ニュースレター BUSINESS VISION - 10 June 2015

■ 建築認証事業本部
建築物のエネルギー消費性能の向上に関する法律の公布について
1.はじめに
建築物のエネルギー消費性能の向上に関する法律が、平成27年7月8日に交付されました(条文によって1年以
内又は2年以内施行)。この法律は、社会経済情勢の変化に伴う建築物のエネルギー消費量増加に対し、建築
物のエネルギー消費性能の向上を図るため、住宅以外の一定規模以上の建築物のエネルギー消費性能基準
への適合義務の創設、エネルギー消費性能向上計画認定制度の創設等を行うものです。この法律の施行と同
時に、エネルギーの使用の合理化等に関する法律(省エネ法)のうち、「第五章 建築物に係る措置」は省エネ努
力義務についての条項(第72条)を除きすべて削除され、あらたな法律による規制に替わることとなります。
2.法律の概要
(1) 大規模な非住宅建築物に対する適合義務及び適合性判定義務
延べ面積2,000㎡以上の大規模な非住宅建築物(特定建築物)について、新築時等におけるエネルギー消費性
能基準へ適合させること及び適合判定(建築物エネルギー消費性能適合性判定)を受けることが義務化されます。
また、大規模な非住宅建築物を新築する際の建築確認には、この適合判定通知書又はその写しの提出が必要
とされ、提出がないと建築主事及び指定確認検査機関は、確認済証の交付を行うことができないこととなりま
す。
なお、建築物エネルギー消費性能適合性判定は所管行政庁が行うこととされていますが、所管行政庁は新たに
設けられることになる「登録建築物エネルギー消費性能判定機関」にその業務を行わせることができることとされ
ています。
これによって、大規模な非住宅建築物の場合、これまで工事着手の21日前までに省エネ措置の届出を行ってい
ましたが、この法律の施行により建築確認の前に建築物エネルギー消費性能適合性判定を受けなければなら
ないため、省エネに関する検討を大幅に前倒して行う必要が生じることとなります。
(2) 中規模以上の建築物に対する届出義務
延べ面積300㎡以上の中規模以上の建築物(特定建築物を除く)については、新築時等における省エネ計画の
届出義務(工事着手21日前まで)を課し、エネルギー消費性能基準に適合しないときには、必要に応じ、所管行
政庁が指示等を行うことができることとなります。
これは、現在の省エネ措置の届出制度と同様の制度を引き続き行うものと考えられます。
(3) 省エネ向上計画の認定(容積率特例)
省エネ性能の優れた建築物(建築物エネルギー消費性能向上計画の認定を受けた建築物)について、所管行政
庁の認定を受けて容積率の特例を受けることができることとなります。
(4) エネルギー消費性能の表示
エネルギー消費性能基準に適合している建築物について、所管行政庁の認定を受けてその旨を表示することが
できることとなります。
(5) 住宅トップランナー基準
住宅事業建築主に対して、その供給する建売戸建住宅に関する省エネ性能の基準(住宅トップランナー基準)を
定めて省エネ性能の向上を誘導することとなり、年間150戸以上新築する事業者が住宅トップランナー基準に適
合していない場合、大臣が勧告・公表・命令を行うことができることとなります。
これは、現在の住宅トップランナー基準と同様の制度を引き続き行うものと考えられます。
3.施行予定
規制措置(上記2.(1)(2)(5))については、公布の日(平成27年7月8日)から2年以内、誘導措置(上記2.(3)(4))に
ついては公布の日から1年以内に施行される予定です。
出典:国土交通省ウェブサイト「建築物のエネルギー消費性能の向上に関する法律」
建築認証事業本部 片野有一
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■ インサービス検査事業本部
建築基準法:定期報告制度の見直し
国土交通省より2015年6月18日に定期報告制度の見直し内容案が公開され、その案に関する意見・情報の受
付が7月17日まで行われました。
次のステップとしては、今回寄せられた意見・情報を参考にした改正条文を示しての意見募集があらためて行わ
れますが、全プロセスにおいて、6月に公開された見直し案を基本とした検討が実施されます。
今回の定期報告制度の見直し内容は以下の3つです。
(1) 定期報告の対象となる建築物・建築設備等
(2) 定期調査・検査を行う資格者
(3) 資格者講習の内容
建物管理を担当される皆様の業務に特に関係が深い「(1) 定期報告の対象となる建築物・建築設備等」のポイ
ントとして、従来、「対象となる建築物、及びその定期報告の間隔は、特定行政庁が指定」していましたが、見直
し案では、「不特定多数の者等が利用する建築物など安全性の確保を徹底すべき建築物等については、法令に
より一律に定期報告の対象とし、それ以外の建築物等については特定行政庁が地域の実情に応じた指定を行
う」とされている点が挙げられます。
その詳細は、
 定期報告の対象となる建築物・建築設備等として、安全上・防火上・衛生上特に重要なものを政令で指定
 定期報告の間隔は、引き続き、特定行政庁で定めるものとする予定
となります。
今回、政令指定が検討されている対象用途と用途の位置、規模をまとめたものが以下の表になります。
出典:国土交通省ウェブサイト「•定期報告制度の見直し内容案(PDF)」(抜粋)
「定期報告制度の見直し」の今後の動きについては、本ニュースレター次号以降で引き続きお知らせ致します。
インサービス検査事業本部 足谷卓実
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インサービス検査事業本部ウェブサイト(ビルレポ) 4 月 1 日にリニューアルしました
システム認証事業本部
「集中と選択」に成功した大手酵素メーカーが、
天野エンザイム株式会社
特化分野でのさらなる成長を目指して
(愛知県名古屋市)
FSSC22000 認証を取得
http://www.amano-enzyme.co.jp
かつては、医療用、一般用医薬品メーカーだった天野エンザイム株式会社(以下、天野エンザイム)。2000 年に
酵素の製造に特化することを決定し、社名を天野製薬から天野エンザイムに変更した。
その結果、現在、酵素事業分野では世界で上位を占め、日本では、国内販売されている胃腸薬の 9 割以上のシ
ェアを誇る同社は、「集中と選択」を成功させた理想的なケースといえるだろう。
そんな同社が、国際食品安全イニシアチブ(GFSI : Global Food Safety Initiative)が承認する食品安全システム
規格 FSSC22000 の認証を取得したのは、2014 年 12 月のことだ。キックオフからわずか半年での認証取得、し
かも滋賀事業所、養老事業所、名古屋事業所の 3 事業所(いずれも工場)で同時取得という、注目される認証取
得だった。
■ 海外取引の拡大と、取引先による監査の軽減を目指す
まず同社が FSSC22000 認証の取得に取り組んだ経緯から紹介しよう。
同社で製造する酵素の種類は、医薬品用途と食品用途の 2 つに大別さ
れる。
このうち医薬品用酵素製造のシステムについては、ISO9001 をベース
に医薬品 GMP にて運用している。
一方、従来、ISO9001、食添 GMP、HACCP(自己認証)の 3 本柱の認
品質保証本部が置かれている名古屋事業所
証を取得していた食品用酵素製造のシステムについては、今回
FSSC22000 認証を取得したことで、ISO9001 と HACCP を FSSC22000 に組み入れて運用することとし、食添
GMP との 2 規格で認証を取得する形となった。
FSSC22000 認証を取得することになった直接的な原因は、有力な取引先(顧客)数社からの FSSC22000 認証
に関するリクエストであった。リクエストしてきた顧客は全て海外企業で、いずれも既に同認証を取得していた。
現在同社では、輸出割合が年々増えてきており、今後も海外取引を拡大する意向をもっている。そうした状況の
中、有力な海外顧客から相次いで同様のリクエストを受けたことは、今後 FSSC2200 認証取得が海外取引の拡
大のための重要なファクターになることをうかがわせた。
さらにもうひとつ、別の動機もあった。FSSC22000 認証を取得することで、取引先による監査が減ることが推測
されたからだ。近年、取引先による監査が急増していた。この増加は、食の安全に対する信頼が揺らぐ大きな事
件が立て続けに起こっていることに起因していると思われるが、それらに対応するには大きなエネルギーと時間
がかかり、負担が増していた。
そこで経営トップと品質保証部は、「年末までに取得してほしい」というとある顧客からのリクエストもあり、わずか
半年での取得を決断した。その背景には、より厳しい医薬品 GMP 認証を取得しているという自負や、ISO9001
認証も取得していたという自信もあった。
■ 取得済みの顧客に教えを乞う
ところが、実際に FSSC22000 認証の取得に取り組んでみると、多岐にわたり細かい要求事項があるなど予想
外にハードルが高く、「最初は、規格の要求事項が何を求めているのか理解することが難しく、混乱状態になりま
した」と芝川宏品質保証部長は苦笑する。
この混乱を解決するために品質保証部が選んだのが、「顧客企業の監査員に教えてもらう」という方法だった。
すでに FSSC22000 認証を取得している顧客企業から監査員が監査に訪れたときに、分からないことについて
教えを乞うという方法だ。顧客を活用するなど一見大胆と思われる方法だが、実はこれが最もスピーディーに、
実践的かつ的確な答えを得られる方法だと品質保証部は考えたのだ。その予想は的中し、顧客企業の監査員
たちは、同社が投げかける様々な質問に、快く的確なアドバイスを提供してくれた。そしてそれが取得への大き
な駆動力となった。
また、医薬品用酵素を製造している名古屋工場と養老工場においては、医薬品 GMP と FSSC22000 の要求事
項の間で起きる綱引き状態という新たな課題が発生した。
その課題とは、「FSSC22000 の視点に立つとこれで充分だが、医薬品 GMP の観点では不充分、もしくはその逆」
という要求事項があった場合、コストを抑えながら、最善の落としどころをいかに見い出すか、ということである。
これについては、品質保証部がリーダーシップを発揮して、「どの程度まで取り組むか」という目安を設定するこ
とで決着させることにした。
こうした課題をひとつひとつ解決しながら、取得への取り組みは確実に前進していったが、その前進には、3 事業
所それぞれに置かれた食品安全チームのメンバーが取得に前向きで協力的だったことが大きく貢献している。
3 工場の食品安全チームメンバーと品質保証部は、月に一度名古屋事業所で開かれる生産報告会を利用して、
品質保証に関する意見を交換したり、取得に向けた会議を開いたりして、モチベーションと知識を高め合うように
した。さらに、「他の工場には負けられない」という工場間の意識も作用して、「わずか数カ月の間に、現場のレベ
ルが予想を超えてどんどん上がっていきました。最終的にはそれが半年間という短い期間での取得を達成した
最大の要因だと思います」と小川知成理事/品質保証本部長は言う。
■ 国際基準を再認識
ところで FSSC22000 認証の取得を通して、同社が再認識したことがあるという。それは「フードディフェンス」に
対する認識の甘さだった。
「日本の企業にありがちだと思いますが、これまでは性善説に基づいたフードディフェンス対策しか取ってきませ
んでしたので、FSSC22000 の要求事項を通して自分達の取り組みがいかにレベルの低いものだったかを痛感
し、改めて国際基準に関する認識を深めました。それと同時に、何社もの顧客企業が我々に FSSC22000 認証
の取得をリクエストした理由が理解できました」と小川本部長は言う。
ちなみにフードディフェンスのギャップ分析の結果、同社では次のような改善を行った。
①外部タンク、貯水槽への施錠
②洗剤、薬剤などのリスト化と管理
③プラスチック、ガラス製物品の管理
④裏口への施錠と使用の禁止
■ 内部監査員のレベルアップに注力
FSSC22000 認証取得後、同社が最も強化しようとしているのは、内
部監査員の充実とレベルアップだ。
従来、品質保証部が内部監査を実施していたが、今後は、3 工場に合
計 16 名の内部監査員を配置し、自らが所属する工場以外の工場の
監査を相互に実施するシステムを目指している。
こうすることで「現場が現場を監査する」という体制が実現し、監査員
小川知成理事/品質保証本部長(右)と
芝川宏品質保証部長
のレベルが上がることも期待される。
「FSSC22000 は厳しい規格なので、このような手法を通じて緊張感を
高く保たないと維持が難しいと思います」と、芝川部長はこの監査システムを採用した理由を語る。
加えて、内部監査員を指名制や役職制ではなく立候補制に切り替え、品質保証や国際規格について勉強したい
という向学心と熱意のある若い従業員を監査員に任命して教育を施すという方法を取り、内部監査の品質を向
上させようとしている。
さらに次の段階としては、中国工場の認証を ISO22000 から FSSC22000 に切り替えること、3 工場のシステム
のスリム化(FSSC22000 関連文書の統合)、フードディフェンスへのさらなる高次化などを目標に掲げている。
最後に、FSSC22000 認証取得に対するアドバイスを聞いてみた。
①なるべく短期間、できれば 1 年以内に取得するほうが、現場のモチベーションがあがり達成感もある。
②コンサルタントなどに頼り過ぎず、自分達たちで考えるようにする。そのほうが取得後の運用がしやすい。また
自ら構築したシステムは改善もしやすいというメリットもある。
③工場や設備が古いメーカーはいきなり FSSC22000 認証の取得を目指すと、要求事項を満たすためのハード
の修理や改善のためのコストが大きくなるので、まず ISO22000 を取得してから段階的に FSSC22000 認証の
取得を目指す方が、結果的に近道になると思われる。
かつては「先輩」企業に教えを乞うて取得を達成した同社だが、今では、ビューローベリタスの主催セミナーなど
での講演を快く引き受け、今後 FSSC22000 認証の取得を目指すいわば「後輩」の企業に、実践的で分かりやす
い説明やアドバイスを提供する頼もしい存在へと進化を遂げている。
(2015 年 6 月 19 日取材)
天野エンザイム株式会社:品質保証体制
ビューローベリタスのサービス:食品安全システム認証(FSSC22000)
■ システム認証事業本部
ISO9001/ISO14001規格改訂の最新動向~FDIS解説
ISO(国際標準化機構)において、品質マネジメントシステムの ISO9001:2008、及び環境マネジメントシステムの
ISO14001:2004 の改訂作業が、共に 2015 年 9 月の発行を目標に、最終段階を迎えております。
14001 の FDIS(最終国際規格案)は 2015 年 7 月 2 日、9001 の FDIS は、2015 年 7 月 9 日に回付されました。
FDIS14001 の投票期間は 2015 年 7 月 2 日~2015 年 9 月 2 日、FDIS9001 の投票期間は 2015 年 7 月 9
日~2015 年 9 月 9 日となっています。
投票終了後、2015 年 9 月中に両規格とも IS の発行、JIS は 2015 年内の発行を予定しています。
本稿では 2015 年 7 月に発行された FDIS に関して、DIS(国際規格原案)からの主な変更点をお伝えします。
■ ISO9001改訂情報
2014 年 11 月のアイルランドでの会議、及び 2015 年 2 月のリトアニアでの会議で、DIS に対するコメント(約
3,000 件)を基に議論がなされ、FDIS の発行に向けた処理が行われました。
ISO9001 から用語の定義(箇条 3)はなくなり、ISO9000(品質マネジメントシステム - 基本及び用語)が引用規
格(箇条 2)になりました。
要求事項に関しては、DIS 版から大きな変更は無いようですが、以下の点が変化した部分です。
箇条 4「組織の状況」
 箇条 4.1「組織及びその状況の理解」の注記に「課題には、考慮の対象となる、好ましい要因又は状態、及び
好ましくない要因又は状態が含まれ得る」が追加されました。
 箇条 4.3「適用範囲の決定」では、適用範囲に関する文書化した情報として、QMS の対象となる「製品及びサ
ービス(products and services)」が「製品及びサービスの種類(the types of products and services)」になり
ました。また、適用しない条件に「顧客満足の向上に影響を及ぼさないこと」が追加されました。
 箇条 4.4「品質マネジメントシステム及びそのプロセス」が 4.4.1 と 4.4.2 に分割されました。
箇条 5「リーダーシップ」
 箇条 5.1.1 の表題が「一般」になり、a)から k)まであった要求事項の b)と c)が合体され、a)から j)までとなりま
した。(14001 と整合されました)
 箇条 5.1.2「顧客重視」の「c) 顧客要求事項及び適用される法令・規制要求事項を満たした製品及びサービ
スを一貫して提供することが重視され続けている」が削除されました。
 箇条 5.2.1 と箇条 5.2.2 にそれぞれ以下の表題がつきました。
箇条 5.2.1「品質方針の策定」
箇条 5.2.2「品質方針の伝達」
箇条 6「計画」
 箇条 6.1.1「リスク及び機会への取組み」に「b) 望ましい影響を増大する。」が追加されました。
 箇条 6.1.2 に「機会」に関する効用が注記に追加されました。
 箇条 6.2.1 の品質目標の”文書化された情報”は、保持(retain)から維持(maintain)に変更されました。
箇条 7「支援」
 箇条 7.1.4「プロセスの運用に関する環境」の注記に、環境への要因として、a) 社会的要因、b) 心理的要因、
c) 物理的要因に関するそれぞれの具体例が追加されました。
 箇条 7.1.5 は、7.1.5.1(監視測定にかかわる一般的な要求事項)と箇条 7.1.5.2(トレーサビリティが要求され
る場合)に分割され、それぞれ以下の表題がつきました。
箇条 7.1.5.1「一般」
箇条 7.1.5.2「測定のトレーサビリティ」
 箇条 7.1.6 は、注記 1 の説明が具体的になりました。
注記 1 組織の知識は、組織に固有な知識であり、それは経験によって得られる。それは、組織の目標を達
成するために使用され、共有される情報である。
 箇条 7.4「コミュニケーション」に「e) コミュニケーションを行う人(who communicates)」が追加されました。
箇条 8「運用」
 箇条 8.1 の e)項で要求している”文書化した情報”が、保持(retaining)から保管(keeping)に変更されました。
また、注記に「”保管”とは、文書化した情報を維持(maintaining)し、かつ、保持(retaining)することを意味し
ている。」と補足されました。
 箇条 8.2 の表題が「製品及びサービスのための要求事項の決定」から「製品及びサービスの要求事項」に変
更されました。
 箇条 8.2.2「製品及びサービスに関連する要求事項の決定」で、顧客(customer)には潜在顧客(potential
customer)が含まれるということから、潜在顧客の”潜在”が削除されて、顧客となりました。
 箇条 8.2.3「製品及びサービスに関連する顧客要求事項のレビュー」は、8.2.3.1 と箇条 8.2.3.2(文書化した
情報)に分割され、終段の「変更」に関しては、箇条 8.2.4「製品及びサービスに関する要求事項の変更」が新
設されました。
 箇条 8.3.1「一般」の注釈は、内容の意図するところが明確でないために削除されました。
 箇条 8.3.3「設計・開発へのインプット」の以下の 2 つの項目が、8.3.2 に移動されました。
d) 製品及びサービスの設計・開発に必要な内部資源及び外部資源
f) 利害関係者によって期待される、設計・開発プロセスの管理レベル
また、箇条 8.3.3 に設計・開発のインプットの文書化した情報の要求が追加されました。
 箇条 8.3.4「設計・開発の管理」に以下の 2 つの項目が追加されました。
e) レビュー、又は検証及び妥当性確認の活動中に明確になった問題に対して必要な処置をとる。
f) これらの活動についての文書化した情報を保持する。
 箇条 8.3.6「設計・開発の変更」に文書化した情報として具体的な事項が列挙されました。
a) 設計・開発の変更
b) レビューの結果
c) 変更の許可
d) 悪影響を防止するための処置
 箇条 8.4.2 の表題が「外部からの提供に関する管理の方式及び程度」から「管理の方法及び程度(Type and
extent of control)」に変更されました。
 箇条 8.5.1「製造及びサービス提供の管理」に「g)ヒューマンエラーを防止するための処置を実施する」が追
加されました。
 箇条 8.5.5「引渡し後の活動」の引渡後の考慮事項は 4 項目から以下の 5 項目となりました。
a) 法令・規制要求事項
b) 製品及びサービスに伴って起こり得る、望ましくない結果
c) 製品及びサービスの性質、用途及び意図した耐用期間
d) 顧客要求事項
e) 顧客からのフィードバック
また、「製品及びサービスに関連するリスク」という表現はなくなったので、箇条 6.1 以外では「リスク」という用
語を使用しなくなりました。
 箇条 8.5.6「変更の管理」の変更(changes)については、計画していない(unplanned)に限定することはないと
いう理由から、計画していない変更の”計画していない”が削除されて、変更となりました。
 箇条 8.7 の表題が「不適合なアウトプットの管理」に変更され、8.7.1 と 8.7.2(文書化した情報)に分割されました。
箇条 9「パフォーマンス評価」
 箇条 9.1.1「一般」は、b)の”該当する場合には(as applicable)”が削除されました。
 箇 条 9.1.2 「 顧 客 満 足 」 は 、 顧 客 の ” 要 求 事 項 (requirements) ” が ” ニ ー ズ 及 び 期 待 (needs and
expectations)”に変更されました。
 箇条 9.3「マネジメントレビュー」は、以下の 3 部に分けて構成し直されました。
箇条 9.3.1「一般」
箇条 9.3.2「マネジメントレビューへのインプット」
箇条 9.3.3「マネジメントレビューからのアウトプット」
箇条 10「改善」
 箇条 10.2.1「不適合及び是正処置」は、「e) 必要な場合には、計画の策定段階で決定したリスク及び機会を
更新する。」が追加されました。
また、注記 1 と注記 2 が削除されました。。
■ ISO14001改訂情報
2015 年 2 月 2 日~7 日に開催された東京会合では、DIS に対するコメント(約 1,400 件)のうち、箇条 4 と箇条 6
の部分に関して処理が行われ、2015 年 4 月 20 日~24 日に開催されたロンドン会合では、箇条 4 と箇条 6 以
外の箇条に関して処理が行われました。
箇条 6「計画」の詳細箇条の構成が変更された以外は、DIS 版から大きな変更はありません。
以下の点が変化した部分です。
箇条 1「適用範囲」
 3 つの”意図した成果”に軽微な変更がされました。
・環境パフォーマンスの向上(enhancement of environmental performance) → (同じ)
・順守義務への適合(comforming to compliance obligations) → 順守義務を満たすこと(fulfilment of
compliance obligations)
・環境目標を満たすこと(fulfilment of environmental objectives) → 環境目標の達成(achievement of
environmental objectives)
箇条 2「引用規格」
引用規格はなく、変更ありません。
箇条 3「用語及び定義」
 ”リスク及び機会”が追加されました。
・リスク及び機会:潜在的で有害な影響(脅威)及び潜在的で有益な影響(機会)
 他に、以下の用語の定義に変更がありました。
・環境マネジメントシステム:マネジメントシステムの一部で、環境側面をマネジメントし、順守義務を満たし、リ
スク及び機会に取り組むために用いられるもの。
・順守義務:組織が順守しなければならない法的要求事項、及び組織が順守しなければならない又は順守す
ることを選んだその他の要求事項。
・ライフサイクル:原材料の取得又は天然資源の産出から、最終処分までを含む、連続的でかつ相互に関連
する製品(又はサービス)システムの段階群。
注記:ライフサイクルの段階には、原材料の取得、設計、生産、輸送/配送(提供)、使用、使用後の処理及び最終処分が含まれる。
箇条 4「組織の状況」
 箇条 4.4「環境マネジメントシステム」の前文が「環境パフォーマンスの向上を含む意図した成果を達成するた
め、組織は、この規格の要求事項に従って・・・」となりました。
また、後文が「環境マネジメントシステムを確立し維持するとき、組織は、4.1 及び 4.2 で得た知識を考慮しな
ければならない。」となりました。
箇条 5「リーダーシップ」
 箇条 5.2「環境方針」で、環境方針の伝達は、”組織の管理下で働く人々を含め”が削除されて、”組織内に伝
達する”となりました。
箇条 6「計画」
 箇条 6.1 の表題は、「脅威及び機会に関連するリスクへの取組み」から「リスク及び機会への取組み」に変更
され、附属書 SL の表題と同じになりました。
 箇条 6.1.4「脅威及び機会に関連するリスク」が箇条 6.1「脅威及び機会に関連するリスクへの取組み」に統
合されたために、箇条 6.1 の詳細箇条は 6.1.1 から 6.1.4 までとなり、表題は以下となりました。
箇条 6.1.1「一般」は変更ありません。
箇条 6.1.2「著しい環境側面」から「環境側面」に変更されました(「著しい」がなくなりました)。
箇条 6.1.3「順守義務」は変更ありません。
箇条 6.1.4「取組みのための計画策定」から「取組みの計画策定」に変更されました。
 また、箇条 6.1.3「順守義務」に「c) 環境マネジメントシステムを確立し、実施し、維持し、継続的に改善すると
きに、これらの順守義務を考慮に入れる。」が追加されました。
箇条 7「支援」
 箇条 7.2「力量」の 1 行目の「組織の環境パフォーマンスに影響を与える業務をその管理下で行う人(又は人々)
に必要な力量を決定する。」が「組織の環境パフォーマンスに影響を与える業務、及び順守義務を満たす組織
の能力に影響を与える業務をその管理下で行う人(又は人々)に必要な力量を決定する。」となりました。
 箇条 7.5.1「文書化した情報」の注記以下の文書化した情報の程度が異なる理由として、以下が追加されました。
・順守義務を満たしていることを実証する必要性(the need to demonstrate fulfilment of its compliance
obligations)
箇条 8「運用」
 箇条 8.1「運用の計画及び管理」でライフサイクルの視点に従って、行わなければならない事項に、以下が追
加されました。
a) 必要に応じて、ライフサイクルの各段階を考慮して、製品及びサービスの設計及び開発プロセスにおいて、
環境上の要求事項が取り組まれていることを確実にするために、管理を確立する。
 箇条 8.2「緊急事態への準備及び対応」で「手順」が「プロセス」に変更されました。(これにより、FDIS からは
「手順」が完全になくなりました)
 箇条 8.2 に以下の 2 つの事項が追加されました。
a) 緊急事態からの有害な環境影響を防止又は緩和するための処置を計画することによって、対応を準備す
る。
f) 必要に応じて、緊急事態への準備及び対応についての関連する情報及び教育訓練を、組織の管理下で
働く人々を含む関連する利害関係者に提供する。
以下の事項はは削除されました。
c) 環境上の緊急事態及び事故の発生を防止するための処置をとる。
 また、箇条 8.2 には、文書化した情報の維持が要求されるようになりました。
箇条 9「パフォーマンス評価」
 箇条 9.2.1 と箇条 9.2.2 にそれぞれ以下の表題がつきました。
箇条 9.2.1「一般」
箇条 9.2.2「内部監査プログラム」
箇条 10「改善」
 詳細箇条は、3 部に分けて構成し直されました(ISO9001 と同じになりました)。
箇条 10.1「一般」
箇条 10.2「不適合及び是正処置」
箇条 10.3「継続的改善」
以上の内容は、IS 版で変更される可能性がありますので、あくまで FDIS 版の情報としてご理解下さい。
システム認証事業本部 小西直人
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■ システム認証事業本部
Does your corporate injury reporting add value? (その傷害報告書は付加価値をもたらしていますか)
2012年よりビューローベリタスとパートナーシップを結ぶEnhesa(エンヘサ)社が執筆する、「海外における
法規制」に関する記事を連載しています。
Enhesaは、ベルギーのブリュッセル及びアメリカのワシントンDCに本社を置くグローバルコンサルティング
会社であり、企業のEHS (環境、労働安全衛生) 及び製品の遵法を支援しています。
One of the oldest metrics used in the EHS field is corporate injury and accident reporting.
few times when EHS data will often contribute directly to Corporate Annual Reports.
It is one of the
But is your
reporting system state of the art or a relic from the past? Whatever the number may be, you are either
adding value or showing corporate weakness.
In this article we explored the current climate, challenges
faced, as well as key best practices.
(EHS (環境・労働安全衛生) 分野で用いられている最も歴史ある基準の1つに、企業の傷害・事故報告書が挙げられます。EHSデータが企
業年次報告書に対してダイレクトに貢献することが頻繁にあるわけではありません。しかし、御社の報告システムは最新のものでしょうか、
それとも過去の遺物と化しているでしょうか。傷害・事故発生件数に関わらず、その報告書は付加価値をもたらす、もしくは企業の弱点を示
すのです。本稿では、企業の傷害・事故報告書に関して、最新の動向、課題、そして主なベストプラクティスを取り上げます。)
1.Why report accident statistics?
Based on a survey carried out by Enhesa in 2014, amongst Corporate EHS Managers, more than 90
percent collect corporate injury and accident data.
For more than 80 percent, data is collected and
summarized on a monthly basis. Only a few countries require company headquarters to compile accident
and injury data (e.g. France). The push to do so clearly comes from the investment community which
perceives health and safety performance as a key element of a company’s good governance. A good
health and safety track record is a positive lagging indicator of overall management performance. A poor
track record suggests that business processes are not properly managed and is therefore a significant
indicator for potential high risk exposure.
2.How to report?
Most corporate annual reports and especially most corporate sustainability reports will contain a section or
some data on corporate accidents and incidents. Enhesa did a survey in 2014 amongst multinational
companies to get a sense of how they go about meeting this challenge.
Most leading companies are compiling accident and incident data following the Sustainability Reporting
Guidelines of the Global Reporting Initiative. Many companies are still following the G3 edition of the
guidelines from 2006, but the migration to the G4 edition of the guidelines from 2013 is ongoing.
The G4 Guidelines provision LA6 requires reporting on the type of injury and rates of injury (Injury Rate - IR),
occupational disease rate (ODR), lost days and absenteeism (Absentee Rate – AR), and total number of
work-related fatalities by region and by gender. It requires companies to do this for employees and
supervised workers, as well as for independent contractors working on-site.
It seems pretty straight
forward, but the problem arises with almost every word used in the previous sentences. Each country
seems to use a different definition of the various concepts, which often results in comparing apples to
oranges. It is for this reason that the G4 Guidelines require companies to report on the system of rules
applied in recording and reporting accident statistics.
Due to the chaos in requirements at the national level, most companies will take the accident and illness
reporting requirements from the country in which their headquarters are based. 65 percent of respondents
follow the national standard with no deviations, while 25 percent follow the national standard with some
adaptations.
Most companies use an online system to collect the occupational accident and injury data (91%), with only a
small portion that still uses a form to collect data (9%). The 91 percent who use an online system is further
split into 58 percent who built their own data collection system and 31 percent who purchased a system.
The latter group seems to be gaining in popularity.
What needs to be reported at the corporate level by injury type is summarized in table 1.
What needs to be reported at the corporate level by activity type is summarized in table 2.
When asked whether the corporate reporting system would be reviewed in the coming years, 75 percent
answered yes.
Many companies still struggle to provide meaningful data at the corporate level.
Since
the data is published, it is a good indication of the level of corporate integration and management control.
A well-integrated company with strong management control will have no difficulty in providing global
statistics that are coherent and meaningful; however failure to do so is an indication of weakness.
3.What the law requires from you
As a corporate manager, when you ask the facility manager to report accident and incident data, he will
most likely use a system that requires different concepts and thresholds. We looked into the regulatory
variations that may cause confusion in the data collection process.
Which workers are covered?
In the US, one must report on all employees on the payroll as well as temps or contractors if you
supervise their activities on a day-to-day basis.
In Argentina, for example, reporting must be done for all
accidents to workers in your establishment, independent of who pays or supervises them. In the United
Kingdom, the reporting also covers members of the public who get injured at your facility and require
medical treatment.
What is “at work”?
The definition of “at work” is very different as it applies across the globe.
For some countries the
obligation is literally limited to “at work” and excludes sanitary, smoke or lunch breaks. Other countries
will put the threshold at the time-clock where you register your worktime, or as you get into the facility gate
and park your car.
For many countries, “at work” begins when you leave the doorstep of your home and
includes the commute to and from home (e.g. Argentina and Belgium).
What is an injury or accident or illness?
Starting from the worst, it usually covers incidents resulting in death, days away from work, and those
triggering medical treatment.
Depending on the country, it may also be expanded to include, for example,
needle-sticks/sharp injuries or cases involving occupational hearing loss.
While most countries will
include road accidents, some countries will exclude these because they get accounted for and reported
under road safety regulations.
Some countries will limit the reporting requirements to work-related
causes and exclude, for example, natural causes such as a stroke.
What is recordable versus reportable?
While many countries make no distinction and require all recordable injuries and accidents to be compiled
into a periodic report, some countries do make a distinction and only require some of the recordable
accidents to be reported.
How to count?
Under the US OSHA reporting requirements, one begins counting days away on the day after the injury
occurred or the illness began.
Most countries will include the day of the injury.
Where does the reported information go?
The information is used to determine the work accident insurance premiums to be paid by the company.
In many countries it will also be used by inspection agencies to prioritize whom to inspect.
Enforcement
agencies and courts will use the data to determine whether the accident is an exception or part of a
systemic shortcoming.
Increasingly, name and shame policies are used during fatal accidents to
maintain or increase pressure on companies to improve their safety policies and programs.
While most countries will compile the data and make the overall results public.
A new trend is to make
the company data public to allow employees, neighbors, suppliers, customers and others to assess and
determine the risks when dealing with that company.
Denmark took the initiative to attribute
green-orange-red smileys to define safety performance and make it even easier to communicate.
It is worth noting that US OSHA is considering a provision to require some enterprises with multiple
establishments to collect compile and submit some of the accident and injury data. This provision would
apply to enterprises with a minimum threshold number of establishments (such as five or more) that are
required to keep records.
Access to this information will allow US-OSHA to use its resources more
effectively by enabling the Agency to identify the workplaces where workers are at greatest risk, in general
and/or from specific hazards, and to target its compliance assistance and enforcement efforts accordingly.
The Computerized Accident Incident Reporting System operated by the US Department of Energy is an
example of how things could be set up.
US-OSHA plans to post the injury and illness data online. The Agency believes that public access to
timely, establishment-specific injury and illness data will improve workplace safety and health. Specifically,
the online posting of establishment-specific injury and illness information will encourage employers to
improve and/or maintain workplace safety/health to support their reputations as good places to work or do
business with.
Enhesa社 Thierry Dumortier
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Enhesaは、ベルギーのブリュッセル及びアメリカのワシントンDCに本社を置くグローバルコンサルティング会社であり、企業のEHS (環境、
労働安全衛生) 及び製品の遵法を支援しています。日本にもサテライトオフィスを開設しており、日本時間に日本語での対応が可能です。
Enhesaは世界200カ国・地域における現地EHS法令の改正動向月次配信、EHS遵法監査ツールの提供と第三者監査、製品規制調査等を
提供し、日本企業の国内及びグローバル市場における事業展開・事業運営、輸出に関する法令遵守を支援しています。
ビューローベリタスジャパン㈱ システム認証事業本部 営業部 TEL:045-651-4785
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ビューローベリタスのサービス:HSE(環境・労働安全衛生)/GHG・省エネ・CSR
■ 産業事業本部
シンガポール向け圧力容器検査(MOM)に関するQ&A
東アジア、アフリカ、オセアニアにならび、東南アジアでのエネルギー資源開発への期待が高まる一方、東南ア
ジア各国における輸入産業機器の規格(規制)遵守意識は、厳格化の傾向が強まっています。そのような背景を
受け、シンガポール向け圧力容器の法定検査の基準となるMOM(Ministry of Manpower)規格に関するお問い
合わせを頻繁に頂戴するようになりました。本稿では、その中より代表的なご質問を3つ取り上げます。
お問い合わせ例1 MOMの検査対象品となるかどうかがわかりません
回答:シンガポールのMOM当局へご確認下さい。
MOMはPressure Vesse, Steam Boilerを検査対象としていますが、対象製品がPressure Vessel, Steam
Boilerに該当するかの判断が難しいというお問い合わせが寄せられます。
ビューローベリタスは、MOMへの準拠を確認するために図書承認、立会検査を実施し、所定の証明書を発行し
ますが、対象製品がMOMの対象であるか否かという判断を行う立場には無いため、MOM当局へのご確認をお
願いしています。
お問い合わせ例2 JIS規格での設計・製作は認められますか
回答:MOMで承認されている規格はASME及びBritish Standard(BSI)のみですが、MOM当局に事前申請を行
い承認を得られればJIS規格、JIS材での設計・製作も可能です。過去の事例では、事前承認に2週間~1カ月程
程度を要しています。
お問い合わせ例3 第三国で製造する場合のMOM審査・検査の流れがよくわかりません
回答:以下(1)~(3)のフローとなります。
(1) 図書審査(製造国)
製造国のMOM認定・ビューローベリタス検査員が、英文図書(強度計算書、図面等)を審査します。
→ 問題があればコメントシートを発行します。お客様はコメント内容を反映し修正した図書を再提出下さい。
→ 問題がなければ、図書にスタンプ、署名を行い、お客様に返送します(図書審査合格)。
(2) 立会検査(製造国)
図書審査合格後、材料確認、Fit-Up、溶接立会、外観寸法検査、耐圧検査等への立会検査と行います。各種立
会検査合格後、検査証明書を発行します。
日本国内で設計業務が行われたケースでも、図書審査・立会検査共に製造国に所属するMOM認定・ビューロ
ーベリタス検査員による審査・検査を実施した後に、Certificateを発行します。
(3) 最終検査(シンガポール現地)
機器据付後、プラント全体を対象として、シンガポール当局による最終検査の段階へと進みます。この最終検査
に合格後、晴れてMOMの取得完了となります。
製造・物流コスト削減に向け、海外サプライヤーの利用が日常化する中にあって、設計・製造パターンが多様化
し、それに伴いMOMに関するお客様のご質問も様々となっています。
これらのご質問に迅速に対応するため、ビューローベリタスの営業担当者はお客様サポート強化に向けて取り
組んでおります。どうぞお気軽にお問い合わせ下さい。
産業事業本部 高田賢一
【お問い合わせ】
ビューローベリタスジャパン㈱ 産業事業本部
横浜 TEL:045-641-4219 FAX:045-641-7992
神戸 TEL:078-322-0232 FAX:078-322-2418
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ビューローベリタスのサービス:MOM(シンガポール向け圧力容器の検査)
■ 政府指定検査・国際貿易部門
スリランカ・モーリシャス向け中古車検査サービス
現在、日本より世界各地へ出荷される中古車の台数は年間 100 万台を超えています。
2014 年実績では、輸出台数は前年比で 10%以上の伸びを記録し、128 万台超の中古車がアジア・中東・アフリカ
などの市場へ向け出荷されました。
中古車の輸出に関しては、各国が定める安全基準・技術基準を満たしているか、また事故車や走行メーターの改
竄といった不正防止の観点から、輸入国により船積前検査制度が運用されています。
ビューローベリタスではスリランカならびにモーリシャス政府より指定を受け、2006 年より中古車輸出に必要な検
査サービスを日本で提供しています。日本国内で中古車検査サービスを提供する検査会社の中では唯一、スリラ
ンカ及びモーリシャスに現地オフィスを設けており、輸出業者様へのサポートに加え、現地で輸入業者様へのサポ
ートも可能な体制を整えています。
また、政府指定検査に加え、ダメージトラッキング、ヤードでの在庫管理など、お客様のニーズに合わせてサービ
スをカスタマイズした形でお届けすることも可能です。
日本より中古車の輸出をご検討の皆様は、ビューローベリタスのサービスをぜひご活用下さい。
スリランカ自動車輸入組合(Vehicle Importers Association of Lanka (VIAL)の年次総会の様子
(2015 年 7 月 17 日@スリランカ・コロンボ)
~ビューローベリタスは、指定検査会社として招待を受け参加しました~
政府指定検査・国際貿易検査部門 細谷知孝
【お問い合わせ】
ビューローベリタスジャパン㈱ 政府指定検査・国際貿易検査部門 TEL:06-6205-5540/045-641-4202
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ビューローベリタスのサービス:政府指定検査・国際貿易検査
消費財検査部門(旧:日本認証サービス株式会社 分析事業部)
微生物(食中毒菌/真菌)の特徴~食中毒対策は万全ですか
日本認証サービス株式会社は、ビューローベリタスジャパン株式会社のグループ企業として、ご愛顧を頂戴して
きましたが、2014 年 10 月 1 日をもちまして、ビューローベリタスジャパン株式会社の一部門となりました。
より利便性の高いサービスをお届けできるよう一層の努力を重ねて参りますので、今後とも何卒ご愛顧賜りま
すようお願い申し上げます。
ビューローベリタスでは、食品業界における「フードセーフティ」をトータルにサポートできる体制を整えています。微生
物検査サービスについては、食品衛生検査指針に準拠した方法で一般生菌数、大腸菌群等の衛生指標菌や、黄色ブ
ドウ球菌、サルモネラ菌等の食中毒菌の検査を実施しており、また微生物の繁殖による食品変色によるクレーム品を
対象とする異物・異臭検査を数多く受託しています。
中でも細菌同定検査は、分類学上の学名を特定し、そこから得られる情報を基に問題や対策を解決する手段としてご
好評を頂いています。取引先に対する製品の安全性証明や、食品の腐敗・変敗等の苦情発生時の原因調査にお役
立て下さい。
本稿では、食中毒菌(サルモネラ菌、黄色ブドウ球菌)、及び真菌の特徴を紹介します。食中毒対策は万全ですか?
1.サルモネラ菌
サルモネラは大腸菌と同じ腸内細菌科に属し、グラム陰性、通性嫌気性の無芽胞桿菌です。
分類学的には 2 菌種、6 亜種に大分類され、2,600 種類以上の血液型がある膨大な菌群です。殆ど全ての亜種
が原則的に非病原性とされる中、亜種 1(Salmonella enterica subsp.enterica)には食中毒菌やチフスを起こす
血清型が含まれています。
(さらに詳しい生化学的性状や血清型については、参考文献(*1)及び(*2)を参照下さい。)
サルモネラ菌属は家畜や家禽をはじめ自然界に広く分布しており、乾燥に強く、汚染された飼料が家畜や家禽
の感染源になっており、食中毒の発生要因をみると食肉や卵等の原材料の汚染がもっとも多く、次に手指から
の汚染や、調理器具、施設からの汚染となっています。
サルモネラによる食中毒は、サルモネラ属菌に汚染された食品を摂取し、腸管内で増殖することによって起こる
感染型食中毒といわれています。
2.黄色ブドウ球菌
黄色ブドウ球菌は、健康な人の手指、鼻腔、咽喉、腸管内等に常在し、自然界に広く分布している食中毒起因菌
として食品衛生上重要な菌です。
黄色ブドウ球菌による食中毒は、黄色ブドウ球菌が食物内で増殖する過程で生産する「エンテロトキシン』と呼
ばれる毒素によって起こる「食物内毒素型食中毒」です。この毒素は耐熱性で、食品を加熱して菌を死滅させて
も毒素は残ります。
黄色ブドウ球菌は自然界に強い抵抗性があり、高濃度(7~10%)食塩存在下でも発育できるという特徴がある
ため、特定な食品に限らずあらゆる食品が感染源となるリスクがあります。
特に人の手指を介して食品を汚染するので、食品は素手で取り扱わないようにして感染経路を絶つことが重要
です。
3.真菌(カビおよび酵母)
真菌(カビおよび酵母)は、土壌、水、空気等の自然環境中に広く分布しています。
主に植物・動物の死骸や排泄物を分解・還元し、環境浄化に役立っているほか、発酵食品や薬品製造に利用さ
れる有用な物も多く在りますが、中にはヒトをはじめ種種の動物や果樹、穀粒、野菜等に悪影響を与える病原菌
も在ります。
引用・参考文献
・厚生労働省監修「食品衛生検査指針 微生物編」(日本食品衛生協会/2004 年)
・厚生労働省監修「食品衛生検査指針 微生物編」(日本食品衛生協会/2015 年)
・森地敏樹監修「食品微生物検査マニュアル《改訂第 2 版》」(栄研化学/2009 年)
・坂崎利一ほか「腸内細菌 上巻(近代出版/1992)」
(*1)
・田口真澄ほか「食品由来感染症と食品微生物(154 ページ~)」(中央法規出版/2009 年)
(*2)
検査及びご依頼に関する詳細は弊社ウェブサイト「微生物検査」をご覧下さい。
食品ごとに推奨される検査項目や各微生物の性状等の概要も掲載しています。
消費財検査部門 小川俊彦
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