ういてまて ういてまては、水の事故から自分自身の生命を守る技術と知識です。 毎年、シーズンになると痛ましい水の事故が繰り返し発生します。その中には、浮いて救助を待つことで助か ったかもしれない事例が数多くあります。服を着て、運動靴を履いて、近くにかばんがある状態で溺死した事例 には特に心が痛みます。服も靴もかばんも浮力を持ちますから、これらを使った浮き方を知っていれば死なず にすんだかもしれないからです。ういてまて教室ではそれを活用して水に浮き、水面で呼吸を維持しながら救 助を待つための技術と知識について学びます。 水の事故現場では、救助側の技術や装備などは飛躍的に向上しています。それにより確かに救助例が増えて きました。しかしながら現場の救助隊員の声を聞くと、現場に到着しても要救助者は沈んでいることが多いと いう話です。ではどうしたらよいかというと、「呼ばれていったら、浮いていた」という現場にあたり、無事に救 助でき、みんなが喜んだという顛末にたどりつくことができればよいのです。 ここで大切なのは、要救助者が浮いて呼吸を確保しながら救助を待つという現場です。要救助者が体得すべ き技術は、浮くことです。コツさえつかめば数十分浮くことは可能です。そしてその程度浮いていてくれれば、 救助隊の救助が間に合います。知るべき知識は、今日の救助体制のことです。ういてまて教室では、浮き方ばか りでなくて救助の流れをチェーン・オブ・サバイバルに則って説明します。119番通報や118番通報の大切さや、 救助隊の救助方法についても触れます。たとえば離岸流に流されて数百m沖に流されたとき、ヘリコプターで 発見されて救助されることを知っていればヘリコプターが来るまで発見されやすい格好で浮いて待っていよ うという気持ちになります。そのような事実を知らないと、いつまでも発見されないと勘違いして、なんとか自 力で岸に戻ろうとします。どちらがより危険な行為であるかは、一目瞭然です。 ういてまて教室のポイント 安定した背浮きができるようになろう 水に落ちた後になんとか泳いで岸までたどりついたとしても、 たいていは陸に上がることができません。無理して泳いで体力 を消耗してしまうと、その場で沈んでしまいます。一度沈んでしまうと、濁りがあるために発見が遅くなります。 陸からはもちろんのこと、水中に潜ったとしても濁りのある水中は暗くて、視界がききません。流れがあると水 中に沈んだ溺者は流されてしまい、その分発見が遅くなります。さらに波は光を乱反射させるので、透明度が高 いとしても水中にある溺者の姿が陸上からは見えなく なります。とにかく浮いて待つことが大切です。 1. 着衣・着靴で浮き具(ペットボトル)を使って浮く 感覚をつかむ 体の力を抜く 背筋をのばす(腰を引かない) 頭を起こさない(顎を上げて耳を水の中に浸け る) 浮き具はおなかのあたりに持つ 浮き具を持つ手が水面から出る範囲は最小限 にする 脚を軽く開きバランスを取る ペットボトルで浮けない人はビート板を使っ てみる 2. 浮き具なしで背浮きをする バランスを取るために手をバンザイすると足が浮く 足が浮いてきたら、両手を下におろし、バランスの良い位置で静止する 3. どうしても浮けない人にはライフジャケットを着用し、浮きやすさを体験させる 4. 3 分間背浮きにチャレンジ 5. 流水下(プール洗濯機)での背浮きを体験する 救助は専門家に任せる!すばやい通報を! 発見者が飛び込んで助けようとしても双方とも溺れてしまう ことが多いです。近くにいるおとなを連れて来たとしても、一般 の人に的確な救助技術は期待できません。水難を目撃したら、す ぐに119番通報をして救助隊を呼びます。消防署に連絡をすれば平均6~7分で救助に駆け付けてくれます。 はげます。浮くものを渡す 1. はげます 5分間浮いていられると技術的には何分でも浮いていられます。 あとは孤独感・恐怖感との戦いです。このときに陸からの励まし が重要な役割を果たします。「がんばれ」あるいは「もっと浮いて いて」といった掛け声により、溺者は生きる希望を持って浮く努力をあきらめないでしょう。 2. 浮き具を渡す 自分の身の安全を確保するため、水際から50cm程度後ろに下がります。 溺者の腹部から胸部に着水するようにアンダースローでペットボトルを投げます。溺者が2本つかめ るように何本でも投げ入れます。 ペットボトルには水や飲みかけを入れません。投げた時に勢いがつきすぎて、溺者の頭や顔にあたる と危険です。 ペットボトルを投入後は水際からさがり、低姿勢になります(不安定な姿勢のままでいない)。 ペットボトル以外の身近なものでも浮き具になります。 釣り具を使って浮き具を渡すのも有効な手段です。 3. 浮き具を受け取る 背浮きの姿勢では視界が狭い 両手を水面から出したり、浮き具を探そうとして体をひねったりすると背浮きの姿勢が崩れやすい 受け取る場合はなるべく手や腕を水面から出さない 手のひらを水面に向けるような感じで水中からペットボトルの位置を探る 胸や腹の上にのった浮き具だけを静かに確保する 投げられた位置が不明の場合には、むやみに探さない 救助隊到着・救助 119番通報が終わったらできるだけわかりやすいところに出て、救助 隊や救急隊を事故現場まで誘導します。119番通報後も行なわなければ いけないことがたくさんありますので、通報後にも出来るだけ人を周囲から集めて、手分けします。 救助隊は浮き具を投げるばかりでなく、溺者を陸に上げるための装備をもっています。陸に上げてこそ救助 完了です。救助後は心肺蘇生法などの応急手当一医療機関での診療とつながります 病院で体調を確認してもらいます。
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