「家庭基礎」 第1学年 人とかかわって生きる -子供とかかわる

人権教育 学習指導案
高等学校家庭(家庭基礎)学習指導案
自己の肯定的態度を育成する人権教育の視点を取り入れた指導の工夫
広島県立教育センター 指導主事 澤井 一恵
1
日 時
平成○年○月○日(○) ○限目
2
場 所
HR教室
3
学年・学級
第 1 学年○組(40 名)
4
単元名
人とかかわって生きる -子供と関わる-
5
単元について
○単元観
本単元は,高等学校学習指導要領家庭の「第1 家庭基礎(1)人の一生と家族・家庭及び福祉 イ 子
供の発達と保育」に位置付いている。近年,一世帯当たりの人数は平均 2.54 人と少人数化しており,
総世帯のうち親族世帯の約9割が核家族である。さらに6歳未満の子供がいる世帯は2割弱で,日常生
活で高校生が子供と関わる機会は少なく,子供という異世代を理解することは困難になっている。その
ため本単元において子供と関わることについて考えさせ,次の世代を担う子供を健やかに育てる責任が
あることへの自覚を高め,子供と適切な関係を築こうとする態度を身に付ける。
人間は赤ん坊として生まれ発育・発達して大人になっている。誕生から脈々と続く生命のつながりを
認識させ,子供も生徒自身もそのつながりの中に存在することを実感させ,
「生」の尊さへの理解につ
なげる。そのことにより自分を大切にしようとする心が育まれるとともに,他者を尊重し大切にしよう
とする心を育むことができる。
○生徒観
日本家庭科教育学会が行った「家庭生活についての全国調査」
(平成 13 年)によると,子供と関わる
ことに関し,小学生の段階では遊ぶ相手として捉えていることに対し,高校生の場合は遊ぶ相手として
ではなく,面倒をみる相手として子供を捉えていると報告されている。また,子供について学びたいこ
とについて,小学生では幼児との関わり方や遊び方を,高校生は子供の心身の発達を挙げている。年齢
が上がるにつれ,子供の捉え方が遊ぶ相手から面倒をみる相手に変化していることがうかがえる。
年齢的にも数年後には,男女とも子育てに関わる年齢となる。親となることを具体的にイメージさせ
るためにも,高校生の段階から,子供を育てることに関心をもたせ,子供の心身の発達を理解した上で,
責任をもって子供と関わることについて考えさせることは重要であると考える。
○指導観
子供を健やかに育てることへの責任や子供と適切な関係を築こうとする態度など子育ての在り方につ
いて,現在そして将来の実生活で生かすことができるように指導していくことが重要である。そのため,
生徒一人一人が学習内容に関する自分の考えをもち,それを他者に伝え合い,考えを深め,自分なりに「分
かった」と感じる(自己の肯定的態度を育成する)学習活動を取り入れる。
その方法として,単元の導入,展開,まとめの各段階に,3回の協調学習ジグソー法を行う。各回の
協調学習ジグソー法は,次の点を目的とする。導入時には,子育てに関して話題になっている内容を取
り上げ,興味・関心を抱かせ,学習意欲を高める。展開時には,子育ての在り方に関する資料をもとに
生徒に主体的に考えさせ,適切な保育について実感を深める。まとめ時には,実際の子育てをイメージ
させながら現在や将来の実生活で生かすことができるよう考えを発展させる。
☆人権教育の視点
・子供は,一人一人思い(感情)をもった一個の「生」であることを重視し,理解させる。
【知識的側面】
・自分の考えをもち,それを表現し,グループで考えを交わしながら,更に考えようとする態度を
もたせる。
6
【価値的・態度的側面】
単元の目標
乳幼児の心身の発達と生活,親の役割と保育について理解させ,子供を生み育てる意義を考えさせる
とともに,子供の発達のために親や家族及び地域や社会の果たす役割について認識させる。
7
単元の評価規準
関心・意欲・態度
思考・判断・表現
知識・理解
・子育てに関する諸課題につい
・親の役割や子供を生み育てる意
・子供のからだの発育・発達と
て関心をもち,学習に取り組
義について考えをまとめ,表現
生理的特徴について理解して
もうとしている。
している。
いる。
・子育ての行い方について考え ・子供を育てることに悩む母親(事 ・乳幼児期が人間の発達段階に
ようとしている。
例による)に,アドバイスを考
おいて重要な時期であること
えている。
を理解している。
・健やかな発達に欠かすことがで
・乳幼児期の生活について生活
きない,遊びの意義や形態につ
習慣の形成,食事,健康管理
いて考えている。
と安全について理解してい
・保育の重要性や社会の果たす役
る。
割について考えている。
・現代の家庭や地域の生活を見つ
めて課題を見出している。
・課題を解決する方法を基に,将
来の自分たちへ子育てに関する
メッセージを作成している。
8
次
単元の指導計画(全8時間)
学習内容
評
関
思
技
知
1 子育てに関する諸課題
について考えよう
価
評価規準
評価方法
・子育てに関する諸課題について関 ・ワークシート
心をもち,学習に取り組もうとし
○
ている。
【協調学習ジグソー法による学習】
・子育ての行い方について考えよう
としている。
2 子供のからだの発達
3 子供の心の発達
○
・子供のからだの発育・発達と生理 ・ワークシート
的特徴について理解している。
・定期考査
・乳幼児期が人間の発達段階におい ・ワークシート
○
て重要な時期であることを理解し
・定期考査
ている。
4 子供の生活
・乳幼児期の生活について生活習慣 ・ワークシート
○
の形成,食事,健康管理と安全に
・定期考査
について理解している。
5 親になることを考えよ
う
・親の役割や子供を生み育てる意義 ・ワークシート
について考えをまとめ,表現して
○
・定期考査
いる。
【協調学習ジグソー法による学習】
・子供を育てることに悩む母親(事
例による)に,アドバイスを考え
ている。
6 遊びの意義と形態
・健やかな発達に欠かすことができ ・ワークシート
○
7 子供が育つ環境
・発表
考えている。
・定期考査
・保育の重要性や社会の果たす役割 ・ワークシート
○
について考えている。
8 子育てに関するメッセ
・定期考査
・現代の家庭や地域の生活を見つめ ・ワークシート
ージを考えよう
【協調学習ジグソー法による学習】
ない,遊びの意義や形態について
て課題を見出している。
・定期考査
・課題を解決する方法を基に,将来
○
の自分たちへ子育てに関するメッ
セージを作成している。
9
協調学習ジグソー法による学習を取り入れた3次分の展開
(1)第1次の展開
ア
第1次の目標
○子育てに関する諸課題について関心をもち,学習に取り組む。
○子育ての行い方について考えようとする。
☆人権教育の視点
・学習内容について,生徒一人一人が自分の考えをもち,それを表現し,グループで各自の考えを
交わしながら,更に考えを深めようとする態度【価値的・態度的側面】
イ
第1次の観点別評価規準
関心・意欲・態度
○子育てに関する諸課題について関心をもち,学習に取り組もうとしている。
○子育ての行い方について考えようとしている。
ウ
協調学習ジグソー法について
授業の柱となる課題(ジグソー活動の課題)
3点の新聞記事を基に,将来,親になり子育てを行っていく上で注意していきたいことをまとめま
しょう。
課題に対して出してほしい答え(課題について,生徒に語らせたいストーリー)
○虐待に関し,社会的関心が高まっている。この状況を意識し,親としても注意して子供に関わり,
子供を傷つけることは絶対に行わない。
○男性の育児休業取得は進んでいない。親として夫婦いずれかが取得し,子育てを行っていかなけれ
ばいけない。当然のように母親が休むのではなく,夫婦で相談をして決めていくようにしたい。
○周囲に頼れる親類もなく慣れない育児に困難を来すとき,利用できるサービスができている。育児
をサポートするサービスの情報を積極的に得て,必要であれば利用し,悩まないようにしたい。
各エキスパート(答えを出すための部品)
【A】児童虐待に関する新聞記事
【B】男性の育児休業取得に関する新聞記事
【C】育児のサポートに関する新聞記事
エキスパート活動のグループ編成
【A】3人グループ×4組
【B】3人グループ×4組 【C】4人グループ×4組
合計 12 グループ
ジグソー活動のグループ編成
3人【A,B,C1人】×8組,4人【A,B1人・C2人】×4組
エ
合計 12 グループ
学習活動等の流れ
学習活動
指導上の留意事項
評価規準(評価方法)
・子供や子育てに関して,ニュ ・児童虐待や食物アレルギー,保育園
導
ースや新聞で見たり聞いた
の待機児童,少子化・・・等,出され
りしたことについて考え,数
ることが予想される。子供や子育て
人が発表する。
に関して色々な諸課題が報じられ
入
5
分
ていることを確認する。
・将来,どのような父親,母親 ・現段階で抱く,父親,母親のイメー
になりたいか考えて記入し,
ジを自由に考えさせ,親になってい
数人が発表する。
く上で大切にしたいことを考える
きっかけとさせる。
・全体発表ができる生徒がいれば,発
表させ,なりたいと思う親の姿につ
いて考えを共有させる。
・子育てに関する新聞記事(3
・子育てに関する新聞記事(3点)
点)の内容を基に,親になり
子育てを行っていく上で注
意していきたいことをまと
めていくことを確認する。
[エキスパート活動]
・担当する新聞記事について,
内容を確認する。
○子育てに関する諸課題
について関心をもち,
【A】児童虐待について
【B】男性の育児休業取得について
【C】育児のサポートについて
・各自が新聞記事を読み,内容を把握
する時間を十分にとるよう配慮す
る。
・将来,自分がどのような親になりた
学習に取り組もうとし
ている。
(ワークシート)
いか,どのような子育てを行いたい
かということを考えながら新聞記
事の内容を確認させる。
・新聞記事に記載された内容等で分か
らない点については,挙手をして質
問するよう伝える。
・新聞記事を読み,感じたこ
・新聞記事に関する問い
とを各自記入する。
・それぞれの新聞記事に関す
【A】児童虐待について,自分たちが親にな
る上で考えなければいけないこと
る問いについて班で考えを
まとめる。
【B】育児休業の取り方について,自分たち
が親になる上で考えていきたいこと
【C】育児のサポートについて,自分たちが
親になる上で考えていきたいこと
・班のメンバーで考えを交わさせなが
ら,新聞記事の内容とそれに関する
問いについて,考えが伝えられるよ
う準備をさせる。
展
・班の再編成後(ジグソー班)は,そ
開
の新聞記事の内容を知っているの
35
[ジグソー活動]
は自分一人であることを意識させ
分
・ジグソー班に再編成する。
る。
・ジグソー活動の課題を確認す
る。
・エキスパート活動の新聞記事
の内容と,それに関する問い
について,考えをそれぞれが
説明する。
・ジグソー活動の課題について
考える。
・3点の新聞記事の内容を基
に,親になり子育てを行って
いく上で,注意していきたい
・ジグソー活動の課題
3点の新聞記事を基に,将来,親
になり子育てを行っていく上で注
意していきたいことをまとめまし
ょう。
ことをまとめる。
徒一人一人が自分の考
えをもち,それを表現
し,グループで考えを交
・一人一人が考える内容が,クロスト
[クロストーク活動]
☆学習内容について,生
わしながら,更に考えよ
ーク活動の発表で出せるよう話し
うとする態度
合わせる。
【価値的・態度的側面】
・12グループの内,4グループを発表
○各班で話し合った,将来,親
させる。
(ジグソー法による学習は,
になり子育てを行っていく
本単元で3回行う。いずれかの回
上で注意していきたいこと
で,全ての班に発表させる。)
を発表する。
・各班の発表で出された内容を ・親になり子育てを行う上で注意して
基に,子育てに関する諸課題
いかなければいけないことについ
の解決に向け,一人一人が注
て,生徒自身で深く考えることがで
意して考えながら,子育てを
きたことを伝える。
行わなければいけないこと
を確認する。
・エキスパート活動,ジグソー
ま
・次のような考えが予想される。
○ 子育ての行い方につ
活動,クロストーク活動で考
○社会で児童虐待に関心が高まって
えた内容を基に,将来どのよ
いる。子供を傷つけることをしてい
る。
うな父親,母親になりたいか
ないか常に注意し,子供の気持ちを
(ワークシート)
再度考え,記入する。
考えられる親になりたい。
と
○母親が当たり前のように育児休業
め
を取るのではなく,夫婦で相談をし
10
ていきたい。
分
いて考えようとしてい
○育児に疲れたときや悩むときは,育
児サポートのサービス利用し,無理
をしないようにしたい。
・子育てに関する新聞等の話題
に関心をもち,将来の子育て
について考えるきっかけに
していくことを確認する。
(2)第5次の展開
ア
第5次の目標
○親の役割や子供を生み育てる意義について,資料を基に考えをまとめ表現することができる。
○子供を育てることに悩む母親(事例による)に,アドバイスを考えることができる。
☆人権教育の視点
・子供は,一人一人思い(感情)をもった一個の「生」であることを重視し,理解させる。
【知識的側面】
・学習内容について,生徒一人一人が自分の考えをもち,それを表現し,グループで考えを交わし
ながら,更に考えようとする態度をもたせる。
イ
【価値的・態度的側面】
第5次の観点別評価規準
思考・判断・表現
○親の役割や子供を生み育てる意義について,資料を基に考えをまとめ表現して
いる。
○子供を育てることに悩む母親(事例による)に,アドバイスを考えている。
ウ
協調学習ジグソー法について
授業の柱となる課題(ジグソー活動の課題)
親の役割や子供を生み育てる意義についてまとめよう。
課題に対して出してほしい答え(課題について,生徒に語らせたいストーリー)
○家庭で,親は子供が安心して生活できる環境を作ることが大切。誕生した直後から,子供はいろい
ろな思い(感情)をもっている。その思い(感情)を可能な限りきちんと汲み取りながら接してい
かなければいけない。
○子育てをすることに悩むこともあるが,子供がいることで生活が豊かになり,未来を創っていく素
晴らしさがあることを心得ておきたい。
○子育てに負担や不安をもつ人や困難な育児環境で子育てを行っている人も多い。子供にとって望ま
しい家庭や親子関係の在り方を一人一人が考えるとともに,社会的な支援を求め相談をしていくと
よい。
各エキスパート(答えを出すための部品)
【A】子供の人間形成と親の役割
【B】子供を生み育てる意義
【C】親子をめぐる問題
エキスパート活動のグループ編成
【A】3人グループ×4組
【B】3人グループ×4組 【C】4人グループ×4組
合計 12 グループ
ジグソー活動のグループ編成
3人【A,B,C1人】×8組,4人【A,B1人・C2人】×4組
エ
導
入
合計 12 グループ
学習活動等の流れ
学習活動
指導上の留意事項
・親として悩みを抱える家庭の
・子育てを行う家庭が,悩みを抱える
新聞記事を読む。
こともあることを確認させる。
・新聞記事の内容について感じ ・現時点で,
「親になること」について
8
ること,悩みを抱える母親へ
自分の考えを基に,母親へのアドバ
分
のアドバイスを考え記入す
イスを考えさせる。
る。
・親になる上で大切な視点につ
・親になる上で大切な視点(3点)
いて,3点に分類した資料を
【A】子供の人間形成と親の役割
基に考えていくことを確認
【B】子供を生み育てる意義
する。
【C】親子をめぐる問題
[エキスパート活動]
・各自が内容を読み,理解する時間を
評価規準(評価方法)
・担当する資料(親になる上で
大切な視点)について内容を
正確に確認する。
十分にとるよう配慮する。
・新聞記事の母親へのアドバイスを意
識した上で,親になる上で大切な視
点を確認させる。
・それぞれの視点に関する問い
・視点に関する問い
について考える。
○個人で考えをまとめる。
【A】幼い子供を育てていく上で,親の役割として意識す
るべきことは?
【B】子育てをすることにどのような意義があり,素晴ら
しさがあるのだろうか?
【C】親子をめぐる問題の背景には,どのような事情があ
るのだろうか?また,問題を深刻化させないため
に,どのようなことを注意するとよいだろうか?
○個人の考えを基に,班の考
展
えをまとめる。
開
の考えをまとめさせる。
・ジグソー活動で,考えが伝えられる
32
分
・一人一人の考えを活かしながら,班
よう準備させる。
[ジグソー活動]
・ジグソー班に再編成する。
・ジグソー活動の課題を確認す
る。
・班の再編成後(ジグソー班)は,そ
の内容を知っているのは自分一人で
あることを意識させる。
・エキスパート活動の内容を,
視点に関する問いについて
考えた内容を基に説明する。
・ジグソー活動の課題について
考える。
・説明し合った内容を基に,親
の役割や子供を生み育てる
意義について考え,まとめ
・ジグソー活動の課題(問い)
「親になること」は,どのような
役割を果たし,子供を生み育てる
ことにどのような意義を感じるこ
とができるのだろうか?
る。
[クロストーク活動]
み育てる意義につい
て,資料を基に考え
をまとめ表現してい
る。
(ワークシート)
・一人一人が考える内容が,クロスト
☆学習内容について,
ーク活動の発表で出せるよう話し合
生徒一人一人が自分
わせる。
の考えをもち,それ
・12 グループの内,4グループを発表
を表現し,グループ
・各班で話し合った,「親にな
させる。(ジグソー法による学習は,
で考えを交わしなが
ること」について,役割や生
本単元で3回行う。いずれかの回で,
ら,更に考えようと
み育てることの意義につい
全ての班に発表させる。
)
する態度
て発表する。
ま
○親の役割や子供を生
・各班の発表で出された内容を
【価値的・態度的側面】
・生徒自身で,親になることについて
と
基に,親になることについて
考えることができ,大切な視点に着
め
振り返る。
目することができたことを伝える。
10
・エキスパート活動,ジグソー ・次のような考えが予想される。
分
活動,クロストーク活動で考
えた内容を基に,新聞記事の
母親へアドバイスできるこ
とを再度考え,記入する。
○子供を育てることに
悩む母親(事例によ
○家にいる時間は,子供の表情を見
る)に,アドバイス
つめ,思いを理解しながら,しっ
を考えている。
かり子供に関わってください。
(ワークシート)
○子供が小さい頃は大変だけど,子
供によって生活が豊かにもなる
☆子供は,一人一人思
い(感情)をもった
ので,しっかり子供を見守ってあ
一個の「生」である
げてください。
ことへの理解
○育児と仕事の両立に悩むことも
【知識的側面】
多いと思うが,夫婦で相談した
り,周囲に相談したりし,一人で
抱え込まないでください。
・将来に向けて「親になること」
への考えを一人一人がもっ
ておくことを確認する。
(3)第8次の展開
ア
第8次の目標
○現代の子育てを見つめ課題を見出す。
○課題を解決する方法を基に,将来の自分たちへ子育てに関するメッセージを作成する。
☆人権教育の視点
・子供は,一人一人思い(感情)をもった一個の「生」であることを重視し,理解させる。
【知識的側面】
・学習内容について,生徒一人一人が自分の考えをもち,それを表現し,グループで各自の考えを
交わしながら,更に考えを深めようとする態度をもたせる。
イ
【価値的・態度的側面】
第8次の観点別評価規準
思考・判断・表現
○現代の子育てを見つめ課題を見出している。
○課題を解決する方法を基に,将来の自分たちへ子育てに関するメッセージ
を作成している。
ウ
協調学習ジグソー法について
授業の柱となる課題(ジグソー活動の課題)
将来の自分たちへ,子育てに関するメッセージを作成する。
課題に対して出してほしい答え(課題について,生徒に語らせたいストーリー)
〇だだこねや自己主張が増し反抗的な時期もあるが,親としては,一呼吸おいて見守り,失敗しそう
でも,時間がかかりそうでも,できるだけ子供にやらせるよう意識する。
『子供が自分でやろうとしている姿を,一呼吸おいて見守ろう!!』
〇食事や歯磨き等の生活習慣を子供が自ら楽しんで行えるよう,教え込むのではなく,親自身が手本
として楽しく行う姿を見せる中で身に付けさせる。
『基本的生活習慣は,親自身が日々注意して見本になるよう楽しく行おう!!』
○子供の表情をよく見ながら,子供の気持ちを考えながら,優しく声をかけ,ゆっくり子供のペース
で行わせる。
『子供が自分で行えることを増やしていくために,優しい表情,優しい声かけで見守ろう!!』
各エキスパート(答えを出すための部品)
【A】子供の発達の特徴について
【B】子供に身に付けさせる基本的生活習慣
【C】最近の子育ての問題
エキスパート活動のグループ編成
【A】3人グループ×4組
【B】3人グループ×4組 【C】4人グループ×4組
合計 12 グループ
ジグソー活動のグループ編成
3人【A,B,C1人】×8組,4人【A,B1人・C2人】×4組
合計 12 グループ
エ
学習活動等の流れ
学習活動
指導上の留意事項
・広島市内のショッピングモー
・「より多くのお父さんお母さんが自
ルにおいて,フードコートの
分の行動を振り返るきっかけにな
テーブル等に広島県教育委
れば」という目的で貼られていたこ
員会の生涯学習課が作成し
とを確認する。
評価規準(評価方法)
た親子ミュニケーション啓
導
入
5
分
発資料が貼られていたこと
を知る。
・ステッカーの内容を確認す
る。
・ステッカーを見て,親の立場, ・上のイラストは,大きな声で怒って,
子供の立場それぞれにおい
子供の気持ちを考えずに指示をし
て感じることを記入する。
ている様子であることを伝える。
・下のイラストは,子供に言い過ぎた
ことを謝り,ゲーム感覚で片付けを
している様子であることを伝える。
・将来の子育てを行っている自 ・発達段階に即し,親子ともに無理せ
分達に,子育てに関するメッ
ずしつけを行うには,どのような働
セージを考えることを確認
きかけをするとよいか考え,メッセ
する。
ージを作成することを確認させる。
[エキスパート活動]
・1枚目は,親が子供の気持ちを考え
○現代の子育てを見つ
・各班ごとに,2枚の写真を
ずに食事等をさせている写真。2枚
め課題を見出してい
見て親子の表情に着目し,
目は,子供が自主的に食事等をして
る。
感じることを記入する。
いる写真。2枚の写真の子供の表情
(ワークシート)
に着目させる。
・各班の写真の様子
【A】食事をしている。
【B】歯磨きをしている。
【C】着替えや入浴をしている。
・担当する事項について,内 ・子育てに関するメッセージに活用す
容を確認する。
る内容(3点)
【A】子供の発達の特徴について
【B】子供に身に付けさせる基本的生活習慣
【C】最近の子育ての問題
展
開
・各自が読み,内容を把握する時間を
40
分
十分にとるよう配慮する。
・それぞれの視点に関する問
・視点に関する問い
について考える。
○個人で考えを記入する。
【A】
「だだこね」や自己主張が増し反抗的な子供に,
「自
分でやりたいこと」への気持ちを尊重し,達成感
が充足できるようにするためには,親はどのよう
なことに気を付けるとよいか考えよう!
【B】子供が自ら楽しんで基本的生活習慣を身に付けて
いくために,親はどのようなことに気を付けると
よいか考えよう!
【C】子供にしつけを行っていく上で,子供に合わせた
はたらきかけとして,親はどのようなことに気を
付けるとよいか考えよう!
・高校生として考えられることを自由
に記入させる。
○個人で考えを基に,班の考え ・班のメンバーで自らの考えを交わさ
をまとめる。
せながら,高校生としての考えをま
とめさせる。
[ジグソー活動]
・ジグソー班に再編成する。
・班の再編成後(ジグソー班)は,そ
の内容を知っているのは自分一人
であることを意識させる。
・ジグソー活動の課題を確認す
る。
・ジグソー活動の課題
将来の自分たちへ
~子育てに関するメッセージ~を作成しよう。
・エキスパート活動の内容につ ・発達段階に即して,親子ともに無理
いて,それぞれの問いの答え
せず子育てを行うために,どのよう
に沿って説明する。
なことに注意して行っていくとよ
いかという視点を意識して説明さ
せる。
・ジグソー活動の課題であるメ ・将来自分たちが子育てで悩むことが
○課題を解決する方法
ッセージを三つの視点の内
あったとき等,メッセージを見るこ
を基に,将来の自分
容を基に作成する。
とでほっとしたり,冷静になった
たちへ子育てに関す
り,元気が出たりするような内容に
るメッセージを作成
していくことを確認させる。
している。
・メッセージは「五七五」にまとめた
り,イラストを描いたり,手紙にし
たり自由に作成させる。
(ワークシート)
☆学習内容について,生
徒一人一人が自分の
・一人一人が考える内容が,A4版の
考えをもち,それを表
メッセージ用紙に表れるよう話し
現し,グループで考え
合わせる。
を交わしながら,更に
[クロストーク活動]
考えようとする態度
・各班で作成したメッセージ ・12グループの内,4グループを発表 【価値的・態度的側面】
について,用紙を提示し発
させる。
(ジグソー法による学習は,
表する。
本単元で3回行っている。まだ発表
を行っていない班に発表をさせ
る。)
・各班の発表で出された内容を ・子供の発達の特徴に即した子育ての
基に,親子ともに無理せず子
行い方について,生徒自身で考える
育てを行うために大切な視
ことができたことを伝える。
点を振り返る。
・自分たちが考えたメッセージ
ま
と
め
について,親の立場,子供の
立場,それぞれにおいて感じ
ることを記入する。
・次のような考えが予想される。
○自分が生んだ大切な子供だか
ら,メッセージのように,子供
の気持ちをしっかり考えて子育
てをしたい。(親の立場)
5
○親がしっかり子供のことを考え
分
ていることが分かり,安心する。
(子供の立場)
・将来,子育てを行っていると ・各自が属した班で作成したメッセー
き,本時作成した高校生の自
ジは,大切に保管してほしいことを
分からのメッセージを思い
伝える。
☆子供は,一人一人思い
(感情)をもった一個
の「生」であることへ
の理解
【知識的側面】
出し,子供と接するとよいと
いうことを確認する。
参考)東京大学 大学発教育支援コンソーシアム推進機構(CoREF)による知識構成型ジグソー法を用いた協調学習授業 授業案