Akita University - 秋田大学

Akita University
秋田大学鉱山学部研究報告,第7号,1986年10月
論文
湿分移動を伴う布地の有効熱伝導率*
高橋カネ子**・藤枝アイ***・三原孝之****・山田悦郎**
EffectiveThermalConductivityofClothingMaterialsCoexisted
withConductionandDiffusion
KanekoTAKAHAsHI**,AiFuJIEDA***,
TakayukiMIHARA****andEtsuroYAMADA**
AbstraCt
TheeffectivethermalconductivityoftheclothingmaterialsinwhichheatHowsaccompany
withmasstransferhasbeenmeasuredTheconditionofthismeasurementmaybemoresimilar
topracticalemploymentoftheclothes・Theexperimentalapparatusbaseduponthesteady
statecomparisonmethodisslightlymodified・Thewatertankisputtedontheheaterandheat
isHowedthroughthesampleclothesupwardfromtheheaterthatisplacedatthebottomof
theapparatus・Theclothingmaterialsthatarewidelyemployedordinaryareselectedasthe
sample
lftheheaterandtheroomtemperaturearekeptconstant,vapourizingrate〃isscarcely
independenttothenumberandthekindofclothes・The〃,however,dependstothetemperature
differencebetweentheheaterandroomtemperatureandrelativehumidityoftheroomOn
theotherhandthetemperaturedifferenceofupperandbottomsurfaceofsampleisnearly
proportionaltothenumberofclothes、Thereforetheeffectivethermalconductivitycoexisting
withheatconductionanddiffusionbymasstransfermaybeevaluatedbyobtainingthesum
oftheeffectivethermalconductivityinthecasethatheatormasstransfersalonethroughthe
clothes.
1.緒
環境一衣服一人体の一連の研究がさまざまな角度
‐
から行われているが,この研究の目的は,人間が衣
服を着用した状態での熱物性値について考察するも
衣服の着用の目的は,多岐にわたるが,日常の衣
のである.
服については,自然環境における身体保護を目的と
人間が着用している衣服においては,人体の皮膚
することが最も本質的なものであるといえる.
表面からの発汗および不感蒸せいの水分が,被服開
口を通して蒸発,拡散されるほかに,被服材料を媒
1986年7月25日受理
体として放出されるので,被服内部では,湿り空気
*昭和61年(6月21日,秋田)日本機械学会秋田地方
講演会にて発表
となって水蒸気の拡散が起りゲ熱移動と物質移動が
**秋田大学鉱山学部機械工学科.Departmentof
MechanicalEngineering,MiningCollege,Akita
U
n
i
v
e
r
s
i
t
y
.
***前秋田大学教育学部家政学研究室.Departmentof
HomeEconomics,TheFacultyofEducation,
AkitaUniversity.
****松下電器産業株式会社(生産機械工学科60年度
卒).MatsushitaElectriclndustrialCo.,Ltd.
共存している現象が生じている.
これまでの布地に関する熱伝導率の研究は,湿潤
織物(3)や,ウェットスーツ(4),含水状態における布地
の有効熱伝導率(5)について報告されているが,これ
らの研究はいずれも水分の移動を生じさせないよう
な熱伝導のみをメカニズムとする研究が多く,水蒸
6
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0
高橋カネ子・藤枝アイ・三原孝之・山田悦郎
気拡散をも考慮した報告は少い、
また,拡散蒸気による移動熱量QsはGsと蒸発熱
一方,これまで,著者らは,衣服に使用されてい
る布地について,綿布,ポリエステル布などの因子
γ(Kcal/kgf)との積であり,拡散によるみかけの熱
伝導率入$を用いるとFourierの式より,
を変え,定常比較法によって測定し,その結果,熱
Qs=−ノMT/伽
伝導率は,測定時の温度依存性が小さく繊維の容積
比が増大すれば,それが増加すること,相対湿度が
(
3
)
となるので,これらを組み合せ整理すると入sは,
30∼90%の範囲では,ほとんど湿度の影響が認めら
れないこと等の知見を得ている.そこで,本報告で
入。二似蓋TB些蒜(41
は,より実際の現象に近い場合を検討することを意
図し,吸湿,放湿状態における布地の水分蒸発量と
熱伝導率を測定し,湿分移動を伴う布地のみかけの
熱伝導率に関係する諸因子について考察を加えた.
となる.RおよびCjRs/〃は湿り空気表より求め
られ,また,実験によりGs,〃/伽などが求められ
るから,入s,ノ(Zなどが上の式を用いて計算出来ること
になる.1例として,全圧力を標準大気圧とし,凡=
記
号
1.033×lO4kgf/m2=760mmHg=101.3〔KPa〕をえ
Gs:拡散蒸発量
らび,ノu=1と仮定して,式(4)の計算結果をFig.1に
zvI,:試料の枚数
示す.図中には,比較のため,水および空気の熱伝
,′、:含気率
導率の他に高橋らの綿布のデータの平均曲線(8)を併
T,/:温度
せ示した.布地中を蒸気が拡散する場合は,抵抗係
、:ヒータ温度
数が大になるので,この図よりも入sが小さくなる
Z:室内温度
と考えられるが,例えば,ガーゼの場合には,温度
△T:温度差
が20°C以上になると,熱は伝導よりも拡散により多
γ世:繊維比重量
く伝えられる可能性があると推定され,実際の布地
Oj
〃:蒸発率
を検討する場合には,湿分移動を無視出来ないこと
1s:拡散によるみかけの熱伝導率
がわかる.
/
ー
一
2.水蒸気拡散を伴う熱移動
O
一字﹄一
湿った物質内では,拡散一凝縮一毛細管作用一蒸
一
一
ー
一﹄卓
発一拡散という過程を繰り返しつつ移動現象が行わ
れている・水蒸気拡散に関する一般式は,Stefan(6)に
ー
旧閲xE、妻a
d:大気の相対湿度
入r
γセ:みかけの比重量
一一
oo二Eへ一.u¥べ
ノα:拡散抵抗係数
一
QO5
より,次式のように与えられる.
角F1,
眼前
Gs=
ノuRsTB−R
、
フ
(
1
)
0
.
0
1
込旦
1 1 1 1
I
OIO2030405060
QO
70
ToC
ここで,凡:全圧力(kgf/m2),R:飽和湿り空気
の水蒸気分圧(kgf/m2),Rs:水蒸気のガス定数
Fig.1Effectivethermalconductivityby
d
i
f
f
u
s
i
o
n
.
(kgf.m/kgfoC),ル:拡散係数(m2/h)であり,さら
3.実
に,々はkrisher(7)らにより,次式のようになる.
験
3.1実験装置と方法
倦二0川筈│器l“
(
2
)
実験装置は,原理的には前報(8)と同様の定常比較
法に基づくものであるがさらに,水蒸気拡散を生じ
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1
湿分移動を伴う布地の有効熱伝導率
させるために,水容器(150×150×53mm,厚さ30
mm)を加え,熱流方向を通常と逆にした装置を用い
4.結果と考察
た.装置の略図をFig.2に示す.
4.1蒸発量と試料枚数,ヒータ温度
各部分の温度は,直径0.07mmの銅一コンスタン
各試料の測定枚数を1,3,5,10枚とし,ヒータ
タン熱電対を標準板(テフロン板)および試料の上
下,水容器の中にそれぞれ取り付けて測定した.外
気温度と湿度の測定は,試料の上方15cmぐらいの
所に,鋭感湿度計のプロープを置き,測定した.蒸
温度を実験中一定に保つようにして時間当りの蒸発
量を求めた.代表例として,ヒータ温度を同一にし
た綿ブロードとソフトデニムの場合をFig.3,およ
発量は図に示すように,加熱側と容量の同じ水容器
を自動天ぴんの上に置き,両者をビニール管でつな
groodcIolhlhp35oC
ぐことによって求めた.試料の厚さは,ダイヤル式
⑥:NC蓮lTr君18°C①琴45弘
008
o : 3 I 9 o C 6 1 %
0
ットし,加熱する.加熱開始後,約3∼3.5時間でほ
▲ : 5 2 0 . C 4 2 %
6
0
次に,実験手順は,両容器に水を入れ,試料をセ
一三E、。︸
の厚さ測定器(最小目盛0.01mm)で求めた.
△ : 1 0 1 7 ℃ 6 5 弘
F
‐
0.04
ぼ定常状態に達し,それから,10分毎に,各点の温
度と蒸発量を150分間測定した,また,その間の周
0.02
囲温度と湿度も'併せて測定した.これらの結果を用
いた前述の式から,九sおよび,αを求めた.
OOO
職↑
樺
f零’
跨
誇
f
50IOOて(min】I50
日
1
③脳
S
Q
FiR、3Relationbetween77andで.
邑愉
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L’ゲダグ″グノ""‘J〃
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''醜'…'含i
許二↑‘
百mC“
B
″ノノノノノ
rW
1'
、
Sofldenim
LJ−U1J
H:Hedrer
W胃Wqrer
Sq:SqmplePIqIe
Sp:PorousPIqte
E
Sr2SlondordPIq↑e,堅=ノ
ST2SfQndQrdPIq把
副sBqlqnce
CuzCupperPIqre
l7DC47艶
▲ : 5
18.C65兇
△号10
EO、06
j 礼 1 ,
0.04
Fig.2Schematicdiagramofexperlmenta]
0.02
apparatus.
、 : 3
、
ひ
F
目
II−fB:‐「he「mocouple
Thp3SoC
- ⑧ 。 N & 〃 I 而 ・ l8oC@.53%.
■
︻Q
O−OO
慰至yf≦犀
3.2試料
50100T(min)150
Fig.4Relationbetween77andT.
実験試料としては,被服材料として,日常用いら
れている素材で,実用性のあるものを数種選んだ.
試料の材質,厚さ(Sと),みかけ比重量(γを),繊維比
重量(γb1),含気率(妙)をまとめて,Tablelに示
す
.
ぴFig.4に示す.
実験室内は出来るだけ外部からの空気の流出入を
防ぐようにしたが恒温,恒湿でないために,蒸発量
〃は,両図ともに,ある一定の値のところで,時間に
TablelDetailsoftestingmaterials.
よる変動が激しいが,試料の枚数による大きな相違
はないようである.他の試料についても同様の傾向
X9,tmz
'52
0.55610.539611.1710.5406
Sof1denim
POIye51er
WoolFlQnnellWooI10‘50810.538311.3110.5日91
唖
。ffeId
NylOn
を示した.さらに,試料の枚数と材質による蒸発量
77の定量的な検討をするため,ヒータ温度をいくつ
か変えた場合の時間と蒸発量の関係のl例をFig.5
に示す.
試料枚数は5枚で,綿ブロードの場合である.こ
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2
高橋カネ子・藤枝アイ・三原孝之・山田悦郎
の図において,ヒータ温度のみでなく,室温および
蒸発率と時間との結果から考察を加えると,“はヒ
相対湿度も同一ではなく,さらに実験中のZおよ
ータ温度公のみでなく,大気(室内)温度Zおよ
び‘の変動に伴って,蒸発量も変動があるが,前図
び室内の相対湿度dによっても影響を受けると考
よりもパラメータの影響は明らかで,ヒータ温度が
えられる.即ち,△T=、−忽の大きいほど,また,
高いほど蒸発量が多くなっていることがわかる.ま
dの小さいほどノαは大きくなると推定される.そこ
た加熱による蒸発よりもさらにゆるやかな自然蒸発
で△T/dを変数として〃との関係を示すと,綿ブ
による蒸発量の相違を見るため,容量500mlのメス
ロードについてはFig7のようになり,この図か
シリンダーに水400mlづつ入れ,上部を綿ブロード
ら,相関性が認められるけれども,どの程度かは不
で枚数1枚,3枚,5枚でふたをしたものと,開放し
明である.
てあるもの計4本を用意し,これを室内に70日間放
また,単純にヒータ温度のみとの関係を示すと,
置した.その結果をFig.6に示す.開放状態とふた
Fig.8が得られる.この図において,各試料共にほぼ
をした状態とでは,明らかに差が見られる.このこ
008
l
とより,試料1枚で,急激に蒸発量が減少し,それ
BroodCIom
6
0
0
には,枚数による蒸発量の変化は,Fig.3,4と対比
すると,その傾向が一致した.このようなことから,
︵EEへロ︶
以上枚数を重ねても,蒸発がゆるやかに生ずる場合
BroodcI O1h
◎
F
∼
NC・5
−o6Th・42●CTrDI5●C①画55%−
0.08
004
◎
画
■
●:35oC18●C45%
△:23QCI4●C48%
6
0
O
一三E、。︶
◎
w計
●
F
‐
0.04
0
◎
002
00
。
0.02
、‐/‐
凸 戸凸、〆 . 、 ′
ー 6
−
.
、
‘
>
9
へ
。
OOO
0
0.00
50
0
pOT(min)
Fig.5Relationbetween 〃and丁.
I
ワ
︵EEへロ︶屑
二E︶エ
50
●;
20
Fig.7Relationbetween〃and△//ゆ
(
川
OO
’
o;Doy=70
│
O
O−△:
0
0
■
BroodcIo↑h
5
△
↑
/
の
150
4
50
− へ
△
』
l
−Z b
0
1
0
●
−−可
D
’
0
3
5
0
N
C
Fig.6RelationbetweenHandHb
Fig.8Relationbetween〃and別
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湿分移動を伴う布地の有効熱伝導率
7
3
一本の曲線で表わされ,試料の種類に関係なく,同
じ傾向を示している.この原因は,室内温度Zと湿
度dが自然状態にあるため,あまり大きく変化して
枚数が増すごとに,温度差が大きくなることがわか
いないことにより,本報では,Zが最も自由に可変
出来る条件であったためと思われる.
温度差のゆらぎが大きいと′思われたが,77のような
激しい変動は見られなかった.Fig.3とFig.9の肌
以上のことから,蒸発量'7は,ヒータ温度,湿度
に影響を受け,試料の材質や厚さの影響は,小さい
ように考察される.
が同じ場合の同一時間で,〃と△Tとが逆の傾向を
示している個所が認められるが,いずれの場合にも,
同じ傾向を示しているわけではない.
4.2試料温度差
る
.
含気料の大きい試料においては,湿分移動により
各試料の枚数1V''ごとに△Tの平均値をとり△T
Fig.3および4に示されるような蒸発量りの変動
と肌との関係を示すと,Fig.1Oのようになる.含
は,試料上下間の温度差とも関係すると思われるの
気率の大きいテトロンが最もばらつきが大きいが,
各試料ともにほぼ直線上に実験点が存在しているこ
で,この値と時間との関係をl例として,Fig.3の綿
ブロードに対応させて,Fig.9に示す.図から,試料
︵。●︶﹄。
CO
O
4
3O
2O0
Brooddofh
の湿分移動の変動状態にも起因するものと思われ
●:Ncsl
。 ; 3
る.もし,試料の重なりによって一枚当りの布地厚
−
▲ : 5
△:10
●
△〆、/、一
.
/
・
〆
△
、
。
∼
F
−
a
/
ム
ー
ー
査
一
竜
一、
さがあまり変化しないものとすれば(前報(8)の結果
から3枚以上はほとんど変化しない)重ね枚数に比
例して熱抵抗が増大することを示し,本報での実験
一三
0
とが認められる.実験点のばらつきは,室内環境の
変動に主たる原因があるが,試料内の空隙を通して
E
三
三
三
50
、=金一争〆と−
−c一.一ヶ一o旨
条件の範囲内では,蒸発率〃は変化しないことか
ら,快適性を悪化させることなく身体を保温出来る
ことになる.しかしながら,運動などによる急激な
▲
『
発汗のような場合には,別の考慮が必要であろう.
ー
100丁(min)
Fig.9Relationbetween△Z、andで.
1
5
0
4.3拡散抵抗係数
(1)式を用いて,各試料に対して拡散抵抗係数狸の
値を求めた.綿ブロードの場合をFig.11に示す.実
験条件の室温は7°Cから20°C,湿度は42%から
65%の範囲にあり一定ではないが,各枚数の〃の値
は,2から4の間で変動しており,蒸発量同様重ね合
0
.
6
せ枚数の大きな相違は見られない.他の試料(テト
︵。。︶
ロン,ソフトデニム,フラノ)の〃の値も,いずれ
もほぼ同程度であり,各試料の違いはあまり表われ
﹄ぐ
0.4
BroodcIo↑hTho35●C
8
.
0 一●:Nca1稀。20●Cの。42%一一一一
0
0
6辻4
0 : 3
1 9 ℃ 6 1 %
▲:518.C45%
− △ :
0
.
2
lOl7●C65%
、
八
A
八
2.0
0.0
5
N
c
1
0
Fig.10Relationbetween△TandjV℃.
0.0
0
’
50
100T(min)
Fig、llRelationbetween〃andで.
l50
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7
4
高橋カネ子・藤枝アイ・三原孝之・山田悦郎
ていない.しかし,ナイロンタフタの場合には,ノuの
5
0
.1
ついては今後研究を進めたい.
●:Te↑oron一
。●二E、百○ヱ
誤差も大きいことから,材質の影響の有無・程度に
△:Sofrdenim
▲:WoolFIonneI
●
O
、I
C
●●
4.4熱伝導率と〃および'7との関係
・
9
f
合
各実験結果におけるノuの平均値を求め,有効熱伝
導率九sとの関係を表わすと,Fig.12および13のよ
距茎言
ogBroQdcIom
値は他の試料の倍以上の値を示した.変動が激しく,
Q△
△
QlO
△ △
ダ<
△▲△
2
.
q
・
$
や
O
、05
うになる.
全
◎
8
。▲
A
▲
◎
QO5
◎
◎
0
前者はテトロンのみについて示したものである.
〃の値が大きくなると拡散による抵抗が大きくな
り,1sが急激に減少していることがわかる.さらに
000
0
QO
20
4.0
浮
他の試料についてもまとめて示したものが,後者で
Fig.13Relationbetween 入sand〆.
ある.材質による相違について観察すると,テトロ
ン以外の綿ブロードは,入sが0.04Kcal/mhoC,ソフ
トデニムは,0.07Kcal/mhoC,ウールフラノは0.06
に思われるが,この原因が含気率,織物組織,その
Broodclom
6
0
0
すい材質と,影響の少ないものとがあることのよう
○
QO6
他のいずれの要因によるものか,まだ,未検討であ
0
碗
〆<
る
.
004
00
次に,九sと〃との関係を考える.Fig.14は,綿ブ
ロードの場合を示したもので,蒸発量〃が多いほど
拡散による伝熱量が大きいので,入sが大きい値を示
している.各試料について,まとめた結果をFig.15
に示す.各試料とも蒸発量りの増加に伴って,入sが
皿ヱ茎
傾向は,見られない.このことは,〃の影響を受けや
︵。。二E、一COヱ︶
Kcal/mhoCの近傍でほぼ一様であり,急激な減少の
8.8.
頓
QO4
○
0.02
全般的にやや増加する傾向を示している.しかしな
がら,蒸気拡散のない伝導のみで熱が移動する場合
の熱伝導率とそれほど大きな変化はなく,綿ブロー
O・OOL
O
g
l
O
O
002004006
‘
7
7
(
9
/
m
i
n
)
Fig.14Relationbetween入sand77.
Te1oron
0
o:Broodclofh
●;Te↑or。、
ー
△;Sof↑denim
△△
●
0
.
0
●
0
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I
C
●
●
〆
0
1
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5
一
op5
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△
●
●
△
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●
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△畳−−−△
’
0.00
0
00
0
2.0
3.0
,
』
/
Fig.’2RelationbetweenAsand鰹
0
蝿
9
茎
ー
△
▲
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司
'■■■
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◎
Cu5
ヱ
▲:WodF極meI
●△
戎●
型”岳ミ目工︶星
●
●
0
.1
5
四ヱE、董迦四わ
|‐
xEき三m
●
QlO
●●●
︵ゲニE二.Uエ︶歯べ
],
CLl5
「
。
。’
0 . 0 2 0 0 4
7
7
(
9
ノ
m
l
n
)
0.06
Fig.15Relationbetween入sand〃
Qjo
α05
Q。
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7
5
湿分移動を伴う布地の有効熱伝導率
ドではむしろ小さい値を示している.この原因は,
2.布地の上下面の温度差は,枚数が増すと比例
伝導のみの実験ではヒータを上部に置き布地を圧縮
的に増加し,熱抵抗を大にするが,熱伝導率には,
しているのに対し,本実』験では上部を開放し荷重を
あまり影響を与えない.
かけていないため,実験中の厚さは大きく異なり,
みかけ密度が相違するためと推定される.
しかし,前述の定性的傾向から,繊維を通しての
熱移動と湿分移動があるために,伝導のみで熱が伝
3.拡散抵抗係数は,枚数による相違はほとんど
見られないが,材質による違いは未だ未検討である.
4.蒸気拡散による有効熱伝導率は,拡散抵抗係
数が大きくなると,減少する傾向にある.
えられる場合よりもみかけの熱伝導率は大きくな
り,'7の大きいほど,入sはさらに増加していくと思わ
文
れる。従って,この空間が粗で含気率が大きいほど,
蒸気拡散による九sへの影響は大であるといえる。
一邪
5.結
水蒸気拡散を伴う布地の有効熱伝導率について,
拡散蒸発量と温度の測定により材質による影響や,
献
(1)高橋他(1981):第2回熱物性シンポジウム講演論文
集,159.
(2)高橋他(1982):第3回熱物性シンポジウム講演論文
集,149.
(3)仲他(1976):繊維機械学会誌,29-7,55.
環境条件の影響について検討を行った.これまでの
(4)大野他(1970):人間工学,5-4,246.
(5)高橋はる子(1954):日本家政学雑誌,5-4,432.
主な結果をまとめると,次のようになる.
(6)Stefan,J,(1889):MZz的.Mz加鋤jss.S"た”9368γ,
1.布地を通っての蒸発量は,ヒータ温度,周囲
9
8
,
1
4
1
8
.
温度,湿度により影響を受けるが,布地の材質や厚
(7)Krisher,0.gjaJ.(1956):Fb湾C”唾,22,1.
さによる相違は,きわめて小である.
(8)高橋他(1983):秋大鉱山研究報告,4,63.