合金 の凝固 の際 に起 る容積變 化 に就 て*(第8報) 銅合金,活字合金

第3號
合 金 の凝 固 の際 に 起 る容積變 化 に就 て(第8報)
117
合 金 の 凝 固 の際 に 起 る容 積變 化 に就 て*(第8報)
銅 合 金,活 字 合金 及 び可熔 合金 に關 す る研 究
高
瀬
孝
夫**
Takao Takase:
On the Volume Changes of the Cu-Si, Cu-Al, Cu-Sn Systems, Pure Copper,
some Type and Fusible Alloys during Solidification.
(1) The volume shrinkage of pure copper during solidification is 00050 cc 3-92% which is in good agreement
with the results obtained by Dr. Endo and by Sauerwald.
(2) The volume shrinkage of Cu-Si-alloys is very small in comparison with that of the Cu-Al, and Cu-Sn
systems: this is attributed to the expansion of Silicon.
**
川崎車輌株式會社
*本研
究 は 著者 が大 阪帝 國 大 學金屬 工 業 研 究 所 に於 て研
究 した もので あ る.
118
研
(3)
The
volume
(4)
The
shrinkage
then
rapidly
larger,
than
solution
decreases
that
of
has
been
as
irreversible
in
the
drown
state
The
but
as
as
content
of
by
of
the
five
cast
type
volume
shrinkage
and
ternary
alloys
indicated
as
model
that
the
is
of
cast
alloys
by
Dr.
has
but
rather
50%
by
of
is
to
Sn
the
to
this
and
of
the
the
the
of
also
dissolution
of
this
by
8
in
gun
system
alloy),
is
formation
very
and
much
from
metal
8 compound
volume
Al.
interval
in
defects
irreversible
content
solidification
reaction
peritectic
causes
as
(max.
peritectic
the
due
increases
14%
the
From
been
shrink
volume
been
Sn
measured,
as
which
already
10.25%
in
and
at
the
Pb
indicates
reported
expansion
measured
fi solid
casting.
which
expansion,
The
exists
the
only
writer
has
60•‹
by
during
that
Dr.
and
transformer
oil
25.40%
alloys
type
metals
to
not
expand
Matsuyama.
after
solidification
of
Bi
50%
bath.
can
be
used
not
only
as
fusible
metal.
(Received
I.緒
September
10,
1938)
れ は,Pb-Sn-Sb系
言
の 三 元 共 晶(52)に よ る 收 縮 量 の み を測
定 し て 居 る た め で あ つ て,初 晶點 か ら の 凝 固 收 縮 量 を測
銅 合金 の凝 固 に 際 し て 起 る 容 積變 化 の 測 定 は,今 日
迄極 めて 少 な く,遠藤 博 士(2)の純 銅 及 び2,3の
Sauerwald等(51)の
by
one
Imai.
gradually
up
第3巻
alloys.
abnormal
Bi
Al)
shrinkage
metals
have
10%
shrinkage
report
Cu-Sn
believed,
to
increases
large
previous
reported
of
(up
The
annealing
already
generally
Sn.
This
the
Pb-Bi-Sn
result
also
gradually
in
shrinkage
The
alloys
alloys
system.
diagram
solidification
of the
Cu-Si
of
reported
a segregation
This
metal,
the
the
Cu-Al
Cu-Sn
expansion
segregated
(6)
section
of
as
volume
(5)
during
shrinkage
究
銅 合 金,
純 銅 の 測定 が そ の主 な る もの で あ る.
依 つ て 著者 は前 報 と同様 な方 法 に よつ て,KCl+NaCl
定 す る 必 要 が あ る.よ
Sterotype
Metals
つ て 著 者 は,Monotype,Linotype,
5種 の 活 字 合 金 に つ き,第1∼3報
と全 く 同 一 方 法 に よつ て 凝 固 收 縮 量 を 測 定 し た.而
し
て,合 金 の 凝 固 中 容 積 の變 化 す る有 様 を よ く 窺 知 す る 事
媒 液 を 用ひ て,工 業 上 有 用 合金 系Cu-Si系(Si8%迄),
Cu-Al系(Al
10%迄),Cu-Sn系(Sn38%迄)及
び 純銅
が 出 來 た.
に就 き,凝 固收 縮 量 を測 定 し,Cu-Sn系
固 收 縮 量 並 に 本 合 金 に 存 在 す る 凝 固 後 の60° に 於 け る 容
に 於 て は 既 に報
續 い て,Pb-Bi-Sn系
のBi50%Sectionに
告 し た如 く,δ及 び η化 合 物 が β固 溶體 よ り生 成 され る
積 の 異 常 膨 脹 量*を 測 定 し た.而
收 縮 量 を併せ て測 定 した.
20%,Pb40∼3%附
その 結 果,Cuの 凝 固收 縮 量 は從 來 迄 の 結 果 に近 い.而
し てCuにSiが
し てBi50%,Sn10∼
近 の合 金 が 如 何 に 原 型 合 金 とし て
優 秀 な性 質 を 有 す る か を 示 す 事 が 出 來 た.
加 は る と著 し く收 縮 量 を減 ず る.こ れ は
Ⅱ.實 驗 結 果 並 び に 考 察
Siの 凝 固膨 賑 性 に基 因 す る.Alは 凝 固 收 縮量 を増 し,Sn
は固溶 限度 が大 き いの で 固溶 限度 成分 まで は増 加 す るが
以後 急減 す る.
Cu-Sn系
於 け る凝
の δの 生 成 に よる收 縮 は,砲 金鑄 物 に鑄 造 歪
又 は龜 裂 を生 ぜ しむ る 一原 因 と もな り,又鑄 造 組 織 の均
一化 に よる不 可逆 膨 脹性 も主 として δの收 縮 に 基 因 す る
もの で あ る.而 し てCu-Sn系
の 包 晶 反應 に よる 收 縮 は
Cu-Si系,Pb-Bi系
の それ に 比 して 著 し く大 きい の で,
收 縮 窩 を作 り易 い原 因 と な る.
(1)試 料 及 び媒 液
Cu, Al, Siは 第6報Al合
を 用 ひ,Snは
メル ク製 の もの を 用ひ た .か
ゝる純 度 の
純 金屬 を 用 ひ て 合 金 した も の を 眞 空爐 中 で 再 熔 解 し
た.
媒 液 は銅 合金 の 場 合 は熔 融點 が 高 い のでAl合
合 の 如 くLiClを
金 の場
用 ふ る 事 は 不 適 當 で あつ た の で,KCl
(重量%50)+NaCl(50%)を
次 に 活字 合 金 の凝固變 容 量 は,さ き に 松 山博 士(5)の 詳
金 の場 合 と同一 純 度 の もの
用 ひた.LiClを
附ふ る と,
餘り 温 度 が 高 い ので 媒 液 の 動 揺 が はげ し く,凝 固收 縮 量
しい研 究 が あ る.そ の結 果,從 來迄 常 識 的 に 考 へ られ て
の測 定 が 不 可 能 で あつ た.然 るにKCl+NaClで
居 た 如 く活 字合 金 は凝 固 の 際 膨 脹 す る もの で な くて,總
現 象 が 殆 ん ど な く,比 較 的 容 易 に測 定 が 出 來 た .今NaC
ての 活字 合金 は凝 固の 際 收 縮 す る.但 し その 收 縮 量 は比
較 的 少 ない.活 字 合 金 に はPbを
主 成 分 とす る合 金 が 多
いの で 既 に述 べた 著 者 の 凝 固 に際 して起 る 容積變 化 の理
l +KCl媒
は斯 る
液 の密 度 を100°/hourの 平 均 冷 却 度 で 冷 却 し乍
ら1100∼700°
の密 度對 温 度 關 係 を 求 む る と,Fig.104
論 的 考 察 か ら も活字 合 金 が 凝 固 の 際 收縮 す る事 實 は 容 易
の 如 く直線 的で あ る .こ の 際,密 度 の 計 算 に は 石 英 容 器
の温 度 に對 す る補正 を行 つ た .温 度 測 定 に は 白金-白 金
に首 肯 し得 る事 で あ る.然 し,松 山博 士 の測 定 結 果 を見
ロヂ ゥム熱 電對 を用 ひ た.
る と,Pb-Sn-Sb系
の 活字 合 金 で,合 金 の 成 分 が 相 當 異 な
る に拘 らず,そ の 凝 固點 が 一定 で あ る ものが 二 三 あ る.こ
(51) Sauerwald, Bornemann,
Metallk., 14 (1922), 145.
(52)岩
*こ
瀬,青 木,金屬 の 研 究,8(1931),253.
の 問 題 に就 て は
,別に 著 者 の研 究 結 果が あ る の で,近
々報 告 の 豫 定 で あ る.
第3號
合 金 の凝 固 の際 に起 る容 積變 化 に就 て(第8報)
(2)Cu
Table
Fig.105は
60.
Volume
during
著 者
119
Shrinkage
of Cu-Si
Alloys
Solidification.
の 測 定 に よる純 銅 の
凝 固 收縮 量測 定 結 果
で,凝 固 に 際 し て の 比
容 收 縮 量0.0050cc,
收 縮 率3.92%,又
融
解 に際 して の膨 脹 率
は4.06%で
あ る.こ
Fig.104.
し てTable
れ等 の結 果 は遠藤 博
59の
凝 固 範圍 は
著 者 の 實 測 値 よ り求 め た も の
士(2)の0.0048cc及
である
び 膨脹
率4.5%,
Sauerwald(51)等
4.20%と
良
次 に,CuにAlを
の
加 へ る と,
凝固 收 縮 量 を 増 加 す る 事 が 考
く一
へ ら れ る がCu-Al系
の凝固
致 す る.
(3)Cu-Si系
收 縮 量 と成分 との關 係 を求 め
及
た 研 究 はな い.よ
びCu-A1系
A110%迄
Siは 凝 固 の 際 膨
收 縮 量 を 測 定 しTable
脹 す る の で,Cuに
Fig.105.
びFig.108の
Siを 加 へ る と凝 固
如 き 結 果 を得
Fig. 107
Table
61.
であ る.
Volume
Shrinkage
during
よつ て,著 者 はSi8%迄
61及
た.
收 縮 量 を減 少 す る事 が 考 へ られ る.本 合 金 系 の凝 固 收縮
量 と成分 乃 至状 態 圖 との 關 係 を求 めた研 究 は今 日迄皆 無
つ て著 者 は
の合 金 に 就 き凝 固
of Cu-Al
Alloys
Solidification.
の合 金 に 就 き凝固 收 縮
量 を測 定 した.本 系 の状 態 圖 は伊 澤 氏(53)そ の 他
の 人 々 に よっ て盛 ん に研 究 中 で あ る が,問 題 は
主 と して 固相 内 に殘 され て 居 る.然 る に著 者 の 研
究 は凝 固 終 了 前 の研 究 な る故,状 態 圖 と して は五
百旗 頭 博 士(54)の もの を 採 用 した.そ の状 態 圖 を
見 る とSi8%迄
の 合金 は,初 晶 と包 晶 反應 と を有
本 合 金 系 は 前 記Cu-Si,Cu-Al兩
す る範圍内 で あ る.
Fig.106はSi6%を
(4)Cu-Sn系
含 む 合 金 の 凝 固 收 縮 曲 線 で,初
加 へ る 事 に よ る凝 固收 縮
晶 に よ る收 縮 と包
量 の變 化 に 就 て の 研 究 は 今
晶 に よる收 縮 とに
2別 す る事 が 出 來
日迄 皆 無 で あ る.よ
者 はCu38.3%迄
るが,包 晶 に よ る
た.Fig.109はCu90%Sn
い.
10%合
斯 くの 如 くし て
CuにSiが
60及
びFig.107に
金 の凝固收縮 曲 線
で 凝 固 範圍 が 大 き い の で そ
の合 金 に
の 凝 固 收 縮 量 も大 き い.
就 き 凝 固 收 縮 量 を求 め て,成 分 乃 至状 態 圖 と の 關 係 を 求
め た,そ の 結 果 はTable
つ て著
の合金 に
つ き 凝 固 收 縮 量 を測 定 し
收 縮 は極 め て少 な
, Si8%迄
合 金 系 に比 し て凝 固
範圍 が 大 きい.CuにSnを
Fig.110はCu80%
示 す 通り で,
20%合
加 は る 事 に よ つ て 凝固 收 縮 量 が 急 減 す る.而
Sn
金の凝固 收 縮 曲線
で,初 晶 及 び 包 晶 に よ る2
(53)伊
澤,本
(54)五
百 旗 頭,金屬
段 收 縮 をな し,包 晶 反應 に
誌,2(1938),400.
の 研 究,8(1931),436.
よ る 收 縮 が 前 記Cu-Siに
比 し極 め て 大 き い .こ
の合 金
120
研
究
系 の δ及び η化合 物 の凝固 收 縮 量 及び 化 合 物 の 生成 に
よる收 縮 量 測 定 結果 は既に 第5報
(5)以上
で 詳述 し た 通 りで あ
Table
第3巻
測 定 した,Cu-Si系,Cu-Al系
62
112に
示 す 如 くで,CuにSiを
含むむ 合 金 系の凝固收縮
量 の極 め て 小 さい事 を
及 びFig.111は
Sn38.3%迄
及 びCu-Sn系
の 凝 固 收 縮 率 と 成 分 と の 關 係 曲 線 を 比 較 圖 示 す る とFig.
知 る.
の
この 結 果 か ら,Siを
合 金 の 凝 固收 縮
Fig.109.
量 と成 分 乃 至 状
含 むCu-Zn会
態 圖 との 關係 で
シ ル ジ ン青 銅 も,そ の
あ る.CuにSn
凝 固收 縮 量 が 少 小い も
が 加 は るにつ れ
の と想 像 され る.
てSn14%迄(固
(6)錫 青銅鑄 造 に際
して の容 積變 化
溶 限 度 成 分)は,
Fig.112.
その 收縮 量 が 増
加 す る が,更
Snが
金 即ち
に
固 溶體 を作 る合 金 を
鑄 造 す る と,冷 却 速度 が 大 き い の で,結晶 粒 偏 析 を起 す.
加 は る に
即 ち,均 一固 溶體 になる べ き 一 つ の 結 晶 粒 が 中 心 と皮 と
つれ て收 縮 量 を
で 固 溶體 の 濃 慶 を 異 に し 所 謂 有 心 組 織 を 示 す.而
急 減 す る.こ
Cu-Sn合
金 系 のCu側
凝 固收 縮 量對成 分 曲線 は,既 に述 べ た 如 く合 金 の 凝固 範
き い.こ
の 際,固 溶體成 分 の 合 金 が 偏 析 の た め に,798° で
圍 及び 固體,融體 の 比 容 と成分 との 關 係 が 大 い影 響 を持
包 品 反應 に よ つ て,β固 溶體 を 生 じ これ が 更 に 共 析 反 應
Fig.110.
Table
62.
Volume
Shrinkage
of Cu-Si
の
Alloys
during
Solidification.
し て,
の固 溶體 は 偏 析 傾 向 が極 め て 大
に よつ て α+δ に 分 解 す る事
が鑄 造 上 極 め て 重要な 事 で あ
る.
今,こ の 間 に起 る 容 積 變化
をSn10%合
金 即 ち砲 金 に近
い 成 分合 金 に就 て 考 察 して 見
るに,先 づ 融體 より,初 晶 と し
て 銅 の 多 い 固 溶體 を晶 出 す る
際,急 に 容 積 の收 縮 を起 し,こ
れ が 平衡状 態 の 儘 で 凝 固 を終
Fig.109の
系 の 融體 及 び固 體
際 は冷却 速 度 が 早 い の で,平 衡状 態 で凝 固 し得 ず,凝 固 が
の 比容 は混 合 比 と
進 行 す るに つれ て包 晶 反應 に よ る 收 縮 を經 て凝 固 を終
著 しく 相 違 す る
り,β固 溶體 を 生 ず る.而 して この β は520° の 共 析 變
が,Sn
迄 凝 固 收 縮 量 を増
態 に よつ て α+δ に分 解 す る.
Sn10%合
金 の鑄 造 組 織 を見 る と,共 析晶 がSn20%
加 す る の は,凝 固
合金 の 平衡 組 織 位 見 られ るの で,凝固 の際 β固 溶體 を生
範圍 の 影 響 が 大 な
ず る 包 晶 反應 に よ る 收 縮 量 はFig.110
る原 因 をな す も の
凝固 收縮 量結 果 に 示 す 如 く相 當 大 き い もの と考 へ な けれ
と考 へな け れ ば な
ばな らぬ.而 し て この 包晶 反應 に よ つ て 收 縮 が 起 る時
らぬ.而
14%合
金
して 砲金
に 近 いCu90%
Sn10%合
Fig.111
A110%合
金 の そ れ と大 差 な い.
れ ば,均 一な α固 溶體 と して
如 き容 積 の收 縮 過 程 を經 る譯で あ るが鑄 造 の
つ も の で,Cu-Sn
Sn20%合
金の
は,既 に 合金 の大 部 が 凝 固 し終り 固 溶體 の 結 晶 になつ て
居 るか ら,こ の包 晶 反應 に よつ て 生 ず る收 縮 を 完 全 に埋
金 の凝
め るだ け の給 湯が 行 はれ 難 い場 合 が,鑄造 状 態 に よつ て
固 收 縮 量 は極 め て
生 じ易 い譯 で,鑄 物 中 に收 縮 孔 を作 る 原 因 とな る .而 し
て凝 固 し終 れ ば β固溶體 ば520° で α+δ に 分 解 す るの
大 き く,Cu90%
で あ るが,こ の際 δは 相 當 の 收 縮 を起 す.こ の δの 收 縮
第3號
合 金 の凝固 の際 に起 る容積變 化 に就 て(第8報)
121
は 固體 内の 收縮 な る故,鑄 物 の 共 析 晶 附 近 に起 る小 さい
度眞空
龜 裂或 は鑄 造 歪 の原 因 を作 る事 が 考 へ られ ろで あ ら う.
定 し,鑄 造 組 織 の 解 消 に よ う 比容
上記 の如 く,錫青 銅 は凝固 時後 に於 け る 收 縮 が 相當 複
Tabie
中 で 所 要 温 度 に 約80時
63右部
及 びFig.114に
雑 で あ る.
し て 再 び 比 重 を測
の増 加 率 を 求 む る と
示 す 如 く,Sn14%即
ち
最 大 固 溶 限度 域分 が鑄 造組 織 の
次 にCu-Sn合
金 系 の 平衡 状 態 に 於 け る常 温 の比 容 と
成 分 と の 關 係 を見 る と,Fig.113及
びTable
解 消 に 容積増 加 率 が 最 も大 き
63の 右部
い.こ の 容積 増 力限は,前述 の 如
に示 す著 者 の 結果
く,主 と し て鑄 造 に よつ て 生 じ
の如 く,CuにSnカ
た比 容 の 小 さい δが,焼 鈍 に二よ
ミ
加 は る とSn10%
つ て消 失 して最 後 に α固 溶體 に
附 近 か ら38%迄
變 化 す る爲 で,固 溶 限 度 成 分 の
Sn14%合
金 が δの 消 失が 最 大
は比 容 減 少の 傾 向
をた ど る.こ
成 に よる收 縮 が 大
な る原 因 をな す と
Fig.113.
Fig. 114.
れは
既 報 δ及 び η の 生
考 へ ら る,斯
く,
(7)活
譯で あ る.而 して,こ の合 金 を均 一 化 す る 爲 に 加 熱 す る
Fig.
Specific
Volume
of Cu-Zn
字
合
金
著 者 は先 づ松 山博 士 に よつ て 明 ら か に さ れ て居 な い
Monotype,
合金 の比 容 が組 域 に よつ て著 し く相 違 す るので,Sn10%
の鑄 造状 態 の 比 容 は,平 衡状 態 の も の と極 め て相違 す る
63.
な る を示 す もの で,鑄 物 の 偏 析
度 を示 す 一 方 法 で あ ら う.
Fig.115の
Table
間焼鈍
Iinotype,
Sterotype
Metalsの
如 く 熱 分 析 に よ つ て 測 定 し,續
初 晶點
合 金 の 凝 固 收 縮 曲 線 をFig.116(Monotype
117(Sferotype
metal)の
如
を
い て これ 等 の
metal)及
く 測 定 し た.こ
び
れ 等 の
結 果 よ り,凝 固 時 の
Alloys.
容 積 の變 化 す る有様
を よ く窺 知 す る 事
が 出 來 る.而
Linotype
して
metalの
凝 固 收 縮 曲 線 はFig
.116のMorlotype
metalの
場合に類似
Fig.115.
す る の で 略 す る が,
松 山博 士 の 結 果 に 比
し て,初 晶點 に 於 け
る 容 積 の變 化 す る
點 が 明 ら か に され,
244° に 起 る 收 縮 は 三
と,今 井 博 士 等(55)の 研 究 の 如 く,1回の 加 熱 で500∼600
Fig.116.
の 加 熱 で は,そ の 膨 脹 は 起 ら
元 共 晶 に よる もの で,
の 不 可 逆 性 膨 脹 は 主 と し て 偏 析 に よつ て 生 じ た
この温 度 に於 て の み
δ化 合 物 が β に變 化 す る 事 に よ る 膨 脹 で*鑄 物 した 砲 金
の 收縮 量 を松 山博 士
等 の 共 析晶 附 近 に 生 じ た 小 さ い間 隙 は,こ の 膨 脹 に よつ
は 求 め られ て 居 る の
て 埋 め られ,砲
で,著
°で 不 可 逆 性 膨 脹 が 起 り,2回
な い.こ
金鑄 物 の 水壓 試驗 が,焼
鈍 に よつ て 向上
者 の 結 果 と比
せ し め得る 事 は こ の 膨 脹 が 一 原因 をな す も の と 想 像 され
較 し て 收 縮 率 自體 に
る .斯
就 て は 大 差な く と も,
る 膨 脹 は 同 一 成 分 合 金 な らば,冷 却 速度 の 早 い 程
凝 固 收 縮 曲線 の 金
大 き い譯 で あり,同 一 條 件 で鑄 造 す れ ば,凝 固 範圍 の 大 き
い 合 金 が 偏 析 傾 向 が 大 き い譯 で あ る.今,5mm金
造 し た 試 料 の 比 重(比 容)を 測 定 し,續 い て そ の 試 料 を 高
(55)今
井,萩 谷,旅 順 工 科 大 學 紀 要,4(1931),99.
*こ の 膨 脹 に は 有 心 α 固 溶體 の 均 一 化 に よ る 微 少 の容 積
變 化 も合 ま れ て居 る.
Fig.117.
相學 的 意 味 を異 にす
型 に鑄
る.そ の 他 の2活
字 合 金 の 凝固 收 縮 量 を も求 め てTable
64
に 一 括 し た.こ
の 結 果 を 見 る と活 字 合 金 は い つ れ も凝 固
に 際 し收 縮 す う が そ の 收 縮 量 が 比 較 的 少な い 事 が 判 る .
(8)可
熔
合
金
122
研
Table
現 今Fusible
metalと
とPb-Bi-Sn系
64.
The Volume
究
Shrinkage
状 態 圖 は 未發 表 の
著 者 の 研 究 結 果 を 採 用 し た.
合 金 し た もの で あ る,就 中Newton's
alloy,Rose'salloy等
はBi50%を
元 系 で あ つ て,そ
Solidification.
る.Fig.119のBi50%Sectionの
と し てBi50%
に 適 當 のPb,Sn,Cd等
metalは獨
of Some Type Metals during
し て 使 用 され て 居 る合 金 を見 る
を 主體 と し た も の で,主
第3巻
Ⅲ.總
含 むPb-Bi-Sn三
括
Cu,Cu-Si系,Cu-A1系,Cu-Sn系,活
の 熔 融點 は100° 以 下 で あ る.Fusible
字 合 金 及 び 可熔
り熔 融點 が 低 い の み な ら ず,凝 固 後60° 附 近
合 金 に 就 き凝 固收
に 容 積 の 異 常 膨 脹 の 起 る 事 實 が あ る が,こ の 特 性 は 一 般
縮 量 を測 定 し た.
に餘 り知 られ て 居 な い.よ
そ の 結 果.
つ て 著 者 は,Ph-Bi-Sn三
系 合 金 のBi50%Sectionの
元
(1)純
各 合 金 に つ い て,變壓 油 を 媒
銅 の凝 固
液 と し て 使 用 し,膨 固 時 の 容 積變 化 並 び に60° で 起 る 容
に際 して 起 る收 縮
積 異 常 膨 脹 量 を測 定 し た.今 こ の 膨 脹 量 の 最も 大 き いBi
量 は,0.050cc及
52%Pb32%,Sn16%即
び3.92%で
ちPb-Bi-Sn系
の 三元共 晶成
の 結 果 と可 成 り良
容 積變 化 の 有 様
く一 致 す る.
は,Fig.118に
(2)CuにSiを
示 す 通 りで そ の
加 へ る と收 縮 量 を
膨 脹 量 が極 めて
急 減 す る,こ れ は
大 き い.勿
Siの 凝 固 膨 脹 性 に
論,
Bi50%Section
Fig. 118
基 因 す る.而
65及
Table
びFig.119に
65.
Fig.119.
の 三 元合 金 に 就
て も類 似 の 容 積 變 化 曲 線 を 有 す る の で 此處 に 略 す る が,
Table
Change
of the Pb-Bi-Sn
Alloys
して
Cu-Al,Cu-Sn系
の 收 縮 量 に比 すれ ば 極 めて 少 な い .
示 す 如 く膨 脹 量 は 相 當 大 き
The Volume
從來
分 の凝 固 時後 の
(3)CuにA1を
during
and
after
加 へ る と 漸 次 そ の 收 縮 量 を増 加 す る.
Solidification.
(4)CuにSnを
加 へる
と固 溶 限 度 成 分(Sn14%)
迄 は漸 次 收 縮 量 を 増 す
が,以 後 急 減 す る.
而 し て本 系 に 存 在 す る
包 晶 反應 に よ る凝 固收 縮
量 は他 の 合 金 系 例 へば
Cu-Si系 の 包 晶 反應 に よ
る それ に比 して極 めて大
き い.又 δ及 び η化 合 物
く,Fusible metalに 近 い 成分 が 特 に大 きい.こ の 凝 固後
の膨 脹 は原 型 合 金 と して極 め て優 秀 な る性 質 を示 す もの
の β固溶體 か ら生 成 され
る際 の 收 縮 量 は固體内 の變 化 と し は相 當 大 きい .
(5)Cu-Sn合
金 系 の 凝 固收 縮 曲線 よ り,砲 金鑄 造 に際
で 可熔 合 金 が 原型 合 金 とし て盛 ん に 使 用 され て居 るの は
し て起 る容 積變 化 に 就 て 考 察 し,偏 析 に よつ て生 ず る包
このた めで あ る.勿 論 こ の 膨 脹性 及 びPb-Bi-Sn三
晶 反應 の 收 縮 及 び β固 熔體 よりの δの 析 出 は,い つ れ も
鑄 物缺陷 の 一 原 因 をな す 事 を之 べ た.而 して鑄 造 組 織 の
元
系 の 状 態 圖 に 就 て は著 者 の 研 究 結 果 が あ るの で近日發 表
第3號
Pbに對
す るBiの
固溶 限 度に關 す るX線
的研究
123
解消 に よつ て生 ず る不 可逆 性 膨 脹 量 は錫 青 銅鑄 物 の 偏 析
25∼40%合
金 範圍 が獨 り可 熔 合金 の み な らず,原 型合
度 を表 は し,主 とし て δの 消 失 に よつ てα 固 溶體 に 均 一
金 として 優 秀 な る性 質 を有 す る 事 を あ ら わ す事 が 出來
化 す る爲 の膨 脹で あ る.
た.
(6)活 字合 金 の 凝 固 收縮 量 を測 定 し,松 山博 士 の測 定
した 結果 に若 干 の 吟味 を加 へ た.そ の 結果,活 字 合 金 は,
終り に 臨 み,以 上の 凝 固 に 際 して起 る容 積變 化研 究 中,
いつ れ も凝固 に際 し收 縮 し,從 來迄 考 へ ら れ て 居 た 如 く
種 々御 指 導 を賜 はつ た 高橋 先 生 に厚 く感謝 す る.併 せ て,
活宇 合金 は凝 固に 際 し膨 脹 す る もの でな い.
種 々有 益 な御 助言 を賜 は つた 東 北 帝 國 大 學總 長 本 多光 太
(7)可 熔 合金 と し て,Pb-Bi-Sn三
元系 のBi50%一
切
郎 博 士,大 阪 帝國 大學敎 授 由 口珪次 博 士 及 び 九 州帝 國大
斷 面合 金 の凝固 時 の收 縮 量 及 び凝 固後60° で 起 る 容 積異
學教 授 今 井弘 搏 士 に對 し て 厚 く御 禮 を述 べ,關 野道 作 君
常膨 賑量 を測 定 した.而
の 助 力を深 謝 す る.
してBi50%,Sn10∼25%,Pb