野口 良造 - 生物資源学類

研究室名
資源エネルギー工学 (生物生産機械学分野)
教員名
研究対象
キーワード
URL
E-mail
のぐち
りょうぞう
野口 良 造
・バイオマスエネルギー利用社会のシステム設計
・有機性廃棄物の分離による資源・エネルギー化
バイオマス、油水分離,パーム搾油排水(POME),
デザイン
http://noguchiryozo.web.fc2.com/
[email protected]
パーム搾油排水からのメタン生産池
TEL/ FAX
029-853-4697
教育・研究テーマの一行コピー
生物資源・エネルギーの利活用によって環境・経済性の両立を目指す
当研究室の理念,目標
■農村・地域空間において、Alvin Toffler が提唱す
る、自ら消費する食料・資源・エネルギーを自らが生
産する「生産消費者(Prosumer)」のための、技術的
課題,倫理的課題の抽出とその解決を目指していま
す。■世界の人口の都市への一極集中と日本の人口減
少、食料・環境問題、安定したエネルギーの確保など、
本質的な 21 世紀の課題を解決するためには、世界的
規模でのバイオマス資源の活用が重要です。■しか
し、今後数多くの技術的課題を克服する必要があり、
バイオ燃料生産の普及拡大はまだ多くの問題が残さ
れています。■たとえば、投入エネルギーに対する産
出エネルギーの比を表すエネルギー効率(EPR)を取り
上げてみても、世界の研究者の間で意見が分かれてい
ます。また、食料生産との競合、環境破壊など、普及
拡大に向けた課題が数多く存在します。さらに、東南
アジアでは、食料やバイオ燃料利用のため、パーム油
の増産が続き、熱帯雨林の環境破壊が問題視されてい
ます。■本研究室では、最先端の技術を利用すること
により、バイオマス資源やバイオマスエネルギーを利
用し、持続型農村社会を設計するための技術的課題の
解決を目指します。
研究テーマ(1)
■食品加工場での動物性油脂排水の油水分離
■食料生産、食品製造過程では、多くのバイオマス
(有機資源)が廃棄されています。なかでも資源とし
ての価値が高い植物油、動物油が、排水中に多く含
まれるケースが多々あります。■これらの油は、廃
棄されたり、下水として流されたりすれば、排水処
理コストの増加や、環境汚染などの被害を拡大しま
す。■一方で、油水分離技術を導入し、適切に油を
「分離」することによって、排水処理を行う排水処
理のコスト負担を減少させることができます。ま
た、同時に高付加価値な資源やエネルギー、また衛
生設備による食材の回収が可能となります。■そこ
で、油水分離技術の開発や、それに伴う超小型排水
処理装置の開発、また油水分離導入の経済評価につ
いての研究を行っています。
食品加工場(鶏ガラ製造)での油水分離装置導入の
一例:茹で釜(左)、回収された廃鶏の食品用油(右)
先端技術を活用した Prosumer のための農家と圃場
大幅にコストダウンされた排水処理施設(浄化槽)
研究テーマ(2)
■パーム搾油工場排水(POME)の油水分離と利用
■パーム搾油工場では、搾油過程において多量の高温
蒸気が必要となり、工場から流れ出る最終排水
(POME)には、多くのパーム油やバイオマス残渣が含
まれています。■また、東南アジアを中心としたパー
ム油生産では、持続的パームオイル生産円卓会議
(RSPO)によって、パーム搾油工場から排出される
POME(Palm Oil Mill Effluent)の高度な排水処理と
メタンガスの回収は、喫緊の課題となっています。■
そこで、パーム搾油工場での搾油過程のシステム解析
を通じて、POME の成分と量、メタンガスの発生予測
を行っています。また、高度な油水分離技術導入によ
るパーム油回収と廃水処理のよる経済性評価を行っ
ています。■さらに、POME には高度な栄養成分が含
まれており、バイオ燃料を高効率で生産する藻類の重
要な栄養供給源として期待されています。■そこで、
POME の成分分析を通じて、藻類生産の栄養源の効
果、またバイオ燃料生産のための、エネルギー効率,
環境影響の評価を行っています。
パーム油搾油工場
研究テーマ(3)
■籾殻の資源・エネルギー化
■稲作の副産物である籾殻は,日本で年間約 200
万 t 近く生産されています。しかし、籾殻はその
難分解性の構造から,未だ 3 割強が未利用です。
■そこで,トレードオフの関係にある燃焼エネルギ
ー生産と燻炭生産を、小型籾殻燃焼ボイラーの制御
によって効率的に行い、籾殻供給量を制御パラメー
タとして、経済性やエネルギー効率,環境影響の観
点から、燃焼制御や燃焼評価手法の確立を目指しま
す。
小型籾殻燃焼炉(左)とタイのカントリーエレベー
タと大量の籾殻(右)
研究テーマ(4)
■バイオマス燃料利用社会のシステム設計
■再生可能エネルギーを基盤とした地域分散型エ
ネルギー社会では、地域資源の自然空間や農村空間
を最大限に活用することが求められます。特に、食
料やバイオマス燃料生産を含めた将来のシナリオ
に応じた予測が必要です。■また、バイオマス燃料
生産のための作付け体系だけでなく、農林業インフ
ラを活用した太陽光発電、風力発電、水力発電など
の賦存量を把握すると同時に、気候や天候が再生可
能エネルギー生産に与える影響を明らかにするこ
とが求められます。■そこで,システム工学的手法
にもとづき、GIS、システムダイナミクス、意思決
定支援手法を用いながら、バイオマスの利活用を行
うためのシステム設計とシミュレータの構築を通
じて、技術的課題を含めた、分散型エネルギー社会
のための評価、将来予測、提言を行っています
パーム搾油工場から排出される廃液(POME)
藻類生産のオープンポンド
バイオマス燃料生産のポテンシャル予測(栃木県)