場合 クラックが発生することがありますので注意が必要です(図 14) 。 図14 ニッケル・コバルト合金めっきの物性 100 500 80 硬さ 400 60 300 200 40 皮膜中のCo (右軸) 内部応力 100 20 0 0 0 2 4 6 8 10 12 14 めっき液のCo含有率 Co/(Ni+Co) [%] 16 18 20 皮膜中のCo含有率 [%] 硬さ(HV) 内部応力/10 [kg/cm2] 600 ⑧ ピット防止剤(ピットレス S)の添加 表面張力はピットの発生に影響します。 ピットレス S を添加することによりピットを防止できます(図 15) 。 図15 ピットレスSと表面張力の関係 表面張力 [mN/m] 100 80 60 40 20 0 0 5 10 15 ピットレスS添加量 [mL/L] 20 その他のスルファミン酸塩 50% 50% 50% 40% 35% 40% スルファミン酸コバルト溶液 スルファミン酸リチウム溶液 スルファミン酸マンガン溶液 スルファミン酸第一鉄溶液 スルファミン酸インジウム溶液 スルファミン酸銅溶液 Co(NH2SO3)2・4H2O LiNH2SO3 Mn(NH2SO3)2・4H2O Fe(NH2SO3)2・5H2O (受注生産) In(NH2SO3)3 (受注生産) Cu(NH2SO3)2・2H2O (受注生産) ※その他、スルファミン酸ニッケル専用添加剤「NSF シリーズ」 、電鋳用離型剤「ニッカノンタック」 を取り揃えております。 用 1. 2. 途 電子部品(コネクター、リードフレーム、チップ抵抗器など) 電鋳品等機能性めっき(メタルマスク、樹脂金型、スタンパー、ダイヤモンドカッターなど) ※詳細は技術資料をご参照ください。 代理店 NIHON KAGAKU SANGYO CO.,LTD . h t t p : / / w w w. n i h o n ka g a k u s a n g yo . c o . j p/ 東京営業部 大阪支店 名古屋支店 九州出張所 北陸出張所 高崎出張所 海外営業部 〠110-0004 〠540-0005 〠460-0007 〠803-0846 〠921-8116 〠370-0842 〠110-0004 東京都台東区下谷 2-20-5 大阪市中央区上町 1-23-10 名古屋市中区新栄 2-16-13 北九州市小倉北区下到津 5-10-9 金沢市泉野出町 3-13-2 高崎市北双葉町 1-22 東京都台東区下谷 2-20-5 03(3876)3131 06(6762)8961 052(261)0731 093(571)5035 076(243)2511 027(326)5535 03(3876)3135 2014.12
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