エネルギーミックスの検討にあたって (一次エネルギーにおける石油の位置付けの明確化) 2015年4月 石 油 連 盟 1.「石油」は国民生活に欠かすことのできないエネルギー資源 「石油」は可搬性・貯蔵性・利便性に優れ、運輸・家庭・業務・産業などあらゆる部門に おいて平時のみならず震災など緊急時にも欠かすことのできないエネルギー。 さらに、「石油」はエネルギーとしてだけではなく、プラスティック・繊維・ゴムなどの高 機能性製品、機械・自動車を円滑に動かすための潤滑油などの原料として国民生活 に必要不可欠な資源。 東日本大震災における被災地への 供給実績 1次エネルギー供給・最終エネルギー消費 (2013年度) 石油のエネルギー・資源としての 主な役割 原油換算百万KL 被災地からの 要請への対応内訳 燃料(石油) 1456件 29% 600 石油供給の 要請先内訳 500 水力 3%, 原子力 0.4% 再エネ4% 400 天然ガス 24% 300 石炭 25% 発電・転換ロス 電力 25% 200 100 石炭 11% 石油 43% 再エネ0.3% 熱 6% 都市ガス 8% 動力 石油 49% 0 一般物資 3590件 71% その他(通信・ 病院・避難所 運輸・マスコミ等) 25% 26% (364件) (379件) 石油販売業者 29% (422件) 警察・消防・ 地方自治体・ 自衛隊等 20% (291件) (出所)総合資源エネルギー調査会第13回基本問題委員会 1次エネルギー供給 100% 80% 60% 40% 20% 0% 電力 最終エネルギー消費 熱 再エネ 電力 石油98% 運輸 都市ガス 再エネ 熱 電力 エネルギー 都市ガス 石炭 石油29% 石油38% 家庭・業務 産業 (注)産業=製造業+農林水産鉱建設業、家庭・業務=家庭+業務他 (出所)総合エネルギー統計 熱 石油= エネルギー+資源 石化製品 資源 潤滑油 1 2.一次エネルギーにおける「石油」の位置付け これまで「石油」の安定供給に向けて、官民挙げて、中東産油国との資源外交、首都 直下・南海トラフ地震等の激甚災害への対応、国内の石油備蓄体制の維持・強化、 製油所・コンビナートの構造改善を通じた強靭化・競争力強化に取り組んできた。 今後もこうした取り組みの維持・強化が重要です。 エネルギー基本計画にも示されている通り、エネルギーミックスにおいても「石油」を 平時・緊急時ともに国民生活を支える重要なエネルギー資源として位置付け、「石油」 を有効利用・高度利用する経済社会を目指すことが重要です。 製油所・油槽所で取組んでいる強靭化対策(予定含む) 青枠・・・入出荷機能維持・強化 【製油所・油槽所】 赤枠・・・製油所の被害最小化 製品の受入・出荷機能強化 出荷エリア 出荷設備の機能維持対策 タンカー等から石油製品を入出荷 する配管やポンプの新増設 ドラム缶充填出荷設備等、非常用 3点セットの整備 タンク・配管の耐震・ 液状化対策 非常用3点セット ドラム缶 充填出荷 設備 非常用 電源 非常用 通信設備 高圧ガス設備 タンク 液状化対策、緊急遮断弁 の設置(災害発生時の 被害拡大防止)等 桟橋・護岸の耐震・液状化対策 製品の入出荷機能を維持するための 製品入出荷桟橋及び護岸の耐震・ 液状化対策 【製油所】 高圧ガス設備の耐震 強化 球形タンクの筋交 (ブレース)の耐震強度 評価 安全の観点から重要度 の高い既存設備に対す る最新耐震基準の適合 設備の安全停止 配管 精製設備 護岸(公有・民有) 製品入出荷桟橋 LNG・石炭・石油の備蓄体制 自動停止システムや 緊急遮断弁の設置など (製品の出荷機能を 維持するため) LNG 約14日 石炭 約30日 石油 約170日 震災後、石油は国家製品備蓄 を積み増し(4日分)※約170日の内数 ※洋上在庫含まず、電力会社の発電用在庫(2013年度 平均在庫日数等)で計算。電力調査統計等より作成) ※石油については「石油備蓄の現状」より作成(IEA基準) (出所)第1回長期エネルギー需給見通し小委等 2 3.「石油火力」の位置付けの明確化 電源ミックスの中で、①短期的な系統安定化、②太陽光などの再エネの導入拡大、 ③自然災害等による電源の長期的な計画外停止等に備えた予備力(バックアップ電 源)として、どのような電源を位置付けるかを検討することが必要です。 バックアップ電源の検討にあたっては、燃料の供給弾力性に優れ、最近の大規模電 源の計画外停止等で果たしてきた実績を踏まえ、エネルギー基本計画でピーク電源 及び調整電源とされている「石油火力」の位置付けを明確にして頂くようお願いします。 発電用燃料消費量の推移 100% 80% 60% 40% 20% 0% 9% 10% 9% 9% 9% 10% 10% 10% 11% 10% 2% 1% 0% 11% 26% 26% 29% 29% 31% 31% 43% 43% 50% 40% 27% 28% 24% 26% 29% 29% 26% 25% 25% 25% 25% 25% 11% 9% 13% 12% 7% 25% 28% 30% 30% 14% 18% 15% 11% 8% 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014 年 石油 石炭 LNG 度 原子力 4~1月 燃料消費量(千KL、千t)、発電量(千万kWh) 発電電力量(kWh)構成の推移 7,000 6,000 LNG需要 1.4倍 5,000 4,000 3,000 石油需要 2,000 3.1倍 1,000 0 石油(原油+重油) LNG 燃料消費量 再エネ (出所)電気事業連合会、2014年度は電力調査統計による石油連盟計算値 石炭 (出所)電力調査統計 (注)石油・LNG需要の倍数は何れも2011年3月対比 火力 原子力 発電電力量 3 4.「石油火力」の平時からの一定稼動について 予備力として「石油火力」を活用するためには、緊急時のみの運用では国内サプライ チェーンを維持できないため、「石油火力」の平時からの一定稼動が必要です。 過去の大規模電源の計画外停止の実績では、通常の稼働レベルからは2倍程度必 要とされており、こうした実績を踏まえた検討が必要となります。 また、一般電気事業者が保有する「石油火力」は老朽化のため非効率であることから、 地球温暖化対策の観点から「石油火力」のリプレースが必要となります。 石油火力の経年別設備容量の推移 石油火力用原油・重油需要の推移 万kW 千KL 35,000 30,000 25,000 20,000 原油 計31,350 重油 2.8倍 計25,713 計24,858 1.6倍 16,706 計21,082 計19,934 2.3倍 14,266 計16,512 15,000 10,000 5,000 11,786 12,791 9,349 8,148 7,163 8,291 0 12,393 12,602 計13,330 計10,754 11,447 計24,959 計11,016 7,235 6,169 12,466 14,644 12,357 7,274 6,056 3,519 4,847 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014 4-1月 年 度 新潟県中越沖地震 (出所)資源エネルギー統計・電力調査統計 東日本大震災 (注)設備容量は沖縄電力を除く一般電気事業者9社合計 各年度の夏季(7~9月)及び冬季(12~2月)に稼働させていた発電所の出力合計 網掛け(グレーの部分)は長期停止から再稼働した発電所で、出力の値を()内に記載 (出所)総合エネ調 電力需給検証小委員会-報告書(平成26年4月) 4
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